広汎性発達障害の症状をチェック!原因や症状を持つ方への接し方も解説

広汎性発達障害の症状には、相手の感情を感じ取ったり空気を読むことができないなどの特徴があります。
悪気なく相手の気分を害することを言ってしまい、周囲からは「気配りのできないひとだ」と受け取られてしまうことがあります。
また独自に強いこだわりがあるため、臨機応変に対応する事が難しいなど社会生活が困難になりやすいという問題があります。
広汎性発達障害の症状
対人関係やコミュニケーション困難
広汎性発達障害の症状の1つとして対人関係やコミュニケーションの困難があげられます。
まわりの人に関心を示さなかったり、逆に人との関わりを積極的に求めるものの一方的になってしまったりなど、相互的な対人関係をきずくことが難しいのが特徴です。
また悪気がなく相手の気分を害することをいってしまうなど、相手の気持ちや立場を理解することが難しいなどの症状もあります。
このように広汎性発達障害の人はコミュニケーションにおいてさまざまな問題をかかえていることが多く、学校や職場で孤立してしまいがちです。
独自のこだわりによる社会適応の困難
広汎性発達障害の人は、ものごとの手順にたいして強いこだわりをもっていたり、おなじパターンの行動に固執したりする傾向があります。
そのため、イレギュラーな依頼が舞いこむなどして、手順や予定がくるうとパニック状態におちいりやすいのが特徴です。
とくに社会生活においては全てが予定どおりに進むとはかぎらず、それがストレスや悩みにつながることも少なくありません。
また興味や関心が極端にかたよっていることから、ある特定の分野にだけ異常に没頭し、ほかにはまったく目を向けないということもあります。
その他の症状
・突然の大きな音(雷など)を異様に怖がる
・食べ物の好き嫌いが激しい
・特定の臭いや光が苦手
・季節の寒暖の変化に気づきにくい。
運動などが苦手
・縄跳びやボール遊びなどが苦手
・体の動きがぎこちなく転んだりする
・手足をドアや家具等にぶつけることが多い
・手先が不器用
その他、広汎性発達障害のかなりの割合の人には「聴覚」「味覚」「触覚」などの感覚にたいして、苦痛や不快感を感じる「感覚過敏」という症状がみられるといわれています。
感覚過敏をもっている人が必ず広汎性発達障害だというわけではないですが、傾向として多いのが特徴です。
また手先が不器用だったり、運動が苦手だったり、ぶつかることが多かったりと処理能力が低いかたもいます。
このように広汎性発達障害の人の症状や特性は多岐にわたるため、ご自身の症状や特性を理解し、それに応じた対策をとることが重要といえるでしょう。
自閉症スペクトラムと診断される場合も
精神疾患の診断基準として国際的に広くもちいられているのが、アメリカ精神医学会が発行している「DSM」というマニュアルです。
2000年に刊行された「DSM-IV-TR」では「自閉症障害」「レット障害」「小児期崩壊性障害」「アスペルガー障害」「特定不能の広汎性発達障害」の5項目を広汎性発達障害と分類していました。
しかし2013年に「DSM-5」に改定されたことにより広汎性発達障害の分類がなくなり「自閉症スペクトラム障害」という診断名に統合されたのです。
医療機関によっては「自閉症スペクトラム」と診断される場合もありますが、広汎性発達障害と自閉症スペクトラムはほぼ同義であるといえます。
広汎性発達障害の原因
現時点では広汎性発達障害がなぜ発症するのかあきらかになっていませんが、発症に関わる要因はいくつかあります。
たとえば「脳のネットワーク連結機能の低下」「感情に関わる偏桃体の異常」「前頭葉の異常」「小脳の異常」「脳内物質の異常」などです。
また遺伝は原因の一部にすぎませんが、自閉性障害にかかっている人の近親者では発症頻度が高くなると考えられています。
このように考えられる発症要因はいくつかあるももの、はっきりとした原因は解明されていないため、親がご自身を責めたり、過度に心配したりするのはさけましょう。
広汎性発達障害の方への接し方
広汎性発達障害のお子さんへの対応
広範性発達障害の子どもの中には、感覚の過敏性や鈍さがある子どもが多いといわれています。
