多重人格の原因はなに?どんな病気なのか治療法や相談窓口を紹介

多重人格は現在『解離性同一症』と呼ばれているもので、一人の人間の中にいくつもの人格が現れてしまう障害です。
別人格のときの記憶がないことが多く、生活する上で大きな支障をきたすことも少なくありません。
今回は、多重人格(解離性同一症)の原因や相談できる医療機関、治療の流れなどについて詳しく紹介します。
解離性同一性障害(多重人格)の原因
幼少期の過酷な状況
解離性同一症は多重人格障害ともよばれる神経症のことです。原因の一つとして、こどものときに予想をはるかに超えたはげしい苦痛や体験による心的外傷(トラウマ)がひきおこされます。
発症するとひとりの人間の中に、まったく別の人格が複数存在するようになり、このような心と別の人格があることを「解離(かいり)」とよびます。
おもに、幼少期にひどい虐待や育児放棄(ネグレクト)をうけていたことが原因です。
虐待からのつらい苦痛から逃がれるために、本来の自分の殻にひきこもり別人格が形成され、解離性同一症をひきおこすとされています。
人間関係でのつらい経験
多重人格をひきおこす解離性同一症は、人間関係でのつらい経験やストレスなどでもひきおこす可能性があります。
ただし、つらい経験やストレスの感じ方は個人差があり、それぞれ発症するケースは異なります。
たとえば、会社や学校での人間関係のこじれやいじめです。上司からのパワハラや、学校や部活での友人からのいじめなど、会社や学校でのつよいストレスによって発症するケースがあります。
そのため多重人格(解離性同一症)は、上記のように人間関係でつらい経験、または仕事のストレスによって発症し、またその症状が更ににつよくなることがあります。
死を予感するような体験
死を予感するような体験とは、交通事故などに巻き込まれ、自分自身が重体になる経験のことや、または、かぞくやともだちなどが亡くなる経験などのことをさしています。
またそのときに負った心のきずのことを、トラウマ(心的外傷)といいます。
トラウマとは、上記のような非日常的な体験をすることで、こころに深いきずを負ってしまい、心身の状態が本来の役割をはたせなくなった状態のことです。
トラウマは、ケガをしてから何らかのストレス反応がおき、その状態が長く見られるような場合には治療が必要になります。
解離性同一性障害(多重人格)の主な症状
健忘
定期間のことを思い出せない
度忘れ
一時的にある事柄を忘れてしまう
一定期間の記憶の欠落
・記憶が一時的に飛ぶ
・身に覚えのないことが起こった
ここでいう健忘(けんぼう)とは、身体的なきずなどが原因ではなく、心のきずやストレスによってひきおこされる記憶障害のことをさし、解離性健忘のことです。
特定の記憶の空白の例としては、幼少期に数カ月から何年も虐待を受け経験した日々など、特定の出来事または特定の期間を忘れることがあげられます。
度忘れの例としては、特定のカテゴリーや側面の情報を忘れることをさし、コンピュータの使い方を一時的に忘れることなどです。
ほとんどの患者さんは、自分の記憶に空白期間があることにきづきません。
または、部分的にしかきづいてなく、身に覚えがないことに証拠がでてきたり、他人からの指摘や記憶がよみがえることによって、ようやく失われた期間にきづきます。
複数の人格の出現
健忘になると、自分自身ではなく別の人格が形成されている可能性があり、別の人格は「憑依型型」と「非憑依型」に区別されます。
憑依型
