多発性硬化症の訪問看護とは?
多発性硬化症(たはつせいこうかしょう)と診断されると、ご本人もご家族も「これから家で暮らし続けられるのだろうか」という不安を抱えやすいものです。多発性硬化症は再発と寛解をくり返しながら経過する病気で、症状の出方や進み方は人によって大きく異なります。住み慣れた家での療養を続けるうえで、訪問看護は心強い支えのひとつになります。この記事では、多発性硬化症の症状・原因・治療をわかりやすく整理したうえで、訪問看護がどのように在宅生活を支えるのか、費用や保険のしくみまでご紹介します。
多発性硬化症とは|中枢神経を侵す指定難病

多発性硬化症は、脳や脊髄などの中枢神経で炎症が起こり、神経を包む「髄鞘(ずいしょう)」が傷つくことで、さまざまな症状があらわれる病気です。本来は体を守るはたらきをする免疫が、自分の神経を攻撃してしまう自己免疫疾患のひとつと考えられています。多発性硬化症は国の指定難病に定められており、訪問看護をはじめとする支援制度の対象になります。
脱髄によって起こる中枢神経の自己免疫疾患
神経は、電気の信号を速く正確に伝えるために髄鞘という”被膜”で守られています。多発性硬化症ではこの髄鞘が壊れる「脱髄(だつずい)」が起こり、信号がうまく伝わらなくなります。脱髄した部分が脳や脊髄のあちこちに複数できることが、この病気の特徴といわれています。傷ができる場所によって、出てくる症状が変わってきます。
発症しやすい年齢・性別
多発性硬化症は、20〜30代の比較的若い世代で発症することが多いとされています。男女比はおおよそ1対2〜3で、女性にやや多い傾向があるといわれています。働き盛りや子育て世代で診断されることもあり、仕事や家庭生活との両立が課題になりやすい病気です。
指定難病に指定されている病気
多発性硬化症は指定難病のひとつで、一定の条件を満たすと医療費の助成を受けられる場合があります。助成の対象になるかどうかや自己負担の上限は、ご本人の状態や年度によって異なるため、詳しくは後半の費用の章でご説明します。
多発性硬化症の主な症状と経過

多発性硬化症の症状は、脱髄が起きた場所によって千差万別です。視力の低下、手足や顔のしびれ、力の入りにくさ、歩きづらさ、排尿・排便のトラブル、強い疲れやすさなど、人によってあらわれ方が大きく違います。症状が出たり落ち着いたりをくり返すのが、多発性硬化症の経過の特徴とされています。
視覚・感覚・運動などあらわれやすい症状
代表的なものとして、片方の目が見えにくくなる・視野が欠ける・目を動かすと奥が痛むといった視覚の症状、手足や顔のしびれなどの感覚の症状、力が入らない・ふらつくといった運動の症状があります。脊髄に病変ができると、排尿・排便の障害が起こることもあります。
再発と寛解をくり返す経過
多発性硬化症の多くは、症状が悪くなる「再発」と、症状が軽くなったり消えたりする「寛解」をくり返しながら進みます。再発のたびに少しずつ障害が残ることもあり、早めの対応が大切になります。体調の小さな変化に気づける環境を整えておくことが、安心につながります。
進行型への移行と「ウートフ現象」
再発と寛解をくり返すタイプの中には、時間の経過とともに症状が少しずつ進む「進行型」へ移っていく方もいるとされています。また、熱いお風呂に入ったり気温が上がったりして体温が上がると、一時的に症状が悪く見えることがあり、これはウートフ現象と呼ばれます。体を冷やすと元に戻ることが多く、新たな再発とは区別して考えられています。
多発性硬化症の原因と診断

多発性硬化症のはっきりした原因は、現在のところ完全には解明されていないといわれています。診断は症状の経過に加えて、画像検査などを組み合わせて慎重に行われます。多発性硬化症と似た症状を示す病気もあるため、専門の医師に相談することが大切です。
原因は完全には解明されていない(遺伝+環境)
多発性硬化症は、生まれ持った体質(遺伝的な素因)に、ウイルス感染や生活環境などの要因が重なって起こると考えられています。緯度の高い地域に多いともいわれていますが、原因を一つに特定するには至っていないとされています。そのため、特定の生活習慣だけが原因と決めつけられるものではありません。
MRIを中心とした診断
診断ではMRI検査がもっとも重要とされ、脳や脊髄にできた脱髄の病変の広がりや活動性を調べます。必要に応じて、髄液の検査や、神経の伝わり方を調べる誘発電位検査などを組み合わせます。どの検査を行うかは、症状やご本人の状態によって主治医が判断します。
視神経脊髄炎(NMOSD)との違い
かつて多発性硬化症の一部と考えられていた「視神経脊髄炎(NMOSD)」は、現在では別の病気として区別されるようになってきたとされています。血液中の特定の抗体の有無や治療への反応が異なり、治療方針も変わってきます。見た目の症状が似ていても病気が異なることがあるため、自己判断はせず、神経内科などの専門医に相談することが大切です。
多発性硬化症の治療

