てんかんのある方の訪問看護
てんかんは、脳の神経の一時的な過剰な活動によって発作をくり返す、慢性的な病気です。日本にはおよそ100万人のてんかんのある方がいるといわれ、子どもから高齢の方まで、誰にでも起こりうる身近な病気です。
診断を受けたご本人やご家族の多くが、「薬を続けながら、これまでどおり自宅で暮らしていけるのだろうか」という不安を抱えています。発作がいつ起こるかわからない、家族だけで見守れるか自信がない——そうした心配に寄り添うのが、てんかんのある方への訪問看護です。
この記事では、てんかんという病気の基本から、在宅生活で気をつけたいこと、てんかんの訪問看護でどんな支援が受けられるのか、利用できる保険・制度までを、わかりやすくまとめました。家で看ていく不安を、少しでも軽くするための一歩になればと思います。
てんかんとは|どのような病気か

てんかんは、脳の神経細胞が一時的に過剰な電気活動を起こすことで、発作がくり返し現れる病気です。発作の多くは数秒から数分でおさまる一過性のものですが、くり返し起こる点が特徴です。てんかんのある方への訪問看護を考えるうえでも、まずはこの病気の全体像を知っておくと、日々の見守りがぐっと楽になります。
てんかんの定義(脳の慢性的な病気と反復する発作)
世界保健機関(WHO)では、てんかんを脳の神経細胞の過剰な活動による発作をくり返す慢性的な病気と説明しています。一度だけのけいれんではなく、発作がくり返し起こる状態を指します。脳のどの部分が、どのように興奮するかによって、現れる症状は人それぞれ大きく異なります。
てんかんのある人はどのくらいいるのか
日本国内には、およそ100万人のてんかんのある方がいると推定されています。決してまれな病気ではなく、身近な誰もが関わりうる病気だといえます。適切な治療を続けることで、多くの方が発作をコントロールしながら社会生活を送っています。
子どもから高齢者まで、誰にでも起こりうる
てんかんは3歳以下での発病が最も多く、20歳までに発病する方が大半を占めるとされています。一方で近年は、高齢化に伴い、脳梗塞や脳出血などの脳血管障害をきっかけに高齢で発症する方も増えています。年代を問わず起こりうるからこそ、その人の生活に合わせた支援が大切になります。
てんかんの主な症状と発作の種類

てんかんの症状は「発作」として現れますが、その出方は一様ではありません。けいれんを思い浮かべる方が多いものの、実際にはぼんやりして意識が途切れるだけのものなど、さまざまなタイプがあります。てんかんの訪問看護では、その方の発作のパターンを把握することが、見守りの出発点になります。
大きく分けて2つの発作タイプ(部分発作・全般発作)
てんかんの発作は、脳の一部から始まる部分発作(焦点発作)と、脳全体が一度に興奮する全般発作に大きく分けられます。どちらのタイプかによって、現れる症状や注意すべき点が変わってきます。タイプの見きわめは検査をふまえて主治医が行います。
意識を失う発作・けいれんを伴う発作
全身が硬くなりガクガクとけいれんする発作のほか、動作が急に止まり、数十秒ほど意識がぼんやりする発作もあります。後者は周囲から気づかれにくく、「ぼーっとしているだけ」と見過ごされることもあります。どんな様子だったかを記録しておくと、診察のときに役立ちます。
発作の前ぶれ(前兆)に気づくこと
発作の前に、なんともいえない違和感やにおい、胃のあたりがこみ上げる感覚といった前兆を感じる方もいます。前兆に気づければ、座る・横になるなど安全な姿勢をとる余裕が生まれます。ご本人やご家族が前兆のサインを知っておくことは、ケガの予防につながります。
てんかんの主な原因

