ADHD特有の時間感覚とはどんなもの?

ADHDの方は特有の時間感覚を持っており、時間や予定の管理が苦手な傾向があります。そのため遅刻をしてしまうなど、様々な問題を抱えることも少なくありません。
では時間感覚を正しくつかめないADHDの方が、このような問題を解決するにはどうすればよいでしょうか?
今回は、ADHDの方に役立つ時間管理のコツなどについて紹介していきます。
ADHDの方は時間感覚が不正確なのか?
ADHD(Attention-deficit/hyperactivity disorder)とは「不注意と多動性・衝動性の2つの特性を中心とした発達障害」と定義されています。
ADHDの方の時間感覚は先延ばしの傾向があると言われていますが、時間感覚が不正確なのでしょうか?
ここからADHDの方の特有の時間感覚について、またその時間感覚が不正確なことで起こる問題やそのときの対策について紹介していきます。
時間感覚が不正確なことで起こる問題
約束の時間に間に合わない
1つ目の問題は「約束の時間に間に合わない」ことです。
約束の時間に間に合わない、つまり遅刻はADHDの方には多い行動の1つで、衝動性と不注意の2つの特性が関係しています。
衝動性の特性が強い場合には計画を立てることはできず、「急ぎさえすれば間に合うだろう」という根拠はないものの感覚だけで行動してしまいます。
さらに、不注意の特性があると、仮に事前に計画を立てることができても、計画通りに行動できないため、その結果遅刻をしてしまいます。
スケジュールの管理ができない
2つ目の問題は「スケジュールの管理ができない」ことです。
スケジュールの管理ができないということも、ADHDの方の特性の1つで、十分な時間があったのに、締め切りの直前になって急にバタバタとしているということはありませんか?
「後からしよう。すぐに取り組むからわざわざ予定に入れておく必要はない」と考えてしまい、万が一の時、進捗状況が悪い時の想定をしていない場合があります。
また、他者とのコミュニケーション充分に取れず連絡を綿密にしていないことも、スケジュールの管理ができない原因となります。
気づいたら長時間経過している
3つ目の問題は「気づいたら長時間経過している」ことです。
これにはADHDの方の先延ばしにするという特性が原因と考えられ、行動してしまいさえすれば数分で終わることなのに、気づいたら長時間経過しているということはありませんか?
やりたいこと、好きなことは次々にやってしまう一方で、面倒であること、億劫なこと、嫌いなことは先延ばしにしてしまいます。
また、やるべきことが多すぎる場合にも、どれから手をつけていいのか分からずに気づいたら長時間経過してしまうこともあります。
ADHDで時間感覚が不正確な時の対策
タイムログをとる
スマホのストップウォッチ機能を起動
各行動にどれだけ時間をかけているか計測
まず1つ目の対策は「タイムログを取る」ということです。
タイムログとは、簡単に言うと自分の行動とそれにかかった時間を記録し、どれだけ時間がかかっているか把握することです。
例えば、仕事に行く時間まで、朝食は7:00~7:30、着替えは7:30~7:40、仕事の準備は7:40~8:00など行動と時間を細かく記録し、それを繰り返し行います。
ADHD の特徴である時間感覚が不正確であっても、タイムログを取ることで正確な時間を把握し、少しずつ計画的な行動に近づけることができます。
作業時間・優先順位づけを考え直す
・予定や計画そのものに無理がある
対処例
・締め切りが速い仕事
・重要度の高い仕事
2つ目の対策は「作業時間、優先順位づけを考え直す」ことです。
スケジュールの管理ができないという背景には、そもそも予定や計画そのものに無理がある場合があります。
そのため、仕事に取りかかる前に一旦作業時間や優先順位づけを緊急度や重要度の視点で考え直してみることが大切です。
そのいくつかある仕事の中で、締め切りが早い仕事、重要度の高い仕事が自ずと優先度の高い仕事となってくるため、まず取り掛かるといいでしょう。
都度計画の立て直しを図る
・予定や計画は適切だが想定通りに進まない
対処例
・計画が進まなかった時の対策を事前に組み込む
最後の3つ目の対策は「都度計画の立て直しを図る」ことです。
作業時間、優先順位付けを考え直し予定を立てても、仕事を進めていく中で想定通りに進まないことがあります。
万が一の時、進捗状況が悪い時になってもその場で判断し修正することは難しいため、計画通りに進まなかった時の対策を事前に組み込んでおくことが大切です。
事前に想定しておくことで、万が一の状況に混乱することなく、計画通りに仕事を進めることができます。
対策を立てる際の注意点
- 仕組みやルールを決める
- 事前シミュレーションをしておく
- 周りの人に協力を求める
- 遅刻をしない時間に予定を入れる
これら4つの注意点を考慮し計画を立てることで、仕事を計画通りに進めることができ、想定外のことが起きた場合でも対処しやすく、仕事を進めることができます。
まずは普段の生活リズムを整え、習慣にできるような仕組みやルールを作って、日常の中に取り入れてみましょう。
まどろむ時間もシュミレーションの中にいれた上で対策しておくと安心できます。
毎日はこの方法が難しいという人も、約束があるときなどの重要な日にだけでも、周りの人に協力を求めながら進めていくことも大切です。
医療機関でのADHDの治療方法は?
