自閉症の特徴・診断・支援をわかりやすく解説|相談先や療育もまとめて紹介
自閉症は、コミュニケーションの難しさやこだわりの強さなど、人によって現れ方が異なる発達特性です。
成長とともに症状が変化することもあり、「わが子の様子が他の子と違う気がする」「もしかして自閉症かもしれない」と不安を抱く保護者の方も少なくありません。
そこで本記事では、自閉症の特徴や診断の流れ、併存しやすい症状、支援の方法などをわかりやすくまとめました。
早い段階で特性を理解して関わり方を工夫することで、子どもの生活がぐっと楽になることもあります。
安心して支援につながるための情報として参考にしてください。
自閉症ってどんな特性?

自閉症(ASD)とは
自閉症(ASD)は、社会性やコミュニケーション、そして想像力の働き方に特性がみられる発達障害の一つです。
人との関わり方や相手の気持ちを読み取ることが難しかったり、言葉で思いを伝えることが得意でなかったりと、日常の中で戸惑う場面が生じることがあります。
また、特定の遊びや行動へのこだわりが強く、変化への苦手さがみられることも特徴です。
これらの特性は生まれつきの脳機能の違いによるもので、成長に応じて見え方が変化することもあります。
自閉症の特性は個人差が大きく、得意なことが際立つケースも多いため、その子がどのような環境で過ごしやすいかを理解することが重要です。
自閉症の特徴とサイン
自閉症のサインは早い時期からあらわれる場合が多く、1歳前後から「視線が合いにくい」「指さしが少ない」などの様子が見られることがあります。
言葉が出る時期に遅れがなくても、会話が続きにくかったり、自分の興味のあることばかり話す傾向があるなど、コミュニケーションに独特の特徴が出ることもあります。
さらに、成長とともに感じやすくなる困りごとが変わることもあるため、子どもの年齢に応じた理解とサポートが必要です。
ここでは、年齢ごとに見られやすい自閉症のサインをわかりやすくまとめました。
1歳ごろから見られるサイン
1歳を過ぎた頃から、人と目を合わせる頻度が少なかったり、呼ばれても振り向きにくいといった特徴がみられることがあります。
指さしが少ない、周囲の人よりも物への関心が強いなどの傾向も自閉症の初期サインとして知られています。
また、言葉が出る時期は遅くなくても、会話のキャッチボールが難しく、自分の興味のあることだけを話す姿が見られることもあります。
成長とともに変化する症状
成長するにつれて、自分と他者との違いを意識し始める時期に不安が強くなる場合や、友人関係の難しさからストレスを抱えることもあります。
思春期には悩みやすさが増すこともあり、うつ症状や不安症状を併発するケースも報告されています。
また、大人になってから職場での対応の難しさから自閉症に気づく方もいます。
一方で、周囲の理解や適切な支援により、特性が目立ちにくくなる人も少なくありません。
自閉症の特性は成長とともに変化するため、長期的な視点で関わることが大切です。
自閉症の原因と考えられていること
自閉症の原因は現在も研究が進められていますが、ひとつの理由で説明できるものではなく、遺伝的要因が複雑に関わっていると考えられています。
脳の働き方の違いが自閉症の特性につながるとされており、周産期の環境や体内環境が影響する可能性も示唆されています。
なお、親の育て方が自閉症の主な原因になるという科学的な根拠は確認されていません。
誤解されやすい点ですが、今わかっている範囲では、育て方が直接の理由になるわけではないとされています。
特性の理解と環境調整により、子どもの生活は大きく変わり、安心できる毎日につながります。
自閉症の診断について

診断の基準と方法
自閉症の診断は、医師による問診や行動観察、発達検査などを組み合わせて行われます。
言葉の発達の様子や対人関係、遊び方、生活の中での行動傾向などを丁寧に確認し、総合的に判断していくのが特徴です。
特に幼児期は発達段階によって行動が大きく変化するため、日常の様子を保護者がどのように感じているかが重要な判断材料となります。
また、必要に応じて心理検査や知能検査も行われ、自閉症の特性がどのように日常生活に影響しているかを明らかにしていきます。
診断は一つのラベルではなく支援につながる入口としてとらえることが大切です。
相談・診断の適切なタイミング
「視線が合いにくい」「言葉が遅い」「こだわりが強い」など、気になる様子が続く場合は、年齢に関係なく早めに相談するのがおすすめです。
1歳半健診や3歳児健診で指摘されるケースも多く、気がかりがあった時点で医療機関や発達支援センターに相談しても問題ありません。
自閉症は成長とともに困りごとが変化しやすいため、早期に専門機関に繋がることで、本人が過ごしやすい環境を整えやすくなります。
