解離性障害の治療法と症状を徹底解説|診断・生活支援・訪問看護の活用まで
解離性障害は、強いストレスや心の負担によって「記憶が抜け落ちる」「気持ちが急に切り替わる」など、日常生活に大きな影響が出ることがあります。
症状が周囲に理解されにくいことも多く、ご本人やご家族が不安を抱えやすい状態といえるでしょう。解離性障害の治療には段階的な支援が必要であり、適切な診断とケアを受けることで穏やかな生活を取り戻せる可能性が高まります。
本記事では、解離性障害の基本から治療の特徴、日常での関わり方までを丁寧に整理し、安心して過ごすためのポイントを解説します。
そもそも解離性障害とは?

解離性障害とは、強いストレスや心的負荷をきっかけに、記憶・意識・感情・人格などの統合が一時的に保てなくなる状態を指します。
外傷体験や長期的な緊張などが背景にあることが多く、日常の出来事が断片的になったり、自分が自分でないように感じたりすることもあります。
こうした症状は決して珍しいものではないものの、周囲からは分かりにくく、ご本人も気づきにくいケースが少なくありません。
解離性障害の定義
解離性障害は「意識や記憶、自己意識のつながりが途切れる」状態が特徴で、本来ひとつにつながっているはずの心の働きが一時的に分断されます。
これは脳の機能が低下するというより、強い精神的ストレスから自分を守るための心の反応と考えられています。
突然の記憶の抜け落ちや、自分を外から見ているような感覚が続く場合には、早めに専門家へ相談することが重要です。
解離性障害の種類(解離性健忘・解離性同一性障害など)
→出来事の記憶を思い出せなくなる症状
解離性同一性障害(多重人格障害)
→複数の人格が交代して現れる
離人感・現実感喪失症候群
→自分や周囲が現実でないように感じる。
解離性障害にはいくつかのタイプがあり、症状の現れ方も異なります。
過去の記憶が部分的に抜け落ちる「解離性健忘」、複数の人格が交代しながら現れる「解離性同一性障害」、現実感が薄れ周囲が遠く感じる「離人・現実感消失症」などが挙げられます。
タイプが異なっても、背景には強いストレスが存在することが多く、症状を理解しながら丁寧に治療を進めることが必要です。特に「自分がした行動の記憶がない」といった症状は安全面にも影響するため、周囲の見守りや専門のサポートが大切になります。
解離性障害の診断について

診断の流れ(問診・臨床面接)
解離性障害の診断では、まず丁寧な問診と臨床面接が中心となります。生活の様子や気になる症状、記憶の抜け落ち方、人格の変化が起きる場面などを確認し、症状の特徴や頻度を明らかにしていきます。
特に「いつから」「どのような場面で」症状があらわれるのかは診断において重要で、本人が話しにくい内容もゆっくり時間をかけて聞き取りながら進められます。
必要に応じて、家族や周囲の方の意見も参考にし、解離性障害の治療へつなげるための土台を整えていきます。
除外されるべき他の疾患との違い
診断では、うつ病・統合失調症・PTSD・てんかん発作など、似た症状を示す可能性のある疾患を慎重に除外することが欠かせません。
例えば、記憶が途切れる症状は複数の疾患に見られるため、背景にトラウマがあるか、意識消失を伴うか、感情や思考の変化がどのように起きるのかなどを総合的に確認します。
人格の変化や記憶の断片化が中心で、意識障害や幻覚が主体でない場合は、解離性障害の可能性が高まります。こうした鑑別を経て、より適切な治療方針を選択できるようになります。
診断に使われるチェックリスト
解離性障害の評価では、「DES(解離性体験尺度)」などの専門的なチェックリストが活用されることがあります。日常でどの程度解離症状が起きているか、どの状況で強くなるかを数値化することで、治療の方向性を判断しやすくなります。
これらのチェックリストは自己評価形式のものも多く、ご本人の状態を整理するうえでも役立ちます。また、注意力や記憶力の変化を把握するための心理検査が併用されることもあり、総合的な視点で診断を進めていきます。
解離性障害の方の治療方法

