トラウマとPTSDの違い

強烈なショック体験がトラウマとなり、継続的な精神ストレスを抱えるPTSD。トラウマと混同されやすいPTSDですが、実はこの二つは大きく異なります。
PTSDを放置すると二次的にうつ病やパニック障害を引き起こすこともあり、早めに気づいてあげることが一番です。
そこで今回は、PTSDの概要や主な症状を解説します。
トラウマの症状が続くとPTSDになるの?

そもそもPTSDとは
PTSDとは心的外傷後ストレス障害と呼ばれる病気です。衝撃的な出来事や強い恐怖を感じる出来事を体験し、心に傷を負うことで発病します。
代表的な症状に、突然つらい出来事を思いだすことやその出来事を回避する行動を取るなどがあります。また、頭痛や不眠、めまいなどもPTSDの症状です。
PTSDを根本的に治療する治療薬はありませんが、他の精神疾患の薬を応用することで症状の緩和は行えます。
また、行動療法などで精神面にアプローチすることで、苦しい状況を克服していきます。
トラウマに種類はあるの?PTSDの違い
自然災害など単発的に遭遇する外傷的出来事
慢性反復性
日常的に繰り返される外傷的出来事
トラウマとは原因となる物事によって2種類に分けられます。1つは単回性トラウマでもう1つは慢性反復性トラウマです。
単回性トラウマとは、単発的に起こる出来事によって生じます。地震や台風などの自然災害、自動車事故などの突発的な事故などです。
慢性反復性トラウマとは、日常的に繰り返される出来事から生じるトラウマです。例えば長年の暴力やいじめ、兄弟間の扱いの差など理由はさまざまです。
トラウマとPTSDの違い
症状が数週間続くが次第に治る
PTSD
症状から抜け出せずにいる
トラウマとPTSDについては、表に簡単にまとめています。分かりにくい方は、トラウマを心に負った傷と考えてください。
身体に負った傷と同じように心の傷も、時間をかけることによって治すことができます。治るまでの間は痛みが出るように、トラウマも治るまではPTSDの症状が出ます。
例えば、事故後にその事故の悪夢を見ることは正常な反応です。しかし、時間が経っても傷が治らずに症状が長期化すると、PTSDという病気を患っていることになります。
症状が短期的であれば問題は無く、長期的になると病気と認識されるということです。
PTSDでよく見られる症状

いきなり過去の辛い状況が蘇る
時間が経ち事故などの衝撃的な出来事が過去のこととなっても、ふいに前触れもなく衝撃的な出来事を思い出してしまう症状です。
出来事だけでなく、その時感じた恐怖や苦痛などの感情もよみがえります。起きている時に起こることもあれば、寝ていても悪夢として繰り返し見ることがあります。
周囲の人たちから見ると、突然泣き出したり情緒が不安定になるので理解してもらうことが難しい症状の1つです。
過敏な状態が継続的に続く
2つ目の症状は、常に神経が張り詰め気が休まる時間がない状態です。特に理由は無くとも緊張状態が続き、他人から見るとイライラしているように感じます。
また、緊張状態が続くと睡眠の質も低下し、寝不足など不眠の症状が表れます。本人の意思で気を緩めることができないので、精神的にも疲れがたまります。
自分でコントロールできない時には、薬の力を借りるなどして緊張状態を緩和する治療が必要です。
辛い過去を避ける
回避とも呼ばれる症状で、つらい出来事を思い出すきっかけを避けようとする行動です。例えば自動車事故に合うと、車を見るだけで事故を思い出すことから車を避けるなどです。
見ないように目を背けるくらいなら問題はありませんが、車を避けたいがために家から出られなくなるようなら問題になります。
この症状は自分で分かって避けている方と、無意識に避けている方がいます。どちらにしても、日常生活や社会生活を送れなくなるほどの回避行動は早急に治療が必要です。
感情や感覚が麻痺する
あまりにも苦しみや悲しみが強すぎて、感情や感覚自体を麻痺させてしまう症状です。苦しまなくて良いじゃないかと思われるかもしれませんが、他の感情も同じく麻痺します。
例えば愛情、家族や友人に感じていた愛情などプラスの感情も麻痺してしまうのです。また、人に心を許すことができなくなり、日常生活での孤立を深めます。
苦しみから自身を守るための正常な反応とも言えますが、やはり症状が長期間に及ぶと悪影響が強くなります。
PTSDを改善する治療法