特に保護者が「何か違う気がする」と感じるときは大切なサインであり、その直感を無視せずに行動することが支援の第一歩となります。
診断にかかる費用や医療機関の選び方
自閉症の診断にかかる費用は、受診する医療機関や実施される検査内容によって異なります。
基本的な診察は保険適用となりますが、心理検査や発達検査には別途費用が発生することがあります。
検査を受ける場合は事前に医療機関へ確認しておくと安心です。
また、診断を行う際は小児科、児童精神科、発達外来など、自閉症を専門的に扱う医師が在籍している場所を選ぶことが大切です。
予約が混み合っていることも多いため、まずはかかりつけ医に相談して紹介状をもらう方法も有効です。
適切な医療機関につながることで、その後の支援への道筋がよりスムーズになります。
自閉症にみられる併存症
併存症とは?自閉症との関係性
自閉症では、精神的な症状から医学的な疾患まで、複数の併存症がみられることが少なくありません。
特に知的障害やADHD、不安症、抑うつなどの精神疾患をあわせ持つケースが多く、生活や学習に大きな影響が出ることもあります。
また、てんかんや睡眠障害、便秘など身体面でのトラブルがみられることも特徴的です。
併存症は必ずしも重症という意味ではなく、特性の表れ方が多様であることを示しています。
自閉症は単独ではなく複数の困りごとが重なることが多いため、早い段階で全体像を把握し、必要な支援につなげていくことが大切です。
知的発達の遅れ(知的障害)
知的障害は、自閉症と併存することが特に多い症状の一つで、学習面や日常生活のスキル習得に遅れが見られるのが特徴です。
幼児期には言葉の発達がゆっくりだったり、理解に時間がかかることがあり、特定の遊びや行動へのこだわりが強い場合もあります。
成長の中で「授業についていくのが難しい」「身の回りのことを一人でこなすのが大変」などの困りごとにつながることもあります。
知的発達の遅れがある場合、周囲の理解と支援が本人の安心につながるため、適切な療育や教育環境を整えることが重要です。
知能指数(IQ)だけでは判断できない強みもあるため、その子のペースに合わせた関わりが必要になります。
注意欠如・多動症(ADHD)
ADHDは「不注意」と「多動・衝動性」を主な特徴とする発達障害で、自閉症と併存するケースが多くあります。
不注意の傾向として、集中しにくい、物をよくなくす、気が散りやすいなどがあり、多動・衝動性では、じっとしていられない、順番を待つのが苦手といった様子が見られます。
これらの特徴は本人の努力不足ではなく、脳の働きの特性によるものです。
ADHDの傾向が強い場合は、環境調整や行動療法、必要に応じて薬物療法を組み合わせることで負担を軽減できます。
自閉症とADHDが重なると困りごとが増えやすく、適切な支援がより重要になります。
発達性協調運動症
発達性協調運動症は、知的発達に問題がないにもかかわらず、動作がぎこちなかったり不器用に見える特徴を持つ発達障害です。
歩く・走る・階段の昇り降り・食事・着替え・ボールを使った遊びなど、日常生活のさまざまな動きに苦手さがあらわれることがあります。
自閉症と併存する割合が高く、協調運動の難しさが自閉症の特性をさらに目立たせてしまう場合もあります。
周囲が「できる動き」「苦手な動き」を理解し、過度な要求を避けることで、自信を失いにくい環境を整えることができます。
てんかんや睡眠障害などその他の併存症
自閉症では、てんかんや睡眠リズムの乱れ、便秘などの身体的な疾患が併存することもあります。
特にてんかんは小児期に発症率が高いとされ、診断後の経過を見ている中で発覚するケースもあります。
また、眠りにつくのに時間がかかる、夜中に覚醒しやすいといった睡眠の問題は、日中の集中力や情緒の安定にも影響するため注意が必要です。
身体的な併存症は専門的な治療が求められることが多く、医療機関との連携が重要です。
気になる症状があれば早めに相談し、適切な対応につなげていくことが大切です。
自閉症への支援と関わり方
医学的な治療や支援(薬物療法・行動療法など)
少人数のグループ
個別療育
専門スタッフとマンツーマン
自閉症には決まった治療法があるわけではなく、本人の特性にあった支援を組み合わせることが重要です。
その中心となるのが療育で、集団療育や個別療育を通してコミュニケーション能力や社会性を育てていきます。
個別療育では発達段階に合わせた働きかけができ、集団療育ではルールを理解し仲間との関わりが増えることがメリットです。
また、不安の強さや衝動性が日常生活に大きく影響している場合には、医師の判断で薬物療法が取り入れられることもあります。
