PTSDの治療方法について詳しく解説
PTSDの治療方法について知りたいとお考えですか?PTSDは心的外傷後ストレス障害とも呼ばれ、天災・事故・犯罪・虐待など、極度のストレスによって発症する病気です。
自然回復することも多い病気ですが、症状が長期的に続く場合には専門家による治療が必要となります。
今回は、PTSDの治療方法や相談先などについて詳しく紹介します。
PTSDによってご自身あるいはご家族が苦しんでいるという方は、ぜひこの記事を読んで適切な対処方法について知っておきましょう。
PTSDの治療はどのように行われる?
薬物療法
治療名 | 薬物療法 |
---|---|
治療内容 | SSRIなどの抗うつ薬の投与 |
治療期間 | 1年程度 |
トラウマ(心的外傷)になるような体験をしてPTSDを発症すると、精神のバランスが崩れてしまい、うつ病や不安障害などの合併症を起こすことが多いです。
PTSDの合併症のうつ病や不安障害などは、SSRIなどの抗うつ薬の投与による薬物療法で治療が行われます。
SSRIとは、うつ病や不安障害などの精神疾患の治療に広く使用されているお薬で、従来の抗うつ薬と比べると副作用が少ないことが特徴です。
認知行動療法
PTSDは認知行動療法(非薬物療法)によっても治療が行われます。
治療名 | 持続 エクスポージャー療法 |
---|---|
治療 内容 |
トラウマに焦点を当てた 認知行動療法 |
治療 期間 |
1回90分を週に1〜2回 (全10〜15回) |
持続エクスポージャー療法(PE療法)
持続エクスポージャー療法は認知行動療法の一種で、安全な環境下でトラウマへの記憶を思い出させ、トラウマに慣れさせることで、トラウマを乗り越えられることを学びます。
持続エクスポージャー療法はPTSDの回復がみられる有効な治療法ですが、専門家が少なく、持続エクスポージャー療法を行える施設が少ないことがネックです。
治療名 | 認知処理療法 |
---|---|
治療 内容 |
曝露療法と 認知療法の組合せ |
治療 期間 |
1回50〜90分を週に1回 (全12回) |
認知処理療法(CPT療法)
認知処理療法(CPT療法)とは、心の仕組みを理解し、トラウマについての考え方や認知を見直し、心の仕組みを理解することで、トラウマを乗り越えられることを学びます。
認知処理療法では、なぜトラウマを抱えてしまったのか、トラウマを抱えてしまったらどうすればよいのか、などを理解しPTSDからの回復を目指します。
治療名 | 眼球運動脱感作療法 |
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治療 内容 |
眼球運動などの両側性刺激を 用いたトラウマ記憶の処理 |
治療 期間 |
1回90〜120分 (全数回〜数十回) |
眼球運動脱感作療法(EMDR療法)
トラウマ体験は、脳の中で通常の記憶とは異なる方法で保存されており、そのためにフラッシュバックなどの症状を引き起こすことがあります。
眼球運動脱感作療法(EMDR)では、目を動かすことで脳の神経回路を刺激し、トラウマ体験を適切に処理することで、これらの症状を改善を目指します。
PTSDの症状にはどんなものがある?
強烈な恐怖感・無力感
トラウマになった体験の記憶が蘇り、強烈な恐怖感や無力感にさいなまれ、ふとしたきっかけで突然、体験した記憶が鮮明に蘇る「フラッシュバック」が起こる場合もあります。
トラウマになった体験の記憶が蘇っていない時でも、常に神経が張り詰めた状態が続き、イライラしたり、ささいなことに驚いたり、ぐっすりと眠れなくなることもあります。
時間が経過しても自然回復せず、この状態が長く続くとPTSDの合併症のうつ病や不安障害、不眠症になることがあり、薬物療法などで合併症の治療が必要になってきます。
再体験症状
体験した記憶が鮮明に蘇る「フラッシュバック」が起きた時には、トラウマになった体験を再体験しているような感覚に陥ることがあります。
また、トラウマになった体験が繰り返し夢に出てくることもあり、フラッシュバックや悪夢でトラウマになっている体験を再体験することで、さまざまな症状が現れます。
動悸や呼吸困難、吐き気などが主な症状で、冷や汗をかいたり体がこわばるといった症状が出ることもあります。
感情コントロールが困難
PTSDになると、何もないのに急に感情が不安定になって取り乱してしまったり、突然、泣いたり怒ったりするなど、感情のコントロールが困難になってしまうことがあります。
事情を知らない周りの人は突然のことに驚いてしまうので、周囲の人に心を閉ざしてしまったり、人間関係に悩んでしまうこともあるでしょう。
また、トラウマの記憶で苦しむのを避けるあまり、感情や感覚が麻痺してしまう症状が出ることもあります。
PTSDを発症しやすいのはどんな人?
過去に精神的な病気を抱えていた方
過去にうつ病や不安障害、パニック症(パニック障害)などの精神疾患や心身症になった人は、PTSDを発症しやすい傾向があります。
ストレスに対する抵抗力が弱い人はPTSDになりやすい傾向があり、自律神経のバランスが崩れた状態が長く続くとPTSDになりやすいです。
また、PTSDが自然回復しないとうつ病や不安障害などの合併症を併発して精神疾患になることがありますので、PTSDと精神的な病気は密接な関係があります。
虐待などのトラウマを持っている方
虐待などのトラウマを持っている方は、虐待された過去を人に話したくない傾向があり、誰にも話さず自分だけで抱え込んでしまいます。
過去のトラウマを人に話して共感を得る機会がないとPTSDを発症しやすくなるので、過去のトラウマを人に話して共感を得たり理解をしてもらうことが大切です。
虐待などのトラウマを持っていてPTSDで苦しんでいる方は、専門機関に相談されることをおすすめします。
男性よりも女性のほうが発症しやすい傾向
統計的に見ると、男性よりも女性の方が約2倍PTSDの有病率が高く、女性はPTSDを発症しやすい傾向がありますが理由は定かではありません。
脳の構造や機能は男女によって違いがあるという研究報告があり、PTSDの治療も男女によって変えることを主張している研究者も存在します。
しかし、男性よりも女性の方がPTSDを発症しやすい明確な理由はわかっておらず、今後の研究が待たれるところです。
PTSDの相談はどこにすればいいのか?
