精神疾患の原因にはどんなものがあるの?
精神疾患の原因やメカニズムについては現在もはっきりとはわかっていません。
しかし、これまでの研究から、もともとの性格や考え方・環境などに加え、体質や脳の機能などが影響していると考えられています。
この記事では、原因別に精神疾患の種類・症状などを見ていきましょう。
医療機関を受診する目安や相談先などについても紹介しますので、ご自身やご家族が精神疾患で悩んでいるという方はぜひ参考にしてくださいね。
精神疾患になりうる原因
遺伝
精神疾患の原因ははっきりと解明いませんが、遺伝は精神疾患の原因の一つとして考えられています。
例えば、家族内で特定の精神疾患が集中している場合などです。
遺伝子の変異や遺伝子の組み合わせによって、神経伝達物質のバランスや脳の構造に影響を与えることがあり、それが精神疾患の発症に関与すると言われています。
生物学的な要因(身体的要因)
生物学的な要因も精神疾患の原因の一つと言われています。
脳の構造や機能の異常は、脳血管障害、甲状腺機能低下症、膠原病などの病気によって引き起こされることがあります。
脳の前頭前野や扁桃体の活動の異常は、不安障害や強迫性障害の発症と関連していると考えられています。
また、統合失調症や双極性障害などの疾患では、脳の機能に何らかの異常が生じていると考えられていますが、その詳細は完全には解明されていません。
心理的な要因
- 不安やトラウマ
- 人間関係の問題
- 仕事や学校のストレス
- 経済的な問題
これらの心理的な要因が重なると、精神疾患を発症するリスクが高まると言われています。
特性や思考パターン、トラウマ体験、対人関係の問題などが精神疾患の発症のきっかけになることが考えられており、例えば、過度のストレスや心理的なトラウマはうつ病や心的外傷後ストレス障害(PTSD)のリスクを高める可能性などがあります。
上記のような問題が現われた時の葛藤や不安への対処能力、ストレスへの対応なども精神疾患の発症に影響を与える要素として考えられています。
社会的な要因
精神疾患の原因となりうる社会的要因とは、家族、学校や職場、などの集団生活をおくる中で、人々が受ける影響のことです。
例えば、家族から虐待を受けると、精神疾患を発症するリスクが高くなります。また、学校でいじめを受けている子どもは、うつ病や不安症になると言われています。
精神疾患は、誰にでも起こりうる病気です。もし、あなたがこころの症状に悩んでいる場合は、一人で悩まずに、早めに医療機関を受診するようにしましょう。
精神疾患の診断基準は?
世界保健機関(WHO)の『ICD-10』とは
国連の専門機関である世界保健機関(WHO)は、『ICD-10』(『国際疾病分類』第10版)という国際的診断基準を定めており、精神疾患の診断の参考に使われています。
ICD-10は精神疾患だけでなく、身体疾患などあらゆる疾患の診断基準を定めていて、疾患ごとに細かく分類されており、14,609項目が基本分類表に記載されています。
なお、ICDは約30年ぶりに改訂が行われ、「ゲーム障害」や「性別不合」などの新しい疾患概念が掲載された『ICD-11』が公表されており、導入作業が進められています。
アメリカ精神医学会の『DSM-5』
アメリカ精神医学会は『DSM-5』という精神疾患の診断・統計マニュアルを出版しており、医師が精神疾患の診断を行う際に用いられています。
DSM-5は精神疾患を22のカテゴリーに分類し、それぞれのカテゴリーはさらに細かく分類されており、医師は大小の診断分類に基づいて精神疾患の診断を行います。
ICD-10は主に統計の分類や行政サービスの認定の際に用いられますが、臨床の現場ではDSM-5が共通言語になっており、臨床家必携のガイドブックとして活用されています。
精神疾患の診断方法について知りたい
問診を中心に診断が行われる