繰り返しになりますが、自閉症の支援は特性を理解し「その子に合った方法」を選ぶことが最も大切です。
学校での教育・療育の取り組み
障害の程度や教育的ニーズに応じた教育
特別支援学級など
生徒の学習ペースに合わせた教科学習
学校では、一人ひとりの特性に応じた「合理的配慮」をもとに、自閉症の子どもが安心して学べる環境が整えられています。
通常の学級で学ぶ場合でも、視覚的な説明を増やしたり、環境の刺激を減らしたりといった工夫が行われます。
さらに、より個別に近いサポートが必要な場合には特別支援学級を利用し、一人ひとりのペースに合わせた授業を受けることも可能です。
自閉症は得意・不得意がはっきりしていることが多いため、学校側と家庭が連携し、学習面・生活面それぞれで無理のない形を作ることが大切です。
学校での取り組みが安定すると、子ども自身の自信にもつながっていきます。
家庭でできるサポートや工夫
家庭でのサポートは、特別なものではなく「その子が理解しやすい形」に合わせていくことが大切です。
日課を視覚化したり、急な予定変更を避けたりするだけでも、安心感が高まり行動の安定につながります。
また、保護者ができないことを責める必要はありません。
自閉症の子育てはマニュアルどおりに進むものではなく、試行錯誤の繰り返しで最適な関わり方が見つかっていきます。
疲れたときは専門機関に相談し、支援を受けながら無理なく続けていくことが大切です。
日常の中で少しずつ工夫を取り入れることで、子どもが過ごしやすい環境を整えることができます。
利用できる支援制度や福祉サービス
自閉症の支援には、医療的なサポートだけでなく、福祉制度や地域の支援機関を活用することも役立ちます。
発達相談を行う専門窓口や、家族の悩みに寄り添う支援センター、療育サービスなど、利用できる制度は多岐にわたります。
費用面で不安がある場合でも、自立支援医療(精神通院)や各自治体の助成制度などを利用することで負担を軽減することができます。
医療機関だけでなく、自治体の相談窓口や発達障害者支援センターに問い合わせることで、必要なサービスにつながりやすくなります。
家庭だけで抱え込まず、利用できる制度を積極的に活用することが支援の第一歩です。
自閉症の相談先と受診の流れ

まず相談できる窓口(保健センター・専門外来など)
保健相談・発達障害などの心身障害相談を行う
子育て支援センター
育児に関する不安の相談に応じてくれる
発達障害者支援センター
発達障害者の総合的な支援を行う
精神科訪問看護
訪問看護スタッフによるサポート
自閉症の可能性を感じたとき、最初の相談先として利用しやすいのが市区町村の保健センターや子育て支援センターです。
育児の不安や発達に関する気がかりを聞いてもらえ、必要に応じて専門機関を紹介してもらえます。
また、児童相談所では発達に関する総合的な相談を受け付けており、専門職が子どもの様子を丁寧に確認してくれます。
さらに、発達障害者支援センターや精神科訪問看護など、地域の支援資源を活用することで家庭の負担を軽減できます。
相談は早いほど選択肢が広がるため、迷っている段階でも気軽に利用して問題ありません。
「少し気になる」を行動につなげることが大切です。
受診の流れと準備しておくこと
面接・行動観察
検査
自閉症の診断を受ける際は、まず問診でこれまでの発達の様子や気になる行動について詳しく確認されます。
その後、医師や専門スタッフが面接・行動観察を行い、必要に応じて発達検査や心理検査を実施します。
1歳半健診や3歳児健診で指摘された場合は、早めに小児科や児童精神科へ相談するのがおすすめです。
医療機関によっては予約が数か月先になることもあるため、思い立ったらすぐに動くのがポイントです。
受診時には「できること・苦手なこと」「気になる行動が起こる場面」「家庭や園・学校での様子」をメモしておくと診断がスムーズに進みます。
慌てず、丁寧に情報を伝えることで、より正確な理解につながります。
相談から支援につながるまでのステップ
相談後は、医師の診断内容や子どもの特性に応じて、療育や福祉サービスにつながる流れになります。
各機関から案内されるプログラムを組み合わせることで、家庭や学校での困りごとが軽減されやすくなります。
自治体の窓口では、療育の申し込みや支援制度の利用方法、必要書類などについても丁寧に説明してもらえるため、保護者がひとりで抱え込む必要はありません。
支援は「診断がついてから」ではなく、気になる段階から利用できるものも多く存在します。
相談から支援につながるまでの流れを知っておくことで、安心して次のステップへ進むことができます。
精神科訪問看護ならシンプレへ
シンプレ訪問看護ステーションとは?
