精神疾患はカテゴリー化されている?カテゴリーごとの疾患の特徴

精神疾患は、うつ病、アルツハイマー病、アルコール依存症などさまざまなものがあります。
疾患数が多く、原因や症状によって判断をしなければならないため、医師が診断をするのに時間がかかってしまいます。
なので精神疾患を診断する際は、アメリカで出版されているマニュアルに従って、22のカテゴリーに分類して診断しています。
今回の記事では、代表的な精神疾患とそのカテゴリーについて紹介していきますので、ぜひ最後まで読んでいってください。
精神疾患は精神障害や精神病ではないのか?

精神的な病気の総称
精神障害
メンタルに関わる代表的な精神疾患
精神病
幻覚・妄想系の精神疾患
精神疾患のカテゴリーを紹介する前に、精神疾患・精神障害・精神病の違いについて見ていきましょう!
精神に関する病気(心の病気)は、上記のように精神疾患・精神障害・精神病などの名称で呼ばれており、それぞれの用語によって意味が若干異なってきます。
精神疾患は精神的な病気の総称ですので、精神障害や精神病という用語を使用せず、精神疾患という用語を使っても問題はなく、精神疾患という用語が使用されることが多いです。
精神疾患とは
精神疾患とは精神的な病気の総称であり、何らかの原因で脳の働きが変化して、認知や感情などの精神の働きに問題が生じ、うつ状態や思考の脈絡の乱れなどの症状が現れます。
精神疾患にはアルツハイマー病や気分障害(双極性障害、うつ病、躁病)、アルコール依存症などがあり、発症する要因によって、心因性・外因性・内因性の3種類に分類されます。
また、アメリカ精神医学会が出版している『DSM-5』という精神疾患の診断・統計マニュアルによると、精神疾患は22のカテゴリーに分類されています。
精神障害とは
精神障害は精神疾患とほぼ同じ意味で、メンタル系疾患(心の病気)の総称です。精神障害と精神疾患に明確な違いはありませんが、両者を区別する場合があります。
医療の現場では、原因がはっきりわからない精神的な病気のことを精神障害といい、原因がある程度わかる脳の器質性の病気のことを精神疾患という傾向があります。
統合失調症は精神障害に分類され、アルツハイマー病は精神疾患に分類されますが、精神障害と精神疾患を区別しなくても特に問題はありません。
精神病とは
精神病は、妄想や幻覚などの症状が出る精神疾患です。現在は精神病という名称でなく、「精神病性障害」「精神病性」「精神病症状」という用語が使用されています。
妄想や幻覚、思考障害などの症状が出る精神疾患には、統合失調症やアルコール依存症、薬物依存症などが該当します。
精神疾患を16カテゴリーに分類している「DSM-IV」では差別・偏見を助長する表現と判断されあまり使用されていません。
精神疾患はICD-10でカテゴリー化されている

ICD-10とは
世界保健機関(WHO)は、『ICD-10』(『国際疾病分類』第10版)という国際的な疾病の診断基準を定めており、医師が精神疾患の診断をする際の参考に活用されています。
ICD-10は精神疾患だけでなく、あらゆる疾病の診断基準を定めていることが特徴です。診断基準は疾病ごとに細かく分類されており、14,609項目が基本分類表に記載されています。
ICD-10では精神疾患に関することは「第5章 精神及び行動の障害(F00-F99)」に記載されており、精神疾患は症状に応じてカテゴリー化され、さらに細かく分類されています。
カテゴリーの一覧
症状性を含む器質性精神障害
F1
タバコ、酒、薬物等による症状
F2
妄想系の症状
F3
気分、感情に関わる症状
上記はICD-10の「第5章 精神及び行動の障害(F00-F99)」に掲載されている精神疾患のカテゴリーを要約したものです。精神疾患は症状毎にカテゴリー化されています。
上記のカテゴリーの他に「F99 詳細不明の精神障害」というカテゴリーがあり、F1~F9のカテゴリーに分類することができない精神疾患の症状はF99のカテゴリーに分類されます。
精神疾患の診断は問診が中心になりますが、医師は精神疾患をカテゴリー化したICD-10やDSM-5などを参考に患者さんを診察し、必要に応じて検査を行ったうえで診断を下します。
精神疾患に該当する病気の代表例

