子供のPTSDの特徴や治療方法について

精神的ストレスで発症するPTSDは、大人だけが発症するものではなく子供も例外ではありません。
特に子供は自分がPTSDに発症していることさえ気づかない場合も多いため、周りの大人がしっかり配慮してあげることが大切です。
そこで今回は、子供のPTSDの特徴や治療方法、子供で発症する割合について詳しく解説します。正しい知識を身につけて子供を守りましょう!
子どものPTSDの特徴
まずは、子どものPTSDの特徴としてはどのようなものが挙げられるのか…について詳しくご紹介していきたいと思います。
幼児期(5歳までの子ども)
はじめに、5歳までの子ども、いわゆる幼児期の子どもに見られるPTSDの特徴について見ていきたいと思います。
- 夜中に目を覚ます
- 赤ちゃん返りが見られる
- 夜一人になるのを怖がる
- 大きな音に驚く
- 急に無口になる
幼児期の子どもに見られる反応
幼児期の子どもに見られる反応としては主に上記が挙げられ、夜中に目を覚ます、夜に一人になるのを怖がるなど、赤ちゃん返りのような行動が多いようです。
また、大きな音に驚いたり急に無口になったりするなど、これまでにしなかったような行動、反応が見受けられた場合なども注意が必要になります。
他にも、「トイレが上手くいかない」「体験したことを何度も話す」などの行動も兆候と考えられるので、子どもからのサインを見落とさないように気を付けましょう!
幼児期にPTSDを発症した時の大人の対応方法
子どもが幼児期にPTSDを発症した場合に大人がとるべき対応としては、「子どもの話に耳を傾ける」「スキンシップを普段以上にとる」など寄り添う姿勢が大切です。
また、夜の就寝時には一人にしない、慕っている大人がいれば無理に引き離さない、などの心配りも大切なので、子どもの様子を常に気にかけてあげるよと良いですね。
+αのケアももちろんですが、食事や睡眠などのライフスタイルは通常通り行い、子どもがいつも楽しみにしていることを継続させてあげることも大切なので、押さえておきましょう。
小学生
次に、幼児期よりも少し大きくなった小学生がPTSDを発症した場合の反応について、詳しくご紹介していきたいと思います。
- 体験したことを繰り返し話す
- 同じような体験をするのか不安がる
- 無口、もしくは攻撃的になる
- 睡眠障害がある
- 親の反応に敏感になる
小学生の子どもに見られる反応
小学生になると、幼児期と比べて言葉や思考も当然進化しているので、「攻撃的になる場合がある」「親の反応に敏感になる」などの行動も見受けられるようになります。
また、睡眠障害なども想定されるため、学業不振や集中力低下など、家庭だけでなく学校においても色々な問題が生じてきてしまいます。
さらに、小学生も赤ちゃん返りをするケースもあるので、指しゃぶりや赤ちゃん言葉、一人でトイレに行けないなどの様子がないか、気を付けて見てあげるようにしましょう。
小学生でPTSDを発症した時の大人の対応方法
小学生の子どもがPTSDを発症した場合に大人がとるべき対応としては、幼児期と同様に話に耳を傾けるなど寄り添う姿勢や、自信を持てるようほめてあげることも大切です。
また、幼児期よりもさらに自我や責任感を持っているこの時期は、成績の低下や自分らしさの欠如は一時的なものであり、時間と共に取り戻せることも伝えてあげましょう。
前述で小学生も赤ちゃん返りをする場合があるとご紹介しましたが、その時は決してその変化を馬鹿にしないようにして、見守ることが重要です。
中・高校生
さらに、中・高校生がPTSDを発症した場合に見られる症状はこれまでの幼児期、小学生とどう違いがあるのかについてご紹介したいと思います。
- 睡眠や食事など生活が乱れる
- 引きこもりがちになる
- 悲観的な状態が続く
- 行動範囲が極端に狭くなる
- 集中力や学業成績の低下
中・高校生で見られる反応
幼児期や小学生とは異なり、中・高校生の場合は大人とほぼ変わらないような反応ばかりで、睡眠障害や食生活の乱れ、集中力の低下などが見られます。