てんかんの原因は一つではなく、はっきりわかる場合とわからない場合があります。原因を知っておくと、生活のなかで気をつけたいことが見えてきます。てんかんの訪問看護でも、その方の背景に合わせて見守りのポイントを一緒に整理していきます。
原因がはっきりしている場合(脳の損傷・脳血管障害など)
出産時の脳へのダメージ、頭部のケガ、脳炎、脳腫瘍、そして高齢の方では脳梗塞や脳出血などの脳血管障害がきっかけになることがあります。脳の組織が傷つくと、その周囲の神経細胞が異常な活動を起こしやすくなると考えられています。
原因がわからない場合
検査をしても明らかな原因が見つからない「特発性てんかん」も少なくありません。ただし、原因がわからなくても治療はできます。てんかんの治療は原因そのものを取り除くのではなく、発作のもとになる脳の過剰な電気的活動を、薬で抑えることが目的だからです。
特発性てんかんは経過が良好なことが多く、1〜2種類の薬で約7〜8割の方の発作が消失するとされています。ただし発作が消えても病気そのものが治ったわけではないため、薬の続け方や減らし方は主治医と相談しながら進めます。
発作を誘発しやすい要因(睡眠不足・ストレスなど)
発作そのものの原因とは別に、睡眠不足や過労、強いストレス、発熱などが発作を誘発しやすいといわれています。何が引き金になりやすいかは人によって異なるため、発作の前後の状況を記録し、その方なりのパターンを見つけていくことが役立ちます。
てんかんの治療|服薬の継続が中心

てんかんの治療は、抗てんかん薬による薬物療法が中心です。てんかんの訪問看護でも、処方された薬を無理なく続けられるように支えることが、大きな役割の一つになります。なお、治療方針や薬の種類・量を決めるのは主治医であり、ここでは一般的な目安をご紹介します。
抗てんかん薬による治療
多くの方は、抗てんかん薬を毎日続けることで発作を抑えやすくなるとされています。薬の種類は発作のタイプによってさまざまで、合う薬や量は一人ひとり違います。どの薬をどれくらい使うかは、検査や経過をふまえて主治医が判断・調整します。
服薬を続けることの大切さ(自己判断で中断しない)
発作が落ち着くと「もう飲まなくてよいのでは」と感じることがありますが、自己判断での中断は発作の再発につながりやすいとされています。減らす・やめるといった判断は、主治医に相談してから行うことが大切です。飲み忘れや飲みにくさがあるときも、抱え込まず医療者に伝えてみてください。
薬以外の治療という選択肢
2〜3種類以上の薬を十分に使っても発作が抑えられない場合は「難治性(薬剤抵抗性)てんかん」と呼ばれます。まずは十分な薬物療法を行い、効果が得られないときに薬以外の治療が検討されるのが基本とされています。
薬以外の主な治療には、次のようなものがあります。
- 外科手術:発作の始まる部分を取り除く根治手術など
- 迷走神経刺激療法(VNS):発作をやわらげる装置を首〜胸に埋め込む緩和的な治療
- 食事療法(ケトン食):主に小児の難治例で行われる、脂肪を多くした食事
このように手術だけではなく、状態に応じて選択肢が分かれます。どの治療が向いているかは一人ひとり異なるため、てんかんを専門とする医療機関(てんかんセンターなど)の脳神経内科・脳神経外科・小児神経の専門医に相談しながら検討します。この記事の内容はあくまで一般的な目安です。
てんかんのある方が在宅で安心して暮らすために

てんかんがあっても、多くの方が住み慣れた自宅で日常を送っています。大切なのは、「もし発作が起きても落ち着いて対応できる」という備えを、家族だけで抱え込まずに整えておくことです。てんかんの訪問看護は、その備えづくりを一緒に進める心強い存在になります。
発作が起きたときの対応の基本
発作が起きたときは、あわてず周囲の危険なものを遠ざけ、頭を守り、おさまるのを見守るのが基本とされています。吐いたものをのどに詰まらせないよう体を横向きにし、むやみに押さえつけたり、口に物を入れたりしないよう注意します。多くの発作は数分でおさまります。
一方で、発作が長引くと「てんかん重積状態」になることがあります。次のような場合は、救急車を呼ぶ目安とされています。
- けいれんが5分以上続く
- 意識が戻らないまま発作をくり返す
- 初めての発作、またはいつもと違う発作のとき
- ケガをした、呼吸の状態がおかしいとき
ふだんの対応や、どんなときに受診・救急へ動くかは、あらかじめ主治医に確認しておくと落ち着いて動けます。訪問看護師も、その方に合った対応を一緒に整理していきます。
発作の引き金を減らす生活の工夫
睡眠不足や過労、強いストレス、飲酒などは、発作の「引き金(誘因)」になることがあるといわれています。こうした誘因を避けることで、引き金による発作を減らしやすくなると考えられています。ただし、生活を整えれば発作がなくなるわけではなく、あくまで薬物療法を補う位置づけです。
とはいえ、完璧を目指してご家族が疲れてしまっては続きません。できる範囲で無理なく続けられる工夫を、一緒に見つけていくことが大切です。
家族だけで抱え込まないという考え方
発作への不安を、ご家族だけで24時間抱え続けるのは大きな負担です。困ったときに相談できる相手がいるというだけで、気持ちはずいぶん軽くなります。訪問看護をはじめ、主治医や地域の窓口など、頼れる先を複数もっておくことが在宅生活を続ける支えになります。
てんかんと訪問看護|在宅でできる支援

