薬物依存ってどんな症状?

大麻やシンナー、覚せい剤などの「薬物」には強い依存性があり、気軽に手を出してしまった結果、依存症状に苦しめられる方も多いです。
薬物依存には段階があり、依存期→離脱症期→精神病期→認知障害期と症状が悪化していきます。
今回は薬物依存における症状について、この4段階ごとにくわしくご紹介します。
薬物依存の症状
薬物依存になるとどのような症状が出るのでしょうか?はじめに、薬物依存の代表的な症状について見ていきましょう!
薬物依存の症状は進行性がある
経過期間 | 概要 |
---|---|
①依存期![]() |
・薬物への渇望 |
②離脱症期![]() |
・薬物の切れ目 ・身体的また精神的不調 (不快感、発汗、めまいなど) |
③精神病期![]() |
・幻聴 ・幻覚 ・被害妄想 |
④認知障害期![]() |
・記憶障害 (物忘れなど) |
薬物依存症は進行性疾患であり、依存期→離脱症期→精神病期→認知障害期の4段階で症状が進行します。では、それぞれの段階の症状を見ていきましょう!
経過①依存期
覚せい剤やコカインなどの違法薬物を乱用すると薬物に対する欲求が抑えられなくなり、薬物を使用してしまいたいという思いが抑えられなくなります。これが依存です。
薬物に依存するようになると、自分の意志では薬物使用をコントロールできなくなり、仕事や家庭よりも薬物使用を優先するようになります。
「薬物は危険なのでやめたい」と頭ではわかっていても、薬物により脳が変化してしまっているため、自分の意思で薬物をやめることはできません。
経過②離症期
薬物依存の状態が続くと、禁断症状とも呼ばれる離脱症状が出てきます。離脱症状は薬物の作用が切れてくると現れ、耐え難いような苦しみを味わうことも多いです。
代表的な離脱症状として、漠然とした不快感や不眠、動悸、めまいなどがあり、イライラ感がつのって、薬物を使用したい気持ちを抑えられなくなります。
離脱症状がひどくなると、意識が朦朧(もうろう)としてきて会話ができなくなったり、長時間眠り続けてしまう意識障害を起こすこともあります。
経過③精神病期
精神病期になると幻聴や幻覚などの症状が現れてきます。幻聴とは実際には聞こえないはずの声や音が聞こえてくる症状で、幻覚とは実際には存在しないものが見える症状です。
被害妄想の症状も現れ、何者かに命を狙われていると思い込んだり、盗聴されていると思い込むなど、常識では考えられないような言動をするようになってきます。
幻聴や幻覚、被害妄想の症状がひどくなると、無差別殺人などの重大犯罪を引き起こすこともあるので大変危険です。
経過④認知障害期
認知障害期になると薬物使用による脳機能障害がかなり進んでおり、物忘れなどの記憶障害の症状が現れます。
認知障害期になると認知症の症状が現れるわけですが、薬物(特に有機溶剤)の乱用を続けていると神経細胞が破壊されてしまい、脳が萎縮することによるものです。
一度破壊されてしまった神経細胞は修復することができず、医療機関で適切な治療を受けると認知症の進行は抑制できますが、完全に治すことはできません。
薬物ごとの代表的な症状
薬物 | 症状 |
---|---|
覚せい剤 | ![]() ・幻覚、妄想 ・暴行 |
ヘロイン | ![]() ・頻繁な あくび、くしゃみ ・下痢 ・関節の激痛 |
大麻 | ![]() ・知覚、思考変化 ・情緒不安定 |
シンナー | ![]() ・めまい ・意識がぼんやり ・手足のしびれ ・歩行困難 |
覚せい剤やコカインは神経を興奮させる作用があり、吸引すると一時的には眠気や疲労感がなくなりますが、乱用すると妄想や幻覚が出てきて精神状態がおかしくなります。
大麻は乱用するとまとまりのある考え方ができなくなり、感情が不安定になってきます。ヘロイン・あへんは乱用すると精神状態がおかしくなり、突然暴れ出したりします。
シンナーなどの有機溶剤は乱用すると、幻覚や妄想などの症状が現れ、徐々に脳が萎縮してきて、物忘れがひどくなるなど認知症の症状が出てきます。
薬物依存の症状の回復は難しい
治療をしても薬物依存はずっと残りますが、回復を目指すことは可能です。しかし、症状を回復することも難しく、強い意志と決意で治療を続けることが大切です。
何故症状の回復が難しいのか
理由 | 概要 |
---|---|
![]() 身体から薬を抜いても 依存性が残る |
薬の成分を抜いても、 脳に快楽性を 覚えてしまっている |
![]() ・症状の再発 ・薬物の再使用をしてしまう |
禁断症状に 耐えられず、 薬物を再び 使ってしまう |
薬物依存から回復するには、身体から薬を抜いたうえで、薬物に対する依存から脱却することを目指します。では、詳しく見ていきましょう!
