脊髄性筋萎縮症の症状・治療と訪問看護|シンプレ訪問看護
お子さんが「脊髄性筋萎縮症(SMA)」と診断され、これから家でどう過ごしていけばいいのか、不安でいっぱいの方も多いのではないでしょうか。脊髄性筋萎縮症は、家族だけで抱え込まなくてよい病気です。近年は進行をおさえる治療薬が登場し、在宅での療養を支える仕組みも整ってきています。この記事では、脊髄性筋萎縮症の症状・原因・治療をやさしく整理しながら、在宅生活を支える訪問看護の役割や、医療保険・費用の助けについて解説します。
脊髄性筋萎縮症とは

脊髄性筋萎縮症(spinal muscular atrophy:SMA)は、脊髄の中で筋肉を動かす指令を伝える運動神経の細胞(脊髄前角細胞)が少しずつ失われ、体幹や手足の付け根に近い筋肉から力が入りにくくなっていく病気とされています。手足の動かしにくさや筋肉のやせ(筋萎縮)が、時間とともにゆっくり進むのが特徴と考えられています。脊髄性筋萎縮症は指定難病に定められており、お子さんの場合は小児慢性特定疾病にも指定されているため、医療や福祉のさまざまな支えを受けられる病気です。
脊髄性筋萎縮症で体に起こること
脊髄性筋萎縮症で力が入りにくくなるのは、運動神経から筋肉への「動け」という信号が届きにくくなるためといわれています。物を考える力や感じる力には影響しないとされるのがこの病気の大切な点で、お子さんの知的な発達はそのまま保たれることが多いと考えられています。一方で、首がすわりにくい、座る・立つ・歩くといった動きの獲得がゆっくりになる、進行とともに呼吸や飲み込みに支えが必要になる、といったことが起こりやすいとされています。
発症する年齢と病型
脊髄性筋萎縮症は、症状が出始める年齢と経過によって大きく分けられ、生後まもなく症状が出るものから、成人になってから気づかれるものまで幅があるとされています。ただし患者さんの多くは子どものうちに発症する病気で、9割以上が16歳未満に症状が出ると報告されています。乳児期に発症するタイプ(I型)は、支えなしに座ることがむずかしく呼吸の管理が必要になりやすい一方、幼児期以降にゆっくり進むタイプ(III型)や、成人になってから気づかれるまれなタイプ(IV型)もあるといわれています。同じ病気でも一人ひとり経過は大きく異なるため、わが子の状態がどのタイプにあたるかは主治医に確認することが大切です。
脊髄性筋萎縮症の症状

脊髄性筋萎縮症の症状は、発症する年齢によってあらわれ方が異なるとされています。共通しているのは、体幹に近い筋肉(首・肩・腰まわりなど)から力が入りにくくなりやすい点で、ねがえり・お座り・立ち上がりといった動作が苦手になっていくと考えられています。ここでは、年齢ごとにみられやすい症状を整理します。
乳児期にあらわれる症状
生後まもなく発症するタイプでは、体が全体的にやわらかく感じられる状態(フロッピーインファントと呼ばれます)がみられやすいとされています。首がすわりにくい、抱っこしたときに手足の力が弱い、おっぱいやミルクを飲む力・飲み込む力が弱い、泣き声が小さいといったことで気づかれることがあるといわれています。呼吸を助ける筋肉の力も弱まりやすいため、息のしかたに左右差が出ることもあると考えられています。
幼児期から学童期以降の症状
少し遅れて発症するタイプでは、つかまり立ちや歩き始めがゆっくり、転びやすい、走るのが遅い、階段の上り下りで手すりがいる、しゃがんだ姿勢から立ち上がりにくい、といった運動面のサインで気づかれることが多いとされています。いったん歩けるようになった後で、だんだん歩きにくくなる経過をたどる場合もあるといわれています。背骨が左右に曲がりやすくなる(側弯)こともあり、姿勢や座り心地への配慮が必要になることがあると考えられています。
呼吸や飲み込みで気をつけたいこと
進行すると、呼吸を助ける筋肉や飲み込みに関わる筋肉の力が弱まり、痰が出しにくい・むせやすい・かぜをこじらせやすいといったことが起こりやすいとされています。脊髄性筋萎縮症のお子さんでは、こうした呼吸と栄養の状態をこまめに見守ることが、体調を安定させるうえで大切だと考えられています。心配な変化に早く気づけるよう、ふだんから相談できる相手をもっておくと安心です。
脊髄性筋萎縮症の原因

