アルコール依存症の治療はどのように行う?
アルコール依存症にはさまざまな治療が行われます。
大量のお酒を長期にわたって飲み続けることで、お酒がないといられなくなるアルコール依存症。
当記事ではアルコール依存症の治療の流れ・治療する際の相談先についてご紹介していきます。
アルコール依存でお悩みの方や、身近にそういった方がいる方は参考にしてみて下さい。
アルコール依存症の治療の流れ
治療の流れ①解毒治療
治療名 | 解毒治療 |
---|---|
治療方法 | ・精神の治療 ・身体合併症の治療 ・離脱症状の治療 |
治療期間 | 通常2~4週間 |
アルコール依存症の治療は入院治療が基本で、入院をした患者さんに対して、さまざまな治療が行われます。
精神もしくは身体に症状が出ている場合は対症療法を行います。対症療法とは患者さんの症状に対して処置をする療法で、根本的な解決策ではありません。
根本的に解決するには解毒治療が必要です。解毒治療の期間は2~4週間程度で、心身の状態が安定すればリハビリ治療に移行します。
治療の流れ②リハビリ治療
治療名 | リハビリ治療 |
---|---|
治療方法 | ・個人カウンセリング ・集団精神治療 ・抗酒薬の治療 |
治療期間 | 約2ヶ月 |
リハビリ治療では、患者さんに飲酒問題の現実を直視してもらい、断酒を強く決意させたうえで、2カ月程度かけて断酒を継続させるための治療が行われます。
まずは精神療法などで、患者さんにアルコール依存症や断酒に対する正しい知識を知ってもらい、断酒会や自助グループへの参加を促します。
断酒を継続させるために、患者さんにしっかりと説明をしたうえで、抗酒薬(ジスルフィラム・シアナミド)の投与による薬物療法も開始されます。
治療の流れ③退院後のアフターケア
- 病院・クリニックへの通院
- 抗酒薬の服用
- 自助グループへの参加
上記の3つが退院後のアフターケアの三本柱と言われており、この三本柱を継続して行うことで飲酒への未練を完全に断ち切り、断酒を成功へと導きます。
抗酒薬のジスルフィラム・シアナミドの服用は断酒を継続させるためには不可欠であり、抗酒薬の服用は退院後6~12カ月間継続して行われます。
アルコール依存症の患者さん同士が集まって、お互いの経験を共有し、断酒を成功させるための支援を行うグループです。メンバーが集まって自己の体験を語り合い、仲間と一緒に断酒の継続を目指します。
アルコール依存症の治療内容を紹介
治療①精神療法
アルコール依存症の治療の中心は精神療法です。精神療法の種類には個人精神療法や集団精神療法などがあります。
個人精神療法は、精神科医や臨床心理士などの専門家によるカウンセリングを通じて、患者さんに飲酒問題の現実を直視してもらい、自発的な断酒の決断を導きます。
集団精神療法は、精神科医らの指導のもとに数名の患者さんに集まってもらい、グループミーティングを通じてお互いの問題を分かち合い理解し、問題を乗り越えるために支え合う目的のために行われます。
治療②薬物治療
- 低栄養の治療
- 肝臓などの治療
- 精神症状に対する治療
- 離脱症状への治療
- お酒を遠ざける(抗酒薬)
アルコール依存症の精神・身体合併症の治療はアルコールによる低栄養性脂肪肝やアルコール性肝疾患などの症状に応じて適切な薬物が投与されます。
不安・不眠などの精神症状や離脱症状(禁断症状)の治療は、不安や緊張を和らげる抗不安薬や睡眠薬による薬物療法が行われます。
ジスルフィラムとシアナミドというお薬は、服用中にお酒を飲むと不快な気持ちになり、お酒を飲みたいという気持ちがなくなってきて、患者さんからお酒を遠ざけられます。
アルコール依存症の治療前に基礎知識を確認
アルコール依存症とは
アルコール依存症とは、多量に飲酒をすることで節度のある飲酒ができなくなり、大切な家族や仕事よりもアルコールを飲むことを優先させてしまう依存症をいいます。
