ADHDは発達障害の一種。特徴や発症したかたへの接し方について解説

物忘れが多かったり定位置にじっと座っていられなかったりなど、日常生活にも支障をきたすことがある「ADHD」。
子どもの頃に症状が見られ、子供のうちに気付いて療養をすれば改善することもある発達障害です。
ただ子どもがADHDだと気づいたあと、どのように接すればよいのでしょうか。今回は、ADHDを発症した子どもへの接し方を紹介します。
発達障害「ADHD」とは
ADHDとは
注意欠如・多動症ともよばれる発達障害で、不注意や多動性、衝動性の症状により、元気な子どもと感心する人もいれば、はしゃぎすぎると考える人も少なくないでしょう。
集中力をたもてない、身体を常に動かしたい、こだわりが強すぎる、対人関係を上手に築けないなどの特性があり、原因は脳にあると言われています。
治療法は、おもに療育(集中できる環境作りや集団行動、自己コントロールの練習など)で対応しますが、ADHDの症状によって薬物療法を行う場合もあります。
ADHDを発症する割合は?
割合:5〜10%程度
成人期のADHDに移行
割合:60〜80%程
ADHDの症状は12歳ごろにまでに発症することが多く、男:女の比率は児童期が2:1、成人期が1.6:1となっています。
個性や性格などから成人期のADHDは診断がしにくく、ただ、大人からADHDになる人は少ないため、児童期に発症したのが大人になっても続いている認識です。
ADHDの人は、子どもは20人に1人、大人になると40人に1人いると言われていて珍しくない障害であり、赤ちゃんのときに発症するケースもあることがわかっています。
ADHDの特徴
不注意
・多動性、衝動性の傾向が少ない
・長い時間集中できない
・外からの刺激で気がそれる
不注意の特徴が強いと、気が散りやすく集中力が続かないため、毎日のように宿題を忘れたり、授業中でも別のことをやりだしたり、途中でどこかへいってしまいます。
自分の好きなことや興味があることに対して集中力が増すので、話しかけても反応しないことが多く、満足するまで作業を続けますが、思い通りにならないと怒りだしてしまうこともあります。
大人になると仕事でケアレスミスを多発し、上司や周りから真面目に仕事をしていないと思われ、人間関係に思い悩んでしまうことが多くなり、働きづらくなってしまうこともあります。
多動性
・多動性の傾向が強い
・落ち着きがない
多動性の特徴は、授業が終わるまで座っていられない、大人になるとデスクワーク中でも、常に身体を動かしているなどがあり、とにかくじっとしているのが苦手なようです。
たとえば、授業中や仕事中、食事中であっても、急にやりたいことを思いつき深く考えずに実行にうつすので、自己コントロールが苦手だと言えます。
じっとできない、落ち着きがないという特徴から集団行動において困難が多く、指示は理解できてもその通りに行動するのが苦手なため、周りになじめなくて悩んでしまうでしょう。
衝動性
・衝動性の傾向が強い
・無意識に身体が動く
衝動性の特徴は、子どもだと急に高いところに登ったり、車道に走りだしたりして保護者を困らせる、大人だと物事を計画どおりに行うのが苦手などがあります。
感情のコントロールが苦手で衝動を抑えることが難しく、自分の嫌なことをされると乱暴になってしまい、トラブルを起こしてしまうことがあります。
また衝動を抑えることが難しく、他の人が質問されているのに先に答えてしまう、順番待ちができなくて割り込んでしまう、静かな場所でもしゃべりたい気持ちを抑えられないということもあります。
ADHDを発症する原因
前頭前野の機能調節に偏りがある
明確な原因はあきらかになっていませんが、大脳にある前頭前野に何らかの異常が起こり、機能低下していることが原因である先天性の障害と考えられています。
前頭前野は、人間らしい行動や活動(思考、判断、コミュニケーションなど)をする働きをになっていて、その機能に偏りが生じることで、ADHDの症状がでてしまうと考えられています。
つまり、育て方が悪いから問題行動をおこしていると悩んでしまう方もいますが、先天性の脳障害であり、決して誰かのせいではないのです。
