PTSDの診断と診断基準は?診断後の治療方法や治療期間について解説

PTSDの診断について知りたいとお考えですか?PTSDは心的外傷後ストレス障害とも呼ばれ、天災・事故・犯罪・虐待など、極度のストレスによって発症する病気です。
症状が長期的に続く場合には、専門家による治療が必要となります。
PTSDにご自身あるいはご家族が苦しんでいるという方は、この記事を読んで対処方法について知っておきましょう。
PTSDの診断方法
問診表・患者の状態をもとに診断
PTSDの症状がある場合、診察に行くまえの患者さんはどういった問診や診察なのか、診察をうけることに不安に感じる方もいるのではないでしょうか。
PTSDの診断は問診票と診察をもとに行われます。問診票は、診断基準に基づいた質問用紙や心理的ストレス反応尺度の問診票があります。
具体的な診断までの内容がわかることで、安心して治療にむきあえるようになることもあるでしょう。
診断の流れ
診断は、まず問診から始まります。次に診察があり、場合により心理テストが追加で行われます。
ステップ①問診表の記入
PTSDやその他の精神科の診断は、DSM⁻5という診断基準をもとに行われます。DSM⁻5はアメリカ精神医学会が発行している診断の基準書で、日本でも広く知られています。
問診表は、このDSM⁻5という診断基準をもとにしているものや心理的ストレス反応尺度をはかるものがあります。心理的ストレス反応尺度の項目は以下になります。
これらの項目に対して、全く違うからその通りだという、4段階で自分の気持ちや行動に近いものをチェックします。自分の状態を、ありのまま記載する事が大切です。
- 怒りっぽくなる
- 悲しい気分だ
- なんとなく心配だ
- 怒りを感じる
- 泣きたい気持ちだ
- 感情を抑えられない
- くやしい思いがする
- 不愉快だ
- 気持ちが沈んでいる
- イライラする
- 色々なことに自信がない
- 何もかもいやだと思う
- 良くないことを考える
- 話や行動がまとまらない
- なぐさめてほしい
- 根気がない
- 一人でいたい気分だ
- 何かに集中できない
ステップ②医師との診察
診察では、PTSDとなるような出来事が思い当たるか、そのことについての質問があります。その出来事に対する感情や考えといったことを聞かれます。
また、自分だけでなく家族についても、こういった出来事があったかということについて聞かれます。
他には、これまでの生活歴や職歴などを確認されます。場合により、ロールシャッハ検査などの心理テストも行われます。
診断基準をもとに患者を診察する
PTSDの診断基準は、DSM⁻5がひろく使われています。DSM⁻5は、診断基準として論文の発表や実際の診察で、グローバルに普及しています。
DSM⁻5はアメリカ発祥の基準ですが、PTSDの診断や研究も、アメリカが先進的な診断を行ってきた歴史があります。
医師がさまざまな患者さんを診断するときに、DSM⁻5の診断基準を使うことで、診断のエビデンスとなります。エビデンスとは根拠のことです。
PTSDの診断は、患者さんが外傷的な出来事に遭遇し、かつ以下の診断基準の各項目の症状が1か月以上つづき、生活に支障がある状態かどうかということで判断されます。
PTSDの診断と診断基準
基準①侵入症状の診断
・つらい体験などで心を乱す記憶がある
・心を乱す夢を繰り返し見る
・出来事が再び起こっていると思う
・出来事を思い出す
PTSDの診断では、上記の症状が1ヶ月以上継続して、1つ以上あるかということが確認されます。侵入症状は、再体験症状ともいわれます。
外傷的な出来事について、日常生活の中で再体験するようなことを繰り返します。
結果的に、心理的ストレスや緊張感が高い状況になります。そのため、胸がドキドキしたり、汗が出たりといった体の症状を伴います。
基準②回避症状の診断
・特定の考え、記憶を避ける
・トラウマにまつわる場所、人物を嫌う
回避症状についても、上記の症状が1ヶ月以上継続して、1つ以上あるかということが確認されます。
