パーソナリティー障害の治療方法|心理療法・訪問看護で支える回復
私たちが日々接する患者様の中には、精神的な不調や生きづらさを抱え、継続的な支援を必要とされている方が多くいらっしゃいます。
「パーソナリティー障害」と診断された方の場合、考え方や感情のコントロール、人間関係の築き方に困難が生じやすく、長期的な視点での治療と支援が重要になります。
パーソナリティー障害の治療は一つの方法だけで完結するものではなく、医療機関での専門的な治療と、日常生活を支えるサポートを組み合わせながら進めていくことが一般的です。
この記事では、パーソナリティー障害の治療方法を中心に、訪問看護を含めた支援の選択肢についてわかりやすく解説していきます。
パーソナリティー障害の方の治療方法

パーソナリティー障害の治療は、症状の現れ方や生活環境によって異なりますが、精神療法・薬物療法・生活支援を組み合わせて行うのが一般的です。
パーソナリティー障害の治療では、短期間での劇的な改善を目指すのではなく、時間をかけて考え方や行動のパターンを見直し、安定した生活を築いていくことが大切とされています。
特に感情の起伏が激しい方や、人間関係のトラブルを繰り返してしまう方の場合、治療と並行して日常生活へのサポートを行うことで、無理なく回復を目指すことができます。
精神療法(心理療法)
パーソナリティー障害の治療において、中心となるのが精神療法(心理療法)です。考え方や感情、対人関係のパターンを整理し、自分自身の傾向を理解しながら、より安定した対応ができるよう支援していきます。
治療を通じて「なぜ強い不安や怒りを感じやすいのか」「人との距離感に悩みやすいのか」といった点を振り返ることで、少しずつ行動の選択肢を増やしていくことが期待されます。
弁証法的行動療法(DBT)
弁証法的行動療法は、特に感情のコントロールが難しい方や、衝動的な行動が目立つ方に用いられることが多い治療法です。
感情を否定せず受け止めながら、衝動的な行動をとらずに済む対処方法を学び、安定した行動につなげていくことを目的としています。
メンタライゼーション療法
メンタライゼーション療法では、自分や他人の行動の背景にある気持ちや考えを理解する力を養います。
相手の意図を一方的に決めつけず、多角的に捉えることで、人間関係のすれ違いや誤解を減らしていくことを目指します。
認知行動療法(CBT)
認知行動療法は、物事の受け取り方や行動のくせに着目し、現実的で柔軟な考え方を身につけていく治療法です。
「自分はいつも否定される」「失敗したら終わりだ」といった極端な思考に気づき、別の見方を練習することで、感情の揺れや対人関係のストレスを和らげる効果が期待されます。
薬物療法
パーソナリティー障害そのものを直接治す薬はありませんが、不安や抑うつ、不眠、気分の波といった症状を和らげる目的で薬物療法が行われることがあります。
症状が強い時期に薬を併用することで、精神療法に取り組みやすくなるケースもあり、医師の判断のもとで慎重に使用されます。
- 抗うつ薬(SSRIなど)
- 抗不安薬
- 気分安定薬
- 抗精神病薬(妄想や強い衝動性がある場合)
生活支援・環境調整
治療効果を高めるためには、日常生活を安定させる支援も欠かせません。生活リズムの乱れや人間関係のストレスは、症状の悪化につながることがあります。
家庭や職場での環境調整、周囲の理解を深めるサポートを行いながら、無理のない生活を整えていくことも、パーソナリティー障害の治療の大切な一部です。
そもそもパーソナリティー障害とは?

パーソナリティー障害とは、その人がもともと持っている考え方や感じ方、行動のパターンが極端に固定化し、社会生活や人間関係に大きな支障をきたしている状態を指します。
単なる性格の問題や気分の浮き沈みとは異なり、医学的に定義された精神疾患の一つであり、適切な理解と治療が必要とされています。
周囲からは「わがまま」「扱いづらい」と誤解されやすい一方で、本人は強い不安や生きづらさを抱えているケースも少なくありません。
そのため、症状の背景を正しく理解したうえで治療を進めることが、パーソナリティー障害の治療において重要なポイントとなります。
パーソナリティー障害は、思春期から成人初期にかけて症状が目立ち始めることが多く、考え方や行動の柔軟性が乏しくなることで、対人関係のトラブルや社会適応の難しさにつながりやすいとされています。
感情のコントロールがうまくできない、他人への不信感が強い、自分の価値を極端に高く、または低く感じてしまうなど、現れ方は人によってさまざまです。
パーソナリティー障害の治療では、こうした特性を「直す」ことだけを目的とするのではなく、特性とうまく付き合いながら生活の安定を目指していく視点が大切になります。
パーソナリティー障害は、特徴によっていくつかのタイプに分類されており、大きく以下の3つのグループに分けられます。
→ 妄想性パーソナリティー障害、統合失調型パーソナリティー障害 など
B群(感情的・情緒不安定な特徴)
→ 反社会性、境界性、演技性、自己愛性パーソナリティー障害
C群(不安や恐れが強い特徴)
→ 回避性、依存性、強迫性パーソナリティー障害
これらのタイプは明確に一つだけに当てはまるとは限らず、複数の特徴が重なって見られることもあります。
そのため、パーソナリティー障害の治療では、診断名だけで判断するのではなく、本人の困りごとや生活状況に合わせた個別的な支援が求められます。
医療機関での治療に加え、日常生活を支えるサポートを取り入れることで、症状の悪化を防ぎながら安定した生活を目指すことが可能になります。
パーソナリティー障害の方の訪問看護の活用について