精神科訪問看護は、こころの病気や特性を持つ方が自宅で安心して生活できるよう支援するサービスです。
外出が難しい方や、家庭での療養を希望される方に対して、看護師・准看護師・作業療法士が定期的に訪問し、状態に合わせたケアを行います。
シンプレでは、子どもから高齢の方まで幅広い年代に対応しており、自閉症に伴う不安や生活面の困りごとにも柔軟な支援が可能です。
利用者さま本人だけでなく、ご家族の相談にも寄り添い、日常生活の負担を軽くするサポートを大切にしています。
家庭にいながら必要なケアを受けられることが精神科訪問看護の大きな魅力です。
精神科訪問看護でできるサポート
精神科訪問看護では、症状の安定を目的とした日常生活の支援から、服薬管理、再発予防、家族へのサポートまで、多角的なケアを提供します。
自閉症の方の場合、生活リズムの調整や環境の整え方、感情のコントロールについての相談を受けることも多く、本人のペースに合わせた丁寧な支援が求められます。
また、退院後のフォローや社会復帰に向けた準備など、病院と家庭・地域をつなぐ役割も担っています。
必要であれば医療機関や行政と連携し、長く安心して暮らせる体制を整えていくことが可能です。
困ったときに気軽に頼れる存在として、訪問看護が大きな支えとなります。
対応しているエリア
-
<東京都>
・東京23区
※足立区、荒川区は1部エリアとなります。
・西東京市
・三鷹市
・調布市
・武蔵野市
・府中市※1部エリア
・東久留米市※1部エリア
<埼玉県>
・和光市
・朝霞市
・戸田市※1部エリア
・川越市※1部エリア
・新座市※1部エリア
・川口市※1部エリア
シンプレ訪問看護ステーションでは、東京23区、西東京市、武蔵野市、三鷹市、調布市、府中市、東久留米市、埼玉県の一部地域を中心にサービスを提供しています。
上記以外の地域でも、状況により訪問できる場合がありますので、まずはお気軽にお問い合わせください。
自閉症に関する悩みや日常生活の困りごとについても相談可能で、ご家庭の状況に合わせて訪問回数や時間を柔軟に調整できます。
週1〜3回の訪問を基本とし、必要に応じて週4回以上の支援にも対応しています。
ご本人とご家族が安心して生活できるよう、地域に寄り添ったサポート体制を整えています。
ご相談の問い合わせはこちら▼
まとめ|自閉症は早めの相談と支援で安心できる生活へ
自閉症は、脳の働き方の違いによってコミュニケーションの難しさやこだわりの強さが見られ、成長とともに特性のあらわれ方が変化することもあります。
原因ははっきりとは解明されていませんが、適切な支援や環境を整えることで、日常の困りごとが軽減し、生活が安定しやすくなることが多くあります。
早い段階で特性に気づき、必要な支援につなげることが本人の安心につながる第一歩です。
また、自閉症ではADHDや知的障害、不安症、てんかん、睡眠障害などの併存症がみられることもあるため、気になる症状がある場合は専門機関への相談が大切です。
診断がついていなくても、幼児期の健診や地域の相談窓口は気軽に利用でき、家庭だけで抱え込まなくて済む支援体制が整っています。
相談先がわからない場合でも、保健センターや発達障害者支援センターなどが丁寧にサポートしてくれます。
日々の生活で困ったときには、精神科訪問看護の利用も選択肢のひとつ です。
自宅で専門スタッフの支援を受けられるため、外出が難しい場合でも安心して相談できます。
シンプレ訪問看護ステーションでは、自閉症による不安や生活上の悩みに寄り添い、ご本人とご家族が過ごしやすい環境を一緒に考えていきます。
一人で悩みを抱え込まず、「少し気になる」その時点で相談につなげてみてください。
早めの支援が、より穏やかで安心できる毎日へとつながります。
ご相談の問い合わせはこちら▼
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