回避症状は、外傷的な出来事に直接関連してないように思われる、間接的な出来事についても避けたいといった行動がとられることがあります。
日常生活の多くの場面で危険を感じて過ごすことが続いている状態です。この症状によって、生活に支障が生じる状態です。
基準③認知・気分に対する悪影響の診断
・記憶障害
・過剰な否定的確信、予想
・持続的な歪んだ思考
・孤立感、疎遠感
認知・気分に対する悪影響については、上記のような症状が1ヶ月以上継続して、2つ以上あるかということが確認されます。
認知・気分に対する悪影響とは、否定的な感情や気分がつづき、以前のようには楽しめなくなることです。否定的な感情や気分が、認知面にも悪影響をおこし、認知の歪みが生じます。
こうして、日々の生活を楽しめないばかりか、否定的な気分や感情がつづくことで、恐怖感や不安がより強くなってしまいます。このような状態がつづくと、生活の質が低下してしまいます。
基準④覚醒度および反応性の変容の診断
・睡眠障害
・易怒性または怒りの爆発
・無謀または自己破壊的な行動
・集中困難
覚醒度および反応性の変容についても、上記のような症状が1か月以上継続して、2つ以上あるかということが確認されます。
覚醒度および反応性の変容とは、神経が常にはりつめたような状態や、日々の生活が緊張感の高いものになり安心できない状態のことです。
過度の覚醒状態から睡眠障害や怒りの爆発などをまねく状況になることです。怒りの感情が抑えきれずに自傷行為といった、自分を傷つける行動をとることがあります。
また、集中力が低下してしまうことで、仕事に集中できないといった状況もみられることがあります。
そのほかの診断基準
上記にあげたPTSDの症状が、1ヶ月以上つづき、緊張感や不安感を強くします。
そういった気持ちでは、リラックスして交友関係を保つことが難しくなります。そうして、孤独感をもち孤立してしまうこともあります。
こういった症状や状態により、日常生活に支障をきたした状態がPTSDと診断されます。うつ病や不安障害から、アルコール依存などの病気をまねくこともあり、治療が必要です。
診断結果から治療方法が決定
診断結果から、症状の具合をみて治療方法が決定されます。認知行動療法やカウンセリングなどの治療と薬物療法を組み合わせて治療されます。
PTSDの患者さんがうつ病や不安障害になっていることがあります。そのような場合についても、診察で総合的に診断します。
虐待のケースなどでは、境界性パーソナリティー障害や自傷行為をともなう場合もあります。また、自分を傷つける行動などが著しい場合には入院治療も検討されます。
PTSDの診断後の治療と治療期間について
治療は大きく分けて二通り
・トラウマを和らげる治療
・PTSD症状を抑える対処療法の実
投薬治療
・内服薬を飲み症状を和らげる
・抗精神病薬など
PTSDの治療は、2つの方法を組み合わせて行います。
一つ目は患者さんの回復の能力をサポートする心理療法です。特に、認知行動療法は認知の歪みに対する治療として行われます。
認知行動療法でなくても、主治医との面接で話をすることによっても、患者さんの回復の能力をサポートできることがあります。訪問看護でも、信頼できる看護師に話を聞いてもらい、相談することができます。
もうひとつが薬物療法になります。薬物療法では、外傷的な出来事から受けたストレスにより出てしまった症状をやわらげます。
半年以内で回復することが多い
PTSDは、3カ月以内に半数以上の人が自然回復することが多いです。診断の基準は1か月以上つづく症状ということですが、回復のポイントに早期治療が関係しています。
長期間にわたり、PTSDの症状が継続すると、認知の歪みへの影響が大きくなります。
そうなると、自分で治療の必要性があるといった考えを持ちにくくなり、より悪循環になることがあります。そうして、一定数の人は1年以上たっても回復しない状態にあるともいわれます。
診断を受ける際のポイント
なにか外傷的な出来事があったときに、PTSDの症状がある場合、我慢や頑張りでは良くならないことがあります。
セルフチェックを行い、自分の心の傷を軽視しないことが大切です。ありのままの状態を医師へ伝えることが受診や診断につながるポイントです。
