外傷後ストレス障害の治療方法とは?心理療法・薬物療法・訪問看護をわかりやすく解説
現代社会では、事故や災害、暴力、突然の別れなど、強い恐怖や衝撃を伴う出来事に直面することは決して珍しくありません。そうした体験が心に深い傷として残り、日常生活に影響を及ぼすことがあります。
その代表的な精神疾患の一つが外傷後ストレス障害(PTSD)です。PTSDは特別な人だけが発症するものではなく、誰にでも起こり得る病気であり、適切な外傷後ストレス障害の治療を受けることで回復を目指すことができます。
この記事では、外傷後ストレス障害の治療方法を中心に、症状の理解や訪問看護の活用についてわかりやすく解説します。ご本人はもちろん、ご家族や身近な方が悩まれている場合にも参考にしていただければ幸いです。
外傷後ストレス障害の方の治療方法

外傷後ストレス障害の治療は、一つの方法だけで完結するものではなく、複数の治療を組み合わせて行うことが一般的です。つらい体験によって生じた心身の反応は人それぞれ異なるため、症状の強さや生活環境に合わせて、無理のない治療計画を立てることが重要とされています。
主な治療の柱は「心理療法」「薬物療法」「補完療法」の三つです。これらは単独で行われる場合もありますが、多くの場合は併用され、段階的に回復を目指します。特に、日常生活に支障が出ている場合には、医師や専門職と連携しながら継続的に治療を進めていくことが欠かせません。
薬物療法
薬物療法では、抗うつ薬や抗不安薬などが用いられ、不眠や抑うつ、不安感といった症状の緩和を図ります。特にSSRIと呼ばれる薬は、外傷後ストレス障害の治療で広く使用されています。
ただし、効果や副作用には個人差があるため、自己判断で中断せず、医師と相談しながら調整することが大切です。
補完療法
補完療法は、心理療法や薬物療法を支える目的で取り入れられる方法です。ヨガや呼吸法、マインドフルネスなど、心身をリラックスさせるアプローチが代表例として挙げられます。
これらは治療の代替ではなく補助的な位置づけですが、日常生活の安定やストレス対処力の向上につながる場合もあり、医師と相談のうえで活用されることがあります。
心理療法(カウンセリング)
心理療法は、外傷体験によって生じた考え方や感情の整理を行い、症状の軽減を目指す治療法です。
持続エクスポージャー法や認知行動療法があり、フラッシュバックや強い不安感への対処を学んでいきます。
専門家と対話を重ねながら、自分の反応を理解し、安全な形で恐怖と向き合うことで、少しずつ心の負担を減らしていくことが期待できます。
そもそも外傷後ストレス障害とは?

外傷後ストレス障害(PTSD)とは、事故や災害、暴力、虐待など、命の危険を感じるような強い出来事を経験したあとに発症することがある精神疾患です。出来事そのものが過去のものであっても、心は安全だと認識できず、緊張状態が続いてしまう点が特徴とされています。
外傷後ストレス障害の治療を考えるうえでは、まず「これは心の弱さではなく、強いストレスに対する自然な反応である」という理解が重要です。本人の意思とは関係なく症状が現れるため、周囲の正しい知識と配慮が回復への第一歩となります。
代表的な症状としては、突然つらい記憶がよみがえるフラッシュバック、眠れない・悪夢を見るといった睡眠障害、些細な刺激にも過敏に反応する過覚醒状態、そして出来事を思い出させる場所や人を避ける回避行動などが挙げられます。
- フラッシュバック(突然の再体験)
- 悪夢や慢性的な不眠
- 強い警戒心や驚きやすさ
- 感情が湧きにくくなる感情麻痺
- 出来事を連想させる刺激の回避
これらの症状が1か月以上続き、仕事や家庭生活など日常に支障をきたす場合、外傷後ストレス障害と診断されることがあります。発症のタイミングは体験直後とは限らず、数か月から数年経ってから症状が現れるケースも少なくありません。
そのため、「時間が経てば自然に治るはず」と我慢を続けてしまう方も多いのが現状です。しかし、早い段階で適切な治療や支援につながることが、症状の慢性化を防ぐうえで大切だとされています。
外傷後ストレス障害の方の精神科訪問看護の活用について

