双極性障害の原因はある?早めに気づき対処するために症状をチェックしよう

双極性障害になる正確な原因はまだわかっていないと言われています。
可能性として、遺伝が関与していたり体内で作られる特定の物質が正常に調整出来ていないがあると言われています。
またストレスを感じた後に双極性障害が発生する場合もあると言われています。
今回は双極性の障害の原因、症状、治療法など解説していきます。
双極性障害の原因とは
双極性障害とその原因について
双極性障害の原因は、はっきりしていませんがさまざまな要因が関係していると考えられています。
双極性障害になりやすさが、親から子へ遺伝するということです。これは、遺伝的要因と呼ばれます。
もうひとつの原因として、神経伝達物質の異常があげられます。何らかの原因で、脳で働く神経のつながりを維持する成分の分泌に変化が起きている状況です。
また、ストレスや生活習慣も病気のなりやすさに関係があると考えられています。この要因は環境要因と呼ばれます。
原因は神経伝達物質が関係している?
脳のなかで、情報をつなぐ神経伝達物質の分泌などに異常な変化があることが、双極性障害の原因になるという説があります。
①セロトニン説
双極性障害の原因のひとつが、セロトニン説です。
セロトニンの減少により双極性障害がおこるという説です。セロトニンは他の神経伝達物質とも一緒に働き、精神を安定させる作用があります。
②ノルアドレナリン説
ノルアドレナリンは関心や興味、意欲について調整している、神経伝達物質です。減少することによって、意欲の低下などがあらわれます。
なんらかの原因で、このノルアドレナリンが増えすぎたり、減りすぎたりすることによって双極性障害が生じるという説です。
③ドーパミン説
ドーパミンは喜びや楽しみの感情に関係する神経伝達物質です。減少することで、喜ぶ感情などの低下があります。
このドーパミンの量の異常が、双極性障害の原因と考えられています。
双極性障害の発症率
日本では双極性障害の発症率は1%といわれています。これは100人の人がいたらその中1人が発症する可能性があるという発症率です。
10代の若い人から、40代や50代以降の人まで幅広く、発症する可能性のある病気です。男の人と女の人で、双極性障害になる人の数に違いはないといわれています。
社会階級や人種や民族グループによる差はみられず、等しく双極性障害になる可能性があります。
双極性障害は、世界的にみても多くの人が抱える病気です。
双極性障害の症状
躁状態とうつ状態が繰り返し起こる
双極性障害とうつ病の違いではっきりとしている点は、躁状態の症状です。躁状態とうつ状態が交互に現れるということが双極性障害の特徴です。
躁状態でもうつ状態でもない場合には、寛解という病気の症状がない状態です。寛解を維持することで、完治となります。
躁状態がはっきりしていれば、双極性障害診断はつきやすくなります。はっきりした躁状態があると社会生活に支障が生じやすく周りから見ても状態の悪化がわかる状況です。
一方、うつ病と診断されていた人が、双極性障害の診断が出ることもあります。そのような場合の躁状態は、わかりやすいものではないことがあります。
①躁状態
- 急に自分が偉くなったような気持ちになる
- 何でも出来る気がしてしまう
- おしゃべりになる
- アイデアがどんどん浮かんでくる
- 眠らなくても元気な状態になる
- 気が散りやすくなる
- 落ち着きがなくなる
- いらだちやすくなる
- 気分が高まり元気になった気がする
- エネルギッシュになる
- 浪費
- 性的逸脱
躁状態の症状は、場合によっては目立たず、大きな問題とはとらえられにくいものもあります。患者さん本人も躁状態の時には調子が良いと感じていることが多いでしょう。
よく話し、活発な様子や睡眠の必要性を感じずに活動するといった様子があります。
躁状態の時には、その症状により周囲の人とのトラブルが起きやすいです。会社で喧嘩をするといったトラブルが考えられます。
はっきりした躁状態では、同じものをいくつも購入したり、高額な商品を即決で購入したりということもあります。ギャンブルを繰り返すということもあります。
②うつ状態
- 気分が落ち込む
- 睡眠量が増える
- やる気が起きない
- 楽しい気持ちを感じにくくなる
- 疲れやすくなる
- なにも手につかない
- 自分を責めてしまう
- 決断力がなくなる
- 死にたい気持ちになる
- 食欲が落ちる
双極性障害でうつ状態になると、躁状態の時とは違う様子になります。気分の落ち込みなどがあり、患者さん本人は、とても具合が悪いと実感しやすい状態です。
うつ状態では、眠りたくても眠れない不眠もおこります。また反対に、活動意欲も低下し、過眠の状態にもなることもあります。
自分を責めてしまい、気分の落ち込みがあるなかで、死にたい気持ちになってしまう事もあるようです。
食欲が落ちて、体重や体力が落ちてしまいます。また、気力もなく活動が行えなくなり、生活に支障がでる状態といえるでしょう。
治療しないとどうなるのか?
