三環系抗うつ薬の副作用について知ろう。副作用の現われ方や注意点

三環系抗うつ薬の副作用について知りたいとお考えですか?
古くからうつ病などの治療に用いられてきた三環系抗うつ薬ですが、副作用が心配で服用を躊躇しているという方もいらっしゃることでしょう。
今回は、三環系抗うつ薬の副作用や注意点などについて詳しく紹介します。
三環系抗うつ薬の副作用が不安という方はぜひ参考にしてくださいね。
三環系抗うつ薬の主な副作用は?
抗コリン作用
アセチルコリン受容体の遮断
副作用
・目の渇き
・口渇
・便秘
・尿閉
・視力調節障害
三環系抗うつ薬の副作用の代表的なものに、抗コリン作用があります。三環系抗うつ薬の内服で、この様な症状が現れることがあります。
抗コリン作用とは、具体的には、目や口の乾き、便秘、尿がでなくなるといった症状です。これらの症状は、とても不快なものといえます。
三環系抗うつ薬の中でも、第一世代と呼ばれる薬は抗コリン作用を含む副作用があります。
トリプタノール、アナフラニール、トフラニールといった名前の薬です。これらの薬は、効果は高いものの、副作用が強いと言われています。
抗ヒスタミン作用
ヒスタミンH1受容体の遮断
副作用
・眠気
・倦怠感
抗ヒスタミン作用も、三環系抗うつ薬の代表的な副作用です。抗ヒスタミン作用とは、眠気やだるさやふらつきといった症状です。
うつ病では、アドレナリンやセロトニンが脳の中でうまく働けない状態があります。そこで、三環系抗うつ薬を内服内服すると、脳でのアドレナリンやセロトニン濃度が高まります。
しかし、三環系抗うつ薬の内服では、アドレナリンやセロトニン以外の神経伝達をする物質の働きにも影響が出ます。
そのため、三環系抗うつ薬には、抗コリン作用や抗ヒスタミン作用があり、これが強く出ると副作用の症状となります。
抗アドレナリンα1作用
アドレナリンα1受容体の遮断
副作用
・起立性低血圧
・頻脈
・ふらつき
・転倒
抗アドレナリンα1作用も、三環系抗うつ薬の副作用です。アドレナリンα1受容体が遮断されることによって、血圧低下、ふらつきなどの症状が現れます。ひどい場合には、転倒の原因になる場合があります。
この副作用も、三環系抗うつ薬がアドレナリンという神経伝達物質の伝達を阻害することが原因で現れます。
三環系抗うつ薬が、アドレナリンの血中濃度を調整する過程で、体のなかで神経伝達物質のバランスが崩れる状況です。
内服し始めた時には、転倒などでけがをすることがないように、日常生活の過ごし方に気を付ける必要があります。
第二世代では抗ヒスタミン作用が軽減
第一世代の副作用の強さを改善したのが、第二世代の三環系抗うつ薬です。第二世代の薬では、抗ヒスタミン作用のない薬が開発されました。これらの薬には、アモキサン、プロチアデンがあります。
これらの薬では、抗ヒスタミン作用はなく、抗ヒスタミン作用の副作用はおきません。
しかし、これらの第二世代の三環系抗うつ薬にも、抗コリン作用(目や口の乾き、便秘、尿がでなくなるといった症状)があります。なので、抗コリン作用の症状には、引き続き注意が必要です。
また、アモキサンは、2023年2月には自主回収および、製造中止になります。
三環系抗うつ薬の副作用の現れ方と副作用
飲み始めや用量を増やすと現れやすい
三環系抗うつ薬の副作用は、内服し始めの時期や薬の内服容量を増やしたときに現れやすいです。
内服し始めの時期の症状は特に注意が必要です。うつ病の症状なのか、薬の副作用による症状なのかは、判断がつきにくいためです。この段階で、自己判断で内服を中止しないことが大切です。
内服し始めの時期に副作用が現れやすいので、少量から内服を開始することが多いです。自分自身でも、日々の体調や気分の変化を記録に残すなどの工夫をしましょう。
1~2週間ほど経過すると落ち着く
三環系抗うつ薬の内服し始めに現れた副作用は、1~2週間で落ち着くことが多いです。日々の体調の変化や気分の変化の記録を続けるようにしましょう。
抗うつ薬の効果も、数週間経たないと現れない場合もあり、副作用が現れたからといって内服を中止するものではありません。
こういった状況に、不安や焦りが生じる方は、症状を主治医に伝えて、相談しましょう。
