ADHDの診断はどのようにされる?多動や不注意などの症状が当てはまる方へ
症状が意外と見過ごされやすいADHD。何となく変だなと感じていても、そのまま放置している人も多いのではないでしょうか。
しかし、そのまま放置すると、二次障害を引き起こす場合もあるので早めの受診がとても大切です。
そこで今回は、ADHDの正しい診断方法を紹介します。疑わしい症状がある場合は、病院を受診してみてください。
ADHDの診断方法
まずはADHDに関する基本知識を解説していきます。基本を理解することで、より正しい対応をとることができるようになります。
ADHDの診断基準
・うわのそらや注意散漫
・気が散りやすく物をなくしやすい
・活動に順序だてて取り組めない
多動・衝動性
・じっとしていられず手足がもじもじする
・静かに遊ぶことができない
・待つことが苦手
・他人の邪魔をしてしまう
混合型
上記二つの症状が混在する
アメリカ精神医学会の精神疾患の診断・統計マニュアルであるDSM-5に当てはめて診断を行います。
診断には、記載のある上記の様なさまざまな条件が満たされた場合にADHDと診断され、家庭・学校・職場・その他の活動の場など二つ以上の状況で症状が6か月以上認められることなどがあります。
また、ADHDは発達上での問題が考えられる為、12歳になる以前など、症状が同程度の年齢の発達水準に比べて症状が頻繁に強く認めらているれることなどもポイントとなります。
ADHDとは
ADHDとは上記の診断基準にもみられる、注意欠如・多動症とも呼ばれる症状です。その名前の通り、年齢にそぐわない注意力の欠如や落ち着きのなさが症状として表れます。
原因は現在研究中で、はっきりとは解明されていません。しかし遺伝的な要因や環境要因が複雑に絡み合い、発病すると考えられています。
分かっていることは女児よりも男児に発病しやすく、男児は女児よりも3~5倍の発病リスクを抱えている点です。
早期に適切な対応をとることで、問題行動や学習の遅れなどを抑制することができます。
ADHDを診断を行う場所
機関 | 診断場所 |
---|---|
医療機関 |
児童精神科 発達相談専門クリニック 精神科・心療内科 |
ADHDは大人になって初めて症状がでるわけではなく、子供のころから症状を改善しようと努力をしたりしますが、病気だと気づかないまま悩まされていることがほとんどです。
子供の場合、一般的な小児科などでは診断が難しい場合があるので、専門の医師を探すことが大切です。
初診までに時間が空く場合には、子供の症状を観察しメモしておくと診察に役立ちます。できれば映像として残しておくと、医師にも分かりやすく伝えることが可能です。
近くに専門の医師がいない場合には、表にあるように相談窓口に相談のうえ、医師の紹介を受けるのがよいでしょう。
受診時に必要なもの
- 保険証
- 母子健康手帳
- 子どもの様子を具体的に書き出したメモ
- 保育園や幼稚園の連絡帳
- 小学校の通知表感想文などの作文や子どもが書いたノート
診察には子供の成長段階や日常の様子などがわかるものを持参してください。医療機関によっては、持参するものを指定しているところもあります。
ADHDの症状は幼少期からあらわれていると言われてます。
大人になって症状を自覚するようになった方でも、上記の様な小中高校生の頃の通知表や感想文などの作文をお持ちであれば持参すると良いでしょう。
分からない時には、予約の段階で相談してみてください。子供の場合家庭以外の学校の様子などを知るために、教師に学校の様子をチェックしてもらう医療機関もあります。
ADHDの症状と二次障害について
二次障害とはADHDを抱えて生活することで、精神面が傷つき精神的不調を発症してしまうことです。
ADHDと同分類に含まれる障害
障害 | 特徴 |
---|---|
知的能力障害群 |
知的発達の障害 |
自閉スペクトラム症 |
対人関係が苦手 強いこだわり の特徴をもつ |
限局性学習症 |
読み書き能力や 算数機能に関する 特異的な発達障害 |
コミュニケーション症群 |
言語に困難の 生じる障害 |
発達性協調運動症 |
日常生活の 動作がうまく できない |
