アルコール依存症と遺伝は関係している?

「アルコール依存症は遺伝するのだろうか?」と疑問を持ちですか?アルコール依存症の原因に遺伝が関係するという話を聞いたことのある方は多いと思います。
しかし、実際にアルコール依存症の発症に遺伝要因が占める割合はどのくらいなのでしょうか?
今回は、アルコール依存症と遺伝の関係について見ていきましょう。アルコール依存症と遺伝の関係について詳しく知りたいという方は、ぜひこの記事を最後まで読んでみてくださいね。
アルコール依存症と遺伝は関係している?

遺伝子の研究が進み、さまざまな病気の原因などが解明されていく中でアルコール依存症も遺伝が関係していることが分かってきています。
依存症の約半分は遺伝が原因
アルコール依存症は家庭環境や性格など、さまざまな要素で発病する依存症です。現在の研究では、発病したその約半数の原因が遺伝であることが分かっています。
特にアルコールを分解するための酵素の遺伝子が、アルコール依存症に影響していることも判明しています。
両親のどちらかがアルコール依存症経験者の方は、他の人よりもなりやすいと理解しておいてください。
たとえ遺伝していても、アルコール依存症は飲酒する頻度や量を調節するだけで避けることができます。
具体的な遺伝子についてはわかっていない
上記でアルコールを分解する酵素の遺伝子と記載していますが、いまだに明確に遺伝子が分かっているわけではありません。
現在有力なのは、「いくつかの遺伝子が関係することで依存症の原因となる」という説です。そして、アルコール依存症の原因は遺伝子だけではありません。
外部からのさまざまな影響を受けて、人はアルコール依存症に陥ります。遺伝子だけではなく、他の要因も多いことから遺伝子の解明にはまだまだ時間が必要です。
遺伝以外のアルコール依存症の危険因子は?

それでは遺伝以外の危険因子について説明していきます。遺伝もそうですが、危険因子を抱えている全員がアルコール依存症になるわけではありません。
飲酒を開始する年齢
アルコールが20歳からとなっているのは、それなりの理由があります。アルコールの場合は、脳などの体への影響も強く依存症の他に脳障害を起こすこともあるからです。
通常アルコール依存症は、何年もかけて習慣化された飲酒から発病します。しかし、未成年の場合はその期間が極端に短く、数カ月から2年ほどで依存症に陥ります。
また、アルコールが効きやすいため、急性アルコール中毒になる危険性が高いことも特徴的です。未成年の飲酒は決してしないように心に決めておきましょう。
家庭環境
親がアルコール依存症である場合、そうでない人と比べて4倍も高いアルコール依存症のリスクを抱えています。これは遺伝要素も含めた数字です。
ただし、遺伝だけが関係しているわけではありません。本来ブレーキにならなければならない親が依存症の場合、飲酒を子供に勧めるパターンもあります。
そうでなくても、家族間の関係の希薄や子供への過度の放任など、依存症になる危険性は増しています。そのような家庭では飲酒に対する正しい知識を身に着けることはできません。
他の精神疾患
アルコール依存症は、他の精神疾患と合併することが多い依存症です。特にうつ病や不安障害などを抱えている方は注意してください。
理由の1つに、飲酒による症状の緩和があります。しかし飲酒は、一時的に気分を高揚させる力があっても、症状を緩和させる作用をするわけではありません。
逆に治りが遅くなったりするので、精神疾患を患っている方やストレスなどで心が弱っている方は飲酒をしないよう心掛けることが大切です。
子供へのアルコール依存症の連鎖を防ぐには?