経過とともに副作用が顕著になることも
高齢な患者さんや身体的疾患のある患者さんは、副作用が顕著になることがあります。薬を内服した時に、通常であれば体の外へ排泄される成分が体内に蓄積することが原因です。
腎臓に病気があったり、働きに問題がある場合に注意が必要です。また、高齢な患者さんでは、抗コリン作用の症状があったりしても、うまく伝えられなかったり、症状が自覚しにくかったりする可能性もあります。
経過とともに副作用が顕著になっている自覚症状がある場合には、早めに主治医へ相談しましょう。
副作用が現れたときの注意点
副作用が現れても、薬の内服は続ける場合もあります。副作用が現われたときの注意点について整理します。
自己判断で薬を中止しない
副作用が現れたとしても、うつ病への治療効果などを総合的に判断する必要があります。つまり、薬の中止については医師が、状態を診察したうえでの判断になります。
抗うつ薬の効果は、数週間しないと現れないこともあり、患者さんとしてはうつ病の症状に加えて、薬の副作用があることは辛いことです。
しかし、自己判断で薬を中止してしまうと、いつから内服していないかなど、総合的な状態が医師に分かりにくくなってしまいます。
不安や判断に迷う時は医師に相談
うつ病自体の症状や薬の副作用が辛い場合には、不安や迷いが伴います。そういった時に、大切なことは、十分に医師と相談することです。
主治医の医師との信頼関係を大切にして、ささいな変化や不安でも相談する事が大切です。気のせいかもしれないと軽視してしまわないことが大切です。
新たに開発された薬
副作用は少ないが効果も弱い
SSRI
抗コリン作用や坑ヒスタミン作用がない
SNRI
・ノルアドレナリンの再取り込みも阻害
・セロトニンも同様
NaSSA
セロトニン、ノルアドレナリンの分泌量を増やす
従来、うつ病の治療に、まず使われていたのは三環系抗うつ薬や四環系抗うつ薬でした。しかし、三環系抗うつ薬は副作用の症状が現れやすいため、最近ではSSRIやSNRIといった薬が中心に処方されています。
SSRIなどの薬は、新規抗うつ薬といわれています。新規抗うつ薬は、三環系抗うつ薬などよりも、副作用が現れにくい薬です。
しかし、これらの新規抗うつ薬も、急な減量や増量などでは副作用が見られます。
SSRIは、飲み始めや増量した時に、セロトニン症候群という副作用に注意が必要です。不安やイライラが急に増悪したり、手足が勝手に震えたり、汗が増えたりした場合には、主治医へ相談しましょう。
うつ病や精神疾患に関する相談窓口は?
保健所・精神保健福祉センター
保健所には、地域ごとに担当保健師がいます。担当保健師以外にも、保健所には医師や精神保健福祉士が在籍しています。相談方法は、電話や面接があります。それぞれの方の希望や状態に応じて、相談方法を決めることができます。
精神保健福祉センターは、各都道府県と政令指定都市にひとつずつあります。こころの健康についてや、社会復帰についての相談ができます。
相談を希望する場合には、電話で予約をすることでスムーズに相談ができるでしょう。
(社)日本産業カウンセラー協会
日本産業カウンセラー協会の電話無料相談のサービスにも、相談することができます。「働く人の悩みホットライン」という電話相談です。患者さんや家族、企業からの相談をうけています。
うつ病の症状や薬の副作用で辛いときでも、外出せずに電話で相談をすることができます。協会に所属する産業カウンセラーに相談ができます。
一人で抱え込まずに、悩みについて話すことはうつ病の治療にとって大切です。そのためには、話せる場を一つでも多く持つことが必要です。
いのちの電話
うつ病の辛い症状、否定的な感情などで思いつめてしまう前に、相談することが大切です。しかし、どこかに相談に行くことも難しい状況の場合は、いのちの電話に相談することも一つです。
うつ病や内服による副作用などの影響で辛い時には、外出も難しい場合があります。そのような場合でも、電話で相談ができることを覚えておきましょう。
いのちの電話は、2022年に全国50センターが連盟に登録し、さまざまな支援者が活動しています。
精神科病院・クリニック