節度ある適度な飲酒をしていると、アルコール依存症になるリスクは低いですが、お酒を飲む量に比例して、アルコール依存症になるリスクが高まります。
アルコール依存症になると、離脱症状(禁断症状)や不安・不眠などの精神症状、精神・身体合併症などの症状が現れ、健全な社会生活が送れなくなってしまいます。
アルコール関連問題について
アルコール関連問題とは、アルコールに関係したあらゆる問題のことです。健康問題だけでなく、お酒を飲んで暴力を振るうなどの社会問題も含まれます。
アルコールが原因のDVや虐待、夫婦関係の悪化、仕事を失うことなども全てアルコール関連問題であり、アルコール依存症もアルコール関連問題のひとつです。
煙草を吸い過ぎるとニコチン依存症になりますが、アルコールは煙草とは異なり、健康問題だけでなく社会問題が大きな比重を占めていることが特徴です。
アルコール依存症の治療するには原因の理解を
アルコール依存症の原因
アルコール依存症には、さまざまな原因が考えられますが、お酒を大量に飲み続けているとアルコール依存症になるリスクが高まります。
多量飲酒を続けている人の全てがアルコール依存症になるわけではありません。
お酒を大量に飲んでいてもアルコール依存症にならないケースもあります。アルコール依存症になるかどうかは、遺伝要因や環境要因などによっても左右されます。
アルコール依存症は、早期発見・早期治療が大切です。アルコール依存症に心当たりのある方は、早めに専門医に相談することをお勧めします。
「多量飲酒」の基準
適度な飲酒 | 1日平均20ml |
---|---|
多量飲酒 | 1日平均60ml |
厚生労働省は「健康日本21」の中で、節度ある適度な飲酒量と多量飲酒について述べています。
「健康日本21」とは、健康増進法という法律に基づいて定められた国民の健康に関する国の基本的な方針で、飲酒に関する目標値についても定められています。
多量飲酒とは1日平均60gを超える飲酒のことで、ビール中瓶3本、日本酒3合弱、25度焼酎300ml以上のアルコールの摂取が多量飲酒の目安になります。
早期発見・早期治療が重要
アルコール依存症の治療で大切になってくるのが早期発見・早期治療です。早期に発見して治療をすることで、健康問題や社会問題の深刻化を未然に防げます。
早期発見・早期治療をするためには、家族がアルコール依存症の原因や症状を知っておくことが大切であり、アルコール依存症の徴候が見られた場合は専門家に相談してください。
アルコール依存症の徴候として、離脱症状(禁断症状)や手のふるえ、発汗、不眠などの症状が挙げられます。
アルコール依存症の治療は専門家に相談
専門家の相談先
- 精神保健福祉センター・保健所
- アルコール依存症専門医療機関
- 自助グループ
精神保健福祉センターは、心の健康の保持と向上を目的とする行政機関で、都道府県や政令指定都市に設置されており、保健所と同様にアルコール依存症の治療の相談ができます。
アルコール依存症専門医療機関は日本全国にあり、本人が受診を拒否していても、家族が本人に代わって、アルコール依存症の治療の相談をすることが可能です。
他にも前述した自助グループや公益社団法人 全日本断酒連盟(断酒会)、AA日本ゼネラルサービスなどがあり、アルコール依存症の相談に乗ってもらえます。
精神科訪問看護という選択肢も視野に入れよう
精神科訪問看護とは、医師の指示のもと、看護師や准看護師、作業療法士などが自宅を訪問し、看護や社会復帰の指導などが受けられる看護サービスのことです。
頻繁に訪問することでアルコール依存症による精神症状の悪化や増悪を防ぐことにもつながり、アルコール依存症の治療の相談も行っています。
もし、家族や身内の方にアルコール依存症の兆候が見られる方がいる場合は、精神科訪問看護ステーションの利用を検討されると良いでしょう。
