「精神疾患」「精神障害」「精神病」の違いってなに?

精神疾患とは、ふつうの人とは異なる精神状態にあり、特有の苦しみや、からだに障害があらわれる症状をまとめて呼ぶという決まりがあります。
では、普段から用いられている精神障害や精神病という言葉は、どのような意味があるのでしょうか。
今回は精神疾患・精神障害・精神病の意味の違いについて、それぞれ紹介していきます。
精神疾患の意味と違い

精神疾患の意味とは?
精神疾患とは、脳の機能的な障害や器質的な問題によって生じる精神的な疾患の総称です。
いわゆる平均や価値の基準から見て偏った精神状態のことで、珍しい病気ではありません。生涯を通じて5人に1人が患うといわれています。
精神疾患の原因は様々な要因が複雑に関与しており、遺伝子要因、ストレス、身体疾患、環境要因などが原因の一つに挙げられます。
精神疾患と精神障害・精神病の違いとは
精神的な病気の総称
精神障害
精神疾患により生じる障害
精神病
幻覚・妄想系の精神疾患
精神疾患と精神障害・精神病の違いをわかりやすく上記にまとめましたので、こちらを参考にしてください。
「精神障害」は精神疾患から日常生活や社会参加に困難をきたしたり、判断能力や行動のコントロールが著しく低下している状態のことを指します。
「精神病」は、精神疾患の中でも主に妄想・幻覚・まとまりのない会話などの症状がある疾患群を指します。
精神障害とは精神疾患で生じる障害のこと
先述したとおり、精神障害とは統合失調症、うつ病、双極性障害、不安性障害などの精神疾患から生じる障害のことと言われています。
精神疾患から生じた障害により感情のコントロールができなくなったり、日常生活や社会参加に困難をきたしたり、悪化すると周りのサポートが必要になります。
例えば不安性障害の場合、公共の場等の狭い空間でパニックになったりしてしまいます。
精神病とは幻覚・妄想系の精神疾患の総称のこと
精神病は妄想・幻覚、まとまりのない会話・行動が目立ち、感情や行動などに著しい偏りが生じるさまざまな疾患のことを指します。
幻覚・妄想系の精神疾患の総称のことですが、厳密にはうまくコミュニケーションが取れない症状で、統一された定義はありません。
一般的に「精神疾患」を指して使われることが多く、例えば統合失調症や妄想性障害のことを精神病と呼ぶこともあります。
精神疾患を意味する病気

精神疾患は病状ごとに細分化されている
確かな原因や病態が不明なことの多い精神疾患。症状には数多くの種類があり、病状ごとに細分化されています。
症状や検査などで判断した時に、特徴を有するカテゴリーとしてF00〜F99まで分類分けされているのです。
例えばF00〜F9までのカテゴリーはこのような意味合いとなっています。気分や感情に関わる精神疾患なのか、妄想系の精神疾患なのか、というふうに分けることができます。
精神疾患に該当する病気の例
症状性を含む器質性精神障害
F1
タバコ、酒、薬物等の症状
F2
妄想系の症状
F3
気分、感情に関わる症状
F4
ストレス系症状
精神疾患に該当する病気の例を見ていきましょう。F00〜F99まであるカテゴリーのうち、今回は文字数の関係上F0~F4の紹介をします。
F0例:アルツハイマー病
アルツハイマー病とは、脳が萎縮していく病気で、それに伴いさまざまな機能が失われていきます。
これまでできていたことが少しずつできなくなり、日常生活・社会生活を営めなくなる病気です。症状は年単位で進行しますが、最終的には日常的な介護が必要となります。
アルツハイマー病の症状は多岐にわたり、初期症状には物忘れや見当識障害が挙げられます。見当識障害とは時間・曜日・季節・場所などを間違えるようになることです。
また、アルツハイマー病がどのように始まるのかは未だ解明されておらず、現状では症状の進行を遅らせる薬剤しかありません。
F1例:アルコール依存症
お酒を飲む量や飲むタイミングを自分でコントロールできなくなった状態のことをアルコール依存症と言います。
お酒を飲む量が徐々に増えていき、最終的にアルコール依存症になるケースが多いです。誰でもなる可能性がある病気なのですね。
アルコール依存症は様々な身体障害やうつ病などの精神障害を合併しやすく、できるだけ症状の軽いうちに医療機関を受診し回復を目指すことが大切です。
また、アルコール依存症の方の多くは家族的・社会的問題を引き起こします。自らが治療の必要性を感じないことも多く、家族のサポートも必要です。
F2例:統合失調症
統合失調症は幻覚や妄想という症状が特徴的で、日常生活においてさまざまな支障をきたします。
人口の 1%近くがかかる頻度の高い病気ですが、統合失調症の原因は今のところ明らかではありません。
ただ早期発見や早期治療で多くの患者さんが回復し、新薬や社会的サポートにより長期的な回復を期待できるようになりました。
幻覚や妄想の他、焦りや不安感、気力の減退などがあり、うつ病や不安障害の症状と似ている部分もあるためすぐに統合失調症とは診断できないこともあります。
F3例:うつ病
うつ病は脳内の神経伝達物質の減少によって起こり、自分がダメな人間のように感じてしまうのが特徴。
「気の持ちよう」「甘え」と言われてしまうこともありますが、うつ病は「脳の病」とも言えます。
精神的ストレスや身体的ストレスから脳の機能障害が起き、脳内の神経伝達物質の働きが悪くなるので、ものの見方が否定的になり、抑うつ気分が強くなるのです。
気分が沈んで何をするのにも元気がない状態から、重症化すると「死にたい」という気持ちを抱えて実行してしまうこともあります。
F4例:適応障害
適応障害とは、特定の状況や出来事がとてもつらく耐えがたく感じ、さまざまな心身の症状が出現して社会生活に支障をきたす病気です。
身の回りの環境にうまく適応することができず、抑うつ気分、不安、怒り、焦りなどの情緒面の症状から涙もろくなったり神経過敏になったりします。また行動面では無断欠席や無謀な運転が目立つようになることも。
ストレスとなる状況や出来事がはっきりしているので、ストレスの元を取り除くことで症状は次第に改善します。
精神障害でまとめられる精神疾患とは

