【急性ストレス障害の症状】特徴・PTSDとの違いについても解説。

急性ストレス障害の症状は、不安、恐怖、無力感、驚き、睡眠障害などが、衝撃的なトラウマ体験や災害などのストレス状況に直面した後、数日から数週間以内にあらわれます。
また、記憶や集中力の障害、心拍数の上昇、発汗、動悸、めまい、吐き気などの身体的症状も現れることがあります。
今回は詳しい症状についてまとめました。心当たりのある方や症状が続く場合は、専門家のアドバイスを求めるようにしましょう。
急性ストレス障害の分類される3つの症状
再体験
- 怖い体験をした記憶や感情がよみがえる
- 体験に関連した夢をみる
再体験は、恐怖体験がよみがえり、当時の光景や感情がわきおこる症状のことです。
当時の怒り・悲しみ・羞恥心などの感情をリアルに感じ、まるで映画をみているような感覚におそわれます(フラッシュバック)。
本人の意志には関係なく、些細なきっかけで突然記憶がよみがえることが多く、睡眠時に何度も同じ悪夢にうなされたりすることがあります。
また過呼吸・動悸・めまいなどの身体的な症状を伴い、こころだけで体の不調を感じるのが特徴です。
回避
- 体験に関連する事柄を避けようとする
- 感情が麻痺して反応が鈍くなる
回避症状とは、トラウマ体験に関わるつらい記憶や恐怖感を避けることです。
ストレスのかかる場所に行ったり、関係する話をしたりすると、強い恐怖や苦痛などを感じることから、トラウマを思い出させる人物・状況・活動などから必死に避けようとします。
ほかにも現実感の喪失や幸福・満足感・愛情などを感じられないようになったり、体験の重要な部分を思いだせなくなるケースなどがあります。
トラウマを思い出すきっかけはさまざまあり、社会・職業的に支障がでやすくなります。また回避症状には、アルコールなどへの物質依存性も高くなる場合もあり、注意が必要です。
過覚醒
- 不安や緊張が続く
- 眠れない
過覚醒は、神経の高ぶった状態が続き、体がこわばったり、ぐっすり眠れなくなったりすることです。
些細なことに過敏に反応し、ちょっと音などで驚いたり怖がったりします。ほかにも人と接触するのがイヤになり、仕事など集中することが難しくなります。
また前述した再体験の症状が繰り返されることも、過覚醒症状の原因のひとつ。常に警戒心をもつようになり、自律神経が乱れ、胃痛や腹痛などの体の不調を感じる場合があります。
数日から4週間以内に症状は消える
急性ストレス障害は心的外傷を発生してから4週間以内に発症し、2日〜4週間以内に自然と治癒する可能性が高いと報告されています。
発症した後は、約70%の人が完治または軽い症状が残る程度まで回復するとも言われていますが、一方4週間以上症状がつづく場合もあり、その場合はPTSD(心的外傷後ストレス障害)と診断されます。
PTSDに発展すると、うつ病・双極性障害・不安障害などの他の精神疾患と併合する可能性が高く、症状が続く場合は自己判断せず近くの心療内科または精神科クリニックを受診しましょう。
急性ストレス障害とPTSDの違い
上記でもご紹介したように、急性ストレス障害とPTSDの大きな違いは、4週間以上症状が続くことです。また診断基準として、社会生活に大きな支障があるかが条件となります。
PTSDに発展すると、イライラ感や怒りっぽさのほかに、人・物に対する攻撃性が高くなったり、自己破壊的な行動などをとるようになり、より悪い症状が特徴。
またPTSDの生涯有病率は7.8%とされており、とくに女性の方がなりやすい障害と報告されています。
急性ストレス障害かもしれないと思ったら
精神科・心療内科
急性ストレス障害などのこころの病気には薬物療法や、カウンセリングなどの精神療法が効果的であり、専門の医療機関に相談することが大切です。
社会生活に支障が出たり、つらい状態が長引く場合には、自己判断せずに受診してみましょう。
