ナルコレプシーの診断基準はどのようにされる?症状や治療法も解説!
睡眠障害は人の生活に直結している病気の1つです。中でもナルコレプシーは「怠け者」と勘違いされ、理解されにくい病気です。
しかし、ナルコレプシーも適切に診断されて治療を受ければ改善する病気です。
ナルコレプシーに困っていて、生活のサポートを必要としている方はシンプレまでお気軽にご相談ください。
ナルコレプシーの検査方法と診断基準
ナルコレプシーは、睡眠専門医による診断と治療が必要な病気です。
診断には、眠気に関する検査、オレキシンに関する検査、免疫に関する検査の3つがあります。
ナルコレプシーは思春期に発症することが多いため、睡眠不足がないのに常に強い眠気があり、日常生活に支障が出ている中高生は受診を検討しましょう。
反復睡眠潜時検査
脳波検査の一種でありMSLTとも呼ばれ、昼間の眠気の強さや入眠状態を客観的に評価することや、日中のレム睡眠があるかどうかを確認するために行う検査です。
検査方法
脳波・眼球運動・筋電図・呼吸の各センサーを頭や顔に装着してベッドに横になり、2時間毎に5回、20〜30分間の昼寝テストを行います。
当日はカフェインを含む飲料を摂取しないこと、検査と検査の間は居眠りをしないことのほかに、食事や喫煙についてもいくつか注意点があります。
診断基準
5回の検査のうち寝付くまでの平均時間が8分以内であり、入眠時のレム睡眠が2回以上あることがナルコレプシーの診断基準となります。
またこの検査は夜間眠っていても昼間眠く、目覚めてもすっきりしないといった症状の特発性過眠症も対象です。
睡眠ポリグラフ検査
睡眠疾患の診断に用いる検査の一つでPSGとも呼ばれ、上記の反復睡眠潜時検査を夕方から翌朝まで行い、脳波や呼吸、酸素飽和度などを測定し睡眠中の状態を調べる検査です。
検査方法
脳波、鼻カニューレ、心電図、筋電図(両眼瞼と脚)、パルスオキシメーター、胸腹部の呼吸センサーなどを装着し睡眠の質や深さ、呼吸の状態や不整脈の有無などを確認します。
また同時にビデオカメラを使ってモニターすることで、眠っている時の呼吸の状態や寝言なども観察しています。
診断基準
ナルコレプシーは入眠する時にレム睡眠期と呼ばれる特徴的な脳波所見があり、眠りに入ってから15分以内にレム睡眠が観察されることがわかっています。
またこの検査を行うことで、ナルコレプシーの他に眠気の原因となる可能性がある、睡眠時無呼吸症候群などの睡眠障害を除外します。
髄液オレキシン検査
ナルコレプシーは何らかの原因でオレキシンを作っている神経細胞が障害されて発病すると考えられているため、そのオレキシンの脳脊髄液中の濃度を測定する検査です。
検査方法
腰椎穿刺(ようついせんし)の検査は背中を丸めてベッドに横になり腰回りを消毒したあと、第3-4腰椎の間を目標として骨と骨の間に針を刺して脳脊髄液を採取しその濃度を測定します。
大学の研究施設などで受けることができる検査で、現在のところ保険適応がありません。
診断基準
脳脊髄液中のオレキシン濃度が110pg/ml以下あるいは正常者の平均値の3分の1以下の濃度である場合にナルコレプシーと診断されます。
上記の他に白血球の血液型検査などもあり、それらの結果を総合的に評価します。
ナルコレプシーの症状
睡眠障害について
睡眠がうまく取れず学校、仕事、家庭などの日常生活に支障がでている状態を睡眠障害と呼んでいます。
睡眠障害には、不眠、睡眠中に呼吸異常がある、昼間に強い眠気がある、睡眠のリズムに問題がある、睡眠中に異常な行動や現象が見られる、睡眠に関連した運動障害など、様々な症状があります。
睡眠障害が長期的になると疲労感が続くことで免疫力が低下し、心臓病や脳血管障害の発症リスクを高めることがわかっています。
また精神面にも悪影響を及ぼし、感情のコントロールができず怒りっぽくなったり、うつ病を発症するリスクも高くなると言われています。
ナルコレプシーの症状