双極性障害は、治療しないと再発を繰り返すことが多くなります。躁状態でもうつ状態でもない、落ち着いた状態で過ごせる時間が短くなってしまいます。
双極性障害になってしまって、治療せずとも落ち着いたとしても、患者さん本人が気がつかない間に躁状態になっていることもあります。
1年のうちに4回以上も躁状態とうつ状態を繰り返すことをラピッドサイクリングといいます。治療しないと、このような状態になりやすいです。
このような状態は患者さんの生活が辛いものになるばかりでなく、財産や大切な人間関係を失ってしまうことにつながります。
双極性障害の診断と種類について
診断方法
双極性障害はもともと一つの診断でしたが、今では双極Ⅰ型障害、双極Ⅱ型障害に分類されています。双極スペクトラムという状態も双極性障害のつながりでとらえられています。
双極性障害は、うつ病とはちがって躁状態をともなう病気です。躁状態が1週間以上にわたり継続することが基準になります。
躁状態の特徴として、誇大的な考えや自信過剰な様子がみられます。また、よく話すようになります。
双極Ⅰ型障害は三つの病型の中で、一番重症度が高く、双極Ⅱ型障害は軽い躁状態とうつ状態をくりかえす病態です。
種類
双極性障害は、病気の特徴により、三つの種類にわかれています。病型により、療養上の注意点などが異なります。
双極Ⅰ型障害
双極Ⅰ型障害では、躁状態がはっきりとあらわれるため、診断がつきやすいです。この病型では、躁状態により社会生活や家庭内でのトラブルが見受けられます。
従来、躁うつ病といわれていた病型がこのタイプです。
双極Ⅱ型障害
双極Ⅱ型障害では、うつ病と診断されている人のなかで診断をされる人がいます。双極Ⅱ型障害の躁状態はⅠ型の躁状態ほどはっきりとしていません。
軽躁状態といわれるもので、見分けをつけるのは難しい症状です。
双極スペクトラム
双極スペクトラムは、診断基準にはまだ明記されていない病型です。軽いうつ状態と軽い躁状態を繰り返すと考えられています。
Ⅰ型ともⅡ型とも判別しにくい場合に診断されることがあります。軽度ではあるものの、うつ状態と躁状態による気分の変動で生活に支障がある状態です。
うつ病との違い
疾患 | 原因 | 症状 |
---|---|---|
双極性障害![]() |
脳の神経物質 | 興奮状態と 気落ち状態 を繰り返す |
うつ病![]() |
重度の ストレス プレッシャー など |
落ち込み状態 のみが続く |
双極性障害の原因がストレスとの関係が低いのと比べ、うつ病はストレスとの関係は高いと考えられています。
うつ病では、躁状態のエピソードはなく、気分の落ち込みが中心の症状です。
しかし、うつ病がある人で、調子が良い時期を繰り返すことがあれば、その調子の良さが躁状態の可能性もあり、専門医に診断をしてもらう必要があるでしょう。
双極Ⅱ型障害や双極スペクトラムの場合には、うつ病だと思っていた状態から診断される場合もあります。
双極性障害の治療方法について
主な治療方法
双極性障害の治療の柱は、薬物療法と心理社会的治療です。お薬で症状をおさえながら、病気との付き合い方を学んでいくことになります。
①薬物治療
- 気分安定薬
- 非定型抗精神病薬
- 睡眠導入剤
薬物療法で中心となるのは、リチウムで躁状態の時とうつ状態の時の両方に効果があります。うつ状態がある時には気分を落ち着かせる薬が使われます。
ただリチウムは将来妊娠の可能性がある若年女性には当然注意が必要な薬です。
薬や量で副作用が異なるため、検査や副作用の出方をチェックしながら本人にとって負担の少なく、病気とうまく付き合うことのできる薬や量を見つけていきます。
②心理社会的治療
- 心理教育
- 家族療法
- 認知療法
- 対人関係療法
- 社会リズム療法
双極性障害の心理社会的治療の中心は、心理教育になります。心理教育では、双極性障害の病気の特徴を知り、療養上の注意点などを理解することです。
再発や病状悪化のサインなどを学び、そのような兆候に気づくことが目標になります。
精神科訪問看護も利用してみる
精神科訪問看護で行えること
・自立した生活を営めるための支援
・生活リズムの調整
症状の悪化防止・服薬支援
・生活状況を観察
・受診や服薬を支援
社会復帰へのサポート
・主治医や関係機関と連携
・社会復帰を支援
家族の方への支援
・家族へのアドバイスや相談
・社会資源の活用などを支援
精神科訪問看護では、生活の中でリハビリテーションを行い、生活がよりよくなるように支援します。
バイタルサインを測定し、体調に変化がないか看護師などが体調を見守ります。精神の状態についても、医師と連携して再発や悪化を予防します。
利用者さんの得意なことを伸ばしたり、具体的な人間関係の悩みなどの相談にのったりすることができます。
住み慣れた地域やご自宅での療養生活を支援し、入院をしなくてもすむような状況をめざします。
精神科訪問看護の料金
負担割合 | 月の初回訪問 | 2回目以降 |
---|---|---|
3割負担![]() |
3,897円 | 2,565円 |