てんかんの訪問看護では、看護師が定期的に自宅を訪れ、服薬の状況や体調、発作の様子を確認しながら在宅生活を支えます。看護師が治療方針を決めるわけではなく、主治医の指示書にもとづいて、観察・支援・相談を担うのが役割です。気づいたことを主治医に報告し、ご家族と医療をつなぐ橋渡しをします。
服薬の管理・飲み忘れを防ぐサポート
てんかんの治療では服薬の継続が要になるため、訪問看護では飲み忘れがないかを確認し、薬の管理がしやすくなる工夫を一緒に考えます。お薬カレンダーの活用や、飲みにくさの相談など、その人に合った続け方を探していきます。なお、薬の増減そのものは主治医の判断によります。
発作の観察・記録と主治医への報告
発作がいつ・どんなふうに起きたかは、治療を調整するうえで重要な手がかりになります。訪問看護師は発作の様子や体調の変化を観察して記録し、主治医へ報告・相談します。ご家族が記録した発作メモも、診察の場で大いに役立ちます。
本人・家族の不安に寄り添う相談支援
看護師がはじめからご家庭のやり方をすべて把握しているわけではありません。「これまでどうされてきましたか」とこれまでのやり方を一緒に確認するところから始め、迷ったときに相談できる関係をつくっていきます。発作への不安や生活の悩みも、気軽に話せる相手がいることが支えになります。
てんかんの方の訪問看護にかかる費用と制度

てんかんの訪問看護を利用するときに気になるのが費用です。利用できる保険や制度は、年齢や状態、お住まいの自治体によって異なります。ここでは一般的な目安をご紹介しますが、正確な負担額や利用条件は、お住まいの市区町村の窓口や訪問看護ステーションにご確認ください。
訪問看護で使える保険(多くは医療保険)
精神科を担当する医師が「精神科訪問看護指示書」を出した場合、てんかんの訪問看護は介護保険より医療保険が優先され、多くのケースで医療保険が使われます。医療保険での自己負担は、所得や年齢に応じて1〜3割です。なお、要介護認定を受けている方など、状況によって介護保険が関わる場合もあります。
自立支援医療(精神通院医療)で負担を軽減できる場合
てんかんは、通院による治療を続ける必要がある場合に自立支援医療(精神通院医療)の対象となることがあります。この制度を医療保険と併用すると、通院や精神科訪問看護などにかかる医療費の自己負担が原則1割に軽減されます(所得などに応じて自己負担の上限が設定されます)。対象となるかどうかや申請方法は、市区町村の窓口にご相談ください。
訪問の頻度や利用の流れ(最新は各窓口で確認を)
訪問の回数や1回あたりの時間は、状態やニーズに合わせて、訪問看護ステーションと相談しながら決めていきます。医療保険では原則1日1回・週3日まで、1回30〜90分が目安で、状態によっては週4回以上になることもあります。
利用を考えるときは、まず主治医や近くの訪問看護ステーションに相談するところから始まります(訪問看護には主治医の指示書が必要です)。制度や料金は年度によって見直されることがあるため、最新の情報は厚生労働省や自治体、各窓口でご確認ください。
てんかんのある方の在宅療養はシンプレ訪問看護ステーションへ

