ハンチントン病とは?訪問看護との関りについて
ハンチントン病と診断されたとき、ご本人もご家族も「これから家でどう過ごしていけばいいのだろう」と大きな不安を抱えるのではないでしょうか。ハンチントン病は運動・認知・精神の症状が少しずつあらわれる遺伝性の神経の難病で、長い時間をかけてゆっくり進んでいくといわれています。この記事では、ハンチントン病の症状や原因、治療の考え方から、在宅での療養を支える訪問看護のはたらき、費用や保険、ご家族の相談先までを、できるだけやさしく整理してお伝えします。一人で抱え込まず、相談できる先があることを知っていただければと思います。
ハンチントン病とは

ハンチントン病は、脳の神経細胞が少しずつ変化していくことで、体の動き・考える力・気持ちのコントロールに影響があらわれる、遺伝性の神経の病気とされています。国の指定難病に定められた、患者数の少ない病気のひとつで、日本での有病率は10万人に1人弱ほどといわれています。ハンチントン病は急に重くなるのではなく、年単位でゆっくりと進んでいくため、進み方や必要な支えも時期によって変わってきます。ここでは、まずどのような病気なのか、全体像を整理します。
ハンチントン病はどんな病気か
ハンチントン病は、脳の中でも体の動きや感情に関わる部分の神経細胞が、時間をかけて変化していく病気と考えられています。代表的なのは、手足や顔が自分の意思とは関係なく動いてしまう不随意運動(舞踏運動)ですが、それだけではありません。気持ちが沈む、怒りっぽくなるといった精神面の変化や、物事を考えたり判断したりする力の変化もあらわれるとされ、これらが組み合わさって日常生活に影響していきます。症状の出方や進み方には個人差が大きいといわれています。
指定難病・神経難病としての位置づけ
ハンチントン病は、国が定める指定難病のひとつとして医療費助成の対象になっています。さらに、訪問看護の制度のうえでは「厚生労働大臣が定める疾病等(別表7)」にあたる病気としても位置づけられています。これらは申請や診断にもとづいて決まる制度上のあつかいで、後ほどの費用・保険の章で具体的に説明します。難病という言葉に身構えてしまうかもしれませんが、こうした制度は療養を支えるために用意されているものです。
症状の進み方の見通し
ハンチントン病は発症からの全経過がおおむね15〜20年とされ、ゆっくりと進んでいく病気だといわれています。初期は日常生活を送れることも多く、進行とともに歩行や飲み込みのむずかしさが出てくる傾向があるとされています。進み方は人によって大きく異なるため、「これくらいの時期にこうなる」と一律には言えません。だからこそ、その時々の状態に合わせて、医療や生活の支えを少しずつ整えていくことが大切になります。
ハンチントン病の症状

ハンチントン病の症状は、大きく「体の動き」「気持ち」「考える力」の3つの面にわけて整理されることが多いといわれています。どれか1つだけが出るのではなく、これらが重なりあいながら、ゆっくりと変化していくのが特徴とされています。とくに気持ちの変化は、体の症状より先にあらわれることもあるといわれており、ご本人やご家族が病気と結びつけにくい場合もあります。
からだに出る運動の症状
運動の症状としては、手先が思うように使えず物を落としやすくなる、顔をしかめる、手足が勝手に動くといった不随意運動が知られています。進行すると、歩くときにふらつきやすくなって転びやすくなったり、言葉が出にくくなったり、飲み込みがむずかしくなったりすることがあるとされています。こうした症状は緊張したときに強くなり、眠っている間はおさまる傾向があるといわれています。
こころに出る精神の症状
ハンチントン病では、気分の落ち込みや不眠、怒りっぽさ、やる気が出にくくなるといった精神面の変化があらわれることがあるとされています。これらは運動の症状より前に出ることもあり、性格が変わったように見えることもあるといわれています。ご本人にとってもご家族にとってもつらく感じられる部分ですが、病気による変化であることを理解し、専門職とともに対応を考えていくことが支えになります。
進行とともに出る認知の症状
病気が進んでいくと、物事を考えたり段取りを立てたりする力に変化があらわれ、判断や記憶がむずかしくなってくることがあるとされています。自発的に動くことが少なくなる場合もあるといわれています。こうした変化があると、ご本人が困りごとをうまく言葉にできないこともあります。日々の様子を見守り、小さな変化に気づいて支える関わりが大切になってきます。
ハンチントン病の原因と遺伝