精神科や心療内科の初診では、主に患者さんの現病歴や既往歴など様々な情報を問診の中で聞いていきます。
現病歴とは、不調になったきっかけから現在に至るまでの経過です。既往歴とは、過去に患った病気やケガなどです。
家族歴とは、家族に精神疾患の既往があるかどうか聞いていきます。生活歴とは、現在の生活状況や生活習慣です。
精神科医は患者さんの症状や悩みの原因を理解し、治療方針を立てるために問診していきます。
頭部CTやMRI・血液検査などを行うことも
精神科疾患は、統合失調症、気分障害、神経症など多岐にわたります。
これらの疾患は、症状が似ていることも多いため、問診の他に、身体疾患の可能性がないかの確認のため、必要に応じて血液検査や画像検査などの検査を行うことがあります。
アルツハイマー型認知症や脳腫瘍による精神障害などは、頭部CTやMRIなどの画像検査で脳の状態をチェックして診断を行います。
十分な問診と検査の結果から、精神疾患の有無の診断を行います。診断がついたら、患者さん一人ひとりに合った治療方針を立て、治療を開始していきます。
精神疾患で医療機関を受診する目安
体の変化
次のような症状がある場合は、精神科や心療内科などの医療機関の受診を検討しましょう。
睡眠障害がある
寝付きが悪くなったり、睡眠中に何度も目覚めるような睡眠障害の症状が続いている場合は、うつ病や不安障害、統合失調症を患っている可能性があります。
うつ病の90%以上は睡眠障害を合併しており、深刻な悩み事があって眠れない場合などは、心療内科や精神科などの医療機関の受診を検討しましょう。
食欲不振・頭痛などが2週間以上続く
悲しい出来事があると一時的に食欲不振になることがありますが、食欲不振が2週間以上も続いている場合では、精神的な疾患を患っている可能性があります。
また、頭痛や頭が重いなどの普段は感じなかった症状が2週間以上続いている場合も、精神疾患である可能性がありますが、まずは身体な疾患ではないかを調べることが必要となります。
心の変化
精神疾患は心の病気ですので、精神疾患を患うと心の状態が変化します。次のような症状が出現している場合は、精神科や心療内科などの医療機関の受診を検討しましょう。
2週間以上うつ状態が続いている
心が強いストレスを受けると、一時的に気分が落ち込んだり元気がなくなることがありますが、こういった状態はストレスに対する正常な反応としてあらわれます。
しかし、上記のような状態が2週間以上続いている場合は、精神的な疾患を患っている恐れがありますので、精神科や心療内科の受診をおすすめします。
思考力・集中力の低下で日常生活に支障がある
深刻な悩み事があると思考力や集中力が低下して、仕事や勉強等日常的生活に支障をたすことがあります。
もし、家族や友人などの身辺者で落ち込みが激しく、「死にたい」と言っている人がいれば、精神科や心療内科の受診を勧めたり、付き添うようにしてください。
精神疾患の相談を受け付けている場所は?
電話相談窓口
・よりそいホットライン
・こころの健康相談統一ダイヤル
SNS相談窓口
・こころのほっとチャット
・生きづらびっと
上記の場所では精神疾患の相談を受け付けています。心療内科や精神科などの医療機関などの他に保健センターや保健所では、受診先の相談をはじめとした幅広い心の相談を受け付けています。
電話や面接で相談可能なため、地域のホームページで確認しましょう。電話専門窓口では、「生活の悩み」「LGBT」「10代、20代の女の子の相談」など、多岐にわたる悩みを専門の相談員に相談できます。
SNS相談窓口では、LINEやTwitter、チャットなどの方法で専門のカウンセラーに相談ができ、電話や面談で話すのが苦手な方が利用しやすい相談窓口です。
一人で抱え込まず、自分に合った方法に応じて相談してください。
精神科訪問看護を利用するという選択肢も
精神科訪問看護とは?
