アルコール依存症の症状を確認してみよう

アルコール依存症は初期から末期まで通じて症状が深刻化していく特徴があります。
そうならないためにもアルコール依存症の症状を知り、疑わしい場合は診療を受けたりといった行動を早期に開始していくことが重要です。
今回はアルコール依存症の症状を始め、予防や治療はどうしたらいいかや相談先について解説していきます。
アルコール依存症の症状

アルコール依存症の初期症状
- 手のふるえ
- イライラ・不安・焦燥感
初期症状として、以上の症状が表れます。アルコールを摂取してこれらの症状があった場合はアルコール依存症の可能性があります。
症状①手のふるえ
大量のお酒を長期にわたって飲み続けることで、お酒がないといられなくなる状態が身体面に現れてきます。
身体的な症状として手の震え、発汗、頻脈・動悸などの離脱症状が出てしまい、それを抑えるためにまた飲んでしまうといったことが起こるです。
アルコールがいつも体内にある状態が続くと、脳はそれが普通の状態だと認識し、アルコールが抜けてくると様々な不快な症状が出るのです。
症状②イライラ・不安・焦燥感
アルコール依存症は精神的な症状にも表れてきます。お酒を飲むべきでない時にも「飲みたい」と強く思いイライラしてしまう。
また、いつも手元にお酒がないと落ち着かないなどの不安感、数時間ごとに飲酒をするような焦燥感に駆られてしまいます。
さらに、飲む前に思っていた量よりも飲み始めるとつい多く飲んでしまうのが、アルコール依存症の症状の特徴です。
アルコール依存症の末期症状
- 睡眠障害
- うつ状態
- 幻覚・幻聴
アルコール依存症が末期症状になると、精神的な症状がかなり顕著に表れます。強い飲酒欲求とそれに基づくコントロールの効かない飲酒欲求が特徴的です。
精神に現れるダメージとして、うつ状態、幻聴、幻覚などの症状が表れ、ひどくなると眠れなくなったりしてしまう場合もあります。
アルコール依存症は「否認の病」とも言われるように、本人は病気を認めたがらない傾向もあります。
このことから、アルコール依存症の症状が表れたら、家族や周囲の人が気づけることが大切なのです。
犯罪行為に繋がる場合もある
・身内への暴行
・児童、家族虐待
窃盗
・万引き
・ひったくり
交通事故
飲酒運転
飲酒による脳の麻痺は暴力や犯罪の引き金になってしまう場合があります。過去に鉄道で起きた暴力行為の加害者の75%が飲酒状態であったと、日本民営鉄道協会が発表しています。
また、飲酒運転に関しては、検挙経験者の男性の66.3%、女性が50%が多量飲酒者。男性の47.2%、女性の38.9%にアルコール依存症の疑いがあると、神奈川県警が報告しているのです。
飲酒がらみの犯罪は、背景にあるアルコール依存症や多量飲酒への適切な介入が行われない限り、数が減ることはありません。
アルコール依存症の症状が顕著化する原因

アルコールに依存してしまう環境を形成してしまう
アルコールに依存してしまう理由としては様々な要因が考えられます。一つは「女性の方が男性より短い期間で依存症になってしまう」ということ。
二つ目は「未成年から飲酒を始めるとより依存症になりやすい」ということ。三つ目としては「家族や友人のお酒に対する態度や地域の環境」などです。
これら環境がアルコール依存症を形成してしまうのですが、逆に飲酒する人が全て依存症になるわけではありません。
アルコール依存に陥る環境について、下記で詳しく解説していきます。
アルコール依存に陥る環境とは
酔ってストレス発散
飲酒量の増加
・日常的に大量に飲む
・酒の肴になる食べ物と合わせて飲酒
遺伝
遺伝的にアルコール依存しやすい
アルコール依存に陥ってしまう環境として、ストレス・飲酒量の増加・遺伝が考えられます。それぞれの具体的な要因を見ていきましょう。
事例①ストレス
お酒を飲む理由としてまず挙げられるのが、ストレスの発散として飲むことです。よって楽しい気分になることで、嫌なことが忘れられるという方が多いと思います。
お酒によって得られる効果というものは、普段の生活の中で実感している方も多いでしょう。
しかしこのようにストレスを発散するための飲酒は、危険な飲み方に繋がりやすいといわれており、やがてお酒に依存してしまうようになってしまいます。
事例②飲酒量の増加
2つ目の要因として挙げられるのが「飲酒量の増加」です。習慣的な飲酒はアルコールに対する耐性をもたらします。
飲酒を始めたころには少量のお酒で気分よく酔えていたところが、徐々に飲酒量が増え、酔った気分がしなくなってくるのです。
そうすると飲酒量がどんどん増加し、やがて家庭や社会生活に多少影響があっても飲む時間や飲む場所を気にしなくなってしまいます。
事例③遺伝
アルコール依存症になってしまう原因の一つとして、遺伝も挙げられます。
特にアルコールを分解する酵素の遺伝子による違いが、依存症のなりやすさに強く影響されることが知られているのです。
遺伝によってアルコール依存症になってしまうのは確かですが、具体的にどのような遺伝子が原因になっているかはまだよくわかっていません。
有力なのは影響力の小さな遺伝子が多数関係して、依存症の原因になっているという説があります。
アルコール依存症の症状を予防・治療とは