ハンチントン病は、ある特定の遺伝子の変化が原因で起こる遺伝性の病気と考えられています。そのため、ご家族の中で同じ病気の方がいるケースが多いとされています。遺伝にまつわることは、ご本人だけでなくお子さんや親族にも関わるためデリケートな話題ですが、正しく知り、必要なときに相談できる先を持っておくことが安心につながります。
原因となる遺伝子
ハンチントン病は、HTTと呼ばれる遺伝子の一部で、特定の塩基配列のくり返しがふえることが関わっているといわれています。このくり返しが多くなると、神経細胞に影響をおよぼすたんぱく質ができ、脳の特定の部分の神経細胞が少しずつ働けなくなっていくと考えられています。こうした遺伝子の変化が、運動や認知、精神の症状につながっていくと説明されています。
親から子へ伝わる仕組み
ハンチントン病は「常染色体顕性(優性)遺伝」という形で伝わるとされ、親のどちらかがこの病気の場合、子どもに受け継がれる確率は2分の1(50%)といわれています。また、親より子のほうが若い年齢で発症しやすい傾向があるとも報告されています。ただし、遺伝子を受け継いだかどうかや発症の時期は個人差があるため、心配なことは自己判断せず、専門の窓口で相談することが大切です。
遺伝に関する不安と相談先
遺伝に関することは、検査を受けるかどうかも含めて、ご本人やご家族の気持ちが大きく揺れる場面です。一人で抱え込まないことが何より大切だと考えられています。遺伝に関する専門的な相談は、医療機関の遺伝カウンセリングや難病の相談支援センターなどで受けられる場合があります。どこに相談すればよいか迷うときは、主治医や担当の窓口に尋ねてみるとよいでしょう。
ハンチントン病の治療

現在のところ、ハンチントン病そのものを根本から治す方法は確立されていないといわれていますが、症状をやわらげて生活のしやすさを保つための治療はさまざまに行われています。薬による症状の調整やリハビリテーション、生活面の支えを組み合わせていくのが一般的とされています。治療の内容は状態によって異なるため、主治医とよく相談しながら進めていくことになります。
治療の基本的な考え方
ハンチントン病の治療は、病気の進行を見ながら、その時々につらい症状をやわらげることを目的に行われると考えられています。対症療法が中心となり、運動の症状、気持ちの症状、生活上の困りごとに合わせて、必要な支えを少しずつ組み合わせていく形が多いとされています。何をどこまで行うかは、ご本人の希望や状態をふまえて、医療者とともに決めていくものです。
薬による症状のやわらげ方
手足の不随意運動や、気分の落ち込み・不眠・いらだちといった精神面の症状に対しては、症状を抑える薬が使われることがあるとされています。薬の種類や量は、症状の出方や体の状態によって主治医が判断し、調整していきます。飲み続けるなかで体調や効き目に変化を感じたときは、自己判断で中断せず、主治医や薬剤師に相談することが大切です。
リハビリテーションの役割
リハビリテーションは、いまできている動作をできるだけ長く保ち、生活のしやすさを支えることを目的に取り入れられることがあるといわれています。体の動きだけでなく、飲み込みや話すことへのアプローチが行われる場合もあります。無理のない範囲で続けることが大切とされ、どんな内容が合うかは、主治医やリハビリの専門職と相談しながら決めていきます。
ハンチントン病の在宅療養を支える訪問看護

ハンチントン病とともに自宅で過ごしていくうえで、心強い支えのひとつになるのが訪問看護です。看護師が定期的に自宅を訪ね、体調や暮らしの様子を見守りながら療養を支えます。ハンチントン病は運動・認知・精神の症状が重なる病気のため、医療面だけでなく、こころや生活の不安にも寄り添える関わりが求められます。ここでは、訪問看護でどのような支えが受けられるのかを整理します。
訪問看護師が担う役割
訪問看護では、看護師が主治医の「訪問看護指示書」にもとづいて自宅をおとずれ、療養の支援を行います。治療やケアの方針を決めるのは主治医で、看護師は体調や症状を観察し、その様子を主治医に報告・相談しながら、ご本人やご家族を支える立場です。何でも看護師が一人で判断するのではなく、医療者とご家族をつなぐ橋渡し役を担うと考えるとわかりやすいでしょう。
体調や症状の観察と服薬の支え
看護師は訪問のたびに、体調の変化や不随意運動の様子、食事や飲み込みの状態などを見守り、気になる変化があれば主治医に相談してつなぎます。薬を続けていくうえでの困りごとの相談にのることもあります。飲み込みがむずかしくなってきた場合の食事の工夫や、転びにくい環境について、ご家族と一緒に考えていくこともできます。日々のやり方は、これまでの暮らし方をうかがいながら一緒に確認していきます。
こころの症状や暮らしへの寄り添い
ハンチントン病では気持ちの落ち込みやいらだちなどの精神面の変化も大きな負担になりやすいといわれています。訪問看護では、こうしたこころの揺れにも目を向け、ご本人の話に耳を傾けながら、不安をやわらげる関わりを大切にします。ご家族が感じている戸惑いや疲れについても、相談できる相手がいることが支えになります。生活面の介助が必要なときは、訪問介護など使える制度・サービスへの橋渡しも行います。
ハンチントン病の訪問看護にかかる費用と保険