脊髄性筋萎縮症の主な原因は、運動神経を守るために必要なタンパク質をつくる遺伝子の変化にあると考えられています。多くのタイプでは「SMN1」という遺伝子の欠失(一部が欠けること)が関係するとされており、遺伝子を調べる検査で診断できる場合があるといわれています。原因がわかってきたことで、その仕組みにはたらきかける治療薬の開発が進んできました。
SMN1遺伝子と運動神経のはたらき
SMN1遺伝子は、運動神経の細胞が生き続けるために欠かせないSMNタンパク質をつくる設計図の役割をもつとされています。この遺伝子に変化があり、十分な量のSMNタンパク質をつくれないと、運動神経の細胞が弱り、筋肉に指令が届きにくくなると考えられています。近くにある「SMN2」という別の遺伝子がどの程度はたらくかによって、症状の重さに差が出るともいわれています。
遺伝のしくみと遺伝子検査
脊髄性筋萎縮症は、ご両親がそれぞれ変化した遺伝子をもっている場合に受け継がれることがある病気とされています。これは誰のせいでもありません。遺伝のしくみや家族への影響について不安があるときは、遺伝カウンセリングという専門の相談の場があり、医師や専門スタッフにじっくり相談できます。診断は採血による遺伝子検査などで行われるとされており、気になる症状があるときは小児神経の専門医に相談することが大切です。
脊髄性筋萎縮症の治療

脊髄性筋萎縮症は、かつては進行を止める手立てがないとされていましたが、近年は進行をおさえることを目指す治療薬が登場し、治療の選択肢が大きく広がったといわれています。どの治療が合うかは病型・年齢・体の状態によって異なるため、専門の医師とよく相談して決めていくことになります。あわせて、呼吸・栄養・リハビリといった日々の体を支えるケアも大切な治療の一部と考えられています。
進行をおさえる治療薬
現在は、髄液に注射するヌシネルセン(スピンラザ)、1回の点滴で行う遺伝子治療薬オナセムノゲン アベパルボベク(ゾルゲンスマ)、口から飲むリスジプラム(エブリスディ)といった治療薬が国内で使えるようになったとされています。これらは早く始めるほど効果が高いといわれており、早期発見・早期治療の意義が注目されています。いずれも適応や条件があるため、わが子に使えるかどうかは主治医に確認しましょう。
呼吸・栄養・リハビリの支え
薬による治療とあわせて、呼吸を助ける機器や痰を出しやすくするケア、飲み込みや栄養を支える工夫、体の動きや姿勢を保つためのリハビリなどを、状態に合わせて組み合わせていくことが多いとされています。これらは病院だけでなく、後述する訪問看護などを通じて在宅でも続けやすい支えです。一つひとつのケアを、家族とケアにあたる専門職が一緒に確認しながら進めていきます。
早期発見と新生児スクリーニング
早く治療を始めるほど効果が期待できることから、生まれて間もない時期に調べる新生児スクリーニング(任意の検査として実施する地域が広がっています)への関心も高まっているとされています。気になる症状に早く気づき、専門の医師に相談することが、その後の選択肢を広げることにつながると考えられています。
脊髄性筋萎縮症の在宅療養を支える訪問看護