近年、外傷後ストレス障害の治療の一環として「精神科訪問看護」を活用するケースが増えています。精神科訪問看護とは、看護師や作業療法士といった医療の専門職が自宅を訪問し、医療的ケアや精神的サポート、生活面の支援を行うサービスです。
PTSDの症状がある方の中には、外出そのものが大きな負担となり、通院が難しくなる方も少なくありません。そのような場合でも、精神科訪問看護であれば慣れ親しんだ自宅という安心できる環境で支援を受けられるため、治療の継続につながりやすいとされています。
外傷後ストレス障害への訪問看護の有効性
外傷後ストレス障害の方に対する精神科訪問看護では、症状の変化を継続的に見守りながら、その日の体調や心の状態に合わせた関わりが行われます。フラッシュバックや不安が強い時期でも、無理のない距離感で支援を受けられる点が大きな特徴です。
また、定期的な訪問によって体調や生活リズムの変化に早く気づくことができ、症状の悪化を防ぐことにもつながります。精神科分野に理解のあるスタッフが対応することで、「一人で抱え込まない環境」を整える役割も果たします。
孤独感の軽減や安心感の獲得は、長期的な回復を目指すうえで重要な要素であり、精神科訪問看護はその土台を支える存在といえるでしょう。
外傷後ストレス障害の方への精神科訪問看護でできること
→内服状況の確認や副作用についての相談対応
精神的サポート
→不安やつらさを言葉にする場をつくり、気持ちの整理を支援
日常生活支援
→食事・睡眠・清潔保持など生活リズムへの助言
医療機関との連携
→主治医への報告や必要時の情報共有
家族への支援
→ご家族への関わり方の助言や情報提供
このように精神科訪問看護は、医療的な側面だけでなく、外傷後ストレス障害を抱える方の「生活全体」を支える役割を担っています。治療と日常を切り離さず、無理なく回復を目指したい方にとって、有効な選択肢の一つです。
精神科訪問看護の料金
| 負担割合 | 月の初回訪問 | 2回目以降 |
|---|---|---|
1割負担![]() | 1,299円/回 | 855円/回 |
2割負担![]() | 2,598円/回 | 1,710円/回 |
3割負担![]() | 3,897円/回 | 2,565円/回 |
上記は週3回までの訪問料金となります。週4回以上訪問となる場合には料金が異なります。
精神科訪問看護では、医療保険を利用することにより自己負担を軽減できるメリットがあります。
30分を一区切りに利用可能。かかった費用については、年齢や所得によって変わり、医療費の1〜3割が自己負担となります。
また早朝や深夜などの時間外に依頼する場合や、長時間の訪問を行う場合は別途料金が発生します。
また自立支援医療制度という制度を利用すると料金が1割負担になるほか、所得に応じて自己負担が0円になる場合もございます。
外傷後ストレス障害の治療と訪問看護の併用メリット

外傷後ストレス障害の治療では、医療機関で行う心理療法や薬物療法と、日常生活を支える支援をどのように組み合わせるかが重要なポイントとなります。その中で、訪問看護を併用することは、治療と生活を切り離さずに進められる有効な方法として注目されています。
医療機関での治療は、症状の評価や治療方針の決定といった専門的な役割を担います。一方、精神科訪問看護は自宅での過ごし方や体調の変化など、日常の細かな部分に目を向けて支援を行います。この二つを併用することで、症状の改善と生活の安定を同時に目指すことが可能になります。
特に外傷後ストレス障害の方は、体調や気分の波が大きく、調子が悪くなり始めたサインに自分では気づきにくいことがあります。定期的な訪問看護が入ることで、変化を早期に把握し、必要に応じて医師へ情報共有を行うことができます。
その結果、症状が悪化する前に対応できたり、服薬の飲み忘れや自己中断を防げたりする点も大きなメリットです。「早めに気づき、早めに対処する体制」を整えることは、再発予防の観点からも非常に重要といえるでしょう。
また、精神科訪問看護では社会復帰や外出への不安についても段階的にサポートが行われます。いきなり無理をするのではなく、その人のペースに合わせて目標を設定し、小さな成功体験を積み重ねていくことが、長期的な回復につながります。
このように、外傷後ストレス障害の治療に精神科訪問看護を併用することで、医療と生活の両面から支援を受けられ、安心して治療を継続できる環境を整えることができます。
シンプレ訪問看護ステーションのご紹介