憑依型は、別の人格の存在が他人にもはっきりとわかり、あきらかに普段とことなる言動や行動がみられ、まるで別の人間が乗りうつったように見えます。
憑依型は、ほかの人物、死亡した人や悪魔または神様である場合があり、過去の行為にたいする罰をもとめてくることがあります。
非憑依型
一方非憑依型は、ほとんどの場合一見して別の人格の存在がいるようにみえません。
別人が乗りうつっているかのように振る舞うのではなく、まるで自分が出演しているドラマを見ているような切り離されているような感覚をもちます。
その他の症状
頭痛など肉体的苦痛の発露
気分の落ち込み
急に不安になる
物質乱用・自傷行為・自殺行動
不安から逃れる為に行う行為
その他
・幻聴、幻覚
・フラッシュバック
多重人格(解離性同一症)は、たびたび他の精神障害や身体疾患に似た症状をうったえることがあります。
たとえば、重度の頭痛などの苦痛を生じることがあり、過去の体験を思い出すことで、頭痛などが反映されることがあります。
ほかにも、複数ある人格が過去の不幸を思い出すことによって、気分が落ち込んだり、急に不安になったりするケースがあります。
また、物質乱用(違法薬物を使用すること、もしくは処方薬、またはアルコールなどを意図された目的以外で、過剰に摂取・使用すること)や自殺行動を起こしてしまうこともあります。
別の人格の声がきこえることによって、他の種類(触覚、嗅覚、視覚など)の幻覚を経験し、フラッシュバックを生じることもあります。
解離性同一性障害(多重人格)の治療方法
心理療法
多重人格(解離性同一症)では、心的外傷とのかかわりがあるため、治療方法についてもそれにあわせた心理療法が必要です。
心理療法をはじめる前に、患者さんの安全を確保することが前提であり、いまでも暴力に脅かされている患者さんは、まずそこから脱出・救助することが心理療法において先決です。
通常、多重人格(解離性同一症)の治療目的は、複数の人格をひとつに統合することです。
統合がむずかしい場合には、複数の人格同士との協調性をもたせ、正常に役割をはたすことが目標となります。
治療はやさしいことだけではなく、気長に、根気づよく続けることが大切になります。
リラクセーション法
経済的や時間的な制約などによって、いつでも治療をうけることができない可能性があります。
そんな中、呼吸法、イメージ法や筋弛緩法などのリラクゼーション法は、不安や緊張をゆるめるには有効な手段です。
たとえばイメージ法では、ゆっくりと呼吸をしながら、アロマオイルを焚くなどし、リラックスします。
患者さん自身が「安全で、安心できる場所にいること」を具体的に想像し、不安や緊張をやわらげ心の状態を安定にたもちます。
不安や抑うつなどに対する薬物療法
不安等を一時的に抑えるため
選択的セロトニン再取り込み阻害薬
心的外傷後ストレス障害に有効とされている
多重人格(解離性同一症)の治療に有効な薬物療法はないといわれており、カウンセリングを中心に治療をすすめることが一般的です。
そのため、強い不安や恐怖、うつなどの症状を緩和するために、抗うつ剤を処方することがあります。
しかし抗うつ剤では、多重人格(解離性同一症)の根本的な治療にはならなく、依存性をもたらす可能性や、衝動をおさえられなくなってしまう可能性があります。
また心的外傷後、ストレス障害にたいする有効性が報告されている薬剤(選択的セロトニン再取り込み阻害薬など)の投与がこころみられることがあります。
多重人格(解離性同一症)の相談先は?