精神科訪問看護について
精神科訪問看護とは
サービス名 | 精神科訪問看護 |
---|---|
職種 | ・看護師 ・准看護師 ・作業療法士 |
訪問日数 | ・原則週3日以内 |
精神科訪問看護は精神科や心療内科に通院され精神疾患と診断されている方、診断はなくとも睡眠障害などで医師が訪問看護が必要と判断された人が対象です。
外出が難しい方や治療を中断してしまう方も、継続的に専門的な看護を自宅で受けられることができます。
通常、訪問は医療保険を利用し週3回まで可能で、1回の訪問は30分から90分と決められています。体調や病状に合わせて訪問回数や時間を調整します。
そのほかにも必要に応じて、医師や保健師、ケースワーカーなどの関係機関と連携し、病状の悪化の防止や早期回復につながるようサポートを行います。
精神科訪問看護の内容
- 日常生活の維持
- 生活技能の獲得・拡大
- 対人関係の維持・構築
- 家族関係の調整
- 精神症状の悪化や増悪を防ぐ
- ケアの連携
- 社会資源の活用
- 対象者のエンパワーメント
精神科訪問看護の内容は上記のように多岐にわたり、アルコール依存症や薬物依存、統合失調症、適応障害、うつ病、などの精神疾患全般が対象になります。
住み慣れた自宅で療養できるので、安心感が得られることや訪問看護の職員が定期的に自宅に訪問することによって孤立や孤独感が軽減され、心の支えを得られるというメリットもあります。
精神疾患と診断された方が、家庭や地域社会、また学校生活を安心して過ごせるよう利用できる制度なども提案します。
精神訪問看護ならシンプレ訪問看護ステーションにお任せください!
シンプレ訪問看護ステーションって?
シンプレ訪問看護ステーションは精神科に特化した訪問看護サービスを提供しており、アルコール依存症にも対応しています。
看護師や作業療法士などのスタッフがご利用者様の自宅を定期的に訪問し、「健康状態の観察」「病状悪化の防止・回復」「社会復帰の支援」など、症状の改善に向けてさまざまなポートを行っております。
当ステーションには、専門的な知識や経験が豊富なスタッフが多数在籍しております。アルコール依存症の治療についても気軽にご相談ください。
シンプレ訪問看護ステーションの対応エリア
-
<東京都>
・東京23区
※足立区、荒川区は1部エリアとなります。
・西東京市
・三鷹市
・調布市
・武蔵野市
・府中市※1部エリア
・東久留米市※1部エリア
<埼玉県>
・和光市
・朝霞市
・戸田市※1部エリア
・川越市※1部エリア
・新座市※1部エリア
・川口市※1部エリア
シンプレ訪問看護ステーションの現在の対応エリアは、上記を中心となっております。
記載しているエリアを中心に行っていますが、他のエリアの方も対応が可能な場合がありますので、まずはお気軽にお問い合わせいただければと思います。
年齢に関わらずご利用することが可能です。サービス内容を詳しく聞きたい、スケジュールの相談なども承っております。
TwitterやLine、TikTokなどのSNSでも情報を発信していますので、ぜひご覧ください。
ご相談の問い合わせはこちら▼
まとめ
アルコール依存症の治療について解説しました。
治療には、入院を中心にさまざまな治療が行われます。こころの健康問題は1人で抱え込まずに、専門的な知識を持った人や周りの人の力を借りながら焦らず治療に取り組むことが大切です。
シンプレ訪問看護ステーションでは、アルコール依存症やその他の精神疾患がある方に対して、生活支援・家族の方への支援をさせていただきます。
アルコール依存症のことでお困りごとや・相談がある場合はお気軽にシンプレ訪問看護ステーションにご相談ください。
ご相談の問い合わせはこちら▼
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