アルコールは、正しい取り扱いをすれば依存症に陥ることはありません。誰もがなる危険性のある依存症ですが、誰もがならないように対処することも可能です。
アルコール依存症について正しく教える
アルコールに対する授業などは学校でも執り行われたりしますが、家庭でも折に触れ正しい知識を伝えていくことが大切です。
危険性はもちろんですが、誘いの断り方なども一緒に考えていくととっさの時に役に立つことがあります。特に親元を離れる高校卒業までにある程度の指導を行っておきましょう。
正しい知識を伝えるためには、自身も正しい知識を学ばなければなりません。分からないことは一緒に調べるなど、学ぶ姿勢を見せることも大切です。
家庭環境を整える
家庭は子供にとって、安心できる安全な場所であることが大切です。もしも、そうでないと感じているのなら、まずは環境を整えてください。
夫婦関係など難しいこともあるかもしれませんが、夫婦げんかを子供に見せないなどの努力は必要です。
また、DVなど暴力を振るわれているのなら、関係機関に相談して物理的に距離をとるなど家庭環境によって対処法は多数あります。
家庭環境を整えるのは、大人の責任です。客観的に家庭を観察し、子供たちがどう思っているのかを感じ取る必要があります。
感情を自由に表現してよいことを伝える
子供にとって感情の発露はとても大切です。もしも、子供が親の顔色などをうかがい、自分自身の感情を表に出していないのならば親が感情の表現を教えてあげてください。
自分の思いを表に出しても良いのだと、人を信じても良いのだと教えてあげてください。ただし、これは子供だけに言えることではありません。
親である大人も、きちんと休息をとり心と体を休ませ、人生を楽しむことが重要です。子供は親を見ています。
親が正しいプロセスで健康への道を歩んでいるのなら、子供も安心して親の後を歩いていくことができるのです。
アルコール依存症の治療方法は?

アルコール依存症の治療は、基本的に2つの方法で行われます。重度になればなるほど治療にも時間がかかるため、早期に発見することが大切です。
断酒治療
治療目的:
身体・精神症状の治療
治療内容:
・離脱症状の治療
・依存疾患の治療
リハビリテーション期
治療目的:
社会生活に戻るための訓練
治療内容:
・精神療法
・集団活動
アフターケア
治療目的:
・状態維持
・再発防止
治療内容:
・医療機関への通院
・自助グループへの参加
断酒治療とは名前の通り、お酒を一切断ち切る治療です。治療の流れとしては、解毒期からリハビリテーション期、そしてアフターケアとなります。
お酒は日常生活で当たり前に存在するもののため、断酒をするのはとても大変です。また、アルコールが体内から抜ける際に離脱症状が起こるため、解脱期は基本的に入院します。
患者の状態や生活環境にもよりますが、リハビリテーション期を過ぎると退院し通院での対応に切り替わる仕組みです。
減酒治療
治療目的:
疾患理解
治療内容:
・疾患としての理解を深める
・離脱症状
・依存疾患の程度の確認
治療継続
治療目的:
治療継続
治療内容:
・飲酒量の目標設定
・依存疾患、社会、家庭生活の
問題の経過の確認
維持管理期
治療目的:
・状態維持
・再発防止
治療内容:
・飲酒量の目標の見直し
・依存疾患、社会、家庭生活の
問題の経過の確認
・医療機関への通院
現在徐々に注目を集めている治療法に減酒治療があります。最終的な目標は断酒ですが、そこにたどり着くまでの中間目標として定める場合もある治療法です。
通院で対応できるため、日常生活や社会生活を送りながら治療を行えます。アルコール依存症に対しての理解を深めることから治療が始まります。
アルコール依存症の症状が軽く、理性が保たれている方が選択できる方法です。患者の状態によっては薬が処方されることもあるので、管理能力も必要となります。
アルコール依存症に関する相談窓口は?

アルコール依存症や関連問題を含む
アルコール健康障害についての
相談など
保健所
アルコール問題についての
個別相談など
医療機関
本人に治療をすすめるためのサポートなど
自助グループ
同じ問題を抱える人同士で互いに励まし合い克服するための集団
アルコール依存症は患者数が多く、身近な依存症のため相談窓口もたくさんあります。直接会って相談したいのなら、自宅から近い所を選んでみてください。
精神保健福祉センターや保健所は、都道府県に必ず1つはある施設です。地域に根付いた活動を行っているので、専門の医療機関などの情報を得ることができます。
アルコール依存症治療を行っている医療機関があるのなら、早期の受診をおすすめします。患者が行きたがらないなら家族だけでも相談することが可能です。
自助グループは断酒会やAAなどが有名です。治療はできませんが、アルコール依存症や専門機関の情報などを得ることができます。
精神科訪問看護を利用するという選択肢も