医療機関には、精神科・精神神経科・心療内科などがあり、それぞれ専門性が異なるため、症状について事前に電話・HPで確認することをおすすめします。
受診時には症状についてうまく医師へ伝えることが難しい場合もあり、事前に日頃困っていることや伝えたいことをメモしておくと良いでしょう。
電話相談窓口
- よりそいホットライン
- こころの健康相談統一ダイヤル
急性ストレス障害でお悩みの方の問い合わせ窓口には、電話相談が可能な「よりそいホットライン」や「こころの健康相談統一ダイヤル」があります。
「よりそいホットライン」は24時間電話相談の受付をしており、自分のタイミングで相談が可能です。
「こころの健康相談統一ダイヤル」は、電話をかけると居住地の最寄りの保険センターや精神保健福祉センターなどにつながり、メンタルヘルスに関する相談ができます。
暮らしの困りごと・DV・性暴力など、どんな悩みについても寄り添ってくれ、一緒に解決する方法を探してくれます。
SNS専門相談窓口
- 生きづらびっと
- こころのほっとチャット
- チャイルドラインチャット相談
また電話相談以外にも、LINEなどのSNSやチャットで悩みの相談ができる窓口もあります。
「話したいことがあるけどうまく伝えることができない」、「口に出すのもつらい」など電話相談に抵抗がある人にとってピッタリです。
お互いに顔も見えない、声も聞こえないSNSだからこそ、話せやすい場合もあり、悩みを打ち明けるきっかけにしてみてはどうでしょうか。
なお「チャイルドラインチャット相談」は、18歳までの相談窓口です。大人と同じように一人の人間として人格や意見を尊重し、悩みを真剣に聞いてくれしっかりと受け止めてくれます。
急性ストレス障害の治療法
短期間の精神療法
急性ストレス障害の治療には、安心できる環境作りが必要になります。
特定の状況や出来事を通して、記憶を思い出したり、不安が強くなったりするため、そのようなストレスに対して理解を持ってサポートすることが大切です。
また誰かと共有することは、症状の緩和・回復につながるため、何でも話しやすい状況を作っていくことも重要。
本人や家族に対してストレス反応に関する心理教育をする場合もあり、ストレス反応が自然なことを知ることで、症状回復のきっかけを作ります。
薬物療法
症状に合わせて薬物療法を行う場合もあります。しかしながら、急性ストレス障害は自然治癒が高いため薬物療法は限定的。
不安や抑うつ、不眠などの睡眠障害といった症状に対して、抗不安薬や抗うつ薬、睡眠薬などが処方されます。
また抗うつ薬としてはSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)が使用されるケースが多いです。
少量ずつ服用をすることで、吐き気やめまいなどの副作用を抑制。精神療法と合わせて実施することで、自然治癒を促します。
精神科訪問看護という選択肢も
精神科訪問看護とは?
・精神科・心療内科に通院中の方
・精神疾患の診断を受けた方
・診断がなくとも医師が必要と判断した方
訪問する人
・看護の専門職
・リハビリテーションの専門職
訪問時間
・医療保険
(30分から90分程度)
精神科訪問看護とは、精神疾患を抱える方や精神的な不安をもつ方が利用できるサービスです。
自宅で点滴やリハビリなどの専門的な医療を受けることができます。医療保険が適用でき、30〜90分の間治療が可能です。
また精神科訪問看護は家族への支援も実施しており、利用者さまを取り巻く環境全体を整えていく役割も担っています。
利用対象者は、「精神疾患の診断を受けた」「精神科・心療内科に通院している」といった方々になりますが、精神疾患で悩んでいる方は一度相談することをおすすめします。
精神科訪問看護ってどんなことをしてくれるの?
