知的障害はIQでどう分類される?くわしい診断基準や相談窓口のまとめ

IQがどの程度のレベルになると知的障害と判断されるのだろうか?と疑問をお持ちですか?
IQとは知能指数のことで、知的障害の重症度を分類するうえで重要な指標となります。
しかし、診断をするにはさまざまなことを考慮しなくてはいけません。
そこで今回は、知的障害と診断する際のIQ以外の要素などについて紹介します。
知的障害はIQでどう分類される?
70以下から50〜55
中等度
50〜55から35〜40
重度
35〜40から20〜25
最重度
20〜25以下
知的障害とは、知的能力と社会生活への適応機能が低く、日常生活をおくるのが難しく、発達期に生じていることをいいます。
知的障害の診断は、知的能力を表すIQと日常生活への適応機能などを総合的にみたうえで、判断していきます。
「軽度」・「中等度」・「重度」・「最重度」の4つにわかれ、知的能力をあらわすIQから判断する場合は、上記のようになります。
一般的にIQが70以下から知的障害がうたがわれ、IQが低いほど知的障害の重症度が高くなります。
IQだけでは判断できない?IQ以外の要素
適応機能の欠陥または不全
読み、書き、計算における判断能力領域
社会的領域
・他者の思考、感情、体験の認識領域
・対人コミュニケーションに関する領域
実用的領域
実生活での学習および自己管理の領域
(セルフケア、行動の自己管理など)
適応機能は、日常生活や社会生活に必要な能力がほかの同じ年齢のひとに比べて、どれくらい低いのかを基準に判断します。
具体的には、記憶、言語、数量や時間などの概念を理解する能力。
対人関係におけるコミュニケーション能力や、お金の管理や食事の準備など日常生活を過ごすうえで必要となる能力などがあげられます。
この3つの能力の中で適切な行動をとるために支援が必要なことが1つでもあれば、適応機能が低い可能性があるといわれています。
※IQで重症度をおおまかに分類できますが、IQだけで知的障害を判断するわけではなく適応機能を測定する必要があります。
発症が18歳以前
現在、知的障害の原因ははっきりと解明されておらず、主な要因に病理的要因・生理的要因・環境要因の3つの面があると考えられています。
ひとつの要因で起こるだけではなく、それぞれが複合して発生する場合もあるともされています。
そのため最初にご説明した通り、知的障害とは知的能力と社会生活への適応機能が低く、日常生活が難しく、発達期(18歳以下)に生じている状態のことです。
※なお、18歳をすぎてからおこった知的能力や適応機能の低下は、知的障害とは判断されません。
知的障害の診断はどのようにされる?
標準化知能検査
- ウェクスラー系
- ビネー系
標準化知能検査とは、IQなどを測定するための検査です。検査にはさまざまなタイプがあり、IQだけではなくほかの指数もはかります。
一般的に、知能検査ではウェクスラー系とビネー系の2つが主にもちいられ、それぞれちがう特徴があります。
ウェクスラー系は、年齢ごとに分類されWPPSI(3歳10ヶ月〜7歳1ヶ月まで)、WISC(5歳から16歳11カ月まで)、WAIS(16歳から成人まで)の3つにわかれます。
ビネー系は、現在は田中ビネー知能検査Ⅴとよばれ、2歳から成人まで検査が可能です。
適応機能
知的障害の判断については、知能検査の数値以外に適応機能を評価します。
適応機能とは、日常生活でその人に期待される要求に対して、適切に対応し自立しているかをあらわす機能です。
適応機能検査では概念、社会性、実用性について能力を測定し、判断します。
くわしく説明すると、1つは概念スキル(会話、読み書き、学力など)。
2つ目は社会性スキル(あそび、集団行動、対人スキル、ルールや法を守ることなど)。
3つ目に実用スキル(食事、排泄、そうじなどの身辺自立度、仕事、お金の管理など)のことです。
それぞれのスキルについて問診などでたしかめ、支援の必要度を評価します。
医学的検査
- 血液生化学検査
- 尿検査
- 脳波
- 発電位検査
- 頭部CT
- 神経画像検査
知的障害をしらべるために、上記のような医学的検査をおこないます。
また染色体検査やDNA検査をおこなうこともあり、診断の確定や治療のために神経や筋肉などが必要な場合もあります。
しかしながら医学的検査だけでは、いまだはっきりとした判断をすることは困難です。
ですが自閉症は血液検査からでもわかるようになり、幼児期から判断できるようになってきました。
知的障害と併存してしまう疾患は?
