薬物依存の適切な治療方法について紹介

薬物依存は違法薬物だけでなく、睡眠薬・抗不安薬・鎮痛剤など、医師によって処方された薬によっても引き起こされます。
薬物依存はれっきとした病気のため、意思の力だけでどうにかなるものではありません。薬物依存から抜け出すためには、適切な治療を受けることが大切です。
今回は、薬物依存とはどういう病気なのか、治療方法や相談先などについて詳しく解説します。ご自身やご家族の薬物依存でお悩みの方は、ぜひこの記事を最後まで読んでみてくださいね。
薬物依存の治療はどのように行われる?

中毒性精神病の症状に対する治療方法
薬物依存になると、幻覚や妄想などの中毒性精神病の症状が現れることがあり、まず最初の治療(1期治療)では、薬物依存によって引き起こされた中毒性精神病の症状の治療を行います。
中毒性精神病とは、薬物により気分が落ち込んでしまううつ症状や、存在しないものを存在すると思い込んでしまう幻覚・妄想の症状が現れたりすることです。
中毒性精神病の症状に合わせて医師がお薬を処方します。患者さん本人の同意がなくても医師が処方したお薬が投与され、強制的に入院させて治療が行われる場合もあります。
薬物依存そのものに対する治療
疾患 | 薬物依存![]() |
---|---|
治療の目的 | 薬物依存に 対する治療 |
治療内容 | ・教育的プログラムに 参加 ・自助グループへの 参加 |
治療施設 | 薬物依存症専門病院 |
薬物依存の1期治療をすると幻覚・妄想などは治まり、薬物をやめさせるために2期治療が行われます。
薬物依存の2期治療は薬物依存そのものに対する治療で、患者さんが薬物に手を出さない生活習慣・生活環境を作ることが2期治療の目標です。
患者さんの「薬物の依存から脱却する」という強い意志が必要であり、薬物依存症専門病院で行われている教育プログラムに参加したりします。
薬物依存を治療する上で本人や周りの人が気をつけること

一人で抱え込まない
薬物依存のような依存症は脳の病気と言われており、依存から脱却するのは容易ではありません。
薬物依存になった場合は自分一人で悩まずに、保健所や精神保健福祉センターなどの行政機関に相談し、専門家の適切なアドバイスを受けることが大切です。
仲間と一緒に回復を目指していく自助グループに参加したり、リハビリ施設を利用する方法もありますので、まずは相談してみることから始めましょう。
叱責や処罰は逆効果
薬物依存は欲求のコントロールができなくなる脳の病気ですので、本人の意志や気持ちだけでは欲求をコントロールすることはできません。
家族などの周囲の方がいくら「薬物に手を出すな」ときつく注意しても薬物依存をやめることはできず、叱責や処罰はかえって逆効果で、状況がますます悪化してしまいます。
薬物依存の治療の第一歩は専門機関に相談することであり、本人や周囲の方だけで解決しようとせず、あとで詳しく説明する専門機関に相談しましょう。
薬物依存の回復は大きくわけて4段階

段階 | 内容 |
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段階1![]() |
身体の回復 |
段階2![]() |
脳の回復 |
段階3![]() |
心の回復 |
段階4![]() |
人間関係の回復 |
薬物依存を治療しても一気に回復することはなく、身体→脳→心→人間関係の4つの段階を経て薬物依存の状態から回復します。
第1段階では薬物依存で衰弱した身体が回復し、第2段階では妄想や幻覚などがなくなり脳が回復します。
第3段階では薬物依存で乱れた生活習慣が改まることで心が回復し、最終の第4段階では薬物依存で壊れてしまった人間関係が回復して、失った信頼を取り戻します。
そもそも薬物依存とはどういう病気?

頭でわかっていても薬物使用がやめられない
薬物依存とは、麻薬や覚せい剤、シンナーなどの薬物の使用がやめられなくなり、やめたくてもやめられない状態が継続します。
「薬物は危険なのでやめたい」と頭でわかっていても、薬物の作用で脳が変化してしまい、薬物に対する欲求を抑えられなくなります。
薬物依存になると、そう簡単には薬物をやめられなくなるため、専門機関に相談したうえで、医師による治療を受けることが必要です。
多くが「一度だけ」という好奇心から常用へ
薬物依存症の患者さんの多くは、「一度だけ」という好奇心から麻薬や覚せい剤などの薬物に手を出してしまい、やがて常用するに至ります。
一度、薬物に手を出してしまうと、薬物に対する警戒感が薄れてしまい、知らない間に薬物依存症になり、習慣的に薬物を使用するようになります。
薬物依存症の患者さんの中には、友人から「痩せる薬」だと勧められ、実はそれが覚せい剤だったという事例もあり、危険な薬物だとは知らずに手を出してしまうこともあります。
依存自体は治らないが適切指導により回復は可能
薬物依存になると、薬物の作用で脳が変化してしまい、一度変化してしまった脳は元の状態には戻らず、薬物依存症を完全に治療することはできません。
薬物依存自体は生涯にわたってずっと続くため、ちょっとしたことがきっかけで再び薬物に手を出してしまうことも多いです。
しかし、専門家から適切な指導を受けながら、薬物を使わない生活をずっと続けていると薬物依存からの回復ができ、健全な社会生活を送れるようになります。
薬物依存を引き起こす薬物について