また、行動範囲がそれまでと比べて極端に狭くなったり、自身のことばかり考えて引きこもりがちになるなどの、孤独を感じさせる行動に走ることも少なくありません。
さらに、周囲の反応を過剰に気にしたり、外傷体験を打ち消すために他者に危害を加えたりなど大人ならではの行動をとることもあるので、そのケアも大切です。
中・高校生でPTSDを発症した時の大人の対応方法
中・高校生でPTSDの発症が見られた際の対応は、「楽しみにしていることは継続させる」「無力感などは正常な反応だと伝える」など、本人を尊重することが大切です。
その状態を責めたり否定したりするのはご法度で、できることから始めていくよう伝えたり、運動や手伝いなど軽く身体を動かすことを勧めるのも良いでしょう。
また、あまりにも感情の起伏が激しかったり、他者への攻撃性が顕著に見受けられた場合などは、早めに専門機関と連携をとるようにしましょう。
そもそもPTSDとは?子どもがPTSDを発症する割合
PTSDは、大人だけでなく子どもであっても引き起こされる症状であることが分かりましたが、子どものPTSDの特徴や発症する割合について見ていきたいと思います。
そもそも子どものPTSDとは
PTSD | 特徴 |
---|---|
継続期間![]() |
1カ月以上 |
発症する原因![]() |
交通事故 単独の犯罪被害 DV(家庭内暴力) 虐待 |
合併症![]() |
うつ病 不安障害 |
子どものPSTDは、一度発症すると大体1カ月以上は継続することが想定され、その期間は症状やケアによって変動します。
原因としては、主に表のような「虐待」「DV」「交通事故」「単独の犯罪被害」などが挙げられますが、他にも「家族や友人の死の体験」「暴力の目撃」などもあるようです。
合併症としてうつ病や不安障害を発症するケースもありますし、他にも「自尊感情の低下」や「意欲の低下」などもあるので、本人を尊重し肯定してあげることも大切です。
子どもがPTSDになる割合
症状 | 有病率 |
---|---|
一般の子ども![]() |
0.5%~ 10% |
自然災害を 体験した子ども ![]() |
15 %~ 86% |
性的虐待を 受けた子ども ![]() |
56% |
虐待を受けた子ども![]() |
31% |
次に、子どもがPTSDを発症する割合についてですが、一般的には0.5~10%ほどであるとされているものの、子どもの体験によってそこから大きく変動します。
虐待経験があると31%、性的虐待になると56%まで上昇しますし、地震や豪雨などの自然災害を体験した子どもだと最大で86%にまで数値が挙がるようですね。
何らかの被害が引き金になっている場合は、年齢や被害内容、調査時期によっても変動しますが、いずれにせよ子どもの状況に寄り添って接するようにしていきましょう。
子どものPTSDを相談できる場所
相談先 | 保健所 保健センター ![]() |
精神保健 福祉センター ![]() |
精神科 訪問看護 ![]() |
---|---|---|---|
方法 | 電話 面談 |
電話 面談 |
電話 面談 |
相手 | 保健師 医師など |
医師 看護師 保健師など |
訪問看護師 |
子どものPTSD発症が疑われたら、決して一人で抱え込まずに、適切な相談機関を利用してただちに最適なケアを進めていくのが望ましいとされています。
主に上記の表のような相談先が挙げられ、機関によってそれぞれ相談相手が異なるので、子どもの症状の度合いや体調によって決めると良いでしょう。
こちらから出向く必要のある機関もありますし、もし自宅から外出するのが困難な場合などは精神科訪問看護を利用するのも一つの手段です。
子どものPTSDを治療する方法
ここで、子どものPTSDを治療していくための有効的な方法について、いくつかご紹介していきたいと思います。
心理療法
まず挙げられるものに心理療法があり、長時間曝露法(PE療法)とEMDRの2種類があるので、子どもの状態などによって選ぶこともできます。
長時間曝露法(PE療法)は、子どもが恐怖を感じる事物や状況、イメージや記憶に対して極めて安全な環境下で向き合わせるという内容となっているようですね。