精神障害について
精神障害は精神疾患との明確な区別はされていませんが、精神疾患から生じる障害のことを指す場合が多いです。
精神機能に障害が生じることで、日常生活や社会参加に困難をきたしてしまいます。
病状が深刻になると判断能力や行動のコントロールが著しく低下するのが特徴で、次第に周りのサポートが必要になります。
まだ解明されていない分野も多くありますが、薬物療法や精神療法を併用することで高い治療効果を得られます。
代表的な精神障害の一例
感情が安定しない
反復的な行動をとる
同じ行動を繰り返す
忘れっぽい
記憶能力が欠如している
眠れない
寝て起きてを繰り返す
精神障害は判断能力や行動のコントロールが著しく低下している状態のことですが、代表的な精神障害の一例がこちらです。
情緒不安定は代表的な精神障害の一つですが、躁状態とうつ状態を繰り返す双極性障害を発症する人もいます。
無気力で行動の能率が悪いかと思えば、反復的な行動をとることもあったり、様々な症状があります。
精神病でまとめられる精神疾患とは

精神病の定義とは
繰り返しになってしまいますが、精神病とは幻覚・妄想系の精神疾患の総称のことです。今のところ統一された定義はありません。
様々な精神障害の総称で、幻覚・妄想が現れることから一般的な精神疾患よりも重い症状を意味するとも言えます。
精神病といっても、その原因や経過は千差万別で、例えば認知症は脳の不可逆的なダメージが原因です。
代表的な精神病の一覧
ストレスや薬物以外が原因の幻覚、妄想
短期精神病性障害
・幻覚
・波のある感情の変化や混乱
・1日~1か月で回復
妄想性障害は1つまたは複数の誤った思い込みがあり、比較的現実的な妄想が少なくとも1ヶ月間持続します。
1ヶ月以上症状が出る妄想性障害に対し、短期精神病性障害は持続期間が1日以上かつ1ヶ月未満の妄想・幻覚が現れます。
明確な原因は不明ですが、強いストレスによって短期的に妄想や幻覚が引き起こされるケースが認められています。
精神疾患をお持ちならシンプレへ

シンプレ訪問看護ステーションって?
- 精神疾患に特化
- 利用者様の自主性を尊重
- 利用者様それぞれに合わせた親身な対応
- 医療機関や行政との連携
シンプレ訪問看護ステーションでは、精神科医療に特化した訪問看護サービスを提供しています。
看護師などの専門職のスタッフがお宅を定期的に訪問し、生活支援や自立支援、さらには家族の方への支援まで、トータルでサポートを行っています。
精神疾患に関する専門的な知識や経験が豊富なスタッフも多数在籍しておりますので、精神科訪問看護サービスを受けるのが初めての方でも安心してご利用いただけます。
家庭や地域社会で安心して日常生活を送ることができるよう支援を行いますので、お気軽にご相談ください。
精神科訪問看護の料金
負担割合 | 月の初回訪問 | 2回目以降 |
---|---|---|
3割負担![]() | 3,897円 | 2,565円 |
2割負担![]() | 2,598円 | 1,710円 |
1割負担![]() | 1,299円 | 855円 |
上記は週3回までの訪問料金となります。週4回以上訪問となる場合には料金が異なります。
精神科訪問看護では、医療保険を利用することにより自己負担を軽減できるメリットがあります。
30分を一区切りに利用可能。かかった費用については、年齢や所得によって変わり、医療費の1〜3割が自己負担となります。
また早朝や深夜などの時間外に依頼する場合や、長時間の訪問を行う場合は別途料金が発生します。
また自立支援医療制度いう制度を利用すると料金が1割負担になるほか、所得に応じて自己負担が0円になる場合もございます。
シンプレ訪問看護ステーションの対応エリア
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<東京都>
・東京23区
※足立区、荒川区は1部エリアとなります。
・西東京市
・三鷹市
・武蔵野市
<埼玉県>
・和光市
・朝霞市
・戸田市※1部エリア
・新座市※1部エリア
シンプレ訪問看護ステーションの対応地域はおもに上記が中心で、訪問活動をおこなっています。該当エリアにお住まいの方はぜひご検討ください。
また上記以外のエリアにお住まいでも、対応できる場合がございますので、一度当社スタッフへご相談ください。
サービス内容を詳しく聞きたい、スケジュールの相談なども承っております。電話やメールなどで相談を受け付けていますので、お気軽にご連絡ください。
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まとめ

「精神疾患」「精神障害」「精神病」どれも似た名前ですが、意味合いが異なる場合もあります。
精神疾患による患者数は増加傾向にありますが、訪問看護が必要な方は専門家に相談し、社会復帰に向けてサポートしてもらうことをすすめます。
精神科訪問看護では医療従事者が訪問し、必要な看護・療養上必要な援助・社会復帰指導などを行えるので、こころの健康問題をひとりで抱えて悩むのではなく、まずは相談することが大切です。
わたしたちもきっとお役に立てることがあります。うつ病や精神疾患でお悩みの方は、お気軽にご相談ください。
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