また、特定の言葉や行動、状況などについて「独特の理解の仕方や受け止めかた」がみられる場合もあります。
そのため「子どもは自分とは違う感じかた、受け取りかたをしているかもしれない」ということを意識し理解することが重要です。
「このくらい言わなくてもわかるだろう」「この程度の音なら我慢できるはず」と思わずに、子どもがどう感じているか、何に困っているかを想像して接するようにしましょう。
患者さん本人が心がけること
広汎性発達障害のかたご本人が心がけることとして、「できるだけ具体的に話をしてもらうように頼む」「わからないことは確認する」などがあげられます。
自分は「具体的に話してもらわないとわからない」とあらかじめ相手に伝えることで、相手は広汎性発達障害の人にも伝わるような言いかたにかえてくれるでしょう。
また話の意味がわからない場合は「それは○○ということでいいですか?」と確認することも大切です。
このように広汎性発達障害の人の中には抽象的な表現を苦手とするかたがおおいため、事前に話しあいをすることがトラブル回避につながります。
家族や周囲の方が心がけること
家族や周囲の人は広汎性発達障害の人にたいし、「感情的にならず具体的な言葉で伝える」
「症状は割り切る」といったことを心がけましょう。
コミュニケーションにおいてなかなか自分の思いが伝わらずイライラすることもあるかもしれませんが、感情的になるとますます意図が伝わらなくなります。
広汎性発達障害の人には「具体的に」「実際にしてもらいたいことを」「言葉で伝える」ことが大切です。
また、障害や症状はもって生まれた特性の1つなので、ある程度割りきってあげることで関わりやすくなるかもしれません。
広汎性発達障害の相談窓口
保健センター
保険センターは年代や性別に関わらずさまざまな人の健康ニーズにこたえ、住民の健康を助けることを目的とした施設で、市町村ごとに設置されています。
精神疾患にかぎらず「母子保健」「生活習慣病」「高齢者保健」「健康づくり」など幅ひろい相談に対応できることが特徴です。
相談は電話相談や面談による相談があり、保健師、医師、精神保健福祉士などの専門職が対応しています。
また保健師による訪問支援も行っているので、直接施設にいくのが難しいかたでも安心して利用できるでしょう。
発達障害者支援センター
発達障害者支援センターは、発達障害者への支援を総合的に行うことを目的とした専門的機関です。
窓口は各都道府県や政令指定都市の自治体となっていますが、それらから委託された事業所でも相談をうけつけています。
基本的には社会福祉士がいますが、施設によっては、臨床心理士、言語聴覚士、医師などがいるところもあり、それぞれの専門にそったサポートをうけられるのが特徴です。
まずはお住まいの地域の発達障害者支援センターがどんな支援をおこなっているのか調べてみるとよいでしょう。
精神科・心療内科
不安、抑うつ、不眠・いらだちなどのうつ病の症状を感じた場合の相談先として、精神科や心療内科もおすすめです。
精神科や心療内科では相談はもちろんのこと、その場で治療法や対策を提案してくれることがおおいからです。
とはいえ初めて行くときは、自分の思っていることを病院の先生に説明できるか不安ですよね。
そういった場合は、家族に付き添ってもらうか、事前に話したい内容を紙にまとめておくことで、気持ちに余裕をもって受診できるでしょう。
広汎性発達障害の治療
- 不眠や食欲低下のが症状がある
- 落ち込みや抑うつ状態がひどい
- 不安やイライラ
- 衝動性や攻撃性が高まっている
広汎性発達障害は病気というよりも、持って生まれた「特性」として考えられることがおおく、この特性自体を薬で治すことはできません。
治療の基本は1人1人の特性に合わせた療育とされていて、療育を受けることで生活の支障を少なくできると考えられています。
ただし、不眠、食欲低下、落ち込み、抑うつ、不安などの二次的問題がある場合には対症療法的に薬物を利用することもあります。
広汎性発達障害の人たちは特性を周囲に理解してもらいにくく、二次的問題を引き起こしやすいので、そうなる前にご家族や周囲が本人の特性を理解することが大切です。
精神科訪問看護を利用するという選択も
精神科訪問看護とは?
