急性ストレス障害の治療はどのように行う?症状や相談先についても解説。
急性ストレス障害の治療法には「薬物療法」「精神療法」があります。
急性ストレス障害は、ストレスに関連する障害の一種で、自然災害や暴力などの犯罪被害などの強い精神的ストレスや、心理的なショックが原因となり引き起こされます。
今回この記事では、詳しい急性ストレス障害の治療法や、症状について解説していきます。
急性ストレス障害の治療方法
休養と環境調整
急性ストレス障害の治療に入るにあたり、まずは休養を取り、原因となるストレスから離れることが大切です。
急性ストレス障害は、強い心のショックやストレスによって引き起こされる精神疾患です。規則正しく食事をとり、十分な睡眠を取り、心身を休めるようにしましょう。
必要に応じて主治医や家族と会話をすることも心のケアに繋がります。自分自身が安心して休める環境を作るようにしましょう。
こころの整理をしていくことで治癒の可能性をより高めてくれます。
薬物療法
- SSRI
- 抗精神病薬
- 抗てんかん薬
急性ストレス障害では、不安・抑うつ・不眠などの不調を伴うことがあり、抗うつ薬(SSRI)や睡眠薬などを使用する場合があります。
使用されるSSRIや抗精神病薬の効果はすぐには現れにくい特徴があり、約1〜2週間程度服用すると症状の改善がみられます。
そのため具体的に自身が感じる不調について医師と相談しながら、効果のあるお薬を見つけていきます。
なお急性ストレス障害の治療において薬物療法は一時的な対症療法であり、下記でご紹介する精神療法と組み合わせることが必要です。
①精神療法(認知行動療法)
- ストレスを和らげるための治療法
- 思考パターンや物事の捉え方に気づき整える
急性ストレス障害の治療においては、精神療法のひとつである認知行動療法が主な治療方法です。
認知行動療法では、ストレスを感じた出来事を見直し、ストレスで固まってしまった考え・行動をときほぐす治療を行います。
「頭の中に浮かぶ考え(認知)」「こころの気持ち(感情)」「からだの反応」「自身の行動」、という4つの側面に分けて物事を考え、自身のこころを整理。
医師などとカウンセリングし、自分自身の思考・感情・行動パターンを考え直し、ストレスの軽減方法や対処方法を学んでいきます。
②精神療法(暴露療法)
急性ストレス障害では、不安に感じる刺激を回避し続けると、不安が悪化したり、慢性化したりすることがあります。その場合、暴露療法という治療法が使われる場合があります。
暴露療法では不安に感じる事由を実際に体験させ、段階的に慣らしながら、不安に立ち向かう自信をつけていく治療方法です。
基本的には薬物療法と組み合わせて治療を行い、治療に応じてお薬を増量したり、頓服したりすることで自身の守りを強くしながら、不安に感じる事由にたいして耐性を作っていきます。
③精神療法(グループ療法)
また急性ストレス障害の症状がある人同士が数名で集まり、自分の悩みを語り合う「グループ療法」という治療法もあります。
悩みや症状について、だれかと共有することは症状の緩和・回復につながり、患者同士の交流を通して支え合うことができます。
また集団で心理教育を実施することで、安心感・治療への希望をもちながら、向き合うことが困難なストレス・奥底の感情などと徐々に向き合えるようになります。
症状が重いと感じる時期に参加することはとても労力・勇気がいりますが、治療後のモデルを知ることができ、こころの悩みを軽減してくれるでしょう。
急性ストレス障害の症状
急性ストレス障害の5つの症状
- ①侵入症状
- ②回避症状
- ③陰性症状
- ④覚醒症状
- ⑤解離症状
急性ストレス障害は、上記の5つの領域から構成され、いずれかの症状があります。
①フラッシュバック・悪夢をみる「侵入症状」、➁トラウマ体験を思い出させる事由を回避する「回避症状」、③喜び・愛情などの感情が喪失し、恐怖・絶望感などに支配される「陰性症状」。
また④イライラ・不眠状態が続く「覚醒症状」、⑤トラウマ体験の記憶が抜け落ちる「解離症状」があり、また各症状に合わせて過呼吸・動悸・めまいなどの身体的な症状も伴います。