アルコール依存症は最終的には通院での対応となります。自宅療養期間があるため、自分自身でさまざまなことをコントロールする力が必要です。
精神科訪問看護とは?
サービス名 | 精神科訪問看護![]() |
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ケア内容 | ・日常生活の維持 ・生活技能の獲得 対人関係の維持など |
訪問日数 | 原則 週3日以内 |
精神科訪問看護とは、訪問看護の中の精神科に特化したサポートを行う事業です。訪問看護の利用に年齢や性別の条件はありません。
主治医が必要と判断すれば利用できます。原則として利用は週3日までですが、条件を満たすことでそれ以上の訪問も可能です。
ケア内容は服薬の管理などの医療ケアから、日常生活のサポートまで多方面をカバーできます。医療行為を行うため、スタッフは看護師や助産師などの医療従事者です。
アルコール依存症に対する看護内容
アルコール依存症の看護は、アルコール依存症に対して正しい知識をお互いに身に付けることから始まります。
そして、規則正しい生活を送れるように援助を行います。アルコール依存症に限らず、精神疾患は規則正しい生活を送ることも治療の一環です。
規則正しい生活を送れるように治療の場を整えなくてはなりません。また、アルコール依存症の治療は長期戦となるので、断酒の動機付けや自助グループへの参加の理解も必要です。
アルコール依存症は、点滴や注射などの物理的な医療行為よりも精神面に作用するサポートが重要になります。
精神科訪問看護ならシンプレ看護ステーションへ!

シンプレ訪問看護ステーションでは精神科に特化した訪問看護の提供を行っています。
シンプレ訪問看護ステーションとは?
シンプレ訪問看護ステーションは、2020年4月に開業した訪問看護ステーションです。精神疾患に特化した精神科訪問看護を行っております。
アルコール依存症の他にも、統合失調症や認知症など様々な精神疾患の訪問看護を提供しております。
当ステーションは、地域に密着した活動を行っているため、地域の関係機関とも連携し社会復帰へとサポートを行います。
ご利用者様の主治医や関係機関と連携を取り、ご利用者様が家庭や地域社会で安心して日常生活を送れるようしっかりとサポートを行い、ご家族の方へのご支援もいたします。
シンプレ訪問看護ステーションの看護内容
・アルコール依存
・薬物依存
・知的障害
・発達障害など
主な看護内容
・生活支援、自立支援
・症状の悪化防止、服薬支援
・社会復帰へのサポート
・家族の方への支援
シンプレ訪問看護ステーションの対象となる精神疾患と、サポート内容について表にまとめています。
訪問時に生活状況や症状を確認し、ご利用者様の主治医や関係機関と連携を取ることで、治療の前進をサポートします。
シンプレ訪問看護ステーションには、精神疾患の専門知識や看護経験が豊富な、精神疾患に対する看護を行いたいという気持ちの強い看護師が集まっています。
ご利用者様やご家族の考え方や価値観を重視し、必要と考えうる事柄に対しての補助を行います。
シンプレ訪問看護ステーションの対応エリア
- 新宿区・中野区・練馬区・豊島区
- 文京区・杉並区・渋谷区・千代田区
- 板橋区・葛飾区・江東区・江戸川区
- 墨田区・荒川区・北区・世田谷区
- 西東京市・三鷹市・武蔵野市・台東区
現在の対応エリアは、上記を中心となっております。
今後はさらに事業を拡大していく予定となっています。
上記以外のエリアにお住まいでも、対応できる場合もありますので、電話や問い合わせフォームでお気軽にご相談ください。
まとめ

アルコール依存症は遺伝的な要因もありますが、それだけが原因ではありません。遺伝があったとしても飲酒をコントロールできる力があるのなら、問題の無い要因です。
また、遺伝が無かったとしても家庭環境などさまざまな原因からお酒におぼれることもあります。アルコール依存症の治療期間は長期に及びます。
その間自宅で自分自身の管理を続けなくてはいけません。
アルコールでお悩みで訪問看護のご利用検討されたい、一度話を聞いてみたい等ございましたら、当ステーションへお問い合わせください。
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