2割負担![]() |
2,598円 | 1,710円 |
1割負担![]() |
1,299円 | 855円 |
上記は正看護師or作業療法士が訪問した料金となります。
上記は週3回までの訪問料金となります。週4回以上訪問となる場合には料金が異なります。
精神科訪問看護は30分から1時間の時間で行われます。週3回までの料金が上記になります。
月の初回訪問の料金は、2回目以降の訪問看護の料金とは異なります。また、医療保険の負担割合によって料金がかわります。
訪問看護を利用するには、主治医からの指示が必要になります。精神科に定期通院していると、自立支援医療が利用できて、訪問看護の料金も負担免除がうけられます。
次の項目で詳しく解説していきます。
精神障害をお持ちの方が使える制度
自立支援医療制度(精神通院)
区分 | 上限額 |
---|---|
生活保護![]() |
0円 |
低所得1![]() |
2,500円 |
低所得2![]() |
5,000円 |
中間所得1![]() |
5,000円 |
中間所得2![]() |
10,000円 |
一定所得以上![]() |
20,000円 |
表の料金は所得に応じた医療費の月額自己負担額の上限額となっております。
表の料金を超えた場合には、自己負担なしで医療が受けられます。
自立支援医療は、精神障害者や身体障害者の方の治療や回復を支えることをめざしています。医療費などの療養費負担の軽減をするための公的な支援です。
精神疾患の方が、定期的に通院を利用している場合に利用できます。
ここでいう医療費は精神科病院への通院費や精神科訪問看護の利用料などに適応されます。治療に必要なお薬の料金やデイサービスの利用費も適応になります。
患者さんの収入に応じて、患者さんの医療費負担の限度額が設定されています。収入により設定された限度額を超える医療費は、自己負担なく医療を受けることができます。
心身障害者医療費助成制度(マル障)
心身障害者医療費助成制度は、身体障害者手帳1級/2級の方や愛の手帳、精神障害者保健福祉手帳1級をお持ちの方を対象とする制度です。
この制度を受けるには、所得の基準額があったり、生活保護の方は申請が行えません。65歳以上の年齢でも新規の申請は行えないことになっています。
医療保険の対象になる医療費の負担が軽減されます。お薬代や医療保険での訪問看護の料金も医療費助成の対象になります。
申請手続きは、お住まいの市町村役場のマル障申請窓口で行います。
精神障害者保健福祉手帳
精神障害者保健福祉手帳は、何らかの精神障害(うつ、統合失調など)により、長期にわたり日常生活又は社会生活へ支障をきたしている方に対して支援をする制度です。
国として行っている支援としては、NHK受信料の減免や税金の控除や減免といったことがあります。
各地方で行っている支援には、公共交通機関の割引や携帯電話料金の割引があります。福祉手当の支給といったことも行われています。
お住まいの市町村の窓口で申請が可能です。家族や医療関係者が代理申請をすることもできます。
双極性障害でお悩みならシンプレへ
シンプレの特徴
シンプレ訪問看護ステーションは、精神科疾患をお持ちのかたの看護に特化しています。さまざまな精神疾患に対応が可能です。
シンプレ訪問看護ステーションでは、利用者さんの自主性を大切にして、生活を支えます。双極性障害でお悩みの方の相談も可能です。
看護師や作業療法士が、お宅を訪問し、生活のリズムを整えたり、生活のなかでのリハビリテーションを支援します。地域の支援者とも連携しています。
双極性障害でお悩みの方やそのご家族などで、訪問看護を検討されている場合には、シンプレ訪問看護ステーションへ、お気軽にご相談ください。
シンプレ訪問看護ステーションの対応エリア
-
<東京都>
・東京23区
※足立区、荒川区は1部エリアとなります。
・西東京市
・三鷹市
・武蔵野市
<埼玉県>
・和光市
・朝霞市
・戸田市※1部エリア
・新座市※1部エリア
シンプレ訪問看護ステーションの対応地域はおもに上記が中心で、訪問活動をおこなっています。該当エリアにお住まいの方はぜひご検討ください。
また上記以外のエリアにお住まいでも、対応できる場合がございますので、一度当社スタッフへご相談ください。
サービス内容を詳しく聞きたい、スケジュールの相談なども承っております。電話やメールなどで相談を受け付けていますので、お気軽にご連絡ください。
ご相談の問い合わせはこちら▼
まとめ
今回は双極性障害の原因について、脳の神経物質との関係などを中心に整理しました。双極性障害は脳の神経との関係が深い病気です。
躁状態では、患者さん本人がご自身の体調を冷静に判断することが難しくなるため、治療につながりにくい傾向があります。
精神科訪問看護では、利用者さんの生活を見守ることができます。体調に変化の兆しがないか、訪問看護で様子を伺います。悪化の前兆などに気づきやすくなる可能性があります。
双極性障害でお悩みの方は、お気軽にシンプレ訪問看護ステーションへご相談ください。
ご相談の問い合わせはこちら▼