脳内の神経伝達物質が不足
神経細胞同士のあいだにはシナプス間隙というすきまがあり、となりの細胞に情報を伝えるために神経伝達物質がやくにたちます。
神経伝達物質には、ドーパミンやノルアドレナリン、セロトニンなどがあり、神経細胞の末端からでてシナプス間隙をとおり、となりの細胞に情報を伝達します。
ドーパミンやノルアドレナリンは意欲や興奮、セロトニンは抑制性に関係しており、ADHDの人はこの神経伝達物質が不足していると考えられています。
ADHDを発症した人への接し方
「できること」に着目する
できないことばかりが気になり、注意をしたり叱ったりすることが多くなると、ADHDの子どもは自信を失ってしまうので、その子ができることに目を向けましょう。
いいことをしたときや何かをやりとげたときにすぐほめることで、ADHDの子どもはやりがいを感じ、次もがんばろうと努力しますから、そのサポートをおこなうことが大切です。
注意をうける機会が多いADHDの子どもにとって、ほめられるのはとてもうれしいことであり、自分に対する自信をはぐくむきっかけになります。
細かく声かけを行おう
自己コントロールが苦手で思いつきで行動してしまう子どもには、前もってしてほしいことを伝えておけば、失敗は少なくなります。
たとえば、割り込みをする子には「順番はまもろうね」、静かにしなくてはいけない場所では「ここでは静かにしようね」と細かく声かけし、できることから取り組みます。
だらだらと長い説明やわかりにくい(抽象的な説明)言い方では、ADHDの子どもは理解が難しくなりますので、わかりやすく短めの言葉で説明しましょう。
時間や行動にメリハリをつける
授業中など静かにしなければならない時間でも、むりに静かにさせるのではなく、授業の途中で休憩をいれ、からだを動かせる時間をつくってあげましょう。
先生の手伝いをしてもらったり、黒板をきれいするなど役割を与えて、身体を動かしていい時間と課題に集中するなど静かにする時間のメリハリをつけることが大切です。
ADHDの子どもと周囲の大人がいっしょに失敗しない対策を考え、ADHDとうまく付き合っていける方法を話しあい、成功体験がたくさん経験できるようサポートしましょう。
ADHDを相談できる場所はあるの?
相談機関
ADHDを相談できるところは、どのような場所があるのかをみていきたいと思います。
学校
自分の子どもにADHDの症状ににた行動があるけど、どの程度で病院にいけばいいかわからないと迷ってしまうときは、学校や幼稚園など担任の先生に相談してみましょう。
先生は子どもたちをつねに見ているので、学校や幼稚園の様子を聞いてみることで、ADHDの症状はどの程度でているかがわかることが多いでしょう。
児童家庭支援センター
児童相談所や児童福祉施設と連携をとりながら、家庭や市町村からの専門的な相談にこたえ、子どもの福祉向上をはかることが目的である地域相談機関です。
メンタルケアを専門とする職員も在籍しているところもあり、こどもたちや保護者へのアドバイス、市町村への技術的なアドバイスや援助をおこなっています。
家庭児童相談室
家庭でのこどものしつけ、こどもの不登校や非行などのなやみ、心配ごとにたいする相談に応じ支援をおこなうため、市町村の福祉事務所に設置されています。
家庭相談員や社会福祉主事の資格をもつ職員が相談にのり、児童相談所や学校と連携をとりながら、家庭児童相談が円滑におこなわれます。
医療機関
小児神経科
小児神経専門医は、こどもの運動、知能、こころの問題などの神経系機能障害をおこす病気の専門家で、よりよい医療の提供を行い、病気の回復に尽力します。
小児神経専門医は全国に1000人程度おり、心身障害者や知的障害者、広汎性発達障害者によりよい療育を提供するため、福祉や教育機関と連携しています。
児童精神科
おもに幼児から中学生までが対象の精神科で、症状にあった検査や投薬、カウンセリングを行い、おこさまの健やかな発達をサポートしてくれます。
保護者のこころのケアを重視する病院もありますから、お子さまの接し方などに悩んでいたら相談にのってもらうといいでしょう。
精神科訪問看護
サービス名 | 精神科訪問看護 |
