解離性障害の症状とは?合併しやすい疾患や治療法についても解説

解離性障害の症状は、自分が自分である感覚が失われている状態のことをいいます。
たとえば、ある出来事の記憶が抜け落ちてないなど、様々な症状があり、生活面での様々な支障が出てきます。
こういった症状は、つらい体験を自分から切り離そうとするために起こる防衛反応のひとつと考えられています。
解離性障害の症状の主な5つの症状
解離性混迷
解離性昏迷とは、言葉を交わしたり触れることや音などへの反応が弱まったりが一切なくなるなど、意識はあるのですが長い時間横たわったまま動かないといった、電池が切れたかのような症状のことをいいます。
大地震などの災害や事故、暴力事件など人によりさまざまですが、心への大きな負担と衝撃耐えられないほどの精神的ショックや絶望感を抱いた際にきっかけとなって起こると考えられています。
身体的な問題や精神的問題が検査では発見されないことが多いため、対人関係など日常生活の中で目立った問題がないかや、ストレスとなるものが直近でなかったかなどをもとに診断されます。
解離性健忘
解離性健忘は通常のもの忘れのレベルではない重要な情報や記憶を思い出せなくなる症状を言います。
強い精神的ショックやストレスによって引き起こされることが多いとされ、そのショックに基づく出来事の記憶を失くします。
失くしてしまった記憶は数日の間によみがえることが多いのですが、長期間に及ぶケースもあり、このような症状はショックやストレスから自身の精神を守る防衛機能の面が強いと考えられています。
多重人格障害(解離性同一性障害)
解離性同一症は多重人格障害の名前で知られ、異なる複数の人格が一人の人物に表れる症状を指します。
複数の人格は社会に認知されている主人格とは年齢や性格、筆跡などもバラバラで、何かのきっかけで人格が入れ替わって表に出てくるため、日常生活において支障をきたします。
激しい恐怖やショックを長期間経験したり何度も起こることで、解離の症状がおこります。強い苦痛から自分自身が傷つかないように別の人格が形成していると考えられています。
解離性とん走
解離性とん走の症状として、強いショックから逃れるために家庭や職場から突然いなくなる、混乱した状態で徘徊するなどの行動が見られます。
とん走する期間は数時間や数日の場合もあれば、全く違う土地で新たな名前や自我を得て違う人生を歩み始めるなどもあります。
とん走状態が収まっても、患者はとん走状態の時の記憶が思い出せないため、どうして知らない土地にいるのかなど、状況や環境の変化に戸惑ったり恐怖を感じる人もいます。
離人症性障害
離人症性障害とは、自身の体や精神から現実感が失われ第三者視点のように感じる精神障害のことをいいます。
感覚だけでなく感情も現実感がなくなり麻痺したように感じます。また、そのような感情や感覚を説明できなくなる患者もいます。
世界がまるで夢の中のような認識となるため、建物などを実際の大きさや形で捉えられず風景が歪んで見えることがあります。
強いショックなどが原因であり、その精神的ショックを受けとめられず傍観者のように捉えることで逃避していると考えられています。
その他の症状
・体が動かなく硬くなる
・自分の意思で姿勢を変えようとしない
解離性てんかん
・心理的な原因でてんかんの発作が起きる
・心理的な原因で昏睡状態になる
離人症性障害の症状には強いストレスで記憶を失ってしまうなどのケースもありますが、上記のように身体や脳の症状としてあらわれたりなど、それぞれ異なります。
自分自身でも症状について自覚しにくい病気であるため、主治医や家族など周囲の方の理解やサポートが必要です。
現状、解離性障害の治療に有効な薬は無いと言われているため、ストレスなどが原因となって身体的な症状が出る場合は、原因となるストレスを調整することから治療が始まります。
