ナルコレプシーとADHDが合併しやすい理由。治療方法や相談窓口のまとめ

ADHDは落ち着きがない・衝動性・不注意などの特徴を持つ発達障害ですが、睡眠障害であるナルコレプシーを合併することが多いという特徴があります。
一体、なぜナルコレプシーとADHDは合併しやすいのでしょうか?
この記事では、ナルコレプシーとADHDの症状や合併しやすい理由や症状を治療するためのポイントなどを紹介します。
ナルコレプシーとADHDの関係は?
ナルコレプシーとADHDの合併症は多い
ナルコレプシーは睡眠障害の一つで、日中どんなときでも強い眠気におそわれてしまうことが特徴です。
この睡眠障害は、本人または周りの人からみても明らかに分かるものであり、時間や場所を問わず急に眠気に襲われてしまいます。
多動性や不注意を特徴とする発達障害であるADHD(注意欠陥多動性障害)には、睡眠障害の合併が多いことが報告されています。
ADHD 症状がある方は、症状がない方と比較し1.91 倍、眠気が出てしまうリスクが高いことが明らかになっています。
共通の遺伝子が関与していることが判明
ナルコレプシーに関連している遺伝子の変化は、ADHD特性にも影響があることが分かっています。
2020年浜松医科大学が発表したレポートでは、ナルコレプシーの睡眠障害と、ADHDの多動性・衝動性と不注意症状が、遺伝的に関連していることを報告しています。
本レポートでは、ナルコレプシーとADHD特性の両方に関与する遺伝子のセットがないかを調査しました。
その結果から、「神経をつなぐ物質に関与する遺伝子」「免疫系などを支えるグリア細胞に関与する遺伝子」が共通していることを報告しています。
ナルコレプシーの症状について知りたい
日中の過度の眠気
先程もご紹介したように、ナルコレプシーの眠気は通常の眠気とは異なり、時間や場所、状況を問わずに発症します。
睡眠をしっかりとったとしても症状はなくならず、こうした症状が週に3回以上みられ、それが3ヶ月以上続くとされています。
また1日に複数回も起こる場合があり、1回の発作時間は通常2〜3分程度もしくは数時間も続くこともあります。
たとえ2〜3分しか続かない発作でも、目が覚めるとすっきり感じられるのがナルコレプシーの特徴です。
情動脱力発作
情動脱力発作(じょうどうだつりょくほっさ)とは、突然に筋力の低下がおきる発作です。
日中起きているときに、怒り、恐怖、喜び、笑い、驚きなどの突発的な感情が引きがねとなって、突然の筋力低下が起こります。
突然、首や顎、腕、脚の力が抜けてしまい、頭がぐにゃりとしたり、ろれつが回らなくなったり、まぶたが下がったり、あるいは全身に力が入らず、倒れてしまいます。
情動脱力発作は数秒〜数分の短い時間のことが多く、本人もその状態に気づいています。
睡眠麻痺
ナルコレプシーの方は、入眠の前後や起床直後に、体を動かそうとしても動かせなくなることがあります。
睡眠麻痺は、ナルコレプシーの患者の約4人に1人にみられる症状です。
この症状は睡眠麻痺と呼ばれ、自然と治ることがあれば、誰かに体に触れてもらうことで麻痺が治まることがあります。
また「幽霊が立っている」「体が空中に浮いてしまう」などの幻覚作用も起こし、入眠直後のレム睡眠中に起こるとされています。
ADHDの主な症状について知りたい
不注意
ADHDにおける不注意とは、「重要な用事でも期限を守れない」「物事を順序立てられず、やり遂げられない」「必要なものをなくす、忘れ物が多い」などが例としてあげられます。
この特性から、宿題・夏休みの課題・仕事の納期などを守れないなどし、たびたび問題児や仕事ができない人とレッテルを貼られることがあります。
また、宿題中にTVやゲームなどのほかの刺激に気を取られてしまい集中できず、複数の仕事がくるとコントロールしながら仕事ができません。
多動性
ADHDにおける不注意とは、「そわそわと手足を動かす」「じっと座っていられない」などが例としてあげられます。
