「PTSD」の意味とその症状について解説

PTSDという言葉はよく耳にするものの、その明確な意味を知っている人は少ないでしょう。
PTSDはショックな体験をすると、誰にでも起こり得る可能性がある精神疾患なのです。そこで今回は、PTSDの意味をわかりやすく解説します。
また、PTSDを発症した時の主な症状や対処法もまとめました。しっかり対処してあげましょう。
PTSDの意味とは?トラウマとは違う!

PTSDとは
・大規模な災害
・犯罪
・交通事故
・家庭内暴力
・虐待
治療対象
症状が3〜6ヶ月続く
完治期間
少なくとも数ヶ月
PTSDを発症する確率
1.1%〜1.6%
PTSDは「心的外傷後ストレス障害」とも呼ばれていて、表のように大規模災害や犯罪などの突然の衝撃的な出来事を経験することが原因であるとされています。
このような心的外傷体験後は、多くの方は1ヶ月以内に症状が回復しますが、それが3~6ヶ月続くと治療の対象となり、完治までには数ヶ月はかかるようですね。
PTSDは、体験した本人だけでなく目撃者や近親者が直面した場合に他者が発症することもあり、日本では一生の内に発症する確率は1.1%〜1.6%とされています。
PTSDとトラウマは異なる!
数日~数週間で次第に治まる
PTSD
症状から抜け出せずにいること
同じような認識の扱いを受けがちなPTSDとトラウマですが、両者の違いとしてまず挙げられるのがその程度の大きさで、PTSDの方が圧倒的にレベルが大きいです。
また、PTSDの発症の確率が1.1%〜1.6%ほどであるのに対し、トラウマはショッキングな体験をしたほとんどの方がPTSDのような症状が出るようです。
とは言え、トラウマの場合は症状は数日~数週間で次第に治まっていき自身で治癒していけるのですが、そこから中々抜けだせない場合はPTSDに陥るというわけですね。
PTSDの主な症状

再体験症状
まず再体験症状ですが、これは実際に体験したショッキングな出来事や記憶を突然思い出し、それが再来しているかのような体験やイメージをしてしまうことです。
これが中々厄介で、普通に日常生活を送っている中で急に襲ってくる症状なので、予測をして回避するというのが難しくもあります。
過去のショッキングな体験を思い出させるようなことがあった場合に、それをきっかけに急に思い出したり精神的に不安定になったりすることが考えられるわけですね。
回避
次に回避ですが、実際にトラウマとなってしまったショッキングな体験を思い出させる人物、物、状況を避けようとする行為のことを指します。
この回避の症状が出ることにより、本来であれば避ける必要のない人物、物、状況に対してまで危険を感じてしまい、本能的にそれらを避けるようになってしまうようです。
これによって、トラウマ体験をする以前とは行動が大きく変わってしまい、日常生活に支障が出てしまうことも想定されます。
認知の歪み
そして認知の歪みですが、ショッキングなトラウマ体験をきっかけに、自分や周囲、そして将来に対しての考え方がそれまでとがらりと変わってしまうことを指します。
自分自身の能力に関してもとても低く捉えるようになり、「自分は無力だ」と思い込んで自身を信じられなくなることも少なくないようです。
また、周囲に対して危険であると感じたり、将来に対しても希望が持てなくなったり
、あるいは寿命が短くなったと感じたりなど全てに対して後ろ向きになります。
大事な人にPTSDの症状が見られたら?

まずは「共感」を示そう
まず基本として、患者さんに対して共感を示すことがとても大切で、自分本位にやたらと励ましたりアドバイスをしたりしないようにする必要があります。
患者さんの落ち込んでいる様子を見て励ましたくなる気持ちも分かりますが、患者さん本人からするとあまり話をしたくないと考えている場合も少なくありません。
また、もし患者さんの方から話をしてくれた際にはその気持ちに寄り添い、言葉に耳を傾けつつ、「大変だったね」などと優しい言葉をかけると良いでしょう。
回復を急かすような言葉を言わない
また、患者さんと接する際に回復を急かすような言葉を多用してしまうと、結果的に患者さんを追い詰めてしまって症状をより悪化させてしまうことも考えられます。
例えば「早く良くなってね」「まだ治らないの?」「あとどれくらいで良くなりそうなの?」などの声掛けも、患者さんにとっては大きなプレッシャーです。
前述でも触れたようにあくまでも患者さんの気持ちに寄り添うことが大切で、もしかける言葉が見つからない時は無言で寄り添うようにするだけでも良いですね!
一人ですべて背負わない
そしてこちらも大切なことですが、患者さんの相談に乗っているうちに「この人のことを理解できるのは私だけだ」と思ってしまいがちです。
心配だからと深夜や早朝にも患者さんからの連絡に対応してしまい、自身の生活が後回しになってしまうということにもなりかねません。
寄り添うことはもちろん大事ですが、PTSDは病気なので、支えきれなくなってしまうこともあります。
もし余裕がなくなってしまったりのめりこんでいると感じたら、無理をせず医者や看護師といった専門家に任せましょう。
PTSDを発症する割合や合併する主な精神疾患

