【ADHDについて】前頭葉との関係性や二次障害の特性や症状について解説

ADHDは発達障害のひとつです。落ち着きが無かったり時間が守れなかったりするため、生活で困ることも多い障害です。
そんなADHDですが、発症に前頭葉が関係することを知っていますか?
今回は、ADHDと前頭葉の関係について詳しく解説します。ADHDの相談ができる場所も紹介しているので、ぜひ参考にしてくださいね。
ADHDと前頭葉の関係性
ADHDとは注意欠陥・多動性障害のことで発達障害の一種です。ミスや忘れ物が多い「不注意さ」、好きなこと以外関心を示さない「多動性」などが特徴です。
また、待てずに思いついたまま行動してしまう「衝動性」も特徴に含まれます。
ADHDの方はそれらをコントロールすることが苦手なため、他人よりも目立ち日常生活に支障をきたす恐れがあります。
しかし、そういった悪い面ばかりが注目されがちですが、特性は工夫して長所にすることが可能です。
したがって、特性の上手な使い方を学んでいくことが生活を送る上で重要となります。
ADHDと前頭葉の関係性
現状、はっきりと原因はわかっていませんが、生まれつきの脳の機能障害だとする説が有力です。
その機能障害が起こっている部分は前頭葉の前側にある前頭前野です。
前頭葉が運動に関わる領域であるのに対し、前頭前野は思考や判断、コミュニケーションといった人間らしい行動を担っていると言われています。
その証拠に大脳の約30%を占める前頭前野を猿や犬は10%以下の割合しか持ちません。
このことからADHDの方はこの前頭前野の機能に偏りが生じているため、不注意や多動性といった特性が表れていると考えられています。
脳内の神経伝達物質の量が少ない
また別の可能性として情報や刺激を伝達する神経伝達物質も指摘されています。
この神経伝達物質は神経細胞同士の隙間であるシナプス間隔を通って情報などを隣の細胞に伝達します。
その中にはドーパミンやノルアドレナリンなどの興奮や意欲に関わるものやセロトニンなどの抑制に関わるものも含まれています。
ADHDの方はこの神経伝達物質の量が少ないことにより、それらの正常な情報伝達が行われていないと言われています。
それにより注意力の低下や集中力や関心を持てない多動性などが表れている可能性が考えられます。
ADHDと同分類の障害や二次障害について
ADHDと同分類の障害
知的発達の障害
自閉スペクトラム症
・対人関係が苦手
・強いこだわりの特徴をもつ発達障害
限局性学習症
読み書き能力や算数機能に関する特異的な発達障害
コミュニケーション症群
言語に関する障害
発達性協調運動症
個別の動きを一緒に行う運動が著しく困難な障害
このような神経発達症群は、それぞれの特性が独立して存在しているというより、折り重なって表れるパターンが多くあります。
例えば、ADHDの衝動的に行動してしまう特性と自閉スペクトラム症の相手の気持ちをうまく読み取れない特性が併発した場合を仮定してみます。
その場合、周囲とのトラブルが続出するといった社会生活を生きる上でより生きづらい状況に陥ることになる場合が多くなります。
そのため、障害が併発した方への周囲のサポートやトラブル解決の助力などがとても重要になります。
ADHDと二次障害について
・頭痛
・食欲不振
・不眠
精神面の不調
・過剰な不安や緊張
・抑うつ気分
・社交不安
・不登校、引きこもり
行動面の問題
・強い反抗
・暴言、暴力
幼少期の叱責や失敗体験が重なり、ADHDの子どもは自己肯定が低く周りの人との信頼関係を築けないまま大人になる場合があります。
また、追い詰められうつ病などを患ってしまう方もいます。そうなると本人だけでなくその家族もより辛い状況へと追いやられてしまいます。
それを防ぐために周囲の大人はその子の特性に気づき、障害を理解することやその子に合わせた環境作り、可能なことを認め達成感を与えることが重要になります。
そうした予防によりADHDの方を精神的に苦しめる二次障害を防ぐことができます。
ADHDの主な症状
不注意な状態が続く
- 期限を守れない
- 物事を順序立てて考えられない
- 物をなくしたり忘れ物が多い
この他にも整理整頓が苦手で、部屋がいつも散らかっていたり片付けの最中に注意がそれて途中でやめてしまったりなどの特徴があります。