薬物依存の原因となる薬物とその特徴をチェック
強烈な覚醒効果・快感、被害妄想、迫害妄想、幻聴、体感幻覚
有機溶剤
発揚的・多幸的ないし易刺激的な酔い、喉の乾きや空腹の麻痺、知覚異常、幻覚
大麻
陶酔的な快感、急性パニック状態、幻覚・妄想状態
薬物依存の原因となる薬物には上記のようなものがあり、すべて法律で使用禁止されている違法薬物です。
覚せい剤は強い覚醒効果があり快感が得られますが、乱用すると、被害妄想・迫害妄想・幻聴などの中毒性精神病の症状が出て、凶悪犯罪の原因になることも多い危険な薬物です。
シンナーやトルエンなどの有機溶剤は低年齢の使用者が多く、乱用すると心身の健全な発達が阻害され、大麻は急性パニック状態や幻覚・妄想状態などを引き起こします。
市販の医薬品や処方薬が原因となることも
睡眠薬や抗不安薬(精神安定剤)などの市販の医薬品や処方薬が薬物依存の原因になることもあり、これらの医薬品は医師や薬剤師の指示に従って適切に服用することが必要です。
ドラッグストアなどで売っている鎮痛薬や咳止めなどの市販薬も乱用すると薬物依存の原因になるので、市販薬を乱用するのは禁物です。
鎮痛薬や咳止めなどは、覚せい剤や大麻などの違法薬物と比べると気軽に入手できるため、依存からの回復がかえって難しくなる場合があります。
薬物依存の相談はどこにすればいいのか?

専門家の相談先
- 保健所
- 精神保健福祉センター
- 依存症相談拠点機関
- 民間のリハビリ施設
- 自助グループ
薬物依存の治療の相談先としては上記のようなものがあり、保健所は電話相談も可能で、保健師や医師、精神保健福祉士などの専門職が対応してくれます。
精神保健福祉センターは各都道府県・政令指定都市にある行政機関で、医師、看護師、保健師などが対応してくれ、依存症相談拠点機関では依存症相談員が対応してくれます。
民間のリハビリ施設や自助グループでも薬物依存の相談ができ、自助グループ・回復支援施設では、同じ悩みを抱えている仲間と一緒に薬物依存からの回復を目指せます。
精神科訪問看護を利用するという選択肢も
薬物依存の相談は保健所などで対応をしてくれますが、精神科訪問看護ステーションでも相談に乗ってもらえます。
薬物依存の治療は長期に及び、薬物依存から回復するためには日常生活を健全に送ることが重要になってきます。
精神科訪問看護ステーションは、薬物依存の患者さんの自宅を訪問し、健全な日常生活を送れるように支援してくれます。
精神科訪問看護ではどんなことをしてもらえるのか?

精神科訪問看護とは?
サービス名 | 精神科訪問看護![]() |
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職種 | 看護師 准看護師 作業療法士 |
訪問日数 | 原則週3日以内 |
精神科訪問看護とは、中毒性精神病などの精神疾患がある患者さんの自宅に看護師などの専門職が訪問し、患者さんがより安定した生活を送れるように支援する看護サービスです。
患者さんの自宅に訪問する専門職は、看護師・准看護師・精神保健福祉士・作業療法士などの有資格者で、医師の指示に基づいて看護や回復へ向けての指導などを行います。
薬物依存による中毒性精神病の症状が出ている患者さんは、回復へ向けて必要な援助や助言などのトータルサポートが受けられます。
薬物依存に対する看護内容
薬物依存に対する訪問看護の内容を見ていきましょう。
回復に必要なメニューの提示
精神科訪問看護では、医師の指導に基づいて回復に必要なメニューの提示を行っており、薬物依存の患者さんが回復を目指すうえでの重要な指針になります。
万が一、患者さんが再び薬物に手を出した場合も決して見放すことなく、患者さんが回復するまで支援を続けます。この場合は、なぜ患者さんが再び薬物に手を出してしまったのかを徹底的に分析し、新たにメニューを作り直します。
家族に対する治療教育
薬物依存から回復するためには、ご家族の協力が不可欠であり、精神科訪問看護ではご家族に対する治療教育も行います。
ご家族に対しては、患者さんに監視的・干渉的対応をしないなどの回復に向けての注意事項を具体的にわかりやすく説明します。
精神科訪問看護ならシンプレ看護ステーションへ!

では最後に、精神科訪問看護サービスを提供しているシンプレ訪問看護ステーションをご紹介いたします。
シンプレ訪問看護ステーションとは?
シンプレ訪問看護ステーションは精神科に特化した訪問看護サービスを提供しており、薬物依存症にも対応しています。
看護師や作業療法士などのスタッフがご利用者様の自宅を定期的に訪問し、生活支援・自立支援、症状の悪化防止・服薬支援、回復へ向けての支援を行います。
シンプレ訪問看護ステーションには、依存症に関する専門的な知識や経験が豊富なスタッフが多数在籍しており、薬物依存の治療についても気軽に相談ができます。
シンプレ訪問看護ステーションの対応エリア
- 新宿区・中野区・練馬区・豊島区
- 文京区・杉並区・渋谷区・千代田区
- 板橋区・葛飾区・江東区・江戸川区
- 墨田区・荒川区・北区・世田谷区
- 西東京市・三鷹市・武蔵野市・台東区
シンプレ訪問看護ステーションは東京都で訪問看護サービスを展開しており、上記が対応エリアになっています。
上記のエリア以外についても対応できる場合がありますので、まずはお気軽にお問い合わせください。
まとめ

薬物依存は、さまざまな要因により1人で治すことはできません。精神科訪問看護という選択肢も含め、専門機関に早めに相談しましょう。
精神科訪問看護ステーションでも薬物依存の治療の相談ができ、回復に向けてのトータルサポートが受けられます。
シンプレ訪問看護ステーションでは、精神科に特化した訪問看護を行っておりますので、薬物依存でお悩みの方は、どうぞお気軽にお問い合わせください。
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