多発性硬化症の治療は、大きく「再発したときの治療」と「再発を防ぐための治療」に分けられます。あわせて、残った症状とつき合いながら生活の質を保つためのリハビリも行われます。治療の内容は病気のタイプや状態によって異なるため、主治医とよく相談しながら進めていきます。
急性期(再発時)の治療
再発して症状が強く出ているときは、炎症をすばやく抑えるためにステロイドを集中的に使う治療(パルス療法)などが行われます。急性期は炎症を早く鎮めることが、その後の回復に関わるといわれています。効果が十分でない場合に、血液の成分を入れ替える治療が選ばれることもあります。
再発を予防する治療薬
再発をできるだけ減らすために、長期的に使う再発予防の治療薬があります。近年は選べる薬の種類が増え、以前より経過が安定しやすくなったとされています。どの薬を使うか、いつまで続けるかは、効果や副作用、生活スタイルをふまえて主治医が判断します。自己判断で薬をやめたり変えたりせず、気になることは主治医や薬剤師に相談しましょう。
リハビリと再発を防ぐ生活の工夫
体を動かしにくい症状が残る場合は、リハビリで動きや体力の維持をはかります。あわせて、睡眠不足・過労・感染症といった再発の引き金になりやすい要因を避ける工夫も役立つとされています。ただし、生活を整えれば再発がなくなるわけではなく、あくまで薬による治療を補う位置づけです。生活上の不安は、主治医や訪問看護に相談しながら無理のない形を見つけていくと安心です。
多発性硬化症で訪問看護が支えになる理由

多発性硬化症は症状が変わりやすく、再発の不安とつき合いながらの生活になります。そんなときに、専門職が定期的に自宅へ来て体調を見守り、相談に乗ってくれる訪問看護は、在宅での暮らしを続けるうえで大きな支えになります。多発性硬化症の訪問看護は、医療保険の制度のうえでも手厚く利用しやすくなっています。
住み慣れた家で療養を続けられる
通院がむずかしくなっても、看護師が自宅を訪問することで、体調の観察や療養上のケアを受けながら家での生活を続けやすくなります。慣れた環境で過ごせることは、ご本人の安心にもつながります。「家で看ていけるだろうか」という不安を、専門職と一緒に分け合えるのが訪問看護の利点です。
別表7に該当し医療保険・頻回の訪問が可能
多発性硬化症は、訪問看護で医療保険が優先される「別表7(厚生労働大臣が定める疾病等)」に含まれています。そのため、介護認定を受けている方でも医療保険での訪問看護となり、状態に応じて週4日以上の訪問や、1日に複数回の訪問なども受けやすくなります。実際の回数は、主治医の指示と、ご本人の状態・ご希望をふまえてステーションと相談しながら決めていきます。
家族だけで抱え込まなくていい
在宅での療養は、ご家族が介助や見守りを担う場面も多くなります。訪問看護が入ることで、ケアの相談ができる相手ができ、ご家族の負担をやわらげることにつながります。何かあったときに相談できる窓口があるという安心は、長く在宅生活を続けるうえで大きな意味を持ちます。
訪問看護で受けられる具体的な支援内容

多発性硬化症の訪問看護では、体調の観察から日常生活のサポート、ご家族への相談支援まで、状態に合わせた幅広いケアが受けられます。すべてを看護師が一方的に決めるのではなく、これまでのご家庭でのやり方を一緒に確認しながら、無理のない形を組み立てていきます。
服薬・再発予防薬の管理サポート
再発予防の薬を続けるなかで、飲み忘れや体調の変化が気になることもあります。訪問看護では、服薬の状況を一緒に確認し、気になる変化があれば主治医に報告し、相談につなげていきます。薬の内容や量を決めるのは主治医ですが、ふだんの様子を医師に橋渡しすることで、治療を支えていきます。
リハビリと体調変化の観察
看護師が訪問時に、しびれや力の入りにくさ、歩行の状態などを観察し、再発のサインを早めにキャッチできるよう見守ります。体を動かしにくいときには、関節の動きや体力を保つための簡単な運動を一緒に行うこともあります。リハビリの専門職(理学療法士など)が訪問できる体制を整えているステーションもあります。
排泄・生活面のケアと家族への相談支援
排尿・排便のトラブルや、入浴・清潔ケアなど、暮らしの中で困りやすい場面のサポートも受けられます。あわせて、介助の方法や利用できる制度といったご家族の介護にまつわる相談にも応じます。手技や対応を一から教わるというより、これまで続けてきたやり方を踏まえて、困ったときに一緒に考えられる相手がいる――そうした伴走が訪問看護の役割です。具体的なケアの内容や頻度は、状態によって異なるため、主治医や訪問看護ステーションにご相談ください。
多発性硬化症の訪問看護にかかる費用と保険のしくみ