ストレスになる出来事が強烈であればあるほど、症状があらわれやすくなります。
慢性化するとPTSDと診断される
上記でご紹介した「侵入症状」や「回避症状」などの5つの症状が4週間以上続く場合は、急性ストレス障害ではなくPTSD(心的外傷後ストレス障害)と診断されます。
急性ストレス障害は、自然治癒の可能性が高いため、症状の期間によって急性ストレス障害とPTSDに区別しています。
PTSDに発展すると、人や物に対して攻撃的になり自己破壊的な行動をとるなどし、症状が悪化する可能性が高いです。
そのためPTSDは、日常的に重大な苦痛を感じ、社会生活で大きな支障を生じます。
急性ストレス障害かもしれないと思ったら
精神科・心療内科
急性ストレス障害の治療には精神療法・薬物療法が必要であり、医療機関で治療をすることが大切です。
こころの不調・ストレス症状が長く続いたり、社会生活に支障が出たりする場合には、自己判断や我慢せずに受診してみましょう。
医療機関には、精神科・心療内科・精神神経科など、各科によって専門に診る病気が異なりますので、受診前に電話・メールなどで問い合わせすることをおすすめします。
また受診した際には症状を上手く伝えられないこともあり、日頃感じていること・症状について事前にメモしておくこともよいでしょう。
電話相談窓口
- よりそいホットライン
- こころの健康相談統一ダイヤル
急性ストレス障害で悩んでいる場合、「よりそいホットライン」や「こころの健康相談統一ダイヤル」などで電話相談ができます。
「よりそいホットライン」では、対面相談にも対応してくれ、24時間の電話相談が可能。また他の機関への同行支援など、具体的な解決に向けて支援までを行っていることが大きな特徴です。
「こころの健康相談統一ダイヤル」は、各都道府県・政令指定都市に設置しており、最寄りの精神健康保険センターのスタッフが対応しています。
各窓口ともに幅広いこころの悩みについて対応しており、寄り添いながら自分にあった解決方法を一緒に探してくれます。
SNS専門相談窓口
- 生きづらびっと
- こころのほっとチャット
- チャイルドラインチャット相談
また電話相談以外にも、SNSやアプリを使用した相談窓口もおすすめです。
「電話では上手く伝えることができない」「口に出すのがつらい」など電話相談に抵抗がある人は、SNS専門相談をしてみてはいかがでしょうか。
顔を明かさず相談ができ、自分のタイミングで相談することができますよ。
なお「チャイルドラインチャット相談」は、18歳までの相談できる子供様の専門窓口です。大人と同じように1人の人間として尊重しながら、真剣に悩みを聞いてくれます。
公的機関に連絡する
- 保健センター
- 精神保健福祉センター
また公的機関である保健センター・精神保健福祉センターに連絡するのもよいでしょう。
保健センターでは年齢・性別に関わらずさまざまな健康の問題について対応をし、各市町村に設置されています。精神疾患だけでなく、生活習慣病・高齢者保健・ひきこもりなど生活に関わる幅広い相談が可能です。
一方、精神保健福祉センターは各都道府県に設置されており、急性ストレス障害について相談することができます。
精神保健福祉センターには専門性のあるスタッフがそろっているのが特徴ですが、近くにない場合、まずは保健センターに相談してみてもよいでしょう。
精神科訪問看護のサポートをうける
精神科訪問看護とは?
・精神科・心療内科に通院中の方
・精神疾患の診断を受けた方
・診断がなくとも医師が必要と判断した方
訪問する人
・看護の専門職
・リハビリテーションの専門職
訪問時間
・医療保険
(30分から90分程度)
精神科訪問看護は精神科・心療内科に通院されている方、また診断は受けていなくても睡眠障害など医師が必要と判断された方が対象です。
看護婦などの専門職のスタッフが訪問し、病状観察・服薬管理・家族支援などのサポートを行います。
医療保険を適用することができ、訪問回数は週3回まで。1回の訪問時間は30〜90分間で、病院・クリニックでの診察時間よりも長い時間訪問するのが特徴です。
精神科訪問看護ってどんなことをしてくれるの?
