ナルコレプシーの原因を解説!日中に強い眠気に襲われる方は要チェック!
この記事では、ナルコレプシーの原因について詳しく紹介していきます。
ナルコレプシーとは、時間や場所に関係なく突然強烈な眠気に襲われて眠ってしまうという病気です。
放置すると重大な事故につながる恐れがあるため、症状に気づいたら早急に治療する必要があります。
では、一体どのようなことが原因でナルコレプシーを発症してしまうのでしょうか?日中に強い眠気に襲われてナルコレプシーを疑っている方は、ぜひチェックしてくださいね。
ナルコレプシーの原因は?
ナルコレプシーのような過眠症は、昔から存在しています。研究も進み、いくつかの原因も分かっているので、治療法も確立されている病気です。
脳内の神経細胞の機能低下
最近の研究でナルコレプシーの原因の1つは、神経細胞の機能の低下であることがわかってきました。
ナルコレプシーの患者さんでは、脳の視床下部外側野にあるヒポクレチン含有ニューロンが破壊されます。ヒポクレチンは、覚醒を促す働きを持つ神経伝達物質です。
そのため、ヒポクレチン含有ニューロンが破壊されると、覚醒力が低下し、ナルコレプシーの症状が現れます。
しかし、オレキシン神経細胞の機能が低下する原因は、現在のところ解明されていません。
感染症による自己免疫過程への影響
ナルコレプシーの原因の一つとして、感染症が考えられています。インフルエンザやA群連鎖球菌咽頭炎などの感染症を患った後、数カ月後にナルコレプシーを発症することがあります。
これらの感染症は、自己免疫システムに影響を及ぼすことで、ナルコレプシーの発症につながると考えられています。
遺伝的な要因
遺伝的に同じDNAを持つ一卵性双生児の場合、片方がナルコレプシーを発症した場合、もう片方がナルコレプシーを発症する確率は、25~32%と高いことが知られています。
また、ナルコレプシーの家族歴がある場合、一般人口に比べてナルコレプシーを発症するリスクが10~40倍高くなると考えられています。
ただし、遺伝的な要因があっても、必ずナルコレプシーを発症するわけではありません。遺伝的な要因は、ナルコレプシーを発症するリスクを高める要因の1つであると考えられています。
ナルコレプシーの代表的な症状
ナルコレプシーはいくつかの症状があります。ここからは代表的なナルコレプシーの症状について解説していきます。
睡眠発作
もっとも代表的と言われるのが、日中の突然の強い眠気です。ただの眠気ではなく、実際に体を動かしていても寝てしまうので、睡眠発作ともいわれています。
例えば会議で自分が話しているのに眠ってしまう、自転車をこいでいるのに眠ってしまうなど、実際にはありえないようなタイミングでも寝てしまう症状です。
これは、お昼の後の眠気とは大きく異なります。抗いがたい眠気で、車の運転中であれば事故にもつながりかねない状態に陥ります。
情動脱力発作
情動脱力発作とは、強い感情がきっかけで、全身の筋力が一時的に低下する症状です。
強い感情とは、喜び、驚き、恐怖、怒りなど、多岐にわたります。また、マイナスの感情だけでなく、プラスの感情もきっかけとなることがあります。
発作の際には、虚脱感や、首や足などの筋力が低下して立ち上がれなくなるなどの症状が現れます。また、呂律が回らなくなることも、よく見られます。
情動脱力発作は、数秒から長くても数分程度で自然に回復します。
睡眠麻痺
睡眠麻痺とは、夢を見ているときに脳から「動くな」という命令が出ている状態です。この命令が解除される前に起きてしまうと、目が覚めたのに体を動かすことができなくなります。これが金縛りの原因です。
また、ナルコレプシーの患者は、寝入りばなや入眠直後に、とても鮮明な幻覚を見ることがあります。夢のようにぼんやりとした幻覚ではなく、現実と区別できないほど鮮明な幻覚を見ることもあります。
ナルコレプシーと合併しやすい障害は?
ナルコレプシーは特定の障害を合併しやすいことが分かっています。ナルコレプシーと診断された場合は、障害を発病しないように注意することが必要です。
症状 | 合併する割合 |
---|---|
気分障害 (うつ病・うつ状態) |
3人に1人 |
不安障害 |
4人に1人 |
肥満 (病気の初期に急速にすすむ) |
3~4割 |
ナルコレプシーの患者は、うつ病や不安障害などの気分障害を併発することがあります。
うつ病は、長時間気分の落ち込みが続く病気です。不安障害は、強い不安から日常生活に支障をきたす病気です。
ナルコレプシーを患うと、これらの気分障害を併発する確率は、一般の人に比べて高くなります。併発してしまった場合には、ナルコレプシーの治療に加えて、それぞれの症状に対する治療も必要となります。
ナルコレプシーの患者さんは、糖尿病などの別の病気を併発するリスクが高まるため、体調の管理が大切です。
ナルコレプシーの診断はどのようにされる?