多発性硬化症の訪問看護は、保険や公費の制度によって、自己負担が抑えられるしくみが用意されています。費用の考え方を知っておくと、利用を検討するときの安心材料になります。ここで紹介する内容は一般的な目安で、実際の負担は地域や年度、ご本人の状況によって変わります。
別表7で医療保険が優先される
前述のとおり多発性硬化症は別表7に該当するため、訪問看護は医療保険が優先されます。年齢や要介護認定の有無にかかわらず、病名によって医療保険の対象になるのが特徴で、別表7の該当はあらためての申請を必要としません。自己負担の割合は加入している医療保険によって異なります。
難病医療費助成で自己負担が軽くなる場合も
多発性硬化症は指定難病でもあり、病状が一定の基準を満たすと医療費助成によって自己負担がやわらぐことがあります。助成を受けるには都道府県などへの申請が必要ですが、手続きは病院の相談窓口(医療ソーシャルワーカー)が一緒に整理してくれることが多いので、一人で抱え込まずに相談してみてください。なお、65歳以上などで介護保険を利用できる方は、訪問介護などの生活支援サービスを別途利用できる場合もあります。
最新の料金・制度は窓口で確認を
保険の自己負担割合や助成の上限額、各種の加算などは、年度の制度改定によって変わることがあります。記事内の内容はあくまで執筆時点の一般的な目安です。正確な費用や手続きについては、主治医や訪問看護ステーション、お住まいの市区町村の窓口・難病相談支援センターなどでご確認ください。
シンプレ訪問看護ステーションについて

多発性硬化症の在宅療養では、医療的なケアと毎日の暮らしの両面を支えてくれる存在が安心につながります。シンプレ訪問看護ステーションでは、ご本人とご家族の状況に寄り添いながら、住み慣れた家での生活を支えるお手伝いをしています。
シンプレ訪問看護ステーションの特徴
シンプレ訪問看護ステーションでは、看護師などの専門職がご自宅を定期的に訪問し、体調の観察や服薬のサポート、再発のサインの早期発見、日常生活の相談などを行います。一人ひとりのペースを大切にし、無理のない形で在宅生活を支えます。主治医やケアマネジャー、関係機関と連携しながら、状態に合わせたケアを組み立てていきます。
対応エリアと訪問の体制
シンプレ訪問看護ステーションの対応エリア
-
<東京都>
・東京23区
※足立区、荒川区は1部エリアとなります。
・西東京市
・三鷹市
・調布市
・武蔵野市
・府中市※1部エリア
・東久留米市※1部エリア
<埼玉県>
・和光市
・朝霞市
・戸田市※1部エリア
・川越市※1部エリア
・新座市※1部エリア
・川口市※1部エリア
シンプレ訪問看護ステーションの対応地域はおもに上記が中心で、訪問活動をおこなっています。該当エリアにお住まいの方はぜひご検討ください。
また上記以外のエリアにお住まいでも、対応できる場合がございますので、一度当社スタッフへご相談ください。
サービス内容を詳しく聞きたい、スケジュールの相談なども承っております。電話やメールなどで相談を受け付けていますので、お気軽にご連絡ください。
訪問の回数は、週1〜3回を目安に、状態によっては週4回以上の訪問にも対応します。1回の訪問時間はおおむね30〜90分で、土曜・祝日のご相談にも応じています。多発性硬化症の症状や生活の困りごとに合わせて、ご本人だけでなくご家族の相談にも対応します。なお、夜間や緊急時の対応の体制を整えているステーションは多いものの、実際に利用できる範囲はステーションによって異なるため、契約前に確認しておくと安心です。
ご相談の問い合わせはこちら▼
まとめ|多発性硬化症でも住み慣れた家で暮らし続けるために

多発性硬化症は、再発と寛解をくり返しながら、症状の出方が人によって大きく異なる病気です。再発の不安や体調の変化とつき合いながらの生活は、ご本人にもご家族にも負担がかかりやすいものですが、家族だけで抱え込まず、専門職と一緒に支えていくことができます。多発性硬化症は別表7に該当して医療保険での訪問看護を受けやすく、指定難病として費用の助成につながる場合もあります。
訪問看護は、体調の見守りから服薬や生活のサポート、ご家族の相談まで、在宅での暮らしを幅広く支えます。多発性硬化症の療養や訪問看護について気になることがあれば、シンプレ訪問看護ステーションへお気軽にご相談ください。一人ひとりの状況に合わせて、住み慣れた家で安心して暮らし続けられるようサポートします。
ご相談の問い合わせはこちら▼
※本記事は執筆時点の一般的な情報をまとめたものです。症状やケアの内容、制度・保険のあつかいは、年度の改定・お住まいの地域・ご本人の状態によって異なる場合があります。参考:難病情報センター、国立精神・神経医療研究センター、慶應義塾大学病院(KOMPAS)、厚生労働省(特掲診療料の施設基準等 別表第七)。最新・正確な内容は、主治医や訪問看護ステーション、お住まいの市区町村の窓口などでご確認ください。
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