自閉スペクトラム症
発達障害のひとつである自閉症は、知的障害が併合してあらわれることは少なくありません。
コミュニケーションをとることが苦手なことやこだわり行動のある自閉症は、さまざまな併存症があり、約70%以上の人がさらにもう1つの精神疾患をもっているといわれています。
また集中力がないことやじっとしていられない症状がある注意欠陥・多動性障害(AD・HD)も併合することが多いです。
そのほかにも読む事や書くことが困難な学習障害(LD)なども知的障害と併存する可能性が高いことが知られています。
睡眠障害
- 不眠
- 過眠
- いびき、無呼吸
- 睡眠中の異常行動
睡眠障害とは、上記のような症状をいい、なにかしらの睡眠に関する問題があることをさしています。
自閉症やADHDなどを診断されたかたは、睡眠障害が併合していることが多いです。
とくに乳幼児期では、寝つきがわるかったり、ちょっとの音で目を覚ましたり、睡眠リズムが確立しにくい傾向がいちじるしくみられることなどが知られています。
原因のひとつとして、成長の過程において脳の機能が不十分であり、睡眠と覚醒を調節する中枢神経系の機能不全の可能性がかんがえられています。
てんかん
てんかんの症状は、脳の中で異常な電気信号がおこり、その症状はじつにさまざまです。
たとえば脳の一部でおこった場合では、ひかりがチカチカ見えることや手がピクピク動くなど、患者さん自身がかんじられる症状にちがいがあります。
そのなかでも18歳ごろまでに発症するてんかんを「小児てんかん」といい、小児てんかんは1歳までに発病することがもっとも多いです。
また小児てんかんは、精神的な合併症をともなう可能性が高く、自閉スペクトラム症では5〜38%でてんかんが併存することなどが報告されています。
知的障害に関する相談窓口
・福祉事務所
・知的障害者更生相談所
・知的障害者相談員
知的障害がある子どもについて
・保健所、保健センター
・児童相談所
・市区町村の相談窓口
・児童発達支援センター
仕事について
・ハローワーク
・地域障害者職業センター
・障害者就業、生活支援センター
・就労移行支援事業など
現在、手帳を持つ知的障害児又は知的障害者の数は109.4万人。そのうち施設への入所者数は13.2万人(全体の約12%)です。(参照:令和4年度版 障害者白書)
ある程度の知的障害者はグループホームなどで暮らせるようになりましたが、しかしまだまだ自立生活をささえる仕組みが十分にすすんでいるとはいえません。
いまだに自宅でひっそりとくらし、悩んでいる方がたくさん存在するといわれ、今後「親亡き後」もあんしんできるサポート体制づくりがおおきな課題とされています。
知的障害に関するお役立ち情報
生活を支援する制度やサービス
まず初めに、療育手帳や障害福祉サービスなど生活を支援するサービスについて紹介します。
療育手帳(障害者手帳)
障害者手帳とは、身体障害手帳、療育手帳、精神障害者保険福祉手帳の3つにわかれ、そのうち療育手帳は「愛の手帳」ともよばれています。
療育手帳は、児童相談所などで知的障害があると判定されたかたに交付され、障害者雇用の応募、就労に関するサポートや交通運賃の割引などをうけることが可能です。
障害福祉サービス
ホームヘルプ(入浴・排泄などの介護、料理・そうじなどの家事の援助)、外出の介護や施設へのショートステイなど、さまざまな福祉サービスを利用することができます。
障害福祉サービスを利用するには「障害福祉サービス受給者証」の交付が必要となり、お住まいの市区町村へ申請して認められると交付されます。
支援団体・ネットワークなど
次に、支援団体などのサービスについて紹介いたします。
全国手をつなぐ育成会連合会
知的障害者への権利擁護と政策の提言をおこなうため、全国各地の「手をつなぐ育成会」の連合体のことです。
「手をつなぐ(月刊誌)」の発行、生活の場ででくわすトラブルを相談できる「障害者110番」や研修会など、知的障害のあるかたやその家族にむけたサポートをおこっています。
全国重症心身障害児(者)を守る会
重症心身障害児(者)とは、重度のからだの不自由と、重度の知的障害をあわせもったかたのことです。
1966年に全国重症心身障害児(者)を守る会は設立され、幼児から成人までの重症心身障害に関する情報の提供、相談、あんしんノートの作成や療育キャンプなどを実施しています。