アルコールの適正量
500ml
焼酎(25度程度)
100ml
ワイン
2杯
厚生労働省が推進する飲酒の適正量は、壮年男性であれば1日ビール500ml(日本酒1合弱、25度焼酎なら100ml、ワイン2杯程度)に相当します。
1日の飲酒量が適正量の3倍になってしまうと、「飲み過ぎ」となりアルコール依存症になるリスクが高まると警告されています。
美味しいお酒を控えることは難しいですが、毎日適正量を超える量を飲んでしまうと、アルコール依存症に一歩一歩近づいている可能性があるのです。
アルコール依存症を予防するためには、日頃から飲む量をコントロールすることが大切です。
断酒治療と減酒治療
・断酒を実行
・様子を見つつ精神療法
・治療後経過観察
減酒治療
・減らす酒量を設定
・酒量をみつつ投薬治療
・治療後経過観察
アルコール依存症治療の原則は、お酒を一切飲まない「断酒」をすることです。集団精神療法などの心理社会的治療で、飲酒に対する意識や行動を改善させます。
また、共通の問題や悩みを抱えた人が集まり、自主的に運営しているグループに所属し、治療の継続、状態維持の助けになる場合もあります。
いきなり断酒することができなくても、断酒の中間目標として飲酒量を減らす「減酒治療」も注目されており、日々の飲酒状況を意思と共有することで治療を継続させる治療法です。
特効薬は存在しない
アルコール依存症を根本から治すには、上記で解説した断酒治療や減酒治療が中心となります。よってアルコール依存症を治す特効薬はありません。
ですが禁断症状を抑えるために抗酒剤やアカンプロサートという薬を使う場合があります。
抗酒剤は、飲酒すると不快な反応を起こさせることで、飲むことを不快にさせる薬です。
アカンプロサートは、飲酒しても不快な反応は起こりませんが、飲みたい気持ちを減らして断酒継続の一助になることがあります。
精神疾患専門の訪問看護の利用も視野に入れる
アルコール依存症を治療するには、本人の意識や努力だけでなく、家族などの周りの方のサポートも大事になってきます。
精神科訪問看護は、社会復帰に向けて障害や病気をお持ちの方をサポートするサービスです。
自宅で過ごす患者さんやご家族の方々がリラックスして日々の生活を送れるようにするためのサポートはもちろん、医療機関との架け橋となり症状の悪化防止、治療の前進を支援します。
シンプレはアルコール依存症の看護もOK!

利用概要
サービス名 | 精神科訪問看護![]() |
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職種 | ・看護師 ・准看護師 ・作業療法士 |
訪問日数 | ・原則週3日以内 |
私たちシンプレ訪問看護ステーションでは、精神疾患に特化した訪問看護サービスを提供しており、アルコール依存症などの精神疾患を患っている方の訪問看護を行っております。
自宅で看護を受けることができるので、外出が難しい方でも自宅でリラックスしながらサービスを受けることができます。
日常生活の介助や心のケアだけではなく、服薬の管理や、ご相談があればご家族様へのサポートなども行っています。
事業所のチームワークや関係機関との連携を大切にし、利用者様が持つ病気とどう向き合っていくかを一緒に考え、患者さんらしさを失わないよう自立した生活をするためのサポートを心がけています。
精神科訪問看護の内容
- 日常生活の維持
- 生活技能の獲得・拡大
- 対人関係の維持・構築
- 家族関係の調整
- 精神症状の悪化や増悪を防ぐ
- ケアの連携
- 社会資源の活用
- 対象者のエンパワーメント
精神科訪問看護は、アルコール依存症による身体的症状、精神的症状を緩和させるために様々な治療のサポートをしてくれます。
症状の発生を事前に予防し、症状が発症している場合は経過をモニタリングして、悪化を防ぐための介入を行います。
また運動・食事・排泄などの生活習慣の状況を把握し、栄養指導や運動指導なども行い、自己の進退問題への意識づけや情報提供などの援助も実施してくれるのです。
また、家庭だけでなく各関係機関と連携を図ることで、アルコール依存症に対する円滑なケアも提供してくれます。
まとめ

アルコール依存症は初期症状から末期症状までさまざまな症状があり、末期になると断酒や減酒などの治療を地道にすすめなければいけません。
アルコール依存症と向き合うには、周りの方々のサポートが必須ですが、家族だけでは大変な場合は、精神疾患に特化した訪問看護を利用するのも一つの手です。
シンプレ訪問看護ステーションもきっとお役に立てることがあります。アルコール依存症に悩む方とそのご家族さまへの継続的なサポートを通じて解決への一歩をお手伝いします。
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