精神疾患をもつ子供との関わり方はどうしたらいい?特徴や治療方法を解説

精神疾患は大人だけの問題ではありません。未成年の子供でも、精神疾患を患っていることは少なくありません。
子供は精神疾患を患っていることに気づかないことがあるため、周囲にいる大人がしっかり気を配る必要があります。
そこで今回は、子供の精神疾患の特徴や治療方法、周囲の大人に向けた子供の関わり方について紹介します。
子供の精神疾患例
①先天的精神疾患
疾患一覧
・注意欠如
・多動症
自閉スペクトラム症
・コミュニケーションが苦手
・強いこだわりがある
15歳以下の子供の場合、児童精神科で診断や治療が行われます。
ADHDとは、同年齢の子供の発達の状況と比べて、不注意や多動の症状が強くある状態です。
不注意とは、活動に集中できない、気が散りやすいといった状況です。多動は、じっとしていられず、待つことが苦手で他人の邪魔をしてしまうという状況です。
自閉スペクトラム症では、コミュニケーションの困難や対人関係の困難から社会適応に難しさがある症状がみられます。
自閉スペクトラム症は、遺伝的要因や脳の機能障害に要因があり、人口の1%ほどの人にみられる障害です。
二次障害の可能性
ADHDや自閉スペクトラム症には、さまざまな重症度があります。また、これらの障害を併せ持っている場合もあります。
障害の重症度にもよりますが、これらの障害があると、生活のしづらさや人間関係でのストレスが大きい場合が多いといえます。
こういった生活上のストレスを長期的に感じ続けることで、うつ病や不安障害、双極性障害、素行障害、反抗挑戦性障害といった二次的な障害を発症することが少なからずあります。
子供は成長と発達が著しい時期にいるため、これらの障害や症状が成長発達に伴って、どのように変化するかということも重要です。
②後天的精神疾患
・他者への思いやり欠如
・他者の行動を誤解
・攻撃的
うつ病
・活気がない
・ふさぎこみがち
統合失調症
幻想、妄想が顕著
PTSD
・フラッシュバック
・不安や緊張が続く
・めまいや頭痛がある
・眠れない
破壊的行動障害とは、子供がちょっとしたきっかけで怒りだしたり、抑制が効かずに暴れてしまうこととは分けて考えられています。
さらに、ADHDや自閉スペクトラム症のある子供に、生じやすい精神障害にうつ病があります。
障害や理解しにくい行動があるために、大人から頻繁に怒られたり、社会で適応しにくかったりする特性から、気分の落ち込みや抑うつ的な状況が生じやすいといえます。
PTSDは、心的外傷後ストレス障害のことです。いじめ体験や虐待体験などで、心に大きなストレスを受けた場合、PTSDとなることがあります。
子供が発するサインとは
幻聴、妄想をする頻度が高い
不可解な行動
・ジッとできない
・奇行が目立つ
感情のコントロールができない
・突然怒る、泣く、暴力的
・意味もなく恐怖する
落ち込み、極端な不安
なんでもないことで落ち込む
幻聴や妄想は、主に統合失調症の陽性症状です。脳の障害により、感覚の認識が現実とずれる状況があります。
この症状は、本人が現実に感じ、そのことにより生活が影響を受けてしまう状況です。
幻覚や妄想があることで、成績低迷や奇行がみられる場合があります。そういった行動が、子供の発するサインといえます。
統合失調症は、遺伝的な要因や環境要因が複雑に絡み合って生じる脳の機能障害です。統合失調症は、100人に1人がなる可能性のある、身近な障害です。
治療につながれば、薬などで症状を和らげることができます。
子供にありがちな奇行と考えない
今まで述べた精神疾患に伴う子供の行動を、軽視しないことが大切です。子供にありがちな変わった行動ということで、済ましてしまわずに行動の背景を考えます。
例えば、破壊的衝動行動の背景にADHDの障害がある場合に、異常行動が青年期まで続くことがあります。
幼さからくる粗暴性なのか、ADHDなどの障害がないのか、専門的知識のない人には、安易に判断できません。
子供にありがちな行動として安易に判断してしまうことで、行動障害がつづくことでの損失がありえます。
また、物質依存などにおちいる可能性が高い傾向にあり、生活の質の低下が考えられます。