薬剤治療
脳内環境の調整してくれる
抗不安薬
不安や緊張を軽減させる
気分安定薬
気分変動を抑制してくれる
PTSDにおける薬物治療は、前述している通り根本的にPTSDを治療するものではありません。症状に合わせて使い分けることによって、症状を緩和させる効果があります。
症状の程度によっては、症状を抑え日常生活を送っているうちに心の傷が癒えるパターンもあります。そんな方は薬物治療だけでも十分な治療効果を見込むことが可能です。
薬物治療だけでは傷が癒えない場合には、下記の心理療法を併用して治療に当たります。
心理療法:認知行動療法
認知行動療法の認知とは、物の捉え方や考え方です。認知行動療法とは、物の捉え方などを正常に正し、バランスの良い考え方に導く治療法となります。
PTSDなどで認知に歪みが生じていると、物ごとの捉え方も歪み現実と差異が生まれます。この差異をなくすように認知を正していくことが認知行動療法です。
認知行動療法は、通院時だけでなく日常生活も治療の場となります。たとえば、生活に基本となるリズムを付けて、規則正しい生活を送ることも治療の一環です。
心理療法:力動的精神療法
力動的心理療法とは自分自身の理解を深め、より自分に合った生き方を見つけることを目標に行う心理療法です。
この心理療法は、患者とセラピストが話し合いながら進んでいきます。患者の感情や行動を分析し、過去の出来事が現在にどのように作用しているかを明らかにすることができます。
面談自体は週に1回など定期的に行いますが、問題が根深い時にはより回数を増やし対応することも可能です。
PTSDを発症する割合は?合併する精神疾患とは?

PTSDを発症する割合
5%
女性
10%
PTSDの生涯有病率は男性が5%で女性が10%です。生涯有病率とは、生涯の内一度はその病気にかかる人の割合になります。
男性であれば100人中5人は一生の内でPTSDを患い、女性であれば100人中10人が患うということです。男女差があり、女性の方が患いやすいようです。
数字で確認してみると、決して少ない数字ではありません。PTSDは特別な病気ではなく、誰にでもかかる可能性のある病気だということを数字が示しています。
合併する確率が高い精神疾患
52%
うつ病
48%
薬物依存
35%
恐怖症
31%
PTSDは他の精神疾患を合併しやすく、80~90%ほどの方が別の精神疾患を発病しています。その内訳は、表にまとめている通りです。
注目する点は、アルコール依存症とうつ病が半分近い割合で合併している点です。日頃から飲酒の習慣がある方や、気分の落ち込みが続いている方は注意してください。
合併しないようにするには、早期にPTSDの治療に入ることが大切です。また、衝撃的な出来事を体験した後は、あまり飲酒をしないように気を付けておきましょう。
PTSDの治療なら当ステーションにお任せください!

シンプレ訪問看護ステーションとは
自分らしく自立した生活を営めるためのサポート
症状の悪化防止・服薬支援
生活状況を観察しながら受診や服薬を支援
社会復帰へのサポート
主治医や関係機関と連携を取りなが社会復帰を支援
家族の方への支援
・家族へのアドバイスや相談
・社会資源の活用などをサポート
シンプレ訪問看護ステーションは精神科に特化した訪問看護サービスを提供しております。
4つの内容を主軸とし、精神疾患で悩んでいる方やそのご家族への継続的なサポートを通じて社会復帰など、ご利用者様の考えに寄り添い、目標に向かい支援を行います。
お子さまからお年寄りまで年齢の制限はなく、ご利用者様の持つ病気とどう向き合っていくかを医療従事者が一緒に考え、ご利用者様らしさを失わないよう自立した生活をするためのサポートを心がけています。
シンプレ訪問看護ステーションの対応エリア
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記載しているエリアを中心に行っていますが、他のエリアの方も対応が可能な場合がありますので、まずはお気軽にお問い合わせいただければと思います。
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まとめ

PTSDは衝撃的な出来事を体験した方なら、誰しもが患う可能性がある病気です。他の精神疾患を患う可能性が高いので、早めに治療を始めることが早期になおすコツになります。
基本的には通院で治療を行うので、外に出ることが難しい方やなるべく自宅で過ごしたいという方には訪問看護をおすすめします。
シンプレでは、自宅で過ごす患者さんやご家族の方々がリラックスして日々の生活を送れるようにするためのサポートはもちろん、症状の悪化の防止サポートや服薬の指導などもしておりますので、安心してお任せいただければと思います。
PTSDを含めて精神疾患の治療で悩んでいる方やご家族さまは、ぜひ一度シンプレまでご相談ください。