ADHDは神経発達障害に分類される障害です。ADHDと同じ神経発達障害に分類される障害は表にまとめている通りとなります。
ADHDだけでなく、このような神経発達障害はいくつかの障害を併せ持つケースが多々あります。
複数の障害を持っているからといって、すべての障害が均等に表面に出ているわけではありません。年齢や周囲の環境によって強く表面に出ている症状は異なります。
年齢を重ねると、現在出ている症状が落ち着き、別の症状が強く表に出る場合もあります。
ADHDと二次障害
二次障害 | 特徴 |
---|---|
体の不調 |
頭痛 食欲不振 不眠 |
精神面の不調 |
過剰な不安や緊張 抑うつ気分 社交不安 不登校 引きこもり |
行動面の問題 |
強い反抗 暴言・暴力 |
ADHDによって表れる具体的な二次障害をまとめています。状態は患者によって異なりますが、重度になってくると日常生活に支障をきたします。
二次障害の多くは、周囲の人々との関係の悪化や否定的な感情の積み重ねで発症する症状です。
そのため、早い段階で周囲の人々の理解や正しい関わり方を得ることで回避することもできます。
二次障害が起こると、状況がより悪化しADHDそのものの治療も難しくなります。二次障害が疑われる場合は、早めにかかりつけ医に相談してください。
ADHDの治療法
ADHDは適切な治療を行うことで、症状の軽減を図ることが可能です。
心理社会的治療
環境調整
環境調整とは、名前の通り環境をADHD患者にとって過ごしやすくなるように整えることです。同じADHD患者でも症状が異なるので、それぞれに合わせた工夫が必要になります。
例えば、忘れものが多い子に対しては、前日に親が一緒に持ち物を確かめる。リストを作って自分でも確かめられるようにするなどです。
また、ADHDは刺激が多いと集中できない子が多くいます。そのため、教室など集中する場所はなるべくシンプルにまとめ、物の位置を決めておくと混乱を防ぐことが可能です。
行動療法
行動療法で大切なのは、親や周囲の大人のフィードバックです。患者が望ましい行動ができたのであれば、ほめて良い感情を与えてください。
間違った行動をしてしまった場合に、頭ごなしに怒るのはNGです。話を聞いたりするなどして、正しい行動に導くことが大切になります。
また、問題行動にはきっかけがあります。そのため、そのきっかけを確定し排除することで問題行動を起こさない環境を作ることも可能です。
ソーシャルスキル・トレーニング
ソーシャルスキルとは、周りの人たちと問題なく関わりあえる技術です。その技術を学ぶことをソーシャルスキル・トレーニング(SST)と呼びます。
方法はさまざまで、一対一の場合もあれば集団で学ぶこともあります。基本的には専門の医療機関で行いますが、現在は学校教育の場にも広がりをみせるトレーニングです。
人との関わり方だけでなく、自分自身の感情のコントロールの仕方や学校生活での集団生活の仕方も学びます。
ペアレントトレーニング
ペアレントとは親を指す言葉です。ペアレントトレーニングとは、親がADHDを抱える子供に対して正しい関わり方などを学ぶトレーニングとなります。
理解を深め接し方を変えることで、子供の適切な行動を増やし問題となっている行動を軽減させる効果があります。
また、親子間の対応をスムーズにすることで親側のストレスも軽減することが可能です。医療機関だけでなく、自治体の取り組みとして行う地域も増えています。
薬物療法
ADHDは完治するものというものではないため、薬物療法の目的は症状に応じての治療になります。子供の治療に関しては薬物療法の前に上記で説明した環境調整などでが優先されます。
脳の機能が起因していると考えられており、スムーズに脳内の神経伝達物質が働くよう、ドーパミンなどが治療薬として使用されます。
患者本人の状態が安定し、周囲の人たちが正しい理解を得られていれば薬の減量や中止が検討されます。そのためには、日ごろの様子などを細かく観察しておくことが必要です。
ADHDの相談できる場所
ADHDは判断が難しく、おかしいと思っていても放置してしまうことがあります。診察はハードルが高いと感じている方は、まずは関係機関への相談から始めてみてください。
相談機関
・障害者就業・生活支援センター