精神科病院やクリニックも、精神科医療の立場から、うつ病の方への支援をしています。
近隣のクリニックへ受診し、相談することで薬物療法などの治療ができます。もし必要があれば、入院などの設備がある精神科病院を紹介されることもあります。
クリニックによっては、内科的な診療が同時にできたり、カウンセリングルームを併設していたりとさまざまな特色があります。入院する場合の精神科病院もさまざまな病院があります。通いやすさなどと合わせて、選ぶことができます。
精神科訪問看護
- 日常生活の維持
- 生活技能の獲得・拡大
- 対人関係の維持・構築
- 家族関係の調整
- 精神症状の悪化や増悪を防ぐ
- ケアの連携
- 社会資源の活用
- 対象者のエンパワーメント
精神科訪問看護も、精神科医療の立場から、うつ病で悩まれている方の支援をします。精神科訪問看護には、主治医からの指示が必要です。精神科訪問看護では、薬の管理のお手伝いや薬の副作用についての相談をすることができます。
精神科疾患の薬は、体に影響をあたえ副作用を生じます。その際には、体の不調がバイタルサインの変調として現れます。訪問看護では、バイタルサイン測定も行います。
住み慣れた地域で、その人らしく生活できる方法について一緒に考えます。
精神疾患をお持ちならシンプレへ
シンプレ訪問看護ステーションとは?
シンプレ訪問看護ステーションは、精神科疾患に特化した訪問看護ステーションです。わたしたちの提供する、精神科訪問看護は、自立支援医療の対象となります。
私たちは、利用者さんの主体性を尊重します。生活や治療に安心が増えるように、相談し、支援します。うつ病やその薬にともなう副作用でお悩みのある方についても対応できます。
一人で悩みを抱え込まずに、シンプレ訪問看護ステーションにご相談下さい。私たちも、地域の支援者と連携して、訪問看護の立場から利用者さんの支援にあたります。
対応している精神疾患の例
・一日中気分が落ち込んでいる
・何をしても楽しめない
・眠れない・食欲がない・疲れやすい
統合失調症
・幻覚や妄想という症状が特徴的
・生活に支障をきたしてしまう
ADHD
・幻覚や妄想という症状が特徴的
・不注意さ、多動性、衝動性が顕著
PTSD
・時間がたってからもトラウマが残っている
・トラウマからくる原因への逃避行動
その他精神疾患全般
シンプレ訪問看護ステーションは、精神科に特化した訪問看護ステーションです。訪問看護師が、お宅を訪問して、精神科看護をサービスとして提供します。
うつ病や統合失調症などの広範囲な精神疾患に対応しています。うつ病で内服中の方、薬の副作用などに不安を感じている方の対応も可能です。
内服管理や医師への報告や連携など、患者さんが安心して生活するお手伝いをさせていただきます。医師以外の多職種とも連携し、住み慣れた地域での生活を支えます。
シンプレの対応エリア
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<東京都>
・東京23区
※足立区、荒川区は1部エリアとなります。
・西東京市
・三鷹市
・武蔵野市
<埼玉県>
・和光市
・朝霞市
・戸田市※1部エリア
・新座市※1部エリア
上記のエリアが、対応可能なエリアになります。現在、訪問エリアを拡大中です。
上記のエリア以外でも、対応可能な場合があります。訪問看護をご検討中の方は、ぜひお問い合わせください。
ご相談のお問い合わせはこちら
まとめ
ここまで、三環系抗うつ薬と副作用について整理しました。また、副作用が見られたときの注意点について述べてきました。新たに開発され、広く使われている薬についても取り上げました。
精神科疾患では、脳の機能障害が原因で生活に支障が生じる状況があります。薬物療法は、障害された脳の機能を補う作用をします。医師と十分にコミュニケーションをとり、薬を調整してもらうことで治療の効果が高まります。
シンプレ訪問看護ステーションでは、訪問看護を通して薬の管理や副作用の症状や病状の確認ができます。うつ病やその薬の副作用でお困りの方は、シンプレ訪問看護ステーションにご相談ください。
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