PTSDを克服するには

強い精神的なストレスが心のダメージとなり発症するPTSDは、克服が難しいといわれている疾患のひとつです。
ただ、正しい治療方法でPTSDに向き合えば、決して治せない疾患ではありません。そこで今回は、PTSDを克服する方法を紹介したいと思います。
PTSDに関するよくある質問もまとめているので、疑問を解消しましょう!
PTSDを克服する方法

はじめに、PTSD(心的外傷後ストレス障害)はどのようにして克服できるのかを見ていきましょう!
自分の言葉で辛い出来事を話す
PTSDは虐待や長期間に及ぶ暴力、交通事故などの辛い体験がトラウマになって残ることが原因で発症しますが、トラウマを克服することでPTSDからの回復を目指せます。
PTSDを克服する方法として、自分の言葉で辛い出来事を話すという方法があります。トラウマ体験を思い出すことは最初は辛いですが、何度も繰り返すと自然に慣れてきます。
これを応用したPTSDの治療法に「持続エクスポージャー療法」があります。この療法は安全な環境下でトラウマ体験の記憶を思い出させ、トラウマに慣れさせる療法です。
受け取り方を変える
PTSDを発症した人の中には、PTSDのきっかけになった親からの虐待などの辛い出来事を「自分のせいだ」「自分が悪いからだ」と誤った認識をしていることがあります。
PTSDのきっかけになった辛い出来事は自分のせいではなく、避けようがなかったと考え方を改めると気持ちが楽になってきて、PTSDから回復しやすくなります。
これを応用したPTSDの治療法に「認知処理療法」があり、この療法は認知に働きかけることでトラウマの受け取り方を変え、強い罪悪感を払拭することでPTSDの克服を目指します。
避けていたことに向き合う
PTSDを発症すると、トラウマ体験を思い出させるものを避ける「回避」の行動をすることがありますが、避ければ避けるほど不安感が増してしまいます。
交通事故に遭った人が車を避けたり、性被害を受けた人が異性を避ける行動などが回避行動に該当しますが、避けていたことに向き合うことでPTSDを克服できます。
避けていたことに向き合うことは最初は抵抗がありますが、何度も繰り返していると徐々に慣れてきて、不安感が和らぎ気持ちが楽になってきます。
PTSDの患者数は?トラウマとの違い

PTSDを正しく理解するには、「ASD」「トラウマ」などの用語の意味を理解しておくことが必要です。では次に、PTSDとトラウマとの違いについて見ていきましょう!
そもそもPTSDとは
1カ月以上
発症する原因
・交通事故
・単独の犯罪被害
・DV(家庭内暴力)
・虐待
薬物療法
・うつ病
・不安障害
交通事故や自然災害、親からの虐待、性的被害などの恐ろしい体験をした時には心が深く傷ついてしまい、その時の恐ろしい体験がトラウマになって残る場合があります。
時間が経過してからもトラウマ体験がフラッシュバックになって蘇り、不眠や不安感などのさまざまな症状が出ることがあり、この症状をASD(急性ストレス障害)といいます。
通常の場合、ASDは数日~数週間程度で自然に治りますが、1カ月以上経ってもフラッシュバックや不安感、不眠などが続く症状のことをPTSDといいます。
PTSDの患者数
1.1~1.6%
20代から30代前半
3.0~4.1%
世界保健機構(WHO)が公表している「世界精神保健調査」によると、一生のうちにPTSDを発症する割合は1.1~1.6%で、20代から30代前半は3.0~4.1%となっています。
PTSDは年齢が若いほどなりやすいと言えますが、過去に何らかの精神疾患を患ったことがある人はストレスに対する抵抗力が弱く、PTSDを発症しやすい傾向があります。
女性は男性よりもPTSDの有病率が約2倍と高く、女性は男性よりもPTSDを発症しやすい傾向がありますが、女性の患者数が多い明確な理由はわかっていません。
PTSDとトラウマとの違い
症状は数日~数週間で次第に治まる
PTSD
心の痛み、ショックから
抜け出せない状態
トラウマ(trauma)とは、強い精神的ストレスが原因で心が深く傷つくことをいい、PTSDのきっかになった命に関わるような恐ろしい体験のことを「トラウマ体験」といいます。
トラウマ体験をすると、恐ろしい体験がフラッシュバックになって蘇り、不眠や不安感などの症状が出ることがありますが、この症状のことををASDといいます。
ASDの症状は数日~数週間で次第に治まってきますが、症状が1カ月以上続くとPTSDになり、心の痛みやショックから抜け出せない状態になってしまいます。
PTSDの主な症状