人の話を聞かず一方的にしゃべったり、授業中や会議中に席を立ってしまったり、長時間じっとしていることが苦手。
落ち着きがないと指摘されることが多く、じっとしていられない人と見られ、また好きなことに夢中になりすぎるため、まわりと協調してなにかを行うことが難しいです。
衝動性
衝動性の特徴としては、「しゃべりすぎることが多い」「衝動買いが多い」「すぐにイライラする」などがあげられます。
例えば、思ったことをすぐに口にしてしまったり、相手が話の途中であるのに発言をしたりしてしまいます。
自分の発言や行動を抑えることが苦手で、たびたび相手の意見や話を聞くことを忘れてしまいます。
また感情のコントロールが難しく、自分の思い通りにならない場合は、イライラしてしまい大声を出したり、モノにあたったりしてしまいます。
ナルコレプシー・ADHDの治療方法
TMS(磁気刺激治療)
TMS治療は、アメリカ発の治療方法です。反復経頭蓋磁気刺激法(repetitive Transcranial Magnetic Stimulation)の略です。
磁気刺激で脳の特定部位を活性化させ、脳血流やニューロンを増加させ、低下している脳の機能を活性化させる治療方法のことです。
TMSの治療は副作用も少なく、15-30回の治療で安定した治療効果があらわれ、集中力や衝動性のコントロールなどの改善がみられる報告がされています。
薬物療法
ナルコレプシーには、さまざまな薬物療法があります。
日中の眠気に対する薬物療法
「日中の眠気」にたいしての薬物療法として、モダフィニル、ペモリン、メチルフェニデートといった中枢神経刺激薬を用います。
どのお薬も少量から始め、副作用を見極めながら眠気のコントロールができるまで増量していくことが特徴です。また効果がながく続くため、朝、または昼に服用します。
情動脱力発作に対する薬物療法
情動脱力発作にたいする薬物療法として、イミプラミン、クロミプラミンなどの三環系抗うつ薬が効果的です。
三環系抗うつ薬は、レム睡眠抑制作用があり、1〜2週間程度で効果があらわれはじめます。
夜間の睡眠分断に対する薬物療法
睡眠分断とは、夜の睡眠が長時間維持できない状態のことであり、短時間作用型の睡眠導入剤、鎮静作用の抗精神病薬を少量服薬します。
また「日中の眠気」にたいしての薬物療法をすることで、日中覚醒を促進され、夜間の睡眠が入りやすくなり睡眠分断が改善される可能性があります。
ナルコレプシーを伴うADHDの相談先は?
病院へ受診
ADHDの診療をする場合は、専門は小児科と精神科になります。しかしながら、全ての小児科や精神科の医師がADHDに詳しい訳ではありません。
小児専門の児童精神科・小児神経科・成人期のADHDをみるクリニックなどより専門的な医療機関を受診することをおすすめします。
一方、睡眠障害の治療では基本的に内科を受診します。睡眠障害の場合は、障害を起こしている要因がさまざまです。
例えば、ストレスが要因であれば心療内科・精神科。呼吸器のトラブルであれば呼吸器内科・耳鼻咽喉科・内科などと専門になる医療機関が異なります。
その他の相談先
- 発達障害者支援センター
- 発達障害教育推進センター
- 児童発達支援センター
- 各自治体の福祉担当窓口
その他にも、上記のような相談先があります。
発達障害者支援センターでは、発達障害の早期発見や、本人やその家族への支援を目的とし、相談や情報提供をおこなう施設です。
発達障害教育推進センターでは、発達障害のある子どもの教育の推進、家族や関係者への支援を図り、HPなどを通して啓蒙活動をしています。
児童発達支援センターでは、障害のある子どもに支援をおこなう施設であり、集団療育や個別療育、基本動作、自活に必要な知識・技能の指導などをおこなっています。
精神科訪問看護を利用するという手段もある
精神科訪問看護とは?