専門家による相談窓口
どこに行けばいいかわからないときがあるので、精神科クリニック、地元の保健所や精神保健福祉センターなど、専門家による相談窓口についてご紹介いたします。
精神科病院・クリニック
精神科病院・クリニックでは、医師によるこころの悩みや問題をもっているかたの診療をしています。
必要に応じて、身体一般検査や血液検査などを行い診断し、心理療法、投薬やカウンセリングなどをして治療をおこないます。
保健所、保健センター
こころに対しての健康保健、医療、福祉や障害福祉サービスなどの申請受付や相談、保健師による訪問などの支援をおこなっています。
また電話相談、面談や家庭を訪問して相談をおこなうことができます。
精神保健福祉センター
精神保健福祉センターは各都道府県にかならずあります。
「こころの健康センター」などとよばれている場合もあり、こころの健康や精神科医療についての相談などができ、医師、看護師、保健師、精神保健福祉士などが在籍しています。
いのちの電話
「いのちの電話」では、さまざまな問題をかかえて孤独と不安に苦しみ、悩み、生きる力を失いかけている人々に、生きる意欲を自らみいだせるように心のささえになる団体です。
2022年時点では、「いのちの電話」は全国に50ヵ所あります。
精神科訪問看護を利用するという選択肢もある
サービス名 | 精神科訪問看護 |
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職種![]() |
・看護師 ・准看護師 ・作業療法士 |
訪問日数![]() |
原則週3日以内 (※例外もあります。) |
多重人格(解離性同一症)の方には、精神面でのフォローのほか、身体的な症状に対するケアなどが必要なことがあります。
「解離性同一症と診断された」または「かぞくが解離性同一症と診断されたけど、どうしたらよいかわからない」など、ご本人や家族の困り事や悩みにた対して、自宅で看護をうけられるのが精神訪問看護です。
精神訪問看護では、精神症状の悪化の防止、対人関係の維持・構築、かぞく関係のフォローや病気とのつきあいかたなどを一緒に考え、利用者さまにあわせた看護を提供します。
精神疾患をお持ちならシンプレ訪問看護ステーションへ
当ステーションの特徴
多重人格(解離性同一症)への有効な薬剤はなく、その対応やケアについてはまだまだ課題が多いです。
シンプレ訪問看護ステーションでは、特に精神科に特化した訪問看護サービスを展開し、患者さんが自宅でも安心してケアを受けられる看護を提供しています。
患者さんの中にはやはり、「暮らし慣れた自宅でケアを受けながら社会復帰を目指したい」という方もいるので、そのような方をお手伝いするサービスです。
また患者さんだけでなく、そのごかぞくの精神的なフォローにも対応し、皆さんと一緒に前向きに生活を改善していくことを目指しています。
精神科訪問看護についてくわしく知りたい方は、まずはシンプレ訪問看護ステーションへ相談してみてください。
精神疾患の一例
個人に対して複数の人格を宿している
うつ病
・一日中気分が落ち込んでいる
・眠れない・疲れやすい・食欲がない
PTSD
・時間がたってからもトラウマが残っている
・トラウマからくる原因への逃避行動
自閉スペクトラム症
・正常な社会的関係を構築ができない
・強迫的な行動や儀式的な行動がみられる
統合失調症
・幻覚や妄想という症状が特徴的
・生活に支障をきたしてしまう
その他精神疾患全般
シンプレ訪問看護ステーションではすべての精神疾患が対象です。
精神疾患には、多重人格(解離性同一症)のほかにも、うつ病、PTSD、自閉スペクトラム症や総合失調症などがあり、気分の落ち込みや幻覚・妄想など心身に様々な影響が出る疾患の事をいいます。
主な原因としては、脳内の神経伝達物質のみだれなどによって起こるとされています。
また厚生労働省の調査によると精神疾患のあるかたは、平成29年度で日本国内に約420万人いるとされ、年々増えつづける傾向です。
シンプレの対応エリア
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<東京都>
・東京23区
※足立区、荒川区は1部エリアとなります。
・西東京市
・三鷹市
・武蔵野市
<埼玉県>
・和光市
・朝霞市
・戸田市※1部エリア
・新座市※1部エリア
シンプレ訪問看護ステーションの対応地域は、主に上記が中心で訪問活動をおこなっています。該当エリアにお住まいのかたは、ぜひご検討ください。
また上記以外のエリアにお住まいのかたでも、対応できる場合がございますので、一度当社スタッフへご相談ください。
利用者の状態や環境などを総合的に考え、対応できるか判断させていただきます。電話やメールなどで相談をうけつけていますので、お気軽にご連絡ください。 ご相談の問い合わせはこちら▼
まとめ
ここまで多重人格(解離性同一症)についてご説明してきました。多重人格は、こどもの頃のつらい体験や人間トラブルなどによって発症し、健忘や複数の人格をあらわします。
現在の医学において、その治療には有効的なお薬はなく、心理療法しかありません。そのため患者さんに対して、日常レベルからのケアや支援がまだまだ必要です。
シンプレ訪問看護ステーションでは、多重人格(解離性同一症)への看護についても対応をしており、専門のスタッフがご自宅に訪問しサポートいたします。
多重人格(解離性同一症)でお悩みのかたは、ぜひお気軽にご相談ください。
ご相談の問い合わせはこちら▼