・過度の眠気
・情動脱力発作
夜間、睡眠時の症状
・入眠時・出眠時幻覚
・睡眠麻痺
・睡眠障害
ナルコレプシーの症状には日中の覚醒時に見られる症状と、夜間や入眠中に見られる症状の二つがあります。
日中は自転車に乗っている時や、大事な面談中など緊張している場面でも突然眠り込んでしまったり、感情の変化で身体の一部に脱力感が生じたりすることで、社会生活に支障をきたします。
夜間は中途覚醒が多く安定して眠れなかったり、金縛りにあったりと、睡眠の質が低下しています。
金縛りは寝入りばなに恐ろしい内容の夢を見て、もがいたり声を出そうとしても、身体が動かないため、とても怖い思いをすることがあります。
ナルコレプシーの病型
・カタプレキシーを伴うもの
・オレキシンが低下している
Ⅱ型
・カタプレキシーを伴わないもの
・オレキシンが正常な値またはわずかに低い値
ナルコレプシーは、昼間の眠気に加えて、カタプレキシーの有無でⅠ型とⅡ型に分類され、カタプレキシーの有無と脳脊髄液中のオレキシン濃度で、Ⅰ型とⅡ型を区別することができます。
カタプレキシーとは、感情の変化によって突然筋力が低下する症状です。驚いたり、笑ったり、怒ったりすると、首がうなだれたり、顔がだらりとしたり、舌がだらりと出たりすることがあります。
ナルコレプシーの治療法
薬物療法を伴わない治療
生活リズムを整えたり、質の良い睡眠をとることで日中の眠気を少なくしていきます。具体的に見ていきましょう。
生活習慣を整える
ナルコレプシーは治療により通常の生活を送ることができますが、そのためにまず生活リズムを整え規則正しい生活を送ることが大切です。
仕事などの社会的な要因で生活リズムを整えるのが困難な場合には、診断書を依頼し十分な睡眠を確保する環境を整えましょう。
昼寝できる環境をつくる
昼間の眠気を緩和するために、昼寝する時間や場所を確保し計画的にとることも治療の一つです。
ナルコレプシーの患者さんは、昼休みや学校から帰宅した夕方など、1~2回短時間の昼寝をすることで、すっきりして楽になると言われています。
薬物療法
薬名 | 特徴 |
---|---|
ベタナミン |
朝のみの服薬で効果あり (半減期が短い) |
モディオダール |
依存性が少ない |
リタリン |
効果が強く 専門の医師のみが与薬可能 |
薬物療法の治療には、昼間の眠気に対処するもの、レム睡眠に関連した症状を抑えるもの、中途覚醒に対するものがあります。
昼間の眠気には覚醒度を上げるための内服(中枢神経刺激薬)を行うことで、眠気の程度を軽くすることができ、生活が格段に改善することが期待されます。
レム睡眠に関連した症状に対しては抗うつ薬を内服し、夜間の中途覚醒には、睡眠を維持するために睡眠薬を補助的に使うこともあります。
内服薬には頭痛や動悸、口喝、不眠、肝機能障害などの副作用が見られることがあるほか、不安やうつ症状が見られることがあるため注意が必要です。
ナルコレプシー以外の睡眠障害
睡眠不足に伴うもの
・睡眠時無呼吸症候群
・周期性四肢運動障害
睡眠が量的に不足
・睡眠不足(症候群)
・不眠症
睡眠障害を引き起こす原因は様々ですが、主に睡眠の質が低下したり、量が不足するために引き起こされることがあります。
睡眠の質が低下することが原因となり起こる、主な疾患としては睡眠時無呼吸症候群や周期性四肢運動障害があり、夜間に質よく睡眠が取れず、十分に休息が取れないことにより起こる睡眠障害です。
次に、睡眠の量が不足するために起こる睡眠障害として不眠症睡眠不足(症候群)なども挙げられます。
ナルコレプシーなどの病気が原因でなく慢性的に日常の中で睡眠不足となるため、過眠の症状が出ることがあります。本人の自覚のないまま睡眠不足に陥ってしまう事が多いため注意が必要です。
中枢性過眠症
- ナルコレプシー
- 特発性過眠症
- 反復性過眠症
- 薬物の影響