パーソナリティー障害の治療では、医療機関への通院だけでなく、日常生活の中での継続的な支援が重要になるケースがあります。
感情の波が大きい、人間関係のストレスが強い、体調や気分によって通院が負担になるといった状況では、治療の継続そのものが難しくなってしまうことも少なくありません。
そこで選択肢の一つとして活用されているのが「訪問看護」です。訪問看護は、医療機関と連携しながらご自宅で支援を行うサービスで、パーソナリティー障害の治療を生活の中で支える役割を担います。
訪問看護では、実際の生活環境を確認しながら支援を行うため、外来診療だけでは把握しにくい困りごとや不安、生活上の課題を早期に見つけることができます。
治療が必要だと分かっていても一人で抱え込んでしまいがちな方にとって、定期的に関わる支援者がいることは、安心感や治療継続の大きな支えとなります。
パーソナリティー障害への訪問看護の有効性
パーソナリティー障害の治療においては、症状の変化がゆっくり現れることも多く、途中で不安や迷いを感じてしまうことがあります。
訪問看護では、定期的な訪問を通じて日々の様子を確認し、小さな変化にも気づきやすい点が特徴です。
感情の不安定さや衝動的な行動が見られる場合でも、早い段階で医療機関と情報共有を行い、対応を検討することができます。
また、訪問看護師が継続的に関わることで、「困ったときに相談できる相手がいる」という安心感につながり、治療への意欲や自己管理の意識を保ちやすくなります。
治療の中断を防ぎ、安定した生活を目指すという点において、訪問看護は有効な支援方法といえるでしょう。
パーソナリティー障害の方への訪問看護でできること
訪問看護では、以下のような支援を通して、日常生活と治療の両立をサポートします。
→自己判断による服薬中断や飲み忘れを防ぐため、服薬状況の確認や声かけを行います。
症状の観察と対応
→感情の変化や対人関係のトラブルなどを把握し、必要に応じて医師へ情報提供を行います。
対人関係のサポート
→訪問看護師との関わりを通じて、人との距離感や関係づくりの練習を行います。
日常生活の支援
→生活リズムの乱れやセルフケアの難しさに対して、無理のない改善方法を一緒に考えます。
家族支援
→ご家族が抱えやすい不安や悩みに対して、対応方法の整理や相談対応を行います。
訪問看護は、単に症状を見るだけでなく、生活全体を支える視点で関わることができるため、対人関係に課題を抱える方にとっても、安心して利用しやすい支援です。
精神科訪問看護の料金
| 負担割合 | 月の初回訪問 | 2回目以降 |
|---|---|---|
1割負担![]() | 1,299円/回 | 855円/回 |
2割負担![]() | 2,598円/回 | 1,710円/回 |
3割負担![]() | 3,897円/回 | 2,565円/回 |
上記は週3回までの訪問料金となります。週4回以上訪問となる場合には料金が異なります。
精神科訪問看護では、医療保険を利用することにより自己負担を軽減できるメリットがあります。
30分を一区切りに利用可能。かかった費用については、年齢や所得によって変わり、医療費の1〜3割が自己負担となります。
また早朝や深夜などの時間外に依頼する場合や、長時間の訪問を行う場合は別途料金が発生します。
また自立支援医療制度という制度を利用すると料金が1割負担になるほか、所得に応じて自己負担が0円になる場合もございます。
シンプレ訪問看護ステーションのご紹介