・発達障害者支援センター
・学校
・児童家庭支援センター
・家庭児童相談室
相談方法
・電話
・面談
ADHDは、風邪のように家で療養したからと言って良くなるものではありません。早期に対応するためにも、おかしいと感じた時点で関係機関に相談することをおすすめします。
子供の場合はまずは、学校での様子を共有できる担任など教師に相談し、そこから特別支援教育コーディネーターに相談することもできます。
医療機関
・精神科
・心療内科
・小児神経科
・児童精神科
どの機関に相談しても、最終的な判断は専門医が行います。早期に判断が必要な場合は、専門の医療機関に受診することが近道です。
診療を行える医療機関が限られています。できるだけ表にまとめている通り、精神科・心療内科、児童精神科などをかかげている医療機関を選んでください。
予約の際に、取り扱いがあるかどうか確認しておけば安心です。受診には、上記でまとめている必要な物を準備しておいてください。
精神科訪問看護
・精神科訪問看護
相談方法
・電話
・面談
・お問い合わせフォーム
相談相手
・相談員
・看護師
・作業療法士
精神科訪問看護とは、社会復帰に向けて障害や病気をお持ちの方をサポートするサービスです。
看護師などが定期的に自宅を訪問し、生活リズムの調整や服薬管理など利用者さまの状態にあわせた支援を行います。
訪問看護を利用したい場合には主治医の判断が必要です。医療機関と連携をとりながら、利用者様の治療がよりよい方向に進むようサポートをしたり、ご相談があれば利用者のご家族様のサポートも行います。
精神科訪問看護ならシンプレ訪問看護ステーション
シンプレ訪問看護ステーションは、東京都に拠点を置いている訪問看護施設です。各種精神疾患に対応することができます。
シンプレ訪問看護ステーションって?
・自立した生活を営めるための支援
・生活リズムの調整
症状の悪化防止・服薬支援
・生活状況を観察
・受診や服薬を支援
社会復帰へのサポート
・主治医や関係機関と連携
・社会復帰を支援
家族の方への支援
・家族へのアドバイスや相談
・社会資源の活用などを支援
当シンプレ訪問看護ステーションは、精神科に特化した訪問看護を行っており、ADHDを含めた多種多様な精神疾患に対して訪問看護を行っております。
当ステーションには精神疾患に関する専門的な知識や経験があるスタッフが在籍しております。ADHDについてもお気軽に相談ください。
また、バックオフィスを充実させることにより、事業所のチームワークや関係機関との連携を大切にし、皆さまの在宅生活を支えます。
シンプレ訪問看護ステーションの対応エリア
-
<東京都>
・東京23区
※足立区、荒川区は1部エリアとなります。
・西東京市
・三鷹市
・調布市
・武蔵野市
・府中市※1部エリア
・東久留米市※1部エリア
<埼玉県>
・和光市
・朝霞市
・戸田市※1部エリア
・川越市※1部エリア
・新座市※1部エリア
・川口市※1部エリア
シンプレ訪問看護ステーションは新宿区に拠点を置いているため、活動エリアは新宿周辺の地区になります。
記載しているエリアを中心に行っていますが、他のエリアの方も対応が可能な場合がありますので、まずはお気軽にお問い合わせいただければと思います。
サービス内容を詳しく聞きたい、スケジュールの相談なども承っております。
対応の可否は患者の状態や環境などを総合的に判断して決定します。相談はシンプレ公式サイトのお問合せフォームや電話で受付中です。
ご相談の問い合わせはこちら▼
まとめ
ADHDは、適切な対応を心掛けることで症状を改善できる精神疾患です。さまざまな要因が複雑に絡み合い、発病すると考えられています。
1人で抱え込まずに、専門的な知識を持った人や周りの人の力を借りながら治療していくことが大切です。
基本的には通院での対応となるため、治療の場は家庭や学校が中心です。家庭での管理や対応が難しい場合には、精神科訪問看護をぜひご検討してみてくださいね。
現在ADHDで悩んでいる方や、そういった方がご家族におられる場合は是非一度わたしたちにご相談ください。
ご相談の問い合わせはこちら▼
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