・自立した生活を営めるための支援
・生活リズムの調整
症状の悪化防止・服薬支援
・生活状況を観察
・受診や服薬を支援
社会復帰へのサポート
・主治医や関係機関と連携
・社会復帰を支援
家族の方への支援
・家族へのアドバイスや相談
・社会資源の活用などを支援
精神科訪問看護では、「健康状態の観察」「病状悪化の防止・回復」「社会復帰の支援」など、症状改善に向けてさまざまサポートを受けることができます。
病状や内服状況など、医療機関やかかりつけの医師と連携し情報を共有できます。
利用者本人と話し合いながら「どのような生活がしたいか」「どのような生き方をしたいか」などの意志を尊重し、支援します。
そのほかにも必要に応じて、医師や保健師、ケースワーカーなどの関係機関と連携し、病状の悪化の防止や早期回復につながるようサポートを行います。
精神科訪問看護のメリット
- 自宅に居ながら看護が受けられる
- 日常生活や対人関係の悩みなどの相談ができる
精神科訪問看護は精神科や心療内科に通院され精神疾患と診断されている方、診断はなくとも睡眠障害などで医師が訪問看護が必要と判断された人が対象です。
「外出するのが難しい方が難しい方」「住み慣れた環境で、ゆっくりと治療したい方」も、継続的に専門的な支援を自宅で受けられます。
家庭での療養状況を確認し、デイサービスやショートステイ、介護サービスの導入も提案なども行っています。
精神科訪問看護の料金
負担割合 | 月の初回訪問 | 2回目以降 |
---|---|---|
3割負担 | 3,897円 | 2,565円 |
2割負担 | 2,598円 | 1,710円 |
1割負担 | 1,299円 | 855円 |
上記は週3回までの訪問料金となります。週4回以上訪問となる場合には料金が異なります。
精神科訪問看護では、医療保険を利用することにより自己負担を軽減できるメリットがあります。
30分を一区切りに利用可能。かかった費用については、年齢や所得によって変わり、医療費の1〜3割が自己負担となります。
また早朝や深夜などの時間外に依頼する場合や、長時間の訪問を行う場合は別途料金が発生します。
また自立支援医療制度いう制度を利用すると料金が1割負担になるほか、所得に応じて自己負担が0円になる場合もございます。
自立支援医療(精神通院医療)
区分 | 上限額 |
---|---|
生活保護 |
0円 |
低所得1 |
2,500円 |
低所得2 |
5,000円 |
中間所得1 |
5,000円 |
中間所得2 |
10,000円 |
一定所得以上 |
20,000円 |
表の料金は所得に応じた医療費の月額自己負担額の上限額となっております。
表の料金を超えた場合には、自己負担なしで医療が受けられます。
自立支援医療制度は、医療費の自己負担額を減らしてくれる医療制度です。
公的医療保険による医療費の自己負担額は通常3割となっていますが、自立支援制度を併用すれば原則1割まで軽減されます。
訪問看護の治療費や、通院、薬代、デイ・ケアの費用などが自立支援医療の対象です。
所得に応じて月額の負担上限額が設定されており、上限を超えた分の医療費を支払う必要がなくなります。
精神疾患をお持ちならシンプレへ
シンプレの特徴
精神疾患を専門にしたシンプレ訪問看護ステーションでは、急性ストレス障害をはじめ、統合失調症やうつ病といった精神疾患をもつ方の自宅へ訪問しています。
精神疾患の専門知識・看護経験が豊富なスタッフが在籍しており、多種多様な精神疾患に対応できるのが当院の特徴です。
精神科に特化したシンプレ訪問看護ステーションは、うつ病で悩んでいる方やそのご家族への継続的なサポートを通じて解決への一歩をお手伝いします。
シンプレ訪問看護ステーションの対応エリア
-
<東京都>
・東京23区
※足立区、荒川区は1部エリアとなります。
・西東京市
・三鷹市
・調布市
・武蔵野市
・府中市※1部エリア
・東久留米市※1部エリア
<埼玉県>
・和光市
・朝霞市
・戸田市※1部エリア
・川越市※1部エリア
・新座市※1部エリア
・川口市※1部エリア
シンプレ訪問看護ステーションの対応地域はおもに上記が中心で、訪問活動をおこなっています。該当エリアにお住まいの方はぜひご検討ください。
また上記以外のエリアにお住まいでも、対応できる場合がございますので、一度当社スタッフへご相談ください。
サービス内容を詳しく聞きたい、スケジュールの相談なども承っております。電話やメールなどで相談を受け付けていますので、お気軽にご連絡ください。
ご相談の問い合わせはこちら▼
まとめ
急性ストレス障害の治療には、ゆっくりと自宅で療養することが大切です。必要に応じて薬物療法や精神療法をし、早期の治療を目指していきます。
大切なのは、自分自身が安心して過ごせる環境を整えることであり、自宅や身の回りなどの環境調整をしましょう。
シンプレ訪問看護ステーションでは、病院やクリニックでは手の届きにくい身の回りのサポートを行っています。
急性ストレス障害のことでお困りごとや・相談がしたい場合は、是非一度シンプレ訪問看護ステーションにご相談ください。
ご相談の問い合わせはこちら▼
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