薬物療法
薬物療法は次に紹介する心理社会的治療では改善が困難である場合、並行して実施される治療です。
ADHDでの薬物療法は、脳機能の働きを助け、ADHDの特徴によって現れる不注意と多動性・衝動性の2つの症状を緩和する目的で使用されます。
日本で使用されている薬、メチルフェニデート塩酸塩徐放剤やアトモキセリンなどは6歳から使用することができ、ずっと飲み続ける必要もありません。
本人の状況をみながら薬を減量したり、中止することも可能です。
心理社会的治療
心理社会的治療にはいくつかありますが、ここでは一部を紹介していきます。
環境調整では、ADHDの方の困難さに沿って、その方が生活しやすいように周囲の環境を工夫することを言います。
ソーシャルスキル・トレーニングでは、社会や周囲の人と良好に関係を築けるようなスキルを身につけるために感情のコントロールの仕方などをプログラムに沿って学びます。
これらのように、薬物療法のように脳機能の働きを直接助けたりするわけではなく、ADHDの方の症状に合わせた治療を選択していくことになります。
ADHDの方をサポートしている機関
病院の小児科や精神科以外にもADHDの方をサポートしている機関があるため、ここで紹介していきます。
精神科はなかなか受診しずらいと感じる方もいるかもしれません。
しかし、ADHDの特性が周囲の環境と合っていない場合、放っておくことで生活や仕事での困難が生じ、場合によっては抑うつなどの二次障害を併発する可能性があります。
そのため、相談できる機関やサポートしてくれる相談者を見つけ、対処方法について知っておくことが大切です。
発達障害者支援センター
発達障害者支援センターとは、ADHDに限らず発達障害の早期発見・早期支援を目的とし、発達障害のある人やその家族への日常生活のサポートを行っている施設のことです。
窓口は生活している各都道府県や政令指定都市の自治体となっている場合がほとんどですが、それから委託された事業所でも相談を受けています。
施設によって違いはありますが、専門の職員の他に、社会福祉士が在住しているため、専門的なサポートを受けることができます。
児童(子ども)発達支援センター
児童(子ども)発達支援センターとは、発達障害のある子どもを対象に、医師や心理士などの専門の職員が発達の相談や医療相談を行う施設のことです。
対象となる子どもの年齢は自治体によって異なりますが、子どもが通っている保育園や幼稚園、小学校と連携し、情報を共有しながら継続的な支援を行うことを目的としています。
相談だけではなく、医師の診察や検査を受けることができ、日常生活が自立できるように作業療法や言語聴覚療法などの訓練も受けることができます。
児童(子ども)家庭支援センター
児童(子ども)家庭支援センターでは、子ども、家庭、地域住民等のからの相談に応じ、必要な助言や指導を行う施設のことです。
発達障害の子どもの育児を行って行く中で、保護者の体調が悪い時、育児に疲れてしまっているときなど、一次的に療育が困難な場合にショートステイとして預けることができます。
また、仕事などの理由で保護者が夜間、休日に療育できない場合でもトワイライトステイとして預けることもできます。
発達障害に関わらず、保護を必要とする子どもや家族に各種関係機関と連携しながら、相談や支援を総合的に行う児童福祉施設です。
地域障害者職業センター
地域障害者職業センターとは、発達障害に限らず障害のある人が働く際に様々な困りごとに対して、就職や復職のための専門的な職業のリハビリテーションを提供している施設です。
その職員リハビリテーションは医療や福祉、企業と連携し就職を希望する一人ひとりのニーズに合わせたものとなっています。
専門職員として、厚生労働省の定める研修・試験を修了いた障害者カウンセラーや相談支援専門員、ジョブコーチ等が配置されています。