カテゴリー | 病名例 | 症状 |
---|---|---|
F0![]() |
アルツ ハイマー病 |
物忘れ 作業能力 喪失 |
F1![]() |
アルコール 依存症 |
アル コール 依存 幻覚、妄想 飲酒中の 記憶喪失 |
F2![]() |
統合 失調症 |
幻覚や 妄想 |
F3![]() |
うつ病 | 気分の 落ち込み 身体の だるさ |
精神疾患に該当する心の病気はどのようなものがあるのでしょうか?では次に、精神疾患の代表例をICD-10のカテゴリー(F00-F99)ごとに見ていきましょう!
上記はICD-10のカテゴリーごとの代表的な精神疾患を掲載しています。カテゴリーF0の代表的な精神疾患はアルツハイマー病で、アルツハイマー型認知症などが該当します。
カテゴリーF1の代表的な精神疾患はアルコール依存症、カテゴリーF2は統合失調症、カテゴリーF3はうつ病であり、それぞれの精神疾患の概要は次の通りです。
F0例:アルツハイマー病
F0は「症状性を含む器質性精神障害」の精神疾患のカテゴリーであり、このカテゴリーの代表的な精神疾患として高齢者に多いアルツハイマー病が挙げられます。
アルツハイマー病は脳の萎縮が原因で、物事を認識したり記憶する認知力が障害を受け、物忘れがひどくなったり、時間や場所などを正確に把握することが困難になってきます。
アルツハイマー病による認知症は「アルツハイマー型認知症」といい、加齢によって症状が発現して徐々に進行しますが、薬物療法で症状の進行をある程度抑制できます。
F1例:アルコール依存症
F1は「タバコ、酒、薬物等による症状」の精神疾患のカテゴリーであり、このカテゴリーの代表的な精神疾患としてアルコール依存症が挙げられます。
アルコール依存症は、日常的に多量飲酒をすることで節度のある飲酒ができなくなってしまい、家族や仕事よりも飲酒を優先させることで生活が破綻することもあります。
アルコール依存症になると、うつ状態や不安感、睡眠障害などの離脱症状(禁断症状)が現れ、重症になった場合一過性の幻聴やけいれんなどの症状も出てくる恐れがあります。
F2例:統合失調症
F2は「妄想系の症状」の精神疾患のカテゴリーであり、このカテゴリーの代表的な精神疾患として、以前は精神分裂病と呼ばれていた統合失調症が挙げられます。
統合失調症の原因はまだはっきりとは解明されていませんが、脳の機能障害が原因であると考えられており、思考の脈絡の乱れや幻聴、妄想などの症状が現れます。
統合失調症は幻聴や幻覚などの妄想系の症状が出ることが特徴ですが、人によって出現する症状はさまざまであり、意欲の減退や閉じこもりなどの症状が出る場合もあります。
F3例:うつ病
F3は「気分、感情に関わる症状」の精神疾患のカテゴリーであり、このカテゴリーの代表的な精神疾患として、「心の風邪」と言われるうつ病が挙げられます。
うつ病は、憂うつな気分や気分の落ち込みなどの「抑うつ状態」が長く続き、物事に対する意欲がなくなったり、眠れなくなったり、死にたいと思うようになったりします。
うつ病は気分や感情に関わる症状だけでなく、食欲不振や胃の不快感、頭痛、便秘などの身体的症状が出ることもあり、身体的症状が出ている場合は心療内科で治療できます。
カテゴリーに該当しない精神疾患もある?

詳細不明の精神疾患とは?
カテゴリー | F99![]() |
---|---|
内容 | F0~F9に 該当しない 精神疾患 |
概要 | ・原因が多岐にわたる ・はっきりした原因が ない |
詳細不明の精神疾患は、ICD-10のカテゴリーでは「F99」のカテゴリーに分類され、F0~F9のいずれのカテゴリーにも該当しない精神疾患をいいます。
通常の場合、精神疾患はF0~F9のいずれかのカテゴリーに分類できますが、臨床的に診断を下すことが困難な場合や、情報が不十分な精神疾患は「F99」に分類されます。
ただし、「F99」のカテゴリーに分類される詳細不明の精神疾患は非常に少なく、F0~F9のいずれかのカテゴリーに分類されるケースがほとんどです。
代表的な詳細不明の精神疾患の一覧
・脳に障害が発生
・情緒不安定
・幻覚
器質性精神障害
認知機能の低下
「F99」のカテゴリーに分類される詳細不明の精神疾患として、症状精神病や器質性精神障害が挙げられます。
症状精神病とは、脳に障害が発生することで情緒不安定になったり、妄想や幻覚などの症状が現れる精神疾患で、いわゆる「物盗られ妄想」などが該当します。
器質性精神障害とは、大脳疾患や血管障害等が原因で認知機能が低下する精神疾患で、F0~F9のカテゴリーに分類できない場合はF99に分類されます。
精神訪問看護ならシンプレ訪問看護ステーションにお任せください!

シンプレ訪問看護ステーションって?
シンプレ訪問看護ステーションは精神科に特化した訪問看護サービスを提供しており、自宅療養中の患者さんの自宅に、精神疾患に精通している看護師が定期的に訪問します。
ご利用者様の主治医や関係機関と連携を取り、ご利用者様が家庭や地域社会で安心して日常生活を送れるようしっかりとサポートを行い、ご家族の方への支援も行います。
シンプレ訪問看護ステーションには、精神疾患の専門知識や臨床での経験が豊富なスタッフが多数在籍しており、あらゆるカテゴリーの精神疾患に対応しています。
シンプレ訪問看護ステーションの対応エリア
-
<東京都>
・東京23区
※足立区、荒川区は1部エリアとなります。
・西東京市
・三鷹市
・武蔵野市
<埼玉県>
・和光市
・朝霞市
・戸田市※1部エリア
・新座市※1部エリア
シンプレ訪問看護ステーションにおいては、東京都を拠点に訪問看護サービスを展開しております。
上記のエリア以外に自宅がある場合でも対応できる場合がありますので、まずはお気軽に電話や問い合わせフォームでお問い合わせください。
まとめ

精神疾患は『DSM-5』や『ICD-10』でカテゴリー化されており、精神疾患のカテゴリーを知っておくことで精神疾患に対する理解が深まり、病院を選ぶ際などに役立ちます。
アルツハイマー病やアルコール依存症、統合失調症などの精神疾患は入院治療が必要なケースがありますが、退院後の自宅療養は精神科訪問看護の利用をおすすめします。
シンプレ訪問看護ステーションでは、精神科に特化した訪問看護サービスを提供しており、あらゆるカテゴリーの精神疾患でお悩みの方は、お気軽にお問い合わせください。
ご相談のお問い合わせはこちら