ハンチントン病の訪問看護でいちばん気になるのが費用ではないでしょうか。ハンチントン病は医療保険での訪問看護が基本で、自己負担は年齢や所得に応じて1〜3割です。そのうえで指定難病の医療費助成を受けると、負担がさらに軽くなる仕組みがあります。ここでは実際にどれくらいの負担になるのかを制度ごとに整理します。金額は年度の改定で変わることがあるため、最新は各窓口でご確認ください。
医療保険での訪問看護と自己負担割合
ハンチントン病は制度上「別表7」にあたる病気のため、年齢や要介護認定の有無にかかわらず医療保険が優先されます。自己負担割合は、ふだんの医療機関の受診と同じく次のとおりとされています。
| 年齢など | 自己負担割合 |
|---|---|
| 未就学児 | 2割 |
| 小学生〜69歳 | 3割 |
| 70〜74歳 | 2割(現役並み所得は3割) |
| 75歳以上 | 1割(所得により2割・3割) |
※表の割合は健康保険の自己負担分です。18歳までのお子さんは自治体の子ども医療費助成の対象で、お子さんの窓口負担は実質無料になることが多いです(所得制限の有無や訪問看護での取りあつかいは自治体により異なります)。
ハンチントン病の発症は30〜50代が中心とされ、多くの方は3割が目安になります。別表7に該当すると、介護保険の支給限度額(使える上限枠)を気にせず必要な回数の訪問を受けやすくなる点も費用面のメリットです。
指定難病の医療費助成
ハンチントン病は指定難病に認定されると、通常3割の人も対象の医療費は2割に軽くなり、月ごとの自己負担に上限が設けられます(もともと1割の人は1割が優先されます)。上限額は外来・入院・薬代・訪問看護費を合算して計算され、上限を超えた分は助成されるとされています。月ごとの自己負担上限は、所得に応じておおむね次のように決まります。
| 所得区分(年収の目安) | 月ごとの自己負担上限 |
|---|---|
| 生活保護 | 0円 |
| 低所得(住民税非課税) | 2,500〜5,000円 |
| 一般所得 | 10,000〜20,000円 |
| 上位所得 | 30,000円 |
| 人工呼吸器などを使用 | 1,000円 |
医療費が高額な状態が長く続く場合(高額かつ長期)は、一般所得・上位所得の上限がさらに軽くなるとされています。所得区分はより細かく分かれ、金額も改定されることがあるため、最新の区分は各自治体や難病情報センターでご確認ください。
さらに、生活保護を受けている世帯は自己負担が0円になるほか、病状が進んで重い障害があると認められ、お住まいの自治体の重度心身障害者医療費助成(マル障)などの対象になった場合は、自己負担分が助成されて実質無料になることもあるとされています(住民税が課税されている場合は1割の負担が残ります)。どの助成が使えるかは年齢や障害の程度、所得によって変わるため、窓口や医療ソーシャルワーカー(MSW)に確認すると安心です。
自己負担をやわらげる制度と相談先
難病の医療費助成のほかにも、1か月の医療費自己負担が高額になったときに払い戻しを受けられる高額療養費制度などが利用できる場合があります。どの制度が使えるかは年齢や所得、状態によって異なるため、専門職に整理してもらうと安心です。お金や手続きの相談先としては、市区町村や保健所の窓口、医療機関の医療ソーシャルワーカー(MSW)、訪問看護ステーションなどがあります。制度の内容は年度によって変わることがあるため、最新・正確な金額は各窓口でご確認ください。
ハンチントン病の家族を支える相談先