PTSDを発症すると感情のコントロールが困難になったり、回避行動を取るといった症状が出ます。では次に、PTSDの主な症状を見ていきましょう!
つらい記憶がよみがえる
PTSDを発症すると、つらい記憶がフラッシュバックになって蘇る「再体験症状」が出ることが多く、トラウマになった辛い出来事を再体験しているような感覚に陥ります。
恐怖や苦痛、悲しみ、無力感など辛い出来事を体験した時と同じ感情が蘇り、突然泣いたり怒ったりするなど感情のコントロールが困難になることもあります。
トラウマになっている恐ろしい出来事が繰り返し夢に出てくることもあり、悪夢にうなされて眠れなくなったり、冷や汗をかいて体がこわばるといった症状が出ることもあります。
常に神経が張りつめている
PTSDを発症すると、再体験症状が出ていない時でも常に神経が張りつめた状態になり、イライラしたり、ささいなことに驚いたり、ぐっすりと眠れなくなることもあります。
神経が過敏な状態が続くと、ほかの精神疾患を併発することが多く、仕事や日常生活に支障をきたしてしまうこともあるでしょう。
精神的症状だけでなく、心臓がドキドキするようになったり、体の震えや吐き気、頭痛などの身体的症状が出るケースも多いです。
記憶を呼び起こす状況や場面を避ける
PTSDを発症すると、トラウマ体験を思い出させる状況や場面を避ける回避行動を取ることがあり、回避行動が行き過ぎると外出が困難になり、自宅に引きこもることに発展します。
PTSDのきっかけになった恐ろしい体験を思い出したり、人に話したりすることも避けることがありますが、回避行動をしても心の傷は消えずにずっと残ります。
回避行動を続けていると日常生活や社会生活にも悪影響が及ぶため、辛い出来事を回避せず、辛い出来事に向き合って慣れさせることがPTSDの克服につながります。
PTSDの治療法

・認知行動療法
・再処理法
集団療法
同じ体験をした人が
グループとなり行う
薬物療法
抗うつ薬
PTSDは精神科や心療内科などのメンタルヘルスが専門の医療機関で治療でき、PTSDの治療法として心理療法・集団療法・薬物療法などがあります。
心理療法は心理的・精神的アプローチでPTSDを克服する療法で、持続エクスポージャー療法などがあります。集団療法はPTSDを患っている人が数名集まって語り合う療法です。
PTSDを発症すると不安障害やうつ病などを併発することが多く、不安感やうつ状態が続いている場合は、抗うつ薬を服用することで不安感を和らげます。
PTSDに関するQ&A

ここまで、PTSDの症状や克服する方法などを見てきましたが、PTSDに関するよくある質問に回答します。
誰でもPTSDになりうる?
命に関わるような恐ろしい体験(外傷体験)をすると心に傷を負い、フラッシュバックや神経過敏などのASDの症状が出ますが、ほとんどの人は数日~数週間で症状は治まります。
ただし、一部の人は1カ月以上経ってもフラッシュバックや神経過敏などの症状が治まらず、ASDがPTSDに発展して症状が長期間にわたって継続します。
凄まじい外傷体験をした人や過去に精神疾患を患ったことがある人はPTSDになりやすく、20~30代の若い人や女性もPTSDになりやすいです。
PTSDを悪化させる要因は?
凄まじい外傷体験をした人はPTSDになりやすいです。PTSDを悪化させやすい外傷体験として、死者が多い自然災害や戦争、子どもを巻き込む事故などが挙げられます。
東日本大震災や阪神大震災などの大きな自然災害に遭遇して、命に関わるような体験をした人はPTSDが悪化しやすく、戦争が終わって戦場から戻ってきた帰還兵なども同様です。
このように、通常の範囲を超えた極端なストレスを受けるとPTSDになりやすく、ストレスに耐える力(ストレス耐性)が弱いこともPTSDの悪化の要因になります。
PTSDは気づきにくいって本当?
命に関わるような恐ろしい体験をした人は、その恐ろしい出来事を人に話したがらない傾向があり、周囲の人はPTSDであることに気づきにくいです。
PTSDになると感情のコントロールができなくなり、突然泣いたり怒ったりすることがありますが、PTSDを患っていることを知らない人からみると、突然のことに驚いてしまいます。
PTSDを克服するには、PTSDのきっかけになったトラウマ体験を人に話すことが大切であり、医療機関を受診すると安全な環境下で医師が話を聞いてくれます。
PTSDの相談をする場所は?
相談方法:
・電話
・面談
相談相手:
・保健師
・医師
・精神保健福祉士
精神保健福祉センター
相談方法:
・電話
・面談
相談相手:
・医師
・看護師
・保健師など
精神科訪問看護
相談方法:
・電話
・面談
相談相手:
看護師
作業療法士
保健所や市町村の保健センター、精神保健福祉センターなどの行政機関には、PTSDなどの精神疾患に詳しい専門家が在籍しており、PTSDの克服に関する相談ができます。
精神科や心療内科などのメンタルヘルス専門の医療機関には専門医が在籍しており、PTSDに関するあらゆる相談に乗ってくれ、症状に応じた適切な治療が受けられます。
精神科訪問看護でもPTSDの相談に乗ってもらえますので、PTSDで自宅療養をしている方は精神科訪問看護に相談すると良いでしょう。
PTSDの相談ならシンプレ訪問看護ステーションにお任せください!

