PTSDは治らない?他の疾患と合併しやすい?詳しい症状や相談窓口を解説!

PTSDが治らないとお悩みではありませんか?PTSDは事故や暴力被害など、生死を左右するような極度のストレスを受けることによって発症する精神疾患です。
時間の経過とともに回復する例もありますが、数ヶ月や数年が経っても治らないという方も少なくありません。
今回は、PTSDが治らないと苦しんでいる方に有効な治療方法を解説していきます。
PTSDが治らない要因とは?
遺伝的な要因
遺伝はPTSDとの関連性があり、治らない要因としても考えられています。
例えばPTSDの遺伝率を調べた双子研究では30~40%というデータがあります。つまりこれは遺伝的にPTSDになりやすい人や遺伝的にPTSDが治りにくい人がいるということです。
また特定の遺伝子がトラウマ体験後の自然治癒にマイナスな影響をあたえたり、危険な行動を促している可能性があります。
遺伝の影響で潜在的により多く暴露されることがPTSDが治らない要因に繋がっているのかもしれません。
治療機関のサポート不足
PTSDが治らない要因として、トラウマ体験をしたあとの治療機関のサポート不足があげられます。
特にトラウマ体験に関する相談をした際に、治療者や家族に心ない対応をされるなどの二次的トラウマがあると、PTSDが悪化し慢性化するおそれがあります。
また、人に言いたくないという思いから、引きこもってしまい、結果的に症状が長引くこともあります。
トラウマ体験後の治療機関サポートが足りなかったり、生活のストレスが大きかったりする人はPTSDが治りにくくなるため、治療機関含む周囲のサポートが大切です。
飲酒・喫煙・カフェインなどの影響
・PTSDを悪化させる要因に
・酔いで冷静さを欠く
・自殺行動を招く可能性がある
喫煙
・ストレスの原因になりうる
・精神状態の質が低下する
カフェイン
・睡眠障害を助長
・不安を強めてしまう
「飲酒」「喫煙」「カフェイン」の摂取量増加といった生活習慣の悪化はPTSDが治らない要因といえるでしょう。
とくにカフェインに関しては不安を悪化させる作用がありますが、日本ではあまり知られていないので注意が必要です。
また飲酒・喫煙・カフェイン摂取はどれも依存性があり、辞めたり量を減らしたりしたときに「気分の落ち込み」「イライラ」「不安」などの離脱症状がみられます。
まずはこうした嗜癖行動を止めることがPTSD治療においては重要です。
PTSDの症状にはどんなものがある?
再体験症状群
再体験症状とは災害、事故、犯罪被害などのトラウマを体験したあとに、そのときの映像や音声が鮮明に思いだされる現象(フラッシュバック)のことをいいます。
再体験症状にはいくつか種類があり、「理由なく突然フラッシュバックする」「過去に言われた声が聴こえてくる」「突然過去の場面を再演したりする」などさまざまです。
例えば戦闘を体験した軍人が花火をきっかけに症状が引き起こされることもあれば、強盗の被害者が映画の中で銃を見ることをきっかけに症状が引き起こされることもあります。
このように再体験症状が起こるときには、精神的苦痛を伴うことが一般的なので薬物治療が必須とされています。
回避症状群
回避症状とは、トラウマ体験から連想される「物」「状況」「人物」などを執拗にさける症状のことです。
例えば暴力を振るわれた場所に入れなかったり異性と関わることができなかったりなどの拒否反応がでる場合があります。
しかしこれらの反応や症状例は、過去の経験や記憶から自分を守るために起こる自然な反応です。
また回避症状により行動が制限され、電車やバスといった公共交通機関が使えず、車での送迎が必須になるなど、日常生活に大きな支障がでることもあります。
麻痺症状
PTSDの症状の1つに趣味や関心が乏しくなったり、自然な感情が麻痺したように感じたりする「麻痺症状」があります。
麻痺症状がでると家族や友人に対する愛情や優しさがなくなったり、人に心を許すことができなくなりがちです。
症状が一時的な場合や、日常生活に支障がない場合は治療の必要はないかもしれません。しかし症状が長く続いたり、日常生活に支障がでている場合には専門的な治療を検討しましょう。
麻痺症状の治療法には「安心できる環境づくり」「薬物療法」「心理療法」などがあります。
覚醒亢進症状群群(かくせいこうしんしょうじょうぐん)
覚醒亢進症状群はPTSDによく見られる症状の1つで、入眠、睡眠維持の困難、怒りの爆発、集中困難、過度な警戒心、過剰におどろくなどの反応を指します。
本来人はストレスを受けると、交感神経や副腎皮質ホルモンの分泌によりストレスが緩和され、リラックスした状態に戻ります。
しかし覚醒亢進状態になるとストレスが緩和された後でも緊張が続き、さまざまな症状がでてしまうのです。
このような覚醒亢進症状群を緩和するために、ほとんどの場合「抗不安薬」や「睡眠薬」などを利用します。
PTSDと合併しやすい疾患は?