・自立した生活を営めるための支援
・生活リズムの調整
症状の悪化防止・服薬支援
・生活状況を観察
・受診や服薬を支援
社会復帰へのサポート
・主治医や関係機関と連携
・社会復帰を支援
家族の方への支援
・家族へのアドバイスや相談
・社会資源の活用などを支援
精神科訪問看護とは、精神疾患を抱えるかたや精神的な理由で不安があるかたに対して、看護師などの専門職がご自宅におうかがいし、支援するサービスです。
「生活リズムの調整」「受診や服薬の支援」「社会復帰の支援」などさまざまな観点からサポートすることで利用者さまが安心して生活できることを目指します。
同時に家族への支援も実施し、利用者さまを取りまく環境全体を整えていく役割を担っているのも精神科訪問看護の特徴です。
とくにご自宅からでるのが難しい場合や、日常生活での注意点などを家族にも共有したい場合は精神科訪問看護を利用してみてもよいかもしれません。
精神科訪問看護のサービス内容
サービス名 | 精神科訪問看護 |
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職種![]() |
・看護師 ・准看護師 ・作業療法士 |
訪問日数![]() |
原則週3日以内 (※例外もあります。) |
精神科訪問看護では看護師、准看護士、作業療法士などの資格をもったスタッフがご自宅におうかがいし、病状や障害に適した看護を行うことで、健康状態の悪化防止や回復に向けたお手伝いをします。
一般的な訪問回数は週3回程度ですが、精神状態がわるく命に危険がおよぶ可能性があるかたや、家族など頼れる人がいない場合は週3回以上通うこともあります。
時間に関しては利用するかたの負担にならないよう、1回30分を1つの目安に自宅や施設に訪問しています。
精神科訪問看護はお子さまから高齢者の方まで幅広い年代のかたが利用できるというのも1つの特徴です。
訪問看護を利用するメリット
- 自宅に居ながら専門的なケアが受けられる
- 自宅での様子を主治医に連携できる
- 家族の負担が軽減できる
訪問看護のメリットは、医療の知識や治療経験のあるプロフェッショナルから病院と同等のケアを、住みなれた自宅にいながらうけられることです。
これまで医療サービスをうけるためには病院に行くのが普通でしたが、高齢化とともに医療サービスの必要がたかくなり、訪問看護が増えていきました。
訪問看護を利用すれば、病気がなおるまでずっと病院で治療をうける必要がなく、退院直後からスムーズに自宅でのケアへ移行できることもメリットの1つです。
また医療の知識やスキルを有した看護師の手あついサポートをうけられることから、家族の肉体的・精神的な負担を軽減することにもつながるでしょう。
精神科訪問看護の料金
負担割合 | 月の初回訪問 | 2回目以降 |
---|---|---|
3割負担![]() | 3,897円 | 2,565円 |
2割負担![]() | 2,598円 | 1,710円 |
1割負担![]() | 1,299円 | 855円 |
上記は週3回までの訪問料金となります。週4回以上訪問となる場合には料金が異なります。
精神科訪問看護では、医療保険を利用することにより自己負担を軽減できるメリットがあります。
30分を一区切りに利用可能。かかった費用については、年齢や所得によって変わり、医療費の1〜3割が自己負担となります。
また早朝や深夜などの時間外に依頼する場合や、長時間の訪問を行う場合は別途料金が発生します。
また自立支援医療制度いう制度を利用すると料金が1割負担になるほか、所得に応じて自己負担が0円になる場合もございます。
精神疾患をお持ちならシンプレへ
シンプレの特徴
シンプレ訪問看護ステーションは精神科に特化している訪問看護ステーションです。
シンプレ訪問看護ステーションでは、患者さんからえた「主観的情報」と医療者の観察から得た「客観的情報」をおり交ぜながら看護を提供するように意識しております。
また訪問看護に入らせていただくうえで、地域で暮らす精神疾患のある方の自主性を尊重しています。
利用者さんの思いをしっかりと受けとめ、少しでも安心して生活できるように支援させていただきます。
シンプレ訪問看護ステーションの対応エリア
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<東京都>
・東京23区
※足立区、荒川区は1部エリアとなります。
・西東京市
・三鷹市
・武蔵野市
<埼玉県>
・和光市
・朝霞市
・戸田市※1部エリア
・新座市※1部エリア
シンプレ訪問看護ステーションの対応地域はおもに上記が中心で、訪問活動をおこなっています。該当エリアにお住まいの方はぜひご検討ください。
また上記以外のエリアにお住まいでも、対応できる場合がございますので、一度当社スタッフへご相談ください。
サービス内容を詳しく聞きたい、スケジュールの相談なども承っております。電話やメールなどで相談を受け付けていますので、お気軽にご連絡ください。
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まとめ
広範性発達障害の人はコミュニケーションにおいて問題をかかえていたり、こだわりが強かったり、感覚過敏だったりとさまざまな症状が考えられます。
その特性自体をなおす方法は現在解明されていないため、ソーシャルスキルトレーニングや生活環境の調整を通じて、障害とうまく付き合うすべを身につけていくことが大切です。
少しでも障害や特性との付き合いかたがわからなかったり、ご不安をお持ちだったりする場合は、精神科訪問看護の利用もおすすめします。
シンプレ訪問看護ステーションでは、精神科に特化した専門的なスタッフがさまざまな観点広汎性発達障害を支援いたします。
ご家族へのサポートも一緒に行い、周りの環境から整えるお手伝いをさせていただきますので、広範性発達障害でお悩みの場合には、ぜひシンプレ訪問看護ステーションにご相談ください。
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