精神科訪問看護を利用するという選択肢
サービス名 | 精神科訪問看護 |
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職種![]() |
・看護師 ・准看護師 ・作業療法士 |
訪問日数![]() |
原則週3日以内 (※例外もあります。) |
精神科訪問看護とは、精神疾患をかかえるかたや精神的な理由でサポートが必要なかたのご自宅を訪問し、看護を提供する制度です。
看護師などの医療従事者がご自宅を訪問し、身のまわりのこと、食生活でうまくできないことや心のケアなど治療の支援をおこないます。
またご家族へのサポートもあわせておこなっており、ご家族の不安や悩みについてお聞きし、利用者さまを取り巻く環境を整えていく役割も担っています。
入院や通院などとの違いは、ご本人のライフスタイルに合わせてご自宅で看護サービスを受けられ、症状や困りごとに合わせた看護が可能となることです。
精神科訪問看護ならシンプレへ!
当ステーションの特徴
シンプレ訪問看護ステーションは、精神科に特化した訪問看護サービスを展開しており、種精神疾患から依存症まで多くの症状に対して訪問看護をおこなっています。
精神科経験のあるスタッフや精神科訪問看護の資格を持ったスタッフが訪問看護し、利用者さまの希望や目的にあわせたサポートをおこなうことを目標としています。
また、利用者さま本人だけでなくそのご家族の精神的なフォローにも対応し、一緒に前向きに生活を改善していくことをめざしています。
訪問看護することにより、ご本人の病状をしっかり管理・治療をしながら、一人ひとりの利用者さまに合わせたコミュニケーションをとることが弊社の特徴です。
精神疾患の一例
・正常な社会的関係を構築ができない
・強迫的な行動や儀式的な行動がみられる
うつ病
・気分が落ち込む
・罪の意識を感じて自分を責める
・希死念慮
発達障害
・生まれつきの障害
・多動的、衝動的な行動をとりやすい
・学習面において困難な場合がある
その他精神疾患全般
上記は、精神疾患の一例です。
自閉症で社会的関係の構築がむずかしい場合やうつ病により日常生活が送れなくなることなど、精神になにかしら問題があることをまとめて精神疾患といいます。
シンプレ訪問看護ステーションでは、とくに精神疾患の専門知識や臨床での経験が豊富なスタッフがたくさん在籍しており、あらゆるカテゴリーの精神疾患に対応しています。
シンプレの対応エリア
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<東京都>
・東京23区
※足立区、荒川区は1部エリアとなります。
・西東京市
・三鷹市
・武蔵野市
<埼玉県>
・和光市
・朝霞市
・戸田市※1部エリア
・新座市※1部エリア
シンプレ訪問看護ステーションの対応地域はおもに上記が中心で、訪問活動をおこなっています。該当エリアにお住まいのかたはぜひご検討ください。
また上記以外のエリアにお住まいでも、対応できる場合がございますので、一度当社スタッフへご相談ください。
年齢に関わらずご利用することが可能で、サービス内容を詳しく聞きたい、スケジュールの相談なども承っております。
電話やメールなどで相談を受けつけていますので、まずはお気軽にご連絡ください。
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まとめ
知的障害にはIQなどが深く関係しており、重症度などをはかるためにさまざまな検査があります。
療育手帳、障害福祉サービスや全国に各支援団体がありますが、そのサポートはいまだ十分とはいえません。
精神疾患をかかえるかたには、「やりたくてもできない」「不安が強くてできない」など、外にでることが出来ずに、ご自宅で悩まれているかたがたくさんおられます。
私たちシンプレ訪問看護ステーションでは、そうした不安感や困難感を感じているかたと向き合い、チームでサポートできる体制をととのえています。
精神科訪問看護についてくわしく知りたいかたは、まずはシンプレ訪問看護ステーションへお気軽にお問い合わせください。
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