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職種![]() |
・看護師 ・准看護師 ・作業療法士 |
訪問日数![]() |
原則週3日以内 (※例外もあります。) |
精神科訪問看護は、精神障害があり生活の中で不自由なことがあると、医師の指示でスタッフが訪問し必要な支援を行ってくれます。
相談内容として、食事がうまくできない、薬を飲み忘れる、人付き合いが苦手、話し相手がいない、ひきこもりがち、身の回りのことがうまくできないなどがあります。
具体的な支援内容は、日常生活の援助、服薬状況の確認、対人面の相談、治療の相談、気分転換の援助、健康管理などの訪問看護がうけられます。
訪問看護をうけたいときはかかりつけに相談するか、かかりつけの病院が訪問看護を行っていない場合は、訪問看護を実施している病院に問いあわせてみましょう。
精神疾患をお持ちならシンプレへ
当ステーションの特徴
シンプレは、精神疾患のかた専門で訪問看護サービスを提供しており、スタッフが定期的に自宅を訪問し、利用者の状態にあわせた支援をします。
医療機関と連携をとりながら、利用者の治療がよりよい方向に進むようサポートをしたり、必要があれば利用者の家族の相談にのって助言をします。
緊急のときすぐ関係機関に連絡ができるよう、バックオフィスが連携をおこない、利用者が安心した日常生活を支え、生活が少しでも安心したものになるようにお手伝いします。
精神疾患の一例
・幻覚や妄想という症状が特徴的
・不注意さ、多動性、衝動性が顕著
発達障害
・生まれつきの障害
・多動的、衝動的な行動をとりやすい
・学習面において困難な場合がある
PTSD
・時間がたってからもトラウマが残っている
・トラウマからくる原因への逃避行動
その他精神疾患全般
ADHDをはじめとする発達障害は、先天性の脳障害が原因でさまざまな特徴があり、苦手なことも違いますが、子どもの場合、障害の特徴から勉強についていけない場合があるようです。
PTSDの人は、過去におきた辛い出来事を急に思いだしてしまい、そのときの恐怖がよみがえることで、精神的につらくなってしまうでしょう。
その他の精神疾患には、うつ病、てんかん、摂食障害、解離性障害、パニック障害、アルコール依存症、強迫性障害、睡眠障害、統合失調症などがあります。
シンプレでは、さまざまな精神疾患や障害をお持ちの方の在宅生活を、専門知識を持った看護師等がサポートします。
シンプレの対応エリア
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<東京都>
・東京23区
※足立区、荒川区は1部エリアとなります。
・西東京市
・三鷹市
・武蔵野市
<埼玉県>
・和光市
・朝霞市
・戸田市※1部エリア
・新座市※1部エリア
上記が対応エリアですが、上記以外のエリアにお住まいでも、対応できる場合もありますので、お気軽にお問い合わせください。
サービス内容を詳しく聞きたい、スケジュールの相談なども承っており、年齢に関わらず利用することが可能です。
また、TwitterやLine、TikTokなどのSNSでも情報を発信していますので、あわせてぜひご覧ください。
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まとめ
ADHDは12歳ごろまでに発症する可能性が高い発達障害で、学校や家庭などでADHDの子どもの特徴にあった支援をしながら、ADHDとうまく付き合っていくことが大切です。
原因は大脳にある前頭前野にあるといわれており、前頭前野の神経伝達物質の働きが悪くなり、情報をうまく伝達できにくいために症状が現れている可能性があるようです。
ADHDの子どもは問題行動の特徴から、周囲から誤解や注意を受けやすいですから、症状に悩んでいたら、学校の先生や地域の福祉施設、病院に相談しましょう。
シンプレでは精神科に特化した訪問看護を提供しております。ご自宅での様子を関係機関と連携し、サポートさせていただきます。お気軽にご連絡ください。
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