理由①身体から薬を抜いても依存性が残る
薬物依存症の治療では、人間の身体にあらかじめ備わっているデトックス機能を改善して、できるだけ安全に身体から薬物を抜く解毒治療が行われます。
解毒治療が完了すると離脱症状は治まりますが、薬物の使用をやめて薬物を身体から抜いても薬物依存はずっと残るため、薬物依存からの回復はとても難しいです。
薬物に対する欲求は生涯にわたって続くため、薬物依存から回復するには、薬物の再使用を防ぐための治療プログラムを継続して受けることが必要です。
理由②症状の再発・薬物の再使用をしてしまう
薬物依存から回復するための治療プログラムには、医療機関で実施されているプログラムと自助グループの支援があります。
医療機関の治療プログラムや自助グループの支援を継続的に受けることで薬物依存からの回復を目指せますが、薬物に対する欲求を完全になくすことはできません。
目の前に薬物を置かれると再び薬物に手を出してしまい再使用するケースが多く、薬物を完全に断ち切るには強い決意で努力を続けることが不可欠です。
生涯的に持続的な治療が必要となる
薬物依存が完治しない理由は、薬物を乱用すると脳の状態が変化してしまい、変化した脳は元通りにはならず、薬物乱用の快感の記憶が脳にずっと定着するからです。
10年以上にわたって薬物使用をやめていたとしても、1回でも再使用してしまうと再び薬物乱用をするようになるケースも多く、生涯にわたる持続的な治療が必要になってきます。
生涯にわたって医療機関や自助施設の支援を受けることで薬物の再使用を防ぐことにつながりますが、精神科訪問看護も薬物依存からの回復に大きく貢献します。
もしも再利用しても諦めてはいけない
薬物を再使用することを「スリップ」といいますが、スリップを一度したからといって、薬物依存からの回復を諦める必要はありません。
薬物依存からの回復は難しいため、回復の途上でスリップをしてしまうことはよくあります。スリップをすると自己嫌悪をすることがありますが、自分を責める必要はありません。
スリップをしてしまったら、スリップをした原因を特定し、原因を取り除くことで再び薬物依存からの回復を目指せますので、諦めずに頑張りましょう。
薬物依存の症状を治療する方法
薬物依存は完全に治すことはできませんが、治療プログラムを受けることで薬物依存からの回復を目指せます。では次に、薬物依存の治療プログラムを見ていきましょう!
薬物依存者の治療方法
治療方法 | 概要 |
---|---|
![]() 医療機関プログラム |
各医療機関の 治療プログラムを 受ける |
![]() 自助グループの支援 |
グループワークを 行い、 精神的治療を行う |
薬物依存の治療プログラムには、医療機関プログラムと自助グループの支援があります。ではそれぞれの内容を詳しく見ていきましょう!