「家で看ていけるか不安」「発作のときにどうしたらいいかわからない」——そんなときは、てんかんの訪問看護を活用してみてください。シンプレ訪問看護ステーションでは、ご本人とご家族が自宅で安心して過ごせるよう、一緒に考えながら支えていきます。
シンプレ訪問看護ステーションの特徴
シンプレ訪問看護ステーションは精神科に特化した訪問看護を行っており、てんかんのある方の在宅生活も支援しています。専門の知識をもったスタッフが定期的にご自宅を訪問し、体調や発作の様子の観察、服薬を続けるためのサポート、生活面のご相談に対応します。
大切にしているのは、一人ひとりのペースに合わせることです。これまでのやり方を一緒に確認しながら、気づいたことは主治医に報告・相談し、ご家族と医療をつなぐ役割を担います。何でも決めてしまうのではなく、迷ったときに相談できる伴走者でありたいと考えています。
| 負担割合 | 月の初回訪問 | 2回目以降 |
|---|---|---|
1割負担![]() | 1,299円/回 | 855円/回 |
2割負担![]() | 2,598円/回 | 1,710円/回 |
3割負担![]() | 3,897円/回 | 2,565円/回 |
上記は週3回までの訪問料金となります。週4回以上訪問となる場合には料金が異なります。
精神科訪問看護では、医療保険を利用することにより自己負担を軽減できるメリットがあります。
30分を一区切りに利用可能。かかった費用については、年齢や所得によって変わり、医療費の1〜3割が自己負担となります。
また早朝や深夜などの時間外に依頼する場合や、長時間の訪問を行う場合は別途料金が発生します。
また自立支援医療制度という制度を利用すると料金が1割負担になるほか、所得に応じて自己負担が0円になる場合もございます。
シンプレ訪問看護ステーションの対応エリア
-
<東京都>
・東京23区
※足立区、荒川区は1部エリアとなります。
・西東京市
・三鷹市
・調布市
・武蔵野市
・府中市※1部エリア
・東久留米市※1部エリア
<埼玉県>
・和光市
・朝霞市
・戸田市※1部エリア
・川越市※1部エリア
・新座市※1部エリア
・川口市※1部エリア
シンプレ訪問看護ステーションの対応地域はおもに上記が中心で、訪問活動をおこなっています。該当エリアにお住まいの方はぜひご検討ください。
また上記以外のエリアにお住まいでも、対応できる場合がございますので、一度当社スタッフへご相談ください。
サービス内容を詳しく聞きたい、スケジュールの相談なども承っております。電話やメールなどで相談を受け付けていますので、お気軽にご連絡ください。
訪問の頻度は週1〜3回が目安で、状態に応じて週4回以上に対応できる場合もあります。1回の訪問時間はおおむね30〜90分で、土曜・祝日のご相談にも対応しています。ご本人だけでなく、ご家族からの「発作のときどうすれば」「最近眠れていないようだ」といったご相談もお受けしています。まずはお気軽にお問い合わせください。
ご相談の問い合わせはこちら▼
まとめ|てんかんのある方の在宅生活を訪問看護が支える

てんかんは、発作をくり返す慢性的な病気ですが、服薬を続け、発作とうまく付き合いながら、自宅で自分らしく暮らしている方がたくさんいます。発作の不安を家族だけで抱え込まず、頼れる先をもっておくことが、在宅生活を続けるうえで大きな支えになります。
てんかんの訪問看護では、服薬を続けるためのサポートや発作の観察、ご家族の相談対応を通じて、住み慣れた家での暮らしを支えます。看護師が治療を決めるのではなく、主治医の指示のもとで観察・支援・橋渡しを担う存在です。「家で看ていけるだろうか」と迷ったときは、シンプレ訪問看護ステーションにお気軽にご相談ください。ご本人とご家族の毎日に、一緒に寄り添っていきます。
ご相談の問い合わせはこちら▼
本記事は一般的な情報をまとめたものであり、個別の診断・治療・制度の適用を保証するものではありません。症状や治療、保険・制度については、主治医・かかりつけの医療機関・訪問看護ステーション・お住まいの市区町村の窓口など、専門機関にご確認ください。
参考:公益社団法人 日本てんかん協会/てんかん情報センター(国立病院機構 静岡てんかん・神経医療センター)/国立精神・神経医療研究センター てんかんセンター/厚生労働省「自立支援医療(精神通院医療)について」「訪問看護療養費の取扱い」 ほか(正式名称・リンクは公開時に確認のうえ差し込み)
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