精神疾患の中には、眠気が増す症状がある疾病もあります。そのため、眠気があるから=ナルコレプシーと診断するわけではありません。
睡眠ポリグラフ検査
睡眠ポリグラフ検査とは、ナルコレプシーの他に睡眠時無呼吸症候群などの睡眠障害を調べることができる検査です。
一晩を使って睡眠中の脳波、筋電図、心電図、鼻の空気の流れ、酸素飽和度、胸・脚の動きなど体中のあらゆる情報を収集します。
通常の睡眠はノンレム睡眠が先におこります。ナルコレプシー患者の睡眠状態は通常の睡眠とは違い、入眠直後にレム睡眠に陥るといった点が特徴的です。
白血球の血液型検査
ナルコレプシー患者の99%以上の方は、特定の白血球の血液型を有しています。その白血球の型を調べるための血液型検査です。
現在の研究では、この特定の白血球の血液型がナルコレプシーの原因遺伝子であることが解明されています。
しかし、この型は健常者であっても日本人なら12~13%の方が有している型です。そのため、この白血球型を有しているから絶対にナルコレプシーになるとは限りません。
脳脊髄液中のオレキシン濃度検査
情動脱力発作の症状がある方は、脳脊髄液中のオレキシン濃度検査によって、ナルコレプシーの可能性を調べることができます。
オレキシンは、覚醒を促す働きを持つ神経伝達物質です。ナルコレプシーの患者では、オレキシンの脳内濃度が低下しています。
情動脱力発作を起こす方の9割近くは、脳脊髄液中のオレキシン濃度が測定限界以下まで減少しています。そのため、脳脊髄液中のオレキシン濃度が測定限界以下であれば、ナルコレプシーの可能性が高いと考えられます。
ナルコレプシーの治療方法は?
一般的にナルコレプシーの治療は、薬物治療と薬物を使用しない行動療法などを併用して行われます。それぞれの特徴を紹介していきます。
薬物療法
症状 | 薬名 | 副作用 |
---|---|---|
日中の眠気 |
メチルフェニデート モダフィニルなど |
気分が高揚する 喉が渇く ドキドキする(動悸) 胃が痛む |
情動脱力発作 |
クロミプラミン (アナフラニール®) など |
便秘や喉の渇きなど |
ナルコレプシーの薬物治療は、症状を緩和させることを目的としています。そのため、同じナルコレプシーの患者でも、症状が異なれば処方される薬も異なります。
メチルフェニデートやモダフィニルは、中枢神経に作用して覚醒作用を高める薬です。そのため、日中の眠気に効果があります。
クロミプラミンは、レム睡眠を抑制する作用があります。そのため、情動脱力発作の他に睡眠麻痺や入眠時幻覚などの症状に効果があります。
なお、これらの薬は、医師の説明をよく聞き、用法容量を守って服用してください。
行動療法
行動療法とは、患者が行う行動に対して指導などを行う治療法です。例えば、生活習慣を整え、規則正しい生活を送ることも行動療法になります。
ナルコレプシー以外の睡眠障害でも、生活習慣の改善は高い効果があることが分かっています。生活習慣を整えるといっても、難しいことはありません。
できるだけ決まった時間に睡眠をとり、決まった時間に起きる。昼寝も決まった時間に行い、暴飲暴食は避けるなどです。
これらの行動を繰り返すことで、1日のリズムが整い、眠くなる時間帯や眠気を感じやすい状況などが見えてきます。
生活環境の改善
ナルコレプシーに限らず、病気の治療には周囲の家族や同僚、友人などの理解が不可欠です。特にナルコレプシーは、眠っている姿を見られ、怠けていると誤解されてしまうこともあります。
病気のことを知られることに不安を感じる方もいるかもしれませんが、周囲に秘密にしながらの治療は、ハードルが高く、精神的にも負担がかかってしまうのが現状です。
理解を得られると、治療期間も日常生活や仕事においても、過ごしやすくなります。このように、治療をしやすいように周囲の環境を整える工夫を行うことも大切です。
ナルコレプシーの診断・治療は何科に行けばいい?