PTSDを発症する割合とは
男性:5%
女性:10%
国内でPTSDを発症する割合は、全体的な数字としては1.1%〜1.6%ほどであるというのは前述の通りですが、もっと細かく見ると男女で発症の確率が異なるようです。
上記の表の通り、PTSDの生涯有病率は男性が5%、そして女性が10%と、女性の方が発症の確率が高くなっているようですね。
また、解消法にも違いがあるようで、男性は友人とお酒の場を設けるなどの娯楽に走り、女性は知人とゆっくり話をする機会を設けるなどして治癒していく傾向が見られます。
合併する確率が高い精神疾患はある?
アルコール依存症:52%
うつ病:48%
薬物依存:35%
恐怖症:31%
次に、PTSDを発症した場合にそれと合併する確率が高い精神疾患ですが、主に上記の表のような疾患が考えられるようです。
また、表は男性の場合の確率ですが、女性の場合は内容や順位に変動があり、うつ病が最も高く49%、それにアルコール依存症が30%、薬物依存が27%…と続きます。
さらに、女性の場合は行為障害を併発する確率が15%という数字も出ているので、男性にはあまり見られないような疾患を発症するケースも考えられるというわけですね。
PTSDの対策が可能な機関は?
遺族が抱える悩みの解決や心のケアを支援
精神保健福祉センター
精神的な病気に関する相談を受付
訪問看護
自宅に訪問して精神的なケアを行う
実際にPTSDを発症してしまった際に相談ができる、この疾患の対策が可能な機関ですが、主に上記の表のような場所が挙げられます。
発症の原因によって相談すべき機関が異なり、例えば何らかの犯罪が理由であれば犯罪被害者支援センター、DVなどが原因であれば精神保健福祉センターが良いでしょう。
また、注目されているケアの一つの訪問看護は、看護師などの医療従事者が患者さんの自宅を訪問し精神的なケアをしてもらえるので、中々外出できない方などにおすすめです!
PTSDの効果的な治療方法
・抗うつ薬
・抗不安薬
・気分安定薬
PTSDそのものの治療
・持続エクスボージャー療法
・認知処理療法
・眼球運動脱感作療法
・グループ療法
PTSDの効果的な治療方法としては、表のように特定の症状を緩和するための「対症療法」と、「PTSDそのものの治療」とに分けられ、内容もそれぞれ異なります。
強い不安感や不眠などの睡眠障害、そしてうつ状態の症状改善を目的とするならば、気分安定薬や抗不安薬、抗うつ薬を使用しながら治療を進めていきます。
また、PTSDそのものの治療は精神療法(心理療法)が一般的で、医師のサポートの元で表のように認知処理両方などを進めていくのが望ましいとされています。
PTSDの兆候があるならシンプレ訪問看護ステーションにお任せください!

シンプレ訪問看護ステーションとは
・自立した生活を営めるためのサポート
症状の悪化防止・服薬支援
生活状況を観察しながら受診や服薬を支援
社会復帰へのサポート
・主治医や関係機関と連携
・社会復帰を支援
家族の方への支援
・家族へのアドバイスや相談
・社会資源の活用などをサポート
精神科訪問看護は、社会復帰に向けて障害や病気をお持ちの方をサポートするサービスです。
シンプレでは、精神疾患に特化した訪問看護サービスを提供しており、自宅で看護を受けることができるので、外出が難しい方でも自宅でリラックスしながらサービスを受けることができます。
利用者様が持つ病気とどう向き合っていくかを看護師が一緒に考え、利用者様らしさを失わないよう自立した生活をするためのサポートを心がけています。
訪問時に生活状況や症状を確認し、利用者様の主治医や関係機関と連携を取ることで、社会復帰や治療の前進に向けてご支援をさせていただきます。
シンプレ訪問看護ステーションの対応エリア
- 新宿区・中野区・練馬区・豊島区
- 文京区・杉並区・渋谷区・千代田区
- 板橋区・葛飾区・江東区・江戸川区
- 墨田区・荒川区・北区・世田谷区
- 西東京市・三鷹市・武蔵野市・台東区
シンプレ訪問看護ステーションの訪問エリアは、上記中心に行っています。
記載しているエリアを中心に行っていますが、他のエリアの方も対応が可能な場合がありますので、まずはお気軽にお問い合わせいただければと思います。
サービス内容を詳しく聞きたい、スケジュールの相談なども承っています。子供から大人まで年齢に関わらず利用することが可能です。
また、TwitterやLine、TikTokなどのSNSでも情報を発信していますので、ぜひご覧ください。
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まとめ

PTSDのトラウマとの違いや発症率、治療法などを見て来ましたが、患者さんに寄り添う対応がとても大切で、訪問看護が非常に有効であることが分かりました。
精神疾患を抱えている方の中にはお子さんから高齢の方までいろいろな人がいて、一人ひとり生活環境や背景が異なります。
こころの健康問題をひとりで抱えて悩むのではなく、相談することが大切です。
PTSDはとてもデリケートな疾患でもあるので、ご家族がこの疾患にかかり悩んでいるなどの場合は、ぜひ一度わたしたちまでご相談ください。