精神療法(心理療法)
解離性障害の治療では、まず精神療法が土台となります。安心できる環境の中で、症状が起こる背景や感情の動きを整理し、ストレスとの向き合い方を身につけていきます。
特にトラウマが影響している場合には、段階的に過去の体験と向き合う方法を用いながら、心の負担を軽減していきます。また、日常生活で解離症状が強まる場面を確認し、対処しやすい行動パターンを見つけることも大切です。
治療には時間がかかることもありますが、解離性障害の治療において精神療法は最も中心的なアプローチといえます。
薬物療法
解離性障害そのものを直接改善する薬は存在しませんが、不安・抑うつ・睡眠の乱れといった随伴症状に対して薬物療法が用いられることがあります。
必要最小限の薬を用いることで、生活リズムを整え、精神療法が進めやすい土台づくりにつながります。不安が強いと解離症状が悪化しやすいため、心身の安定を保つための薬の調整は有効です。
服薬は医師の指示に基づき、継続的なモニタリングを受けながら慎重に進められます。
生活支援
治療の過程では、日常生活での困りごとを減らすためのサポートも重要です。食事や睡眠、外出などの生活リズムを整えることで、解離症状が出にくい環境を整えることができます。
また、ストレスを避けるための工夫や、安心できる人との関わりを増やすことも再発予防に役立ちます。生活支援は医療だけでなく、地域の支援機関や訪問看護が関わることで、より継続的で実践的なサポートが可能となります。
家族や周囲の対応方法
ご家族や周囲のサポートは治療を進めるうえで非常に大切です。症状が突然あらわれることもあるため、否定したり責めたりせず、まず「安全を確保する」ことが基本となります。
また、ご本人が困っている場面を共有し、どのような声かけが安心につながるのかを一緒に考えていくことが支えになります。周囲の理解が深まることで、ご本人も治療に前向きに取り組みやすくなり、再発予防にもつながります。
解離性障害の方の訪問看護の活用について

解離性障害への訪問看護の有効性
解離性障害は、日常生活の中で突然症状があらわれることも多く、通院だけでは対応しきれない場面が生じることがあります。
そのため、自宅でのサポートが受けられる訪問看護は大きな支えになります。訪問看護では、症状が出やすい時間帯や生活環境に合わせて支援を行えるため、安心して過ごせる時間が増えることが特徴です。
特に「記憶が抜け落ちる」「急に気持ちが切り替わる」などの症状がある場合、自宅で安全を確保しながら見守りと支援を行うことは、解離性障害の治療を継続する上で大きな力となります。
訪問看護でできること(服薬管理・日常生活支援など)
→薬の飲み忘れや副作用の確認
症状のモニタリング
→体調や心理状態のチェック
ストレスマネジメント支援
→セルフケアの方法やリラクゼーション法の指導。
家族への支援
→ケアに関わる家族への相談や情報提供
医療機関との橋渡し
→主治医やケースワーカーとの情報共有
訪問看護では、症状の安定と生活のしやすさを整えるためにさまざまな支援を行います。代表的なものとして、薬の飲み忘れを防ぐための服薬管理、睡眠・食事など生活リズムの調整、過度なストレスがかからないよう環境の整え方を一緒に考えるサポートなどがあります。
また、ご本人が抱える不安や混乱を丁寧に聞き取り、必要に応じて医療機関との連携を図ることも可能です。症状が不安定な時期でも「自宅で落ち着いて過ごせる環境づくり」を支えることが訪問看護の大きな役割です。
精神科訪問看護の料金
| 負担割合 | 月の初回訪問 | 2回目以降 |
|---|---|---|
1割負担![]() | 1,299円/回 | 855円/回 |
2割負担![]() | 2,598円/回 | 1,710円/回 |
3割負担![]() | 3,897円/回 | 2,565円/回 |
上記は週3回までの訪問料金となります。週4回以上訪問となる場合には料金が異なります。
精神科訪問看護では、医療保険を利用することにより自己負担を軽減できるメリットがあります。
30分を一区切りに利用可能。かかった費用については、年齢や所得によって変わり、医療費の1〜3割が自己負担となります。
また早朝や深夜などの時間外に依頼する場合や、長時間の訪問を行う場合は別途料金が発生します。
また自立支援医療制度という制度を利用すると料金が1割負担になるほか、所得に応じて自己負担が0円になる場合もございます。
精神科訪問看護は医療保険が適用されるため、比較的利用しやすい料金体系となっています。
自立支援医療制度(精神通院)を利用することで、自己負担が1割になるケースも多く、継続的な支援が必要な方でも無理なく利用できます。また、生活保護や心身障害者医療費助成制度、子ども医療費助成制度など、状況に応じて利用できる制度が複数あります。
料金は訪問時間(30〜90分)や訪問回数によって異なりますが、生活状況に合わせて調整できるため、負担を抑えながら治療と生活を両立しやすくなっています。
シンプレ訪問看護ステーションのご紹介