夜間に十分睡眠時間を取っているにも関わらず、昼間の眠気が強く仕事や学習などの日常生活に支障をきたす場合には過眠症が考えられ、いくつかのタイプがあります。
前述したナルコレプシーのほかに、夜に十分な睡眠を取っても日中につよい眠気が続く特発性過眠症や、数日から数週間続く過眠症状が年に数回から10回以上みられる反復性過眠症などがあります。
また風邪薬や抗アレルギー薬、抗不安薬、抗うつ薬などの副作用により昼間の眠気がみられ、とくに高齢者では代謝される時間が遅いため短い作用時間の薬でも注意が必要です。
過眠症は昼間の眠気により周囲から怠けているとみられたり、仕事上のミスや自動車事故の危険もあるため早期の診断と治療が必要です。
睡眠覚醒リズムの乱れ
・睡眠相後退症候群
生活習慣などの影響
・時差
・シフトワーク
人は夜に眠り、日中に活動するという生活リズムができていますが、体内時計にズレが生じると夜間の十分な睡眠がとれなくなってしまいます。
睡眠相後退症候群(すいみんそうこうたいしょうこうぐん)は概日リズム睡眠障害の中で最も頻度が高く、長い休暇や受験勉強などで夜型の生活をすることがきっかけとなって発症します。
これは通常の時刻に眠り、望まれる時刻に起床するというリズムに戻すことが困難な症状がみられ、起床直後の高照度光療法などを用いて生体リズムを早めるなどで改善が期待できます。
病院などで行われている夜勤などの交代勤務や、4〜5時間以上時差のある地域へ高速移動するときなどにも睡眠障害を引き起こす可能性があります。
精神疾患をお持ちならシンプレへ
シンプレの特徴
- 精神疾患に特化
- 利用者様の自主性を尊重
- 利用者様それぞれに合わせた親身な対応
- 医療機関や行政との連携
シンプレは精神疾患に特化した訪問看護ステーションで、睡眠障害をはじめうつ病や摂食障害など、幅広い疾患を対象としています。
看護師・作業療法士が在籍し、疾患だけでなく学校生活や社会生活など、利用者様をサポートいたします。
また、訪問する職員だけでなく、必要時には各医療機関や行政とも連携し、地域全体でサポートできるよう取り組んでいきます。
利用者様やご家族の思いや生活状況を尊重し、その人らしい生活を送れるよう支援します。
シンプレの対応エリア
-
<東京都>
・東京23区
※足立区、荒川区は1部エリアとなります。
・西東京市
・三鷹市
・調布市
・武蔵野市
・府中市※1部エリア
・東久留米市※1部エリア
<埼玉県>
・和光市
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・戸田市※1部エリア
・川越市※1部エリア
・新座市※1部エリア
・川口市※1部エリア
シンプレ訪問看護ステーションは都内5か所に事務所を構えており、対応エリアは上記の通りです。
記載されているエリアを中心に訪問しますが、対応エリア外でも訪問可能なこともありますので、お困りの際にはまずは一度ご相談ください。
お問い合わせには電話のほかにメールでも受け付けておりますので、サービス内容や訪問スケジュールなどもお気軽にご連絡ください。
ホームページのほかにTwitterやLine、TikTokなどのSNSでも情報を発信していますので、ぜひご覧ください ご相談の問い合わせはこちら▼
まとめ
ナルコレプシーの診断について解説してきました。ナルコレプシーの検査には眠気に関する検査、オレキシンに関する検査、免疫に関する検査があり、それぞれの診断基準から総合的に診断します。
特にナルコレプシーは思春期の発症が多く見られており、昼間の眠気によって周囲から怠けているとみられたり、交通事故の危険もあるため早期の診断と治療が必要です。
精神科に特化したシンプレ訪問看護ステーションは、あなたらしく生活できる環境を作り、悩んでいる方やそのご家族を支援いたしますので、ぜひ一度ご相談ください。
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