男性PTSD患者
有症率:52%
うつ病
有症率:48%
行為障害
有症率:43%
ボックス:薬物依存
有症率:35%
恐怖症
有症率:31%
PTSDの方は合併症を引き起こす可能性が80~90%と言われていますが、男性PTSDの方は「アルコール依存症」の合併率が最も高いです。
アルコール依存症は異常事態に対する心理的外傷の反応、もしくは無自覚なまま行っていた自己治療的試みであると考えられています。
一方辞めたり、量を減らしたりすると離脱症状が発生するという側面もあるので注意が必要です。
また女性に比べ男性の方がアルコール、ニコチン、薬物などの物質依存を引き起こす可能性が高いと言われています。
女性PTSD患者
有症率:49%
ボックス:アルコール依存症
有症率:30%
ボックス:薬物依存
有症率:27%
ボックス:恐怖症
有症率:29%
ボックス:行為障害
有症率:15%
女性PTSD患者は男性PTSD患者と違い、うつ病を合併する確率が最も高いとされています。
うつ病はこころの病と理解するより、過度な負担が脳にかかり続けた結果、一時的に脳の働きが弱った状態と考えたほうが適切に治療することができるでしょう。
したがってうつ病から回復するためには脳を休養させ、不安や焦りの無い、穏やかなこころの状態を作り出すことが大切です。
また女性の場合妊娠や出産時に「睡眠構築の変化」「神経内分泌増減」「心理社会的ストレス」などさまざまなストレスが合併症を引き起こす要因といえるでしょう。
PTSDの治療方法は?
PTSDそのものへの精神療法(心理療法)
PTSDの治療としては、精神療法(心理療法)が一般的です。
その中でも特に、持続エクスポージャー療法はPTSDの治療に有効とされています。
持続エクスポージャー療法の特徴は、トラウマをあえて思いだし恐怖心や危険性をなくし、安全な感覚を学習していけるよう促すことです。
その他トラウマの原因や解釈のしかたを整理する「認知処理療法」や、眼球運動を通じ断片化した記憶を適切に処理する「眼球運動脱感作療法(EMDR)」といった治療法があります。
特定の症状を和らげるための薬物療法
不眠、強い不安感、うつ状態、イライラなどの症状がある場合には薬物療法を利用することがあります。
いくつかある薬の中で第一選択薬となっているのはSSRI(セロトニン再取り込み阻害薬)という抗うつ薬です。
SSRIは即効性が低いのが特徴ですが、12週間使用した場合少なくとも50%症状が減少したという研究結果がでています。
一方ベンゾジアゼピン系の睡眠薬は即効性の抗不安作用は認めるものの、薬剤性健忘や依存を形成しやすいため、長期使用は推奨されません。
PTSDの相談ができるところは?