専門外来 | 初診に適した診療科目 |
---|---|
睡眠障害専門外来(いびき外来) |
呼吸器内科 耳鼻科 精神科 心療内科 神経科 |
ナルコレプシーの診療は、精神神経科、神経内科、耳鼻咽喉科、小児科、内科、外科など、さまざまな診療科で行われています。
もちろん、耳鼻科などの他科でも診療を受けることは可能です。しかし、ナルコレプシーの診断には、睡眠ポリグラフ検査などの専門的な検査が必要になる場合もあります。
そのため、睡眠障害の専門外来を受診すると良いでしょう。
精神疾患との合併は精神科訪問看護を利用する選択肢も
ナルコレプシーと精神疾患を合併した場合でも、基本的に治療は通院で行われます。そのため、薬の管理などを自分や家族が行うことが必要です。
精神科訪問看護とは?
サービス名 | 精神科訪問看護 |
---|---|
対応スタッフ |
看護師 准看護師 作業療法士 |
訪問日数 |
原則週3日以内 |
精神科訪問看護とは、精神疾患を患い自宅などで療養している方に対してサポートを行う事業です。スタッフは医療従事者であることから、必要であれば医療行為も行えます。
訪問看護は主治医が必要と判断すれば利用することが可能です。年齢などの制限はなく、あくまでも医師の判断で利用の有無が決定します。
医療保険が適用される場合は、原則として週3日以内の訪問日数になります。しかし、患者様の状態などによっては週4日以上の訪問もできます。
精神科訪問看護のサポート内容
- 症状のコントロールや治療の相談
- 日常生活の援助
- 対人面の相談
- 気分転換の援助・健康管理
- 服薬管理状況確認、援助
- 家族の悩みや不安の解消
- 社会資源の活用援助
主な精神科訪問看護のサポート内容はリストにまとめている通りです。注目してほしい点は、利用者のみならずその家族の悩みなども請け負うことができることです。
地域の様々な関係機関と連携を図りながら、家族が地域から孤立することを防ぐ役割もあります。
サポート内容は患者の状態や環境の変化で調整することが可能です。不具合があれば訪問看護のスタッフや主治医に相談し、都度内容を確認していきます。
精神科訪問看護ならシンプレ看護ステーションへ!
当シンプレ訪問看護ステーションは2020年に開業した、精神疾患に特化した訪問看護ステーションです。
シンプレ訪問看護ステーションとは?
・ナルコレプシー
・統合失調症
・双極性障害
・不安障害
・パーソナリティ障害
・アルツハイマー型認知症適応障害
・アルコール依存
・薬物依存
・知的障害
・発達障害
・精神疾患全般
主な看護内容
・生活支援・自立支援
・症状の悪化防止・服薬支援
・社会復帰へのサポート
・家族の方への支援
シンプレ訪問看護ステーションは精神疾患に特化した訪問看護を行う訪問看護の事業所です。うつ病などの精神疾患や発達障害など幅広く対応しております。
当ステーションには専門知識や経験があるスタッフが多数在籍していますので、精神科訪問看護サービスを受けるのが初めての方でも、お気軽にご相談いただければと思います。
スタッフが定期的に自宅を訪問し、生活リズムの調整を行ったり、症状で悩まれている方に対して、生活が少しでも安心したものになるようにお手伝いします。
シンプレ訪問看護ステーションの対応エリア
-
<東京都>
・東京23区
※足立区、荒川区は1部エリアとなります。
・西東京市
・三鷹市
・調布市
・武蔵野市
・府中市※1部エリア
・東久留米市※1部エリア
<埼玉県>
・和光市
・朝霞市
・戸田市※1部エリア
・川越市※1部エリア
・新座市※1部エリア
・川口市※1部エリア
シンプレ訪問看護ステーションは、基本的にリストに記載している地区で訪問看護の活動を行っています。
訪問対応エリアを順次拡大しています。上記以外のエリアにお住まいでも、対応できる場合もありますので、お気軽にお問い合わせください。
サービス内容を詳しく聞きたい、スケジュールの相談なども承っております。
ご相談の問い合わせはこちら▼
まとめ
強い眠気に襲われるナルコレプシーは、気分障害などの精神疾患を合併するリスクが高い障害です。合併した場合には、同時に治療を進める必要があります。
症状が重度でなければ基本的に通院での治療となるため、家庭での服薬や生活リズムの管理はとても大切です。
シンプレでは、症状の悪化の防止サポートや服薬の指導などもしております。利用者様へのサポートを通じて社会復帰に向けての一歩をお手伝いします。
訪問看護のご利用検討されたい、一度話を聞いてみたい等ございましたら、お気軽にお問い合わせください。
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