ポイント①早期に病院を受診する
公衆衛生の統計からは、外傷的な出来事があった場合、今まで述べてきた症状が出ることはよくみられることです。
しかし、この症状が1ヶ月以上つづいたり、ひどくなったりする場合には注意が必要です。
症状が慢性化してしまう場合には、このような症状のあるストレスフルな状況に対して諦めの気持ちが強くなって悪循環におちいる場合があります。
また、慢性化するとうつ病や不安障害を合併することも多く、治療による治癒率が低下します。
ポイント②サイン・言動を見逃さない
このようなPTSDの症状が、自分にないか、セルフチェックすることも大切です。セルフチェックすることで、慢性化する前に自分で自覚することができます。
そうすれば、早期治療につながります。早期発見後の治療では、治療の効果が出やすくなります。
また、大切なお身内や友人の変化などに気がついた際にも、ご本人になにか困ったことはないか声をかけることも大切です。
まずは、安全な環境を確保することが大切です。そして、早期に治療することのメリットについてお話しできれば、受診につながりやすくなるでしょう。
精神疾患をお持ちならシンプレへ
当ステーションの特徴
シンプレ訪問看護ステーションでは、精神科に特化した訪問看護サービスを提供しています。
精神科訪問看護は、社会復帰に向けて障害や病気をお持ちの方をサポートするサービスです。
さまざまな精神疾患や障害をお持ちの方の訪問看護の訪問看護を行っており、生活支援や自立支援、症状の悪化防止、服薬支援などのトータルサポートを行います。
PTSDの症状で悩まれている方に対しても、生活が少しでも安心したものになるようにひとりひとりの方の考え方や価値観を価値観を大切にして寄り添います。
対象となる精神疾患
・時間がたってからもトラウマが残っている
・トラウマからくる原因への逃避行動
うつ病
・気分の落ち込みや意欲の低下
・体のだるさや痛み
統合失調症
・幻覚や妄想という症状が特徴的
・生活に支障をきたしてしまう
ADHD
・幻覚や妄想という症状が特徴的
・不注意さ、多動性、衝動性が顕著
解離性同一性障害
個人に対して複数の人格を宿している
その他精神疾患全般
シンプレでは、精神科医療の専門知識や経験があるスタッフが多数在籍していますので、精神科訪問看護サービスを受けるのが初めての方でも安心してご利用いただけます。
ご利用者様が持つ病気とどう向き合っていくかを看護師が一緒に考え、患者さんらしさを失わないよう自立した生活をするためのサポートを心がけています。
主治医や通っている医療機関とも密に連携をとりながら社会復帰に向けてのご支援をさせていただきます。
PTSDの症状で悩まれている方に対しても、生活が少しでも安心したものになるようにお手伝いします。
シンプレの対応エリア
-
<東京都>
・東京23区
※足立区、荒川区は1部エリアとなります。
・西東京市
・三鷹市
・武蔵野市
<埼玉県>
・和光市
・朝霞市
・戸田市※1部エリア
・新座市※1部エリア
シンプレ訪問看護ステーションの訪問エリアは、上記中心に行っています。
訪問対応エリアを順次拡大しています。上記以外のエリアにお住まいでも、対応できる場合もありますので、お気軽にお問い合わせください。
また、TwitterやLine、TikTokなどのSNSでも情報を発信していますので、ぜひご覧ください。
ご相談の問い合わせはこちら▼
まとめ
PTSDについて、診断の基準や診察について、詳しく解説しました。PTSDは、実は身近におこりえることです。
自分自身や家族がこのような状態にある場合には、安全を確保すること、こころのケアをなるべく早く行うことが大切です。
治療が遅れることで、ほかの精神的問題もおこす可能性があり、早期に専門知識をもつ医師へ相談しましょう。
わたしたち、シンプレ訪問看護ステーションもきっとお役に立てることがあります。PTSDの症状でお悩みの方、そういった方がご家族におられる方は、是非一度シンプレへご相談ください。
ご相談の問い合わせはこちら▼