じっくりと長期的に見て治療に取り組むことが大切です。
ほかの疾患と混同・合併しやすい
解離性障害とは明確に違いますが、症状が混同・合併されやすい精神障害を以下に紹介します。
統合失調症
統合失調症は自分と他者の区別がつかなくなり、幻聴や幻覚、妄想などに囚われてしまう精神障害の一つです。
この幻覚が見えるという点が離人症性障害と混同され、時には誤診につながるといったケースがあります。
うつ病
うつ病の物事に無気力な状態が離人症性障害と混同されることがあります。
うつ病を併発した場合に薬物療法が用いられることがありますが根本的な解離性障害の治療にはならないため、長期的にじっくりと治療を行っていきます。
詐病
詐病とは病気を装うことで経済的・社会的なメリットを受けることを言います。具体的には、刑罰を免れるために精神障害を偽るなどです。
解離性同一性障害などは犯罪の言い訳として都合が良い面もありますので、詐病を疑われてしまうなど医師でも診療が難しいケースもあります。
合併しやすい疾患
解離性障害のほとんどは一時的な症状であり、数時間から数日で治まるケースが多いですが、他の精神障害を併発するケースも多くあります。
特に解離性障害の原因の多くが強い精神的ショックであるため、PTSDや不安障害などを患うこともあります。
解離性障害の原因と治療法
原因
繰り返しにはなりますが、解離性障害の主な原因は強い心的外傷やストレスによる心の防衛反応になります。
そのショックやストレスにより正常に自我が保てない場合の逃避行動として、解離性健忘や解離性とん走は表れます。
また、その他にも脳の前頭前野と偏桃体の機能不全が原因として考えられ、この二つのバランスが崩れた状態によるものと言えます。
これは一つの仮説ではありますが、解離性障害を初めて生物学的に捉えた説として注目されています。
治療法
現在解離性障害には有効な薬物がないと言われているので精神療法や心理療法が主な治療法になり、心的外傷や強いショックを受けたトラウマ体験の記憶を緩和させるものとなります。
不安な気持ちなどを取り払い、より集中して精神療法へ取り組めやすくすることで症状緩和をはかります。
解離性障害の症状は多岐にわたり、症状は時間の経過とともに解消されることもあるため、カウンセリングなどを中心に、本人にあった方法で根気強く向き合っていくこととなります。
解離性障害の方とのかかわり方
解離性障害の患者は多くの場合、心的外傷を受けた経験などから社会から遠ざかろうとするため、家族のサポートは重要です。
また、解離性障害は一般の人にはなかなか理解しづらい障害のため、家族や周囲の方はその苦しみや障害を理解し、勉強する必要があります。
そして、患者が安心して障害に対する不安な気持ちや自己表現ができる環境作りを目指すことがとても重要になります。
そのような社会とのつながりを断つことなく安心した生活を送れる環境作りを目指してサポートしていきましょう。
精神科訪問看護という治療の選択も
精神科訪問看護とは
サービス名 | 精神科訪問看護 |
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職種![]() |
・看護師 ・准看護師 ・作業療法士 |
訪問日数![]() |
原則週3日以内 (※例外もあります。) |
精神科訪問看護は、社会復帰に向けて障害や病気をお持ちの方をサポートするサービスです。
スタッフが定期的に自宅を訪問し、生活リズムの調整や服薬管理など利用者さまの状態にあわせた支援をおこないます。
精神科訪問看護ではそのような患者様の生活を少しでも自分らしく、患者様の自主性を大切にできる生活環境を整えます。
精神科訪問看護はどんなことをするの?