シンプレ訪問看護ステーションは、精神科に特化した訪問看護を提供しており、パーソナリティー障害をはじめとするさまざまな精神疾患に対応しています。
医療機関での治療を受けながら、ご自宅で安心して生活を続けたい方や、通院が負担になりやすい方に向けて、治療と生活を両立するための訪問看護を行っています。
パーソナリティー障害の治療では、症状そのものへの対応だけでなく、日常生活の安定や人との関わり方を支えることが重要です。シンプレでは、一人ひとりの状態や生活背景に寄り添いながら、無理のない支援を大切にしています。
シンプレ訪問看護ステーションの特徴
シンプレ訪問看護ステーションには、精神科訪問看護の経験を積んだ看護師・准看護師・作業療法士が在籍しており、チームで連携しながら支援を行っています。
パーソナリティー障害の方は、感情の揺れや対人関係の不安を抱えやすいため、継続的で安定した関わりが重要です。シンプレでは、定期的な訪問を通じて信頼関係を築き、安心して相談できる環境づくりを心がけています。
また、ICTを活用した情報共有やバックオフィス体制の整備により、医療機関や関係機関との連携もスムーズに行える体制を整えています。
治療の継続性を高め、生活の中での困りごとを早期に把握できる点は、精神科訪問看護ならではの強みといえるでしょう。
訪問回数は週1〜3回が基本ですが、状態に応じて週4回以上の訪問が可能な場合もあり、祝日や土曜日の訪問にも対応しています。1回あたりの訪問時間は30分〜90分程度で、生活リズムや体調に配慮しながら柔軟に調整します。
服薬支援、再発予防、社会復帰サポート、ご家族への支援などを通じて、パーソナリティー障害の治療を生活面から支えていきます。
対応エリアは、東京23区を中心に、西東京市・武蔵野市・三鷹市・調布市・府中市・東久留米市、埼玉県の一部地域です。近隣市区町村についても訪問可能な場合がありますので、まずはお気軽にご相談ください。
シンプレ訪問看護ステーションの対応エリア
-
<東京都>
・東京23区
※足立区、荒川区は1部エリアとなります。
・西東京市
・三鷹市
・調布市
・武蔵野市
・府中市※1部エリア
・東久留米市※1部エリア
<埼玉県>
・和光市
・朝霞市
・戸田市※1部エリア
・川越市※1部エリア
・新座市※1部エリア
・川口市※1部エリア
シンプレ訪問看護ステーションの対応地域はおもに上記が中心で、訪問活動をおこなっています。該当エリアにお住まいの方はぜひご検討ください。
また上記以外のエリアにお住まいでも、対応できる場合がございますので、一度当社スタッフへご相談ください。
サービス内容を詳しく聞きたい、スケジュールの相談なども承っております。電話やメールなどで相談を受け付けていますので、お気軽にご連絡ください。
ご相談の問い合わせはこちら▼
まとめ

パーソナリティー障害は、考え方や感情、対人関係のパターンが固定化しやすく、日常生活や社会生活に大きな影響を及ぼす精神疾患です。そのため、一時的な対応ではなく、継続的な治療と支援が重要になります。
パーソナリティー障害の治療では、精神療法を中心に、症状に応じた薬物療法や生活支援を組み合わせながら、時間をかけて安定を目指していくことが一般的です。
治療の過程では、調子の良い時期と不調を感じやすい時期を繰り返すこともあり、「思うように良くならない」と感じてしまうこともあります。
しかし、こうした波を前提として支援を続けていくことで、少しずつ感情のコントロールがしやすくなったり、人との関わり方に余裕が生まれたりするケースも少なくありません。
焦らず、自分のペースで治療を続けることが、パーソナリティー障害の治療において大切なポイントといえるでしょう。
また、医療機関での治療に加えて訪問看護を併用することで、治療の継続性や生活面での安定を図りやすくなります。
訪問看護は、自宅という安心できる環境で支援を受けられるため、通院が負担になりやすい方や、日常生活の中で困りごとを抱えやすい方にとって有効な選択肢です。
服薬管理や生活リズムの調整、ストレスへの対処方法の支援、さらにはご家族へのサポートまで含めた包括的な支援が受けられる点も、大きなメリットといえます。
私たちシンプレ訪問看護ステーションでは、医療機関や関係機関と連携しながら、パーソナリティー障害を含むさまざまな精神疾患に対応した訪問看護を提供しています。
一人ひとりの症状や生活状況に合わせた関わりを大切にし、治療と生活の両立を支えることを目指しています。
もし、ご自身やご家族のことで「治療を続けられるか不安」「通院以外の支援も検討したい」と感じている場合は、訪問看護という選択肢があることを思い出してみてください。
パーソナリティー障害の治療は、一人で抱え込む必要はありません。シンプレ訪問看護ステーションが、回復に向けた一歩をサポートします。
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