専門家の相談先
専門家の相談先として「保健所・保健センター」「精神保健福祉センター」「いのちの電話」などがあります。それぞれ解説していきます。
保健所・保健センター
保健所・保険センターではこころの健康、保険、医療、福祉に関する相談、未治療、医療中断の方の受診相談など幅広い相談を行っています。
また相談者の要望によって、家庭を訪問して相談することもできます。
精神保健福祉センター
精神保健福祉センターは各都道府県・政令市例都市ごとに1ヵ所ずつあり、電話や面接で相談できるのが特徴です。
またセンターによってはデイケアや家族会の運営など各種事業を行っているところもあります。
いのちの電話
いのちの電話は、さまざまな問題をかかえて苦しんでいる人々に電話やインターネットを通じて対話することでメンタルをサポートする相談窓口です。
全国で展開されており、場所によっては24時間相談対応しているところもあります。
精神科訪問看護も利用してみる
サービス名 | 精神科訪問看護 |
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職種![]() |
・看護師 ・准看護師 ・作業療法士 |
訪問日数![]() |
原則週3日以内 (※例外もあります。) |
精神科訪問看護は精神に障害を持っている方のご自宅に、看護師や作業療法士が訪問し、安心して日常生活を送ることができるようサポートする看護サービスです。
援助内容として「対人関係・日常生活の支援」「思いや訴えの傾聴」「服薬の管理・確認」「精神症状の観察」などがあります。
不安感が強い方や、通院が難しいなどの悩みをお持ちの方は、精神科訪問看護を利用することで状況が改善するかもしれません。
PTSDの訪問看護ならシンプレ看護ステーションへ!
シンプレ訪問看護ステーションの特徴
シンプレ訪問看護ステーションは精神科に特化している訪問看護ステーションです。
シンプレ訪問看護ステーションでは、患者さんから得た「主観的情報」と医療者の観察から得た「客観的情報」を織り交ぜながら看護を提供するように意識しております。
また訪問看護に入らせていただく上で、地域で暮らす精神疾患のある方の自主性を尊重しています。
利用者さんの思いをしっかりと受け止め、少しでも安心して生活できるように支援させていただきます。
精神疾患の一例
・時間がたってからもトラウマが残っている
・トラウマからくる原因への逃避行動
うつ病
気分が強く落ち込み憂うつになってしまう
統合失調症
・幻覚や妄想という症状が特徴的
・生活に支障をきたしてしまう
アルツハイマー型認知症
・脳の神経細胞が破壊、減少する
・徐々に日常生活が送れなくなる
双極性障害
躁状態とうつ状態を頻繁に移り変わる
その他精神疾患全般
シンプレ訪問看護ステーションでは精神科に特化した訪問看護サービスを提供しており、上記のようなさまざまな精神疾患に対応しています。
精神疾患を抱えている方は、引きこもりがちになったり、精神症状で生活が困難になったり、外来通院が難しくなったりすることもあるでしょう。
シンプレ訪問看護ステーションでは、そういったお悩み、不安点についてご相談にのりサポートさせていただいております。
どんな些細なことでもご支援させて頂きますので、お気軽にご相談ください。
シンプレの対応エリア
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<東京都>
・東京23区
※足立区、荒川区は1部エリアとなります。
・西東京市
・三鷹市
・武蔵野市
<埼玉県>
・和光市
・朝霞市
・戸田市※1部エリア
・新座市※1部エリア
シンプレ訪問看護ステーションの訪問エリアは上記中心に行っています。
対応エリア外でも近隣エリアであれば対応できることがありますので、お気軽にお問い合わせください。
お子さまからお年寄りの方まで年齢問わずご利用いただけます。サービス内容についてもご質問やご相談も承っております。
また、TwitterやLINE、TikTokなどのSNSでも情報を発信していますのであわせてご覧ください。
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まとめ
PTSDは一般的にはトラウマ体験から数ヵ月で自然回復していくと言われていますが、中には1年以上治らず慢性化してしまう方もいます。
また自己治療のために飲酒、喫煙、カフェインを接種した場合、うつ病、アルコール、薬物依存症などの合併症を引き起こすおそれもあります。
シンプレ訪問看護ステーションではPTSDのみならず、さまざまな精神疾患を専門にサポートしているのでおひとりで抱え込まず、一緒に治療していきましょう。
ぜひお気軽にご相談ください。
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