チェックしてわかるアルコール依存症の重症度

アルコール依存症は、その名の通りアルコールに依存している状態のことをいいます。
アルコール依存症になる原因はさまざまなのですが、一度陥ると自分では抜け出せなくて悩んでいる人も少なくありません。
この記事では、アルコール依存症の症状についても触れているので、自身が該当しているかどうかチェックしてみましょう。
アルコール依存症のチェック項目

チェック項目リスト
- どのくらいの頻度で飲みますか?
- 1日平均でどのくらいの量を飲みますか?
- 6ドリンク以上はどのくらいの頻度でありますか?
- 飲み始めると止められない頻度はどれくらい?
- 飲酒後にあなたが行うはずだったことができなかった回数
- 飲み過ぎた翌朝、飲酒しないと動けない頻度はどのくらい
- 飲酒後に後悔する頻度はどのくらい?
- 飲酒のため前夜の出来事を思い出せなかった頻度は?
- 飲酒であなた自身か他の誰かがケガをした頻度は?
- 飲酒を控えるように注意されたことがある
現在の飲酒習慣は適切なのか、アルコール依存症の予備軍なのか、簡単なテストで確かめることができます。
10個の質問を用意しましたので当てはまるものを選び、1問2点として、合計点数を数えてください。結果はこの後ご紹介します。
現在の飲酒習慣を見直すためにも、将来の危険性を測るためにも、現状把握は大切です。
点数ごとの結果
非飲酒者群
1〜9点
危険性の低い飲酒者群
10〜19点
危険性の高い飲酒者群
20点
アルコール依存症群の危険性あり
20点の方はアルコール依存症を疑うレベルです。現在の飲酒習慣を見直したり、必要に応じて専門機関に相談する必要があるでしょう。
10点〜19点の方も要注意です。多くの方が、周囲からアルコールの量を控えるように忠告されていたり、月1回以上泥酔したりします。
1〜9点の方はお酒を嗜む程度に済ませたり、適量を飲んでいてそれほど問題ない場合が多いですが、徐々に飲酒量が増えないように意識しましょう。
アルコール依存症とは?患者数は?

アルコール依存症とは
アルコール依存症とは、お酒を飲む量や飲むタイミングを自分でコントロールできなくなった状態のことで、誰でもなる可能性がある病気です。
アルコールに対する耐性が形成されるため以前と同じ飲酒量では酔わなくなり、最終的にアルコール依存症になるケースが多く報告されています。
自己コントロールができなくなりトラブルなどに発展するケースも多く、重症化すると仕事や社会生活が困難になります。
また、アルコール依存症はさまざまな身体障害やうつ病などの精神障害を合併しやすいため、できるだけ症状の軽いうちに医療機関を受診し回復を目指すことが大切です。
アルコール依存症の患者数
860万人
アルコール依存症者数
440万人
治療が必要なアルコール依存症者数
80万人
「周りにアルコール依存症の疑いがある」「あの人もしかして…」という人もいるでしょう。日本国内だけでも、アルコール依存症の患者数はこれだけいるのが現状です。
2003年に実施された実態調査によると、(※)多量飲酒の人は860万人(純アルコール量として飲酒日に60g)、アルコール依存症の疑いのある人は440万。
そして、重症化した治療の必要なアルコール依存症の患者さんは80万人いると推計されています。
※参考文献:1) 尾崎米厚, 松下幸生, 白坂知信, 他: わが国の成人飲酒行動およびアルコール症に関する全国調査. アルコール研究と薬物依存 40: 455-470, 2005.から引用
アルコール依存症の症状
アルコール依存症の症状にはどのようなものがあるのでしょうか?アルコール依存症の症状をご紹介します。
渇望と飲酒行動
「お酒なしではいられない」「飲み始めると止められない」このような強い飲酒欲求を「飲酒渇望」と呼びます。
アルコール依存症になるとこの強い渇望にさいなまれ、飲酒にばかり気を取られて他のことに関心がいかなくなります。
お酒を飲む量や飲む頻度が増え、「お酒をやめなければいけない」と理解しているのにやめることができません。
これまでの飲酒量では満足できず、ついつい飲み過ぎてしまう状態が続き、どんどん症状は悪化してしまいます。
離脱症状
離脱症状とは、飲酒をやめた際に生じる様々な身体的・精神的症状のことで、飲酒をやめると発汗や震え、不安、イライラといった離脱症状が出てくるようになります。
中枢神経がアルコールに依存しているためにこのような症状が出るのですが、離脱症状は日常生活にも支障をきたすようになります。
飲酒をやめると離脱症状が出てくるようになるので結果的にお酒を飲まずにいられない、というケースが多いです。
症状は軽いものから重いものまでさまざま。重症になると禁酒1日以内に離脱けいれん発作が起こることもあります。
心理特性
アルコール依存症の心理的特徴としては、「否認」と「自己中心性」が挙げられます。まず「否定」ですが、人の言うことなどは頭から否定してかかる、という心の構造があります。
何ごとも認めようとはせず、嘘やごまかしも多くなる傾向があります。アルコール依存症と診断されても、それを認めようとはしないことも多いです。
次に「自己中心性」ですが、これは名前のとおり物事を自分に都合の良い様に解釈し、ほかの人に配慮しないことです。
自分一人が酔っていい気分になったり情緒不安定になり、言動が自己中心になるため周囲の人にも迷惑をかけるようになります。
アルコール依存症の治療法
精神・身体合併症と離脱症状の治療を行う
リハビリ治療
精神・身体症状の回復後に断酒に向けての治療を行う
治療法としては「断酒」が原則ですが、軽症で合併症がない場合は減酒を目標とすることもあります。
まずは精神・身体合併症と離脱症状の治療を行い、精神・身体症状が回復してきたらリハビリ治療として断酒に向けての本格的な治療を開始します。
解毒治療(体内からアルコールを抜く治療)も重要ですが、お酒のない生活を維持していくことも非常に重要です。
そのため、カウンセリングや集団精神療法などで断酒を決意させ、断酒継続のための治療を続けていきます。
アルコール依存症の経過・治療に関する転帰