シンプレ訪問看護ステーションの特徴
シンプレ訪問看護ステーションでは、精神科に特化した訪問看護を提供しており、解離性障害の方にも安心して利用いただける体制を整えています。
看護師・准看護師・作業療法士などの専門職員が在籍し、症状の変化に合わせて柔軟に支援を行える点が強みです。特に、症状が不安定な時期でも自宅で安全に過ごせるよう、服薬の見守りや生活面の相談など、丁寧なサポートを実施しています。
解離性障害の治療は継続が大切ですが、通院が負担になる時期でも訪問看護を利用することで安定した支援が受けられるため、ご本人・ご家族の負担を大きく軽減できます。
また、当ステーションではご家族へのサポートにも力を入れており、症状への理解を深め、安心して関われるような情報提供も行っています。
急な症状の変化に不安を感じた際には、訪問時に相談できる環境が整っているため、日常生活の中で無理なく治療を続けるための支えになります。
シンプレ訪問看護ステーションの対応エリア
-
<東京都>
・東京23区
※足立区、荒川区は1部エリアとなります。
・西東京市
・三鷹市
・調布市
・武蔵野市
・府中市※1部エリア
・東久留米市※1部エリア
<埼玉県>
・和光市
・朝霞市
・戸田市※1部エリア
・川越市※1部エリア
・新座市※1部エリア
・川口市※1部エリア
シンプレは、東京23区を中心に、西東京市・武蔵野市・三鷹市・調布市・府中市・東久留米市、さらに埼玉県の一部地域にも訪問しています。近隣の市区町村でも訪問可能な場合があるため、まずはお気軽に相談ください。
地域ごとの特性を踏まえながら、利用者さまが生活しやすい形で支援を調整できる点も特徴です。
訪問は週1~3回を基本とし、状況によっては週4回以上の対応も可能です。
訪問時間は30分~90分と柔軟に設定でき、祝日や土曜日の訪問にも対応しているため、忙しいご家庭でも利用しやすい環境が整っています。
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まとめ

解離性障害は精神療法が中心の治療となる
解離性障害は、強いストレスやトラウマ体験などが背景にあり、記憶の抜け落ちや自己感覚のゆらぎなど、日常生活に影響が出やすい特徴があります。
そのため、治療の中心となるのは、心の安全を確保しながら症状と向き合っていく精神療法です。焦らずに自分のペースで取り組むことが大切であり、解離性障害の治療は長期的な視点を持ちながら進めることが成功につながります。
薬物療法や生活支援も併用される
精神療法だけでは負担が大きい場合や、不安・抑うつ・睡眠の乱れが強いときには、薬物療法が補助的に用いられます。
また、生活リズムが乱れると解離症状が強まりやすいため、日常生活の調整やストレスを減らすための生活支援も重要です。治療は一つの方法だけで成立するのではなく、複数のアプローチを組み合わせることで効果が高まります。
訪問看護は日常生活を支える有効な手段
症状が安定しない時期や、通院が負担になりやすい方にとって、訪問看護は治療継続を助ける大きな支えとなります。
自宅という安心できる環境で支援を受けられるため、症状が出やすい時間帯のケアや生活リズムの調整、服薬サポートなど、実践的な支えが可能です。
再発予防にもつながるため、治療の一環として訪問看護を活用する価値は大きいといえます。
一人で抱え込まず専門機関に相談することが大切
解離性障害は周囲から理解されにくい面があるため、ご本人やご家族が不安を抱え込みやすい傾向があります。
しかし、専門的な支援を受けることで、症状の安定や生活のしやすさが大きく変わります。「相談してもいいのだろうか」と迷う必要はなく、早めに専門機関へつながることが安心につながります。
訪問看護や医療機関、地域の相談窓口など、利用できる支援を積極的に活用していくことが大切です。
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