専門家に相談
- 保健所
- 精神保健福祉センター
- いのちの電話
- 精神科医療機関
保健所や市町村の保健センター、精神保健福祉センターなどの行政機関には精神科医療の専門家が在籍しており、PTSDの相談ができます。
PTSDに苦しみ、自殺をしたいと考えるまでに至っている場合は、いのちの電話に電話をすると、訓練を受けた相談員に匿名で悩みを聞いてもらえます。
また、精神科や心療内科には専門医が在籍しており、夜間や休日でも対応してくれる精神科医療機関もありますので、いつでも専門家に相談することが可能です。
精神科訪問看護を利用するという選択肢も
PTSDの相談は保健所などで対応をしてもらえますが、精神科訪問看護ステーションでもPTSDの相談することができます。
精神科訪問看護ステーションはPTSDにも対応しており、自宅療養をしている患者さんの自宅を専門職が訪問し、早期に社会復帰ができるように支援してくれます。
PTSDが自然回復せず、自宅療養を続ける場合は精神科訪問看護も選択肢に入れ、利用を検討されると良いでしょう。
精神科訪問看護ではどんなことをしてもらえるのか?
精神科訪問看護とは?
・精神科・心療内科に通院中の方
・精神疾患の診断を受けた方
・診断がなくとも医師が必要と判断した方
訪問する人
・看護の専門職
・リハビリテーションの専門職
訪問時間
・医療保険
(30分から90分程度)
精神科訪問看護とは、精神疾患がある患者さんの自宅に看護師などの医療従事者が訪問し、患者さんがより安定した生活を送れるように支援する訪問看護サービスです。
患者さんの自宅に訪問するのは、看護師や准看護師、精神保健福祉士、作業療法士などの有資格者で、医師の指示にしたがって看護や社会復帰に向けての指導などを行います。
PTSDによる合併症で自宅で療養を続けている方は、精神科訪問看護サービスを利用すると、療養上の必要な援助や助言などのトータルサポートが受けられます。
精神科訪問看護のサポート内容
- 症状のコントロールや治療の相談
- 日常生活の援助
- 対人面の相談
- 気分転換の援助・健康管理
- 服薬管理状況確認、援助
- 家族の悩みや不安の解消
- 社会資源の活用援助
精神科訪問看護サービスの内容は上記のように多岐に及び、PTSDや薬物依存、アルコール依存症、統合失調症、適応障害、うつ病などの精神疾患全般が対象になります。
一般の訪問看護サービスとは異なり、精神科訪問看護は精神科に特化していることが特徴で、精神医療に精通している専門職によるトータルサポートが受けられることが強みです。
精神科訪問看護を利用することで、家庭や地域社会で生活を送りながら精神疾患の治療を継続することが可能になり、患者さんやご家族の負担を軽くすることに貢献します。
精神科訪問看護ならシンプレ看護ステーションへ!
シンプレ訪問看護ステーションとは?
シンプレ訪問看護ステーションは精神科に特化した訪問看護サービスを提供しており、PTSDやPTSDによる合併症にも対応しています。
スタッフが定期的に自宅を訪問し、生活リズムの調整や服薬管理など利用者さまの状態にあわせた支援をおこないます。
利用者さまが持つ病気とどう向き合っていくかを一緒に考え、患者さんらしさを失わないよう自立した生活をするためのサポートを心がけています。
症状で悩まれている方に対して、生活が少しでも安心したものになるようにお手伝いします。
シンプレ訪問看護ステーションの対応エリア
-
<東京都>
・東京23区
※足立区、荒川区は1部エリアとなります。
・西東京市
・三鷹市
・調布市
・武蔵野市
・府中市※1部エリア
・東久留米市※1部エリア
<埼玉県>
・和光市
・朝霞市
・戸田市※1部エリア
・川越市※1部エリア
・新座市※1部エリア
・川口市※1部エリア
シンプレ訪問看護ステーションの現在の対応エリアは、上記を中心となっております。
記載しているエリアを中心に行っていますが、他のエリアの方も対応が可能な場合がありますので、まずはお気軽にお問い合わせいただければと思います。
年齢に関わらずご利用することが可能です。サービス内容を詳しく聞きたい、スケジュールの相談なども承っております。
TwitterやLine、TikTokなどのSNSでも情報を発信していますので、ぜひご覧ください。
ご相談の問い合わせはこちら▼
まとめ
PTSDの治療に関することは、保健所や保健センターなどの行政機関、精神科や心療内科などの専門の医療機関で相談ができます。
精神科訪問看護でもPTSDやPTSDによる合併症の治療の相談ができ、自宅療養中の患者さんやご家族はトータルサポートを受けながら安心した生活が送れます。
わたしたち、シンプレ訪問看護ステーションもきっとお役に立てることがあります。現在PTSDの症状で悩んでいる方や、そういった方がご家族におられる場合は是非一度わたしたちにご連絡ください。
利用者さまへのサポートを通じて社会復帰に向けての一歩をお手伝いします。
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