脊髄性筋萎縮症のお子さんやご家族が住み慣れた家で過ごすうえで、心強い味方になるのが訪問看護です。訪問看護では、看護師などが定期的に自宅を訪れ、体調の観察や医療的なケア、ご家族への助言などを行います。家族だけで頑張りすぎなくてよいように、専門職が定期的に関わって一緒に見守っていける点が、在宅療養の大きな支えになります。
自宅でできる医療的ケアの支え
訪問看護では、呼吸の状態や痰の様子、栄養・体重、皮膚や姿勢の様子などをこまやかに観察し、必要なケアを行います。たんの吸引や経管栄養、呼吸を助ける機器の管理など、ご家庭で行っている医療的ケアについても、これまでのやり方を一緒に確認しながら支えてもらえます。ケアの方法そのものは主治医の指示にもとづいて行われ、看護師は日々の様子を観察し、変化を主治医へ橋渡しする役割を担います。
子どもの成長と発達を見守る関わり
脊髄性筋萎縮症のお子さんの在宅療養では、体調の管理だけでなく、成長や発達、遊びや学びの時間を大切にする視点も欠かせないと考えられています。訪問看護では、姿勢の保ち方や体の動かし方の工夫、保育園・学校とのつながり方なども、ご家庭の状況に合わせて一緒に考えていきます。なお、入浴や外出の付き添いといった生活面の介助は訪問介護(ヘルパー)が担う領域のため、必要なときは訪問看護からそうしたサービスへの橋渡しも受けられます。
家族の不安によりそう相談支援
「夜中に容体が変わったらどうしよう」「このケアのやり方で合っているのかな」といった不安は、多くのご家族が抱えるものです。訪問看護では、ケアの困りごとや体調の心配ごとを気軽に相談でき、必要に応じて主治医や関係機関と連携してくれます。多くの訪問看護ステーションが24時間連絡できる体制を届け出ているとされていますが、実際に対応できる範囲はステーションによって異なるため、契約前に確認しておくと安心です。
脊髄性筋萎縮症で訪問看護を使うときの費用と保険

「家で訪問看護を使うと、費用はどれくらいかかるの?」という心配は、多くのご家族がもつものです。結論からいうと、脊髄性筋萎縮症は公費の助けで負担が小さくなりやすい病気です。脊髄性筋萎縮症で訪問看護を利用するときの保険の仕組みと、医療費をやわらげる助成について、順番に見ていきます。
医療保険で受けられる訪問看護
脊髄性筋萎縮症は、訪問看護を医療保険で利用できる「厚生労働大臣が定める疾病等(別表7)」に含まれています。そのため、年齢や介護認定の有無にかかわらず、医療保険による訪問看護の対象になります。別表7に該当すると、必要に応じて週4日以上、1日に2〜3回といった複数回の訪問も利用しやすくなります。これは制度上の仕組みで、実際の訪問回数は状態や主治医の指示、ステーションとの相談で決まります。なお、訪問の回数や内容で迷うことがあっても、ケアにあたる専門職が一緒に整理してくれるので、ご家族だけで判断する必要はありません。
医療費の負担をやわらげる助成制度
医療費の負担を軽くする公費の制度も複数あります。下の表の数字は、健康保険を使ったときの自己負担分の目安で、最終的な支払い額そのものではありません。
| 制度 | 主な対象 | 自己負担の目安 |
|---|---|---|
| 小児慢性特定疾病の医療費助成 | 18歳未満(条件により20歳未満まで) | 2割+所得別の月額上限 |
| 指定難病の医療費助成 | 主に成人など | 2割+所得別の月額上限 |
| 子ども医療費助成(マル乳・マル子など) | お住まいの自治体の対象年齢 | 自己負担分を助成 |
お子さんの場合、小児慢性特定疾病の医療費助成を受けると窓口負担が3割から2割になり、さらに所得に応じた月額の上限までで済むとされ、指定難病の制度と比べても自己負担が約半分に抑えられています。加えて、子ども医療費助成で実質無料になることも多くあります(取扱いは自治体差あり)。どの制度が使えて何が有利になるかは、市区町村の窓口や医療ソーシャルワーカー(MSW)が整理してくれますので、まずは相談してみてください。制度の内容や金額は改定されることがあるため、最新の情報は各窓口でご確認ください。
シンプレ訪問看護ステーションができること