サービス名 | 精神科訪問看護 |
---|---|
ケア内容 | ・日常生活の維持 ・生活技能の獲得 ・拡大 |
訪問日数 | 原則週3日以内 |
精神科訪問看護とは、自宅療養で精神疾患の治療を受けている患者さんの自宅に、看護師などの医療従事者が訪問して看護を行うサービスです。
自宅で過ごす患者さんやご家族の方々がリラックスして日々の生活を送れるようにするためのサポートはもちろん、精神状態の悪化を防ぐため服薬の管理や相談などもおこないます。
精神科訪問看護は公的医療保険や公的介護保険の適用が可能で、1~3割の自己負担で利用できます。公的医療保険を利用する場合は、原則週3日以内の訪問になります。
精神科訪問看護のサポート内容
- 症状のコントロールや治療の相談
- 日常生活の援助
- 対人面の相談
- 気分転換の援助・健康管理
- 服薬管理状況確認、援助
- 家族の悩みや不安の解消
- 社会資源の活用援助
精神科訪問看護のサポート内容は上記の通りで、医師の指示を受けたうえで症状のコントロールを行ったり、生活リズムの調整など利用者さまの状態にあわせた支援を行います。
自宅療養を続けていると孤独になりがちですが、自宅に訪問する看護師などとコミュニケーションを取ることで良好な人間関係を再構築するためのきっかけとなります。
患者さんの家族の悩みを聞いたり不安を解消することも精神科訪問看護の重要な仕事であり、必要に応じて、医師や保健師、ケースワーカーなどの関係機関と連携し情報を共有できます。
精神科訪問看護の料金
負担割合 | 月の初回訪問 | 2回目以降 |
---|---|---|
3割負担 | 3,897円 | 2,565円 |
2割負担 | 2,598円 | 1,710円 |
1割負担 | 1,299円 | 855円 |
上記は週3回までの訪問料金となります。週4回以上訪問となる場合には料金が異なります。
精神科訪問看護では、医療保険を利用することにより自己負担を軽減できるメリットがあります。
30分を一区切りに利用可能。かかった費用については、年齢や所得によって変わり、医療費の1〜3割が自己負担となります。
また早朝や深夜などの時間外に依頼する場合や、長時間の訪問を行う場合は別途料金が発生します。
また自立支援医療制度いう制度を利用すると料金が1割負担になるほか、所得に応じて自己負担が0円になる場合もございます。
精神科訪問看護ならシンプレ看護ステーションへ!
シンプレ訪問看護ステーションとは?
シンプレは精神疾患に特化した訪問看護ステーションで、うつ病や摂食障害など、幅広い疾患を対象としています。
精神科勤務経験のあるスタッフが在籍し、病気と付き合いながら自分らしい生活ができるように、自主性を尊重した看護サービスを提供しています。
日常生活の介助や心のケアだけではなく、服薬の管理や、ご相談があればご家族様へのサポートなども行っています。
利用者さまが持つ病気とどう向き合っていくかを一緒に考え、患者さんらしさを失わないよう自立した生活をするためのサポートを心がけています。
シンプレ訪問看護ステーションの対応エリア
-
<東京都>
・東京23区
※足立区、荒川区は1部エリアとなります。
・西東京市
・三鷹市
・調布市
・武蔵野市
・府中市※1部エリア
・東久留米市※1部エリア
<埼玉県>
・和光市
・朝霞市
・戸田市※1部エリア
・川越市※1部エリア
・新座市※1部エリア
・川口市※1部エリア
シンプレ訪問看護ステーションの対応地域はおもに上記が中心で、訪問活動をおこなっています。該当エリアにお住まいの方はぜひご検討ください。
また上記以外のエリアにお住まいでも、対応できる場合がございますので、一度当社スタッフへご相談ください。
サービス内容を詳しく聞きたい、スケジュールの相談なども承っております。電話やメールなどで相談を受け付けていますので、お気軽にご連絡ください。
ご相談の問い合わせはこちら▼
まとめ
精神疾患の原因ははっきりとは解明されていませんが、遺伝・・生物学的な要因・心理的な要因・社会的な要因などさまざまな要因が原因となり発症すると考えられています。
2週間以上うつ状態が続いていたり、死にたいと思うような深刻な悩み事がある場合は、早めに医療機関を受診したり、保健所や保健センターなどで相談するようにしましょう。
わたしたち、シンプレ訪問看護ステーションもきっとお役に立てることがあります。精神疾患でお悩みの方やそういった方が周りにいる方は、わたしたちにご相談ください。
ご相談の問い合わせはこちら▼
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