精神疾患を抱える子供の二次被害
①学校でのいじめ
精神疾患を抱える子供は、人間関係に課題を抱えることから、いじめの対象になったり、逆にいじめる側になったりすることがあります。
いじめられる側になることは、対人恐怖やPTSDの原因になる場合があります。ひどい場合には、自殺などの原因になってしまいます。
いじめる側になる場合には、破壊的衝動行動の症状である可能性があります。いじめの背景にある子供の精神衛生上の問題に、注意することが大切です。
②コミュニケーションの拒否
精神疾患がある子供は、人間関係に難しさを感じることが多いといわれています。このため、コミュニケーションを拒否して引きこもってしまうことがあります。
このことは、人間関係からさらに遠ざかるきっかけになり、人との関わりがさらに難しくなります。
コミュニケーションを拒否して、長い間引きこもってしまうことで、社会的にも個人的にも大きな機会損失になります。
児童期にこのような状況になると、不登校や引きこもりの原因になります。
③自身の否定・自信が持てない
周囲と自分を比較してしまい、人間関係で自信を無くしてしまうことがあります。自己否定的な考えを強く持つことがあります。
このような考えを持つことで、自身を否定してしまいます。例えば「生きる価値がない」などといった、自分に対してかえってストレスになるような否定的な思いを、抱き続けることになります。
自分が否定的な存在として自己認識されてしまうことで、支援者などに相談をすることなどもあきらめてしまうことにつながります。
親の苦悩
精神疾患の発症
・ストレスから飲酒
・次第に飲酒量が増える
うつ病
・子供への不安
・父母どちらかが非協力的
・心労から発症
子供が精神疾患をかかえていると、子供の症状や行動が家庭に影響を与えます。親は、保護者としての責任を感じたり、子供の将来に不安を感じたりします。
こういった親の気持ちは、なかなか気軽に相談できないことがあります。相談できずに、悩みを抱え続けると親にもストレスがかかり続けることになります。
ストレスの対処として飲酒する場合に、アルコール依存症となり、心身に悪影響がおきる可能性があります。
また、ストレスを抱え込みすぎ、疲弊しきってしまい、うつ病になることもあります。
親側が苦しまないためには
子供の症状や行動を近くで見る親は、子供の状況に強く影響を受けることが考えられます。
ひどい場合には前述したように、親もうつ病となり、親子で共倒れしてしまう危険性があります。
このように家庭内で煮詰まりすぎた場合には、親も専門的知識を持つ医師などに相談をすることが大切です。場合によっては、親も治療を受ける必要もあります。
辛い状況がつづくことに慣れてしまうことは、諦めてしまうことにもつながる可能性があり、マイナス思考が強くなる悪循環に陥ることがあります。
そうなる前に、支援者とつながることで、必要な医療などをうけることが大切です。
子供を支える方法とは
相談・対処できる施設を探す
相談できる場所としては、精神疾患に特化した医療機関や発達の支援の仕組みがあります。このような支援が受けられることを知っておくことが大切です。
子供の抱える辛さや不安を、家族内だけでなんとかしようとすることは、とても大変なことです。大変さだけでなく、子供本人や家族の生活の質、ひいては、人生の質にも、影響をおよぼします。
子供の精神疾患の症状など、医療機関に相談することで、治療面でできることもあります。
以下に、具体的にそれぞれの施設について整理します。
①病院・診療所への通院と治療
病院や診療所は、精神科医療を行っています。児童精神科は、専門的な検査などに基づき、診断をします。そのうえで、必要な場合は投薬を行います。
カウンセリングルームやピアサポートグループを設置している場合もあります。そのような場合には、医師の診察とは別に、心理士のカウンセリングや集団精神療法をうけることもできます。
②通級学級・教育センターの利用
通級学級とは、普通学級に通いながら、週に数時間を通級学級で学ぶ制度です。通級学級では、児童の特性に応じた個別的な指導がされます。