EMDRは、子どもが持つ過去のトラウマ体験を表象して、眼球運動をさせることでPTSDの症状を軽減するという内容で、何が一番の脅威になっているかを点数化します。
薬物療法
療法 | 特徴 |
---|---|
セロトニン系薬剤![]() |
・不安 ・抑うつ気分 ・強迫症状 ・衝動的な怒り などに効果 |
アドレナリン系薬剤![]() |
・過剰覚醒 ・衝動性 ・過活動 ・睡眠障害 ・悪夢 が軽減 |
ドーパミン系薬剤![]() |
・強い フラッシュバック ・自己破壊的行動 ・爆発的怒り ・精神病的症状 などに有効 |
三環系抗うつ剤![]() |
・睡眠時の フラッシュバック ・不眠 に有効 |
薬物療法は、トラウマを体験した後に子どもの症状がひどい場合や長引いている際に、自己コントロールや生活改善を目的として実施します。
現在、有効であると認可されている薬とその特徴は下記の通りで、子どもの症状に合わせて薬を選び、服用しながら様子を見ていくという形になります。
なお、現在の時点で、PTSDそのものに適応が認可されている薬はなく、こちらはあくまでもPTSDによって起こっている症状を一次的に緩和する治療薬となります。
認知行動療法
PTSDが発症するのは、過去の嫌な体験への記憶の処理が適切になされなかった場合だと考えられていて、その処理機能を取り戻すための方法が認知行動療法というわけです。
特に使用されるのが「トラウマ焦点化認知行動療法(TF-CBT)」で、心身をコントロールするスキルを得るためのプログラムや、感情表現の練習もおこないます。
このプログラムは、成人向けのものと比べてより漸進的に嫌な記憶に曝露できるような配慮もされていて、それぞれの子どもに合わせて柔軟に進めていくことが大切です。
子どものPTSDならシンプレ訪問看護ステーションにお任せください!
このように、いつ何が引き金になって発症するか予測不可能な子どものPTSDですが、近頃注目されている訪問看護を利用するのもおすすめなので、見ていきましょう!
シンプレ訪問看護ステーションって?
サービス | 内容 |
---|---|
生活支援・自立支援![]() |
自分らしく自立した 生活を営めるための 支援 |
症状の悪化防止・服薬支援![]() |
生活状況を 観察しながら 受診や服薬を支援 |
社会復帰へのサポート![]() |
主治医や関係機関と 連携を取りながら 社会復帰を支援 |
家族の方への支援![]() |
・家族への アドバイスや相談 ・社会資源の活用 などを支援 |
シンプレ訪問看護ステーションは、精神疾患に特化した訪問看護を提供しております。
利用者様が自立した生活をするため、病院の受診や毎日の服薬の支援を行っています。
訪問時に生活状況や症状を確認し、ご利用者様の主治医や関係機関と連携を取ることで、治療の前進をサポートします。
また、ご利用者様のご家族様へ、ご相談があればご利用者様との関わりや精神的な負担軽減のアドバイスを行ったりなどのご支援もさせて頂きます。
シンプレ訪問看護ステーションの対応エリア
-
<東京都>
・東京23区
※足立区、荒川区は1部エリアとなります。
・西東京市
・三鷹市
・武蔵野市
<埼玉県>
・和光市
・朝霞市
・戸田市※1部エリア
・新座市※1部エリア
シンプレ訪問看護ステーションでは記載のエリアを中心に訪問看護を行っています。
今後はさらに事業を拡大していく予定となっています。
今エリア外でも、対応できる場合もありますので、お気軽にお問い合わせください。 ご相談のお問い合わせはこちら
まとめ
PTSDは子供でも発症しますが、その反応は子供によりさまざまです。
精神科訪問看護は、社会復帰に向けて障害や病気をお持ちの方をサポートするサービスです。
シンプレ訪問看護ステーションでは、お子さまからお年寄りまで幅広い考え方、価値観を大切にして寄り添います。
わたしたちにもきっとお役に立てることがあります。ご家族様がPTSDでお悩みの方は、ご相談ください。
ご相談のお問い合わせはこちら