では最後に、当シンプレ訪問看護ステーションをご紹介いたします。
シンプレ訪問看護ステーションって?
自分らしく自立した生活を
営めるための支援
症状の悪化防止・服薬支援
生活状況を観察しながら
受診や服薬を支援
社会復帰へのサポート
主治医や関係機関と連携を
取りなが社会復帰を支援
家族の方への支援
・家族へのアドバイスや相談
・社会資源の活用などを支援
当シンプレ訪問看護ステーションは、精神疾患に特化した訪問看護サービスを提供しております。
精神科訪問看護は、社会復帰に向けてPTSDやPTSDが原因のうつ病など、さまざまな病気をお持ちの方をサポートするサービスです。
看護師などの医療従事者がご利用者様の自宅を定期的に訪問し、生活支援や症状の悪化防止、服薬支援など、PTSDの克服に向けてのトータルサポートを行います。
PTSDなどの精神疾患に関する専門知識や看護経験が豊富なスタッフが多数在籍しており、患者さんらしさを失わないよう自立した生活をするためのサポートを心がけています。
精神科訪問看護の料金
負担割合 | 月の初回訪問 | 2回目以降 |
---|---|---|
3割負担![]() | 3,897円 | 2,565円 |
2割負担![]() | 2,598円 | 1,710円 |
1割負担![]() | 1,299円 | 855円 |
上記は週3回までの訪問料金となります。週4回以上訪問となる場合には料金が異なります。
精神科訪問看護では、医療保険を利用することにより自己負担を軽減できるメリットがあります。
30分を一区切りに利用可能。かかった費用については、年齢や所得によって変わり、医療費の1〜3割が自己負担となります。
また早朝や深夜などの時間外に依頼する場合や、長時間の訪問を行う場合は別途料金が発生します。
また自立支援医療制度いう制度を利用すると料金が1割負担になるほか、所得に応じて自己負担が0円になる場合もございます。
シンプレ訪問看護ステーションの対応エリア
-
<東京都>
・東京23区
※足立区、荒川区は1部エリアとなります。
・西東京市
・三鷹市
・武蔵野市
<埼玉県>
・和光市
・朝霞市
・戸田市※1部エリア
・新座市※1部エリア
シンプレ訪問看護ステーションの対応地域はおもに上記が中心で、訪問活動をおこなっています。該当エリアにお住まいの方はぜひご検討ください。
また上記以外のエリアにお住まいでも、対応できる場合がございますので、一度当社スタッフへご相談ください。
サービス内容を詳しく聞きたい、スケジュールの相談なども承っております。電話やメールなどで相談を受け付けていますので、お気軽にご連絡ください。
ご相談の問い合わせはこちら▼
まとめ

PTSDを克服するには、トラウマ体験に向きあうことが大切であり、自分の言葉で辛い出来事を信頼できる人に話したり、受け取り方を変えることでPTSDの克服を目指せます。
PTSDの治療で自宅療養中の患者さんやご家族の方は、精神科訪問看護のサービスを利用すると、医療従事者によるトータルサポートを受けながら安心した生活が送れます。
シンプレ訪問看護ステーションは精神疾患に特化した訪問看護サービスを提供しております。PTSDなどの精神疾患でお悩みの方は、当ステーションにご相談ください。
ご相談の問い合わせはこちら▼