通級学級を希望する場合には、学校の担任やスクールカウンセラーへ相談して、利用を検討することができます。
教育センターは、教育について保護者や学校関係者が相談できる場所です。教員への指導も行っています。
③訪問看護の利用
訪問看護でも、精神科に特化した訪問看護の制度があります。看護師がお宅に訪問し、看護をサービスとして提供します。
子供の話を聞いたり、保護者の精神的サポートを看護の立場から行うことができます。子供が安心して過ごせる環境の調整などをお手伝いすることができます。
訪問看護を利用する場合には、医師の指示が必要になります。また、精神科訪問看護は、自立支援医療の対象になります。
子供の育て方と環境
子供の精神疾患は、遺伝的要因や環境的要因が複雑に絡み合っておこります。環境要因といっても、必ずしも、親のみの責任ではありません。
しかし、子供の育て方や環境は、症状の程度などに影響を与える可能性もあります。子供の行動や症状に対する、親の行動が状態を悪化させる場合もあります。
医療機関や教育センターなどでは、子供の特性に応じた関わり方のコツなどを聞くことができます。また、ピアサポートでは、家族会などで似たような境遇にある人と知り合うこともできます。
関わり方を工夫することで、親も子供も安心して過ごしたり、ストレスを減らしたりすることができます。
精神疾患のお子様のことでお悩みならシンプレ訪問看護ステーションへ
当ステーションの特徴
シンプレ訪問看護ステーションは、精神科疾患に特化した訪問看護ステーションです。
シンプレでは、利用者さんの自主性を尊重して、利用者さんの生活がより良くなるように訪問看護を行っています。
これらのことは、訪問看護だけでは行えません。主治医を中心とした医療機関や市町村の担当者など地域の支援者と連携をとり利用者さんをサポートします。
お子様の精神疾患やそれに伴う生活上の悩みがある場合は、シンプレ訪問看護ステーションにご相談ください。
疾患の一例
・一日中気分が落ち込んでいる
・眠れない・疲れやすい・食欲がない
自閉スペクトラム症
・正常な社会的関係を構築ができない
・強迫的な行動や儀式的な行動がみられる
ADHD
・行動の抑制が困難
・落ち着きがない
アルコール依存症
・酒類(アルコール)に依存する
・アルコール中心の生活になってしまう
その他精神疾患全般
シンプレ訪問看護ステーションでは、広範囲の精神科疾患全般に対応可能です。自閉スペクトラム症やADHDがあり、生活に困難を感じていらっしゃる場合の相談も可能です。
これらの障害から、うつ病といった気分障害など二次的障害になってしまったお子様への対応も可能です。どのような生活をしていくか、精神科看護として相談にのることができます。
子供だけでなく親御さんも安心して生活できるように一緒に考えることができます。子供の精神疾患で悩む方の生活がよりよくなるように、主治医や地域の支援者とともに患者さんを支援します。
シンプレの対応エリア
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<東京都>
・東京23区
※足立区、荒川区は1部エリアとなります。
・西東京市
・三鷹市
・武蔵野市
<埼玉県>
・和光市
・朝霞市
・戸田市※1部エリア
・新座市※1部エリア
シンプレ訪問看護ステーションの対応エリアは、上記の地域になります。
上記以外のエリアにお住まいでも、対応できる場合もありますので、お気軽にお問い合わせください。
サービス内容を詳しく聞きたい、スケジュールの相談なども承っており、年齢に関わらず利用することが可能です。
ご相談の問い合わせはこちら▼
まとめ
子供の精神疾患について、障害の種類や特徴について、詳しく解説しました。
大切な自分の子供に、障害にともなう辛さがあることは家族としてはとても辛いことです。
シンプレ訪問看護ステーションも、社会復帰への支援や子供の特性の理解について支援することができます。
子供だけでなく親御さんのサポートも行うことで、障害をかかえながらも自主性を大切に、その人らしく生活できるよう看護の立場から支援します。
子供の精神疾患でお悩みの場合には、シンプレ訪問看護ステーションにご相談ください。
ご相談の問い合わせはこちら▼