・自立した生活を営めるための支援
・生活リズムの調整
症状の悪化防止・服薬支援
・生活状況を観察
・受診や服薬を支援
社会復帰へのサポート
・主治医や関係機関と連携
・社会復帰を支援
家族の方への支援
・家族へのアドバイスや相談
・社会資源の活用などを支援
精神科訪問看護では、上記のようにさまざまなサービスをおこなっており、精神科訪問看護は主治医が必要と判断すれば利用することが可能です。
年齢などの制限はなく、医師の判断で利用の有無が決定し、利用料金には医療保険が適用されます。少ない自己負担で精神科訪問看護を受けることができます。
訪問時には、服薬の仕方や症状の悪化などを防ぐお手伝いをし、日常生活や対人関係などでのお悩みについて対応方法を考えます。
医療の知識やスキルを有した看護師のサポートを自宅で受けることで、家族の肉体的・精神的な負担を軽減することにもつながります。
精神科訪問看護のサービス内容
サービス名 | 精神科訪問看護 |
---|---|
職種![]() |
・看護師 ・准看護師 ・作業療法士 |
訪問日数![]() |
原則週3日以内 (※例外もあります。) |
精神科訪問看護とは、精神疾患を抱える方や精神的な理由でサポートが必要な方に対して、看護師などの専門職がご自宅に訪問することです。
またご家族への支援も並行して実施し、利用者様をとり巻く環境全体を整えていく役割も担っています。
地域社会で安心して日常生活を送ることができるようにするため、医師の指示のもと、看護及び社会復帰指導などの必要な支援をおこないます。
精神科訪問看護の料金
負担割合 | 月の初回訪問 | 2回目以降 |
---|---|---|
3割負担![]() | 3,897円 | 2,565円 |
2割負担![]() | 2,598円 | 1,710円 |
1割負担![]() | 1,299円 | 855円 |
上記は週3回までの訪問料金となります。週4回以上訪問となる場合には料金が異なります。
精神科訪問看護では、医療保険を利用することにより自己負担を軽減できるメリットがあります。
30分を一区切りに利用可能。かかった費用については、年齢や所得によって変わり、医療費の1〜3割が自己負担となります。
また早朝や深夜などの時間外に依頼する場合や、長時間の訪問を行う場合は別途料金が発生します。
また自立支援医療制度いう制度を利用すると料金が1割負担になるほか、所得に応じて自己負担が0円になる場合もございます。
精神疾患でお悩みならシンプレへ
シンプレの特徴
ナルコレプシーやADHDの対応やケアについては、家族や周囲のサポートが必要不可欠です。
シンプレ訪問看護ステーションでは、特に精神科に特化した訪問看護サービスを展開し、患者さんが自宅でも安心してケアを受けられる看護を提供しています。
患者さんはやはり、「暮らし慣れた自宅でケアを受けながら、社会生活を過ごしてみたい」と考えている方も多いと思います。シンプレでは、利用者さんの自主性を大切にし看護の立場から支援します。
また主治医や地域の支援者と連携して支援し、入院をしなくても利用者さんがその人らしい生活を継続できるように一緒に考えていきます。
精神疾患の一例
・幻覚や妄想という症状が特徴的
・生活に支障をきたしてしまう
ADHD
・幻覚や妄想という症状が特徴的
・不注意さ、多動性、衝動性が顕著
うつ病
・一日中気分が落ち込んでいる
・眠れない・疲れやすい・食欲がない
その他精神疾患全般
上記でもご紹介したようにADHDとナルコレプシーには深い関係があり、多くの精神疾患が違う病気と併合するケースがあります。
シンプレ訪問看護ステーションでは精神科に特化した訪問看護サービスを提供しており、さまざまな精神疾患の訪問看護をおこなっております。
専門のスタッフが、利用者さんのもとにお伺いし、生活支援、症状の悪化防止、服薬支援や社会復帰へのサポートなどをおこないます。
悩んでいる子どもから大人まで寄り添い、幅広い考え方や価値観を大切にし、暮らしやすい環境を整えます。
シンプレ訪問看護ステーションの対応エリア
- 新宿区・中野区・練馬区・豊島区
- 文京区・杉並区・渋谷区・千代田区
- 板橋区・葛飾区・江東区・江戸川区
- 墨田区・荒川区・北区・世田谷区
- 西東京市・三鷹市・武蔵野市・台東区
シンプレ訪問看護ステーションの対応地域はおもに上記が中心で、訪問活動をおこなっています。該当エリアにお住まいの方はぜひご検討ください。
また上記以外のエリアにお住まいでも、対応できる場合がございますので、一度当社スタッフへご相談ください。
サービス内容を詳しく聞きたい、スケジュールの相談なども承っております。電話やメールなどで相談を受け付けていますので、お気軽にご連絡ください。
ご相談のお問い合わせはこちら
まとめ
ナルコレプシーとADHDは、遺伝子レベルで関係がありお薬や周りのサポートが必要不可欠です。
また症状や特性についてさまざまあり、ご本人やご家族はその障害や特性との付き合い方に悩んだり、不安をお持ちだったりする場合があります。
シンプレ訪問看護ステーションでは、精神科に特化した専門的なスタッフがさまざまな観点から支援いたします。
ご本人やご家族へのサポートを一緒におこない、周りの環境から整えるお手伝いをさせていただきます。ナルコレプシーとADHDでお悩みの場合には、ぜひシンプレ訪問看護ステーションにご相談ください。