また、何かをやり遂げることが苦手で勉強などを始めても集中力が続かず違うことをやり始めてしまうこともADHDの特性です。
こういった行動や事象を防ぐために片付けであれば、集中できるよう静かな時間帯や環境を作って取り組むなどが有効です。
また、片付けるものをリスト化し声に出しながら片付けるなどの具体的な対策を講じることで特性とうまく付き合えることが可能です。
多動性が見られる
- 常に手足を動かす
- じっと座ってられない
この他に他人の話を聞いていられない、順番通りに並んでまつことが苦手などの特徴があります。特に社会人になるとデスクワークを苦手とする傾向が見られます。
このような多動性が見られる場合どのくらい時間が経つと落ち着きがなくなるのか本人や周囲の人間が把握することが大切です。
その時間を見計らって動くことができるような環境づくりを行うことで多動性は対策できます。
人との会話が待てない場合は、聞いておくべき時と発言してもよいタイミングをADHDの方に知らせることでスムーズな会話が行える場合もあります。
衝動性がある
- しゃべり過ぎる
- 衝動買いをする
- すぐイライラする
上記以外にも思いついたことをすぐに発言して相手を怒らせてしまう、許可を得ずに勝手に他人の私物を使うなどが例として挙げられます。
特に周囲とトラブルになりやすい特性と言えます。しかし、多動性や衝動性は大人になるにつれだんだんと表面化しなくなると言われています。
よって、子どものうちから適切な行動はどうすべきかを教え、周りの子とトラブルになりそうな場面が予見できた場合にはその時取るべき行動やルールをちゃんと教えてあげるのがよいでしょう。
ADHDの治療法は?
心理士によるカウンセリング
ADHDの治療に医師やカウンセラーとADHDにおける特性の具体的な対処スキルを学び、解決していこうという認知行動療法があります。
カウンセリングの1つとされ、タイマーを使った注意持続訓練などがあり、それらのトレーニングを一対一だけでなく集団で行うなどするとより高い効果が望めます。
また、ADHDの子を持つ親自身が行動療法の理論に基づいて特性を理解し関わり方を学ぶことで親子のコミュニケーションの向上やストレス軽減なども治療の一つです。
その一環として地域や保護者同士で集まり、取り組む事例も増えています。
薬物治療
ノルアドレナリンとドーパミンの両方の働きを強める
ストラテラ
ノルアドレナリンの働きを強める
インチュニブ
神経細胞に作用し多くの伝達物質を取り込める
抗不安薬・抗うつ薬
不安や反抗、抑うつなどを抑える薬
これらの薬による薬物療法は脳の神経伝達を手助けし、症状を緩和させるものであり、治療全体の一部になります。
ADHDの治療の第一優先は先述したカウンセリングなどによる認知行動療法が一般的ですが、これらの取り組みでは生活に改善が見られない場合に薬物療法が行われることが多いです。
この薬が必要か否かを見極める一つの指標として、GAF(機能の全体評定)尺度があります。これは特性の強さや社会的・職業的機能を点数で評価するものです。
この評価により点数が60以下の場合に薬物療法が検討される場合があります。
ADHDの相談ができる場所を紹介
訪問看護とは
訪問看護とは、病院へ定期的に通院されている方などのご家庭に看護師や保健師が訪問し、病気の症状や生活していく上での悩み相談や援助を行うことを指します。
病院における治療を優先した看護とは違い、訪問看護はその人に適した生活を送ることが1番に優先されます。
よって、日々の生活の悩みを聞いてより患者の望む生活を考え、身体介護や生活援助を行うことが主なサポート内容となります。
具体的には食事や運動、口腔ケアや排泄介助などが該当し、近年ではニーズが高まっている傾向にあります。
訪問看護を利用するメリット
訪問看護には以下のメリットがあり、患者様やご家族様の日々の生活の助けになっています。詳しくご説明いたします。
専門的なケアが受けられる
ADHDの方へは特性をコントロールできるように認知行動療法を行うことができ、薬物療法を併用されている方には薬の管理状況の確認・援助も行います。
また、看護師とバックオフィスの連携も強く、専門知識をもったスタッフも多く在籍しているため臨機応変に患者様やご家族に寄り添った対応をとることができます。
通院の負担が軽減される
病院へ出向くことの心理的負担や煩わしさがなくなることで、悩まずに前向きな治療や支援を受けることができるのも訪問看護のメリットの一つです。