アルコール依存症の経過
常習的な飲酒や飲酒機会が増え、次第に飲酒の制御が困難になるアルコール依存症。アルコール依存症の経過は男性と女性とで異なるとされています。
習慣的な飲酒からアルコール依存症になるまでの期間ですが、男性で20~30年程度、女性で10〜15年程度といわれています。
女性は小柄で肝臓が小さく、血中濃度が高くなりがちなので、男性より短い期間で依存症になってしまう傾向があるのです。
依存症になると男女に関わらず飲酒が生活の中心になってしまう人が多いですが、長期にわたり断酒したり飲酒量をコントロールすることは難しいとされています。
アルコール依存症の治療後の転帰
28~32%
5年
22~23%
8~10年
19~30%
一度アルコール依存症になると長期にわたり断酒や減酒を継続するのは難しく、専門家などのサポートが必要になります。
アルコール依存症を治療して、行きつくところはどこなのか?治療後の年数と断酒率のデータは上記のとおりです。
断酒率は期間が長くなると減少するものの、治療に対する姿勢がよい場合、5年以降では20~30%程度で安定するようになります。
もともと治療前の飲酒量が少ない、入院回数が少ないなど、重症度との関係もありますが、アフターケアの必要性も重視されています。
シンプレ訪問看護ステーションにお任せください!

シンプレ訪問看護ステーションって?
シンプレ訪問看護ステーションでは、精神科医療に特化した訪問看護サービスを提供しています。
精神障害者の社会生活機能の回復を目的とし、療養上必要な援助・社会復帰指導などさまざまサポートをおこないます。
依存症に関する専門的な知識や経験が豊富なスタッフが多数在籍しており、、精神科訪問看護サービスを受けるのが初めての方でも安心してご利用いただけます。
患者さんが持つ病気とどう向き合っていくかを一緒に考え、患者さんらしさを失わないよう自立した生活をするためのサポートを心がけています。
シンプレ訪問看護ステーションの対応エリア
- 新宿区・中野区・練馬区・豊島区
- 文京区・杉並区・渋谷区・千代田区
- 板橋区・葛飾区・江東区・江戸川区
- 墨田区・荒川区・北区・世田谷区
- 西東京市・三鷹市・武蔵野市・台東区
シンプレ訪問看護ステーションでは、上記エリアを中心に対応しています。
上記以外にお住いの方でもサービスのご利用が可能な場合もありますので、アルコール依存症でお困りであればお気軽にお問い合わせください。
こころの健康問題を抱えて悩んでいる方やそのご家族様への継続的なサポートを通じて解決への一歩をお手伝いします。
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まとめ

アルコール依存症は重症化すると仕事や社会生活が困難になるため、できるだけ症状の軽いうちに医療機関を受診し回復を目指すことが大切です。
アルコール依存症は一人で治すことは難しいので、精神科訪問看護という選択肢も含め専門機関に早めに相談しましょう。
シンプレ訪問看護ステーショは、精神疾患に特化した訪問看護サービスを提供しており、アルコール依存の方の訪問看護も行っております。
現在アルコール依存症で悩んでいる方や、そういった方がご家族におられる場合は是非一度わたしたちにご相談ください。