・自立した生活を営めるための支援
・生活リズムの調整
症状の悪化防止・服薬支援
・生活状況を観察
・受診や服薬を支援
社会復帰へのサポート
・主治医や関係機関と連携
・社会復帰を支援
家族の方への支援
・家族へのアドバイスや相談
・社会資源の活用などを支援
生活支援や自立支援、症状の悪化防止、服薬支援などのトータルサポートを行います。
精神疾患は、解離性障害のほかにもうつ病、アルツハイマー病、アルコール依存症などさまざまなものがあり、精神科訪問看護は精神の症状で悩まれている方に対して、生活が少しでも安心したものになるようにお手伝いします。
こころの健康問題を抱えて悩んでいる方やそのご家族様への継続的なサポートを通じて解決への一歩をお手伝いします。
訪問看護を利用するメリット
- 自宅に居ながら専門的なケアが受けられる
- 自宅での様子を主治医に連携できる
- 家族の負担が軽減できる
精神科訪問看護は、外に出ることが難しい方やなるべく自宅で過ごしたいという方のためのサービスです。
日常生活の介助や心のケアだけではなく、ご利用者様のご家族様へ、ご相談があればご利用者様との関わりや精神的な負担軽減のアドバイスを行います。
1人で抱え込まずに、専門的な知識を持った人や周りの人の力を借りながら治療していくことが大切です。
精神科訪問看護の費用
負担割合 | 月の初回訪問 | 2回目以降 |
---|---|---|
3割負担![]() | 3,897円 | 2,565円 |
2割負担![]() | 2,598円 | 1,710円 |
1割負担![]() | 1,299円 | 855円 |
上記は週3回までの訪問料金となります。週4回以上訪問となる場合には料金が異なります。
精神科訪問看護では、医療保険を利用することにより自己負担を軽減できるメリットがあります。
30分を一区切りに利用可能。かかった費用については、年齢や所得によって変わり、医療費の1〜3割が自己負担となります。
また早朝や深夜などの時間外に依頼する場合や、長時間の訪問を行う場合は別途料金が発生します。
また自立支援医療制度いう制度を利用すると料金が1割負担になるほか、所得に応じて自己負担が0円になる場合もございます。
自立支援医療制度(精神通院医療)
区分 | 上限額 |
---|---|
生活保護![]() |
0円 |
低所得1![]() |
2,500円 |
低所得2![]() |
5,000円 |
中間所得1![]() |
5,000円 |
中間所得2![]() |
10,000円 |
一定所得以上![]() |
20,000円 |
表の料金は所得に応じた医療費の月額自己負担額の上限額となっております。
表の料金を超えた場合には、自己負担なしで医療が受けられます。
精神科訪問看護では、自立支援医療制度(精神通院)という助成制度を利用することができます。
自立支援制度は、障害のある方の自立を助けるための公費負担医療費制度です。精神に障害のある方の、障害の軽減などのために医療の自己負担費が補助されます。
助成の内容としては精神科にかかわる医療費が1割負担になることと、所得に応じて月の自己負担上限額が設定され上限額を超えた分に関しては自己負担がなしとなります。
訪問看護以外にも通院費やお薬、デイケアの費用なども、自立支援医療の対象になります。
精神疾患をお持ちならシンプレへ
シンプレの特徴
シンプレは精神科訪問看護に特化したサービスを展開しており、患者様やそのご家族への支援を日々行っております。
上記のような専門性に加え、親身になった思いやりの心も強みとしているため、安心した生活が送れるよう励んでまいります。
緊急のときすぐ関係機関に連絡ができるよう、バックオフィスが連携をおこない、チームでサポートできる体制をととのえています。
精神疾患への知識や理解も深いスタッフも数多く在籍しており、解離性障害により不調となってしまった方への支援も真摯に対応させていただきます。
シンプレの対応エリア
-
<東京都>
・東京23区
※足立区、荒川区は1部エリアとなります。
・西東京市
・三鷹市
・武蔵野市
<埼玉県>
・和光市
・朝霞市
・戸田市※1部エリア
・新座市※1部エリア
シンプレ訪問看護ステーションの訪問エリアは、上記中心に行っています。
子供から大人まで年齢に関わらず利用することが可能です。シンプレでは解離性障害やPTSDを併発した方にも支援も行うことができますので、選択肢の一つとしてまずはお気軽にご相談ください。
TwitterやLine、TikTokなどのSNSでも情報を発信していますので、ぜひご覧ください。
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まとめ
解離性障害はいくつかの症状に分類でき、様々ありますが共通するのは強い心のショックやストレスを原因とする点です。
また、それらはショッキングな出来事に対する心の防衛であり、治療法としては精神療法等によるものが主となります。
また、解離性障害は統合失調症やうつ病と似た点もあり、混同しやすく合併して発症する場合もあります。
解離性障害の患者と接する場合は胸の内を吐き出せる環境作りが大切です。シンプレはそのような環境を提供できるよう努めておりますので、お気軽にご相談ください。
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