ハンチントン病はご本人だけでなく、支えるご家族にとっても負担が大きくなりやすい病気だといわれています。家族だけで抱え込まないことが、長く付き合っていくうえでとても大切です。気持ちの面でも、生活や制度の面でも、相談できる先を知っておくことが安心につながります。ここでは、ご家族が直面しやすいことと、頼れる窓口を整理します。
ご家族が直面しやすいこと
ご家族は、症状による生活の変化への対応に加えて、性格やふるまいの変化を病気として受けとめるむずかしさに直面することがあるといわれています。さらにハンチントン病は遺伝性の病気のため、ご自身やお子さんの将来への不安が重なることもあります。こうした思いは自然なもので、誰かに話したり相談したりしてよいものです。一人で背負い込まずに支えを得ることが大切です。
一人で抱え込まないために
介護や見守りが続くと、ご家族自身が疲れをためてしまうことがあります。困りごとは早めに共有することが、ご家族の健康を守るうえでも大切とされています。訪問看護をはじめ、関わる専門職に「いま何に困っているか」を伝えることで、使える支援やサービスを一緒に考えてもらえます。すべてを家族だけで完璧にこなそうとしなくてよい、と考えることが第一歩になります。
相談できる窓口
ハンチントン病に関する相談は、いくつもの窓口で受けられます。療養や生活の相談は訪問看護ステーションや市区町村の窓口、難病の相談支援センターなどが入り口になります。費用や制度の整理は医療ソーシャルワーカー(MSW)に、同じ病気の方や家族とのつながりは患者会などに相談できる場合があります。どこに相談すればよいか迷うときは、まず主治医や訪問看護に尋ねてみてください。
ハンチントン病の訪問看護ならシンプレ訪問看護ステーション

ハンチントン病は、体の症状とこころの症状が重なりあう病気です。その両方に寄り添える支えがあると、ご本人もご家族も安心して在宅での療養に向き合いやすくなります。シンプレ訪問看護ステーションは、こうした医療と気持ちの両面に目を向けた関わりを大切にしています。
シンプレ訪問看護ステーションの特徴
シンプレ訪問看護ステーションは精神科の訪問看護を得意としており、気持ちの変化や行動の症状にも寄り添える点が強みです。ハンチントン病のように精神面の症状をともなう病気では、体調の観察や服薬の相談に加えて、こころの揺れやご家族の戸惑いにも目を向けた関わりができます。専門職がご自宅をおとずれ、ご本人のペースを大切にしながら、これまでの暮らし方をうかがいつつ一緒に療養を支えていきます。
シンプレ訪問看護ステーションの対応エリア
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<東京都>
・東京23区
※足立区、荒川区は1部エリアとなります。
・西東京市
・三鷹市
・調布市
・武蔵野市
・府中市※1部エリア
・東久留米市※1部エリア
<埼玉県>
・和光市
・朝霞市
・戸田市※1部エリア
・川越市※1部エリア
・新座市※1部エリア
・川口市※1部エリア
シンプレ訪問看護ステーションの対応地域はおもに上記が中心で、訪問活動をおこなっています。該当エリアにお住まいの方はぜひご検討ください。
また上記以外のエリアにお住まいでも、対応できる場合がございますので、一度当社スタッフへご相談ください。
サービス内容を詳しく聞きたい、スケジュールの相談なども承っております。電話やメールなどで相談を受け付けていますので、お気軽にご連絡ください。
訪問の回数や時間は、ご本人の状態や主治医の指示、ご希望をふまえて相談しながら決めていきます。1回あたりおおむね30〜90分を目安に、土曜・祝日のご相談にも対応しています。ご本人へのケアだけでなく、ご家族の不安や困りごとの相談もお受けしていますので、まずはお気軽にお問い合わせください。
ご相談の問い合わせはこちら▼
まとめ|ハンチントン病の在宅療養に寄り添う訪問看護

ハンチントン病は、運動・認知・精神の症状が少しずつあらわれ、ゆっくりと進んでいく遺伝性の神経の難病とされています。治療やリハビリ、訪問看護による支えを組み合わせていくことで、その時々の状態に合わせた無理のない療養を続けやすくなります。費用の面でも、医療保険や指定難病の医療費助成など、負担をやわらげる制度が用意されています。
大切なのは、ご本人もご家族も一人で抱え込まないことです。ハンチントン病の在宅療養について不安があるときは、訪問看護をはじめ相談できる先がいくつもあります。シンプレ訪問看護ステーションでも、医療と気持ちの両面からご本人とご家族の暮らしに寄り添います。気になることがあれば、どうぞお気軽にご相談ください。
ご相談の問い合わせはこちら▼
※本記事は執筆時点の一般的な情報をまとめたものです。症状や治療の内容には個人差があり、制度や保険のあつかいは年度の改定・地域・ご本人の状態により異なる場合があります。参考:難病情報センター、厚生労働省、東京都福祉局(子ども医療費助成・心身障害者医療費助成)、各自治体(難病医療費助成)、各医療機関の公開情報。最新・正確な内容は主治医や各窓口でご確認ください。