精神科訪問看護も利用してみる
サービス名 | 精神科訪問看護![]() |
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職種 | 看護師 ・准看護師 ・作業療法士 |
訪問日数 | 原則週3日以内 (※例外もあります。) |
精神科訪問看護を利用してみるのも1つの手です。
病院を受診しADHD等の診断を受け、医師の指示書が発行されていれば、精神科訪問看護を利用することができます。
サービス内容は事業所により異なりますが、生活の支援や生活のリズムを調整したり、社会復帰を支援したり、医療機関や地域と連携し必要な支援を検討したりします。
ADHDの方やその家族が日常生活の中で困っていることについて、リハビリテーションとして訓練したりすることも可能です。
精神疾患をお持ちならシンプレへ
当ステーションの特徴
シンプレ訪問看護ステーションでは、日常生活の介助だけではなく心のケアを受けることができる精神疾患に特化した訪問看護を行っています。
自主性を重んじた看護を実践しているため、人によって様々な考え方や意見があることを尊重し、不安ごとや心の内を相談することができます。
また、利用する方の状況や心境に合わせて適切な訪問看護を提供するだけではなく、医療機関や行政との連携を取りながら適切な支援を行っていることも特徴の1つです。
対象となる精神疾患
・幻覚や妄想という症状が特徴的
・不注意さ、多動性、衝動性が顕著
アルツハイマー型認知症
・脳の神経細胞が破壊、減少する
・徐々に日常生活が送れなくなる
発達障害
・生まれつきの障害
・多動的、衝動的な行動をとりやすい
・学習面において困難な場合がある
うつ病
・気分が強く落ち込み憂うつになってしまう
自閉スペクトラム症
・正常な社会的関係を構築ができない
・強迫的な行動や儀式的な行動がみられる
・その他精神疾患全般
シンプレ訪問看護ステーションが対象としている疾患は精神疾患です。
具体的にはADHDやアルツハイマー型認知症、発達障害、うつ病、自閉スペクトラム症、その他の精神疾患全般など精神疾患に特化しています。
様々な精神疾患に対応しているため、一人ひとりの症状や段階に合わせた看護や日常生活のサポートを受けることができます。
シンプレの対応エリア
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<東京都>
・東京23区
※足立区、荒川区は1部エリアとなります。
・西東京市
・三鷹市
・武蔵野市
<埼玉県>
・和光市
・朝霞市
・戸田市※1部エリア
・新座市※1部エリア
シンプレ訪問看護ステーションが対応しているエリアは東京都内が中心となっています。
近年の精神科訪問看護の需要の高まりに伴い、今後さらに範囲を拡大していきます。
上記エリア以外で生活している方も利用可能な場合があるため、気になった方は1度相談してみてください。
まとめ
今回はADHDの方の特性の1つである時間感覚が不正確であるために3つの問題を起こしてしまうことが分かったと思います。
タイムログを取ったり、作業時間、優先順位付けを考え直すなどの対策により、ADHDの方がよりスムーズに日常生活を送ることができるようになります。
また、自治体ではADHDの方や家族の精神的な負担を軽減をサポートするための継続的な支援を受けることができる環境が整えられています。
シンプレ訪問看護ステーションでは、精神科に特化した訪問看護を提供しておりますので、訪問看護のご利用検討されたい、一度話聞いてみたい等ございましたら、お気軽にお問い合わせください。
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