また、ご家族も通院のたびに車での送り迎えや付き添われる必要もなくなるため、交通費もかからずご家族への負担軽減にもひと役買っている制度だと言えるでしょう。
家族の負担が軽くなる
疾患によっては親御様が常にお世話をしなければないないケースもあるかと思います。そういった場合、ご家族が精神的な負担に悩まされることもあります。
それを防ぐ意味でも治療だけでなく心理的不調をきたしてしまった方への社会復帰を目指した支援も行うことで、ご家族への負担軽減やケアも訪問看護に含まれています。
精神科訪問看護
サービス名 | 精神科訪問看護 |
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職種![]() |
・看護師 ・准看護師 ・作業療法士 |
訪問日数![]() |
原則週3日以内 (※例外もあります。) |
訪問看護と違う点は、精神疾患を抱えた患者様のご自宅に看護師や精神保健福祉士、作業療法士が訪問して症状や悩みに合わせた看護サービスを行うところにあります。
通常の訪問看護と同様に患者様が望む生活を送れるよう援助しますが、補助の範囲内での認知行動療法などの具体的な治療も行います。
しかし、診察の補助と生活の援助が主な役割となりますので医師の指示にないことは行えませんが、患者様ご本人の望む生活が送れることを考えケアを行っています。
精神疾患をお持ちならシンプレへ
当ステーションの特徴
シンプレはうつ病などの精神疾患を抱える患者様やご家族に向けたサービスを中心に展開しており、それを強みとしている訪問看護ステーションです。
第一にご利用者様本人の望む自分らしい生活を送れることを優先して考えており、そのためご利用者様自身の主体性を尊重性して支援しています。
バックオフィスと看護師が常に連携し、緊急を要する事態にもすぐに医療機関や行政などの各関係機関への連絡などの対応ができるよう備えています。
精神疾患の一例
・幻覚や妄想という症状が特徴的
・不注意さ、多動性、衝動性が顕著
自閉症スペクトラム
・他人と目を合わせることが苦手
・相手や状況に自分の行動をあわせることが苦手
・言葉の裏の意味や抽象的な言葉の意味を理解するのが苦手
双極性障害
・躁状態とうつ状態を頻繁に移り変わる
解離性同一性障害
・個人に対して複数の人格を宿している
・その他精神疾患全般
対象となる精神疾患は上記以外にもうつ病やアルコール依存症、統合失調症など精神疾患全般がサービス適用となります。
例えば、過去に起きた出来事がトラウマとなり、突然その当時のことがフラッシュバックしてしまうPTSDの方を例にします。
その方の場合には、看護師や作業療法士が定期的にご自宅を訪れ、生活支援や症状の悪化防止などの回復に向けた支援を行います。
その他にも回復に向けた支援を行うだけでなく思い悩んでいることをただ傾聴するなどして患者様の一番望む行動に徹するよう心がけています。
シンプレの対応エリア
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<東京都>
・東京23区
※足立区、荒川区は1部エリアとなります。
・西東京市
・三鷹市
・武蔵野市
<埼玉県>
・和光市
・朝霞市
・戸田市※1部エリア
・新座市※1部エリア
シンプレ看護ステーションは上記エリアを中心としてサービスを承っており、日々奔走しています。
また、上記以外のエリアについても対応可能となる場合がございますので、お悩みであればまずはお気軽にお問合せください。
訪問看護ステーションは患者様の自主性を重んじてして日々精進しておりますので、きっとお役に立てると思います。 ご相談の問い合わせはこちら▼
まとめ
ADHDは発達障害の一種で、脳や神経伝達物質に原因がある可能性があります。疾患者は周囲との違いに悩まされた結果、うつ病などを併発してしまうケースもあります。
そうならないためには周囲の大人がADHDに対する理解を深め、疾患者に適した環境作りなどが大切です。
また、認知行動療法などによる治療や時には薬物療法を取り入れてADHDを克服していくこともできます。
シンプレは精神疾患に特化した訪問看護ステーションですので、ADHDの方への生活の援助や認知行動療法の支援も行っておりますのでお気軽にご相談ください。
ご相談の問い合わせはこちら▼