脊髄性筋萎縮症の在宅療養では、体調の見守り・医療的ケアの支え・ご家族の相談相手という、複数の役割を担ってくれる存在が心強いものです。シンプレ訪問看護ステーションは、その支えになります。一人ひとりの状態とご家庭のペースに合わせて、無理なく在宅生活を続けられるようサポートします。
シンプレ訪問看護ステーションの特徴
シンプレ訪問看護ステーションは精神科の訪問看護に強みをもちながら、医療・介護の訪問看護にも対応しています。経験のある看護師などが定期的に訪問し、体調や呼吸・栄養の観察、ご家庭で行う医療的ケアの確認、ご家族への助言などを行います。大切にしているのは、本人とご家族のペースを尊重すること。困りごとを一緒に整理し、必要に応じて主治医や関係機関、生活面を支える他のサービスへ橋渡ししながら、在宅での暮らしを支えます。
訪問の頻度や時間帯、土曜・祝日の対応、ご家族からのご相談についても、状況に合わせて柔軟にご相談いただけます。対応エリアは次のとおりです。
シンプレ訪問看護ステーションの対応エリア
-
<東京都>
・東京23区
・八王子市
・立川市
・武蔵野市
・三鷹市
・青梅市
・府中市
・昭島市
・調布市
・あきる野市
・西東京市
・小金井市
・小平市
・日野市
・東村山市
・国分寺市
・国立市
・福生市
・狛江市
・東大和市
・清瀬市
・東久留米市
・武蔵村山市
・多摩市
・稲城市
・羽村市
<埼玉県>
・和光市
・朝霞市
・志木市
・さいたま市
・蕨市
・川越市
・ふじみ野市
・所沢市
・川口市
・戸田市
・富士見市
・新座市
シンプレ訪問看護ステーションの対応地域はおもに上記が中心で、訪問活動をおこなっています。該当エリアにお住まいの方はぜひご検討ください。
また上記以外のエリアにお住まいでも、対応できる場合がございますので、一度当社スタッフへご相談ください。
サービス内容を詳しく聞きたい、スケジュールの相談なども承っております。電話やメールなどで相談を受け付けていますので、お気軽にご連絡ください。
ご相談の問い合わせはこちら▼
まとめ|脊髄性筋萎縮症の在宅療養を訪問看護で支える

脊髄性筋萎縮症は、運動神経のはたらきが弱まり、体の力が入りにくくなっていく病気とされていますが、近年は進行をおさえる治療薬が登場し、在宅での療養を支える仕組みも整ってきました。多くは子どものうちに発症する病気で、ご家族の不安はとても大きいものですが、支えになる人や制度はちゃんとあります。別表7に該当するため医療保険で訪問看護を利用でき、小児慢性特定疾病などの公費で費用の負担もやわらげられます。
家でのケアや体調のこと、費用や制度のことで迷ったときは、どうか一人で抱え込まないでください。シンプレ訪問看護ステーションが、お子さんとご家族の在宅での暮らしによりそい、一緒に支えていきます。まずはお気軽にご相談ください。
ご相談の問い合わせはこちら▼
本記事は脊髄性筋萎縮症と訪問看護についての一般的な情報をまとめたものです。症状・治療・利用できる制度や費用は、病型・年齢・体の状態・お住まいの自治体・年度によって異なります。診断や治療、個別のケアについては主治医や専門医に、制度・費用の手続きについては市区町村の窓口・難病相談支援センター・医療ソーシャルワーカー(MSW)・訪問看護ステーションにご確認ください。最新の情報は各窓口でご確認ください。
参考:難病情報センター「脊髄性筋萎縮症(指定難病3)」/厚生労働省/日本小児神経学会/厚生労働省・各自治体「小児慢性特定疾病医療費助成制度」/厚生労働大臣が定める疾病等(別表第7)