シンプレ訪問看護ステーションは、精神科に特化した精神科訪問看護を提供しており、外傷後ストレス障害の治療を必要とする方が、住み慣れた自宅で安心して生活を続けられるよう支援しています。医療機関での治療と日常生活をつなぐ存在として、一人ひとりの状況に合わせたきめ細やかなサポートを大切にしています。
外傷後ストレス障害は、症状の現れ方や回復のスピードに大きな個人差があります。そのためシンプレでは、画一的な対応ではなく、その方の背景や生活リズムを尊重した支援を心がけています。無理に前へ進めるのではなく、「今できること」を一緒に確認しながら、段階的な回復を目指します。
シンプレ訪問看護ステーションの特徴
シンプレの訪問看護では、精神科領域の知識と経験を持つ看護師・准看護師・作業療法士が訪問を担当します。外傷体験による不安や緊張を理解したうえで関わるため、初めて訪問看護を利用する方でも安心して相談しやすい環境が整っています。
また、ICT化による情報共有やバックオフィス体制の充実により、スタッフが利用者様への支援に集中できる仕組みを構築しています。研修制度も整っており、常に質の高い訪問看護を提供できるよう努めています。
訪問では、服薬状況の確認や生活リズムの調整、気持ちの整理のサポートだけでなく、ご家族への助言や相談対応も行っています。「本人だけでなく、支える家族も含めて支援する」という視点を大切にしている点も、シンプレの特徴の一つです。
対応エリアは東京23区を中心に、西東京市・武蔵野市・三鷹市・調布市・府中市・東久留米市、埼玉県の一部まで幅広く対応しています。近隣地域についても、状況により訪問可能な場合がありますので、まずはお気軽にご相談ください。
シンプレ訪問看護ステーションの対応エリア
-
<東京都>
・東京23区
※足立区、荒川区は1部エリアとなります。
・西東京市
・三鷹市
・調布市
・武蔵野市
・府中市※1部エリア
・東久留米市※1部エリア
<埼玉県>
・和光市
・朝霞市
・戸田市※1部エリア
・川越市※1部エリア
・新座市※1部エリア
・川口市※1部エリア
シンプレ訪問看護ステーションの対応地域はおもに上記が中心で、訪問活動をおこなっています。該当エリアにお住まいの方はぜひご検討ください。
また上記以外のエリアにお住まいでも、対応できる場合がございますので、一度当社スタッフへご相談ください。
サービス内容を詳しく聞きたい、スケジュールの相談なども承っております。電話やメールなどで相談を受け付けていますので、お気軽にご連絡ください。
まとめ

外傷後ストレス障害は、強い恐怖や衝撃を伴う体験によって心に深い影響を受ける精神疾患ですが、適切な外傷後ストレス障害の治療を受けることで、少しずつ回復を目指すことができます。症状は目に見えにくく、周囲に理解されにくいこともありますが、決して一人で抱え込む必要はありません。
治療方法には、心理療法や薬物療法、補完療法といった選択肢があり、その人の状態や生活環境に合わせて組み合わせることが大切です。焦らず段階的に取り組むことで、不安や緊張が和らぎ、日常生活を取り戻していくことが期待できます。
また、医療機関での治療に加えて訪問看護を併用することで、自宅という安心できる環境の中で支援を受けられます。通院の負担を減らしながら、生活リズムの調整や服薬管理、気持ちの整理を行える点は、大きなメリットといえるでしょう。
シンプレ訪問看護ステーションでは、外傷後ストレス障害を抱える方が安心して生活を続けられるよう、専門職が継続的に寄り添った支援を行っています。「治療と生活の両立」を大切にしながら、その人らしい回復の形を一緒に考えていきます。
通院がつらい方や、一人で悩みを抱えている方、ご家族として支え方に迷っている方も、まずは相談することから始めてみてください。自宅での生活と将来に向けた一歩を、無理のない形でサポートいたします。
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