治療①医療機関プログラム
薬物依存は生涯にわたって続くため、精神科などの医療機関では断薬を継続することを目的とする「再乱用防止プログラム」を行っています。
再乱用防止プログラムは、薬物の再乱用を防止するための認知行動療法型のプログラムで、内容は医療機関によって異なりますが、患者さんに対する支援と指導監督を行います。
断薬を継続するためには、患者さんと同居する家族の協力が欠かせないため、再乱用防止プログラムでは家族に対しても、患者さんへの対応の仕方や看護の方法などを教育します。
治療②自助グループの支援
自助グループとは、薬物依存からの回復を目指している人たちのグループで、仲間との交流を通じてお互い励まし合い、仲間と一緒に薬物依存からの回復を目指します。
自分だけで断薬を続けることは大変難しく、途中で心が折れてしまってスリップするケースが多いですが、自助グループに参加することで断薬に成功する可能性が高まります。
薬物依存からの回復を目指す自助グループには、ナルコティクス アノニマス(NA)やナラノン(Nar-Anon)などがあり、日本全国どこに住んでいても気軽に参加できます。
訪問看護に頼るのも良い?
薬物依存からの回復を目指す方は、精神科訪問看護の利用をおすすめします。では最後に、精神科訪問看護を提供しているシンプレ訪問看護ステーションをご紹介いたします。
シンプレ訪問看護ステーションとは?
精神科訪問看護は、社会復帰に向けて障害や病気をお持ちの方をサポートするサービスです。
シンプレ訪問看護ステーションは精神疾患に特化した訪問看護サービスを提供しています。
看護師などの医療専門職のスタッフがご利用者様の自宅を定期的に訪問し、生活支援や自立支援、症状の悪化防止、服薬支援などの回復へ向けてのサポートを行います。
シンプレ訪問看護ステーションには、薬物依存に関する専門知識や看護の経験が豊富なスタッフが多数在籍しており、薬物依存からの回復について相談や支援もさせていただきます。
訪問看護の利用プラン
支援施設 | ![]() ダルク |
---|---|
施設施設の詳細 | 薬物をやめたい人の サポートケアする リハビリ施設 |
訪問看護は病気や障害などで自宅療養をしている方の自宅に、看護師や作業療法士などの医療従事者が定期的に訪問し、主治医の指示に基づいて病気のケアやサポートを行います。
訪問看護は総合型と特化型があり、精神疾患に特化した精神科訪問看護では、薬物依存からの回復を目指すために在宅療養をしている方などが利用できます。
精神科訪問看護を利用すると、看護師などの医療従事者のサポートを受けながら、自宅で薬物依存からの回復を目指すことができ、同居するご家族に対する支援も実施されます。
シンプレ訪問看護ステーションの対応エリア
-
<東京都>
・東京23区
※足立区、荒川区は1部エリアとなります。
・西東京市
・三鷹市
・武蔵野市
<埼玉県>
・和光市
・朝霞市
・戸田市※1部エリア
・新座市※1部エリア
現在の対応エリアは、上記を中心としています。
上記のエリア以外に自宅がある場合でも対応できる場合がありますので、まずはお気軽に電話や問い合わせフォームでお問い合わせください。
スタッフが定期的に訪問し、ご家庭や地域社会で安心して生活を送ることができるよう支援します。
ご相談の問い合わせはこちら▼
まとめ:薬物依存の症状は一生涯影響する!長い目で治療しよう!
覚せい剤や有機溶剤などの違法薬物を乱用すると薬物依存症になり、薬物依存は生涯にわたって続きますが、適切な治療を受けると薬物依存からの回復を目指せます。
薬物依存から回復するには在宅療養が有効であり、在宅療養をサポートする精神科訪問看護を利用すると、薬物依存からの回復に大きく貢献します。
シンプレ訪問看護ステーションは精神疾患に特化した訪問看護サービスを提供しております。薬物依存の治療や回復などでお悩みの方は、どうぞお気軽にお問い合わせください。
ご相談の問い合わせはこちら▼