・自立した生活を営めるための支援
・生活リズムの調整
症状の悪化防止・服薬支援
・生活状況を観察
・受診や服薬を支援
社会復帰へのサポート
・主治医や関係機関と連携
・社会復帰を支援
家族の方への支援
・家族へのアドバイスや相談
・社会資源の活用などを支援
精神科訪問看護の内容としては、「健康状態の観察」「病状悪化の防止・回復」「療養生活の相談とアドバイス」などさまざまです。
状況に応じて主治医やケアマネージャー、薬剤師、歯科医師などの関係機関と連携できるという特徴もあります。
ご利用者さまのできていることや可能性を大切にし、どのような生活がしたいか、どのような生きかたをしたいかを考えて回復を目指します。
訪問してご本人が顔をだしづらい場合でも、ご家族に訪問看護をおこない、相談をうけることも可能です。
精神科訪問看護のメリット
- 自宅に居ながら専門的なケアが受けられる
- 自宅での様子を主治医に連携できる
- 対人関係や日常生活の支援を受けられる
訪問看護では、訪問看護は主治医が必要と判断すれば利用することができ、自宅に居ながら専門的な医療を受けることが可能です。
医師の判断で利用の有無が決定し、利用料金には医療保険が適用でき、少ない自己負担で訪問看護を受けることができます。
日常生活からケアを受けることができ、病院では治療しにくい対人関係などサポートしてくれて安心です。
主治医や支援員、地域の行政機関と連携を取り合いながら、社会復帰を目指していきます。
精神科訪問看護の料金
負担割合 | 月の初回訪問 | 2回目以降 |
---|---|---|
3割負担![]() | 3,897円 | 2,565円 |
2割負担![]() | 2,598円 | 1,710円 |
1割負担![]() | 1,299円 | 855円 |
上記は週3回までの訪問料金となります。週4回以上訪問となる場合には料金が異なります。
精神科訪問看護では、医療保険を利用することにより自己負担を軽減できるメリットがあります。
30分を一区切りに利用可能。かかった費用については、年齢や所得によって変わり、医療費の1〜3割が自己負担となります。
また早朝や深夜などの時間外に依頼する場合や、長時間の訪問を行う場合は別途料金が発生します。
また自立支援医療制度いう制度を利用すると料金が1割負担になるほか、所得に応じて自己負担が0円になる場合もございます。
自立支援医療(精神通院医療)
区分 | 上限額 |
---|---|
生活保護![]() |
0円 |
低所得1![]() |
2,500円 |
低所得2![]() |
5,000円 |
中間所得1![]() |
5,000円 |
中間所得2![]() |
10,000円 |
一定所得以上![]() |
20,000円 |
表の料金は所得に応じた医療費の月額自己負担額の上限額となっております。
表の料金を超えた場合には、自己負担なしで医療が受けられます。
自立支援医療制度は、すべての精神疾患が対象になり、継続して通院している人が申請できる制度です。
医療費の自己負担分を1割までに軽減することができ、障害の方でも自立した生活が送れるようにするため設立されました。
精神科病院やクリニックに通院している場合には、通院・薬代・デイサービスの費用・訪問看護にかかる費用などが自立支援医療の対象になります。
申請は役所の障害福祉課などの窓口で行い、有効期間は1年以内です。
精神疾患でお悩みの方はシンプレへ
シンプレの特徴
精神科に特化したシンプレ訪問看護ステーションは、急性ストレス障害やPTSDなどのこころの病気で悩んでいる方やそのご家族への継続的なサポートを行っています。
精神疾患の専門知識や看護経験が豊富なスタッフが在籍しており、幅広い精神疾患に対応することが出来るのが当院の強みです。
医療関係や公共機関と連携を取り合いながら、患者さんの自主性を重んじた社会復帰をお手伝いします。
シンプレで対象となる精神疾患
- 急性ストレス障害
- PTSD
- うつ病
- 統合失調症
- ADHD
- 双極性障害
- その他精神疾患全般
急性ストレス障害の他にも、シンプレ訪問看護ステーションでは多くの精神疾患に対応しています。
うつ病や統合失調症などは、気分の躁鬱状態になったり、対人コミュニケーションがとりづらいなどの症状があり、精神疾患をもつ方々は、日常生活を送るのが困難になっている場合があります。
シンプレ訪問看護ステーションでは、そんな悩みをもつ患者さんをサポートしており、早期の社会復帰できるよう応援しています。
シンプレ訪問看護ステーションの対応エリア
-
<東京都>
・東京23区
※足立区、荒川区は1部エリアとなります。
・西東京市
・三鷹市
・武蔵野市
<埼玉県>
・和光市
・朝霞市
・戸田市※1部エリア
・新座市※1部エリア
シンプレ訪問看護ステーションの対応地域はおもに上記が中心で、訪問活動をおこなっています。該当エリアにお住まいの方はぜひご検討ください。
また上記以外のエリアにお住まいでも、対応できる場合がございますので、一度当社スタッフへご相談ください。
サービス内容を詳しく聞きたい、スケジュールの相談なども承っております。電話やメールなどで相談を受け付けていますので、お気軽にご連絡ください。
ご相談のお問い合わせはこちら
まとめ
急性ストレス障害は、生命を脅かすような恐ろしい出来事を体験した後も、不安・過敏・緊張・落ち着きのなさなどの精神症状が続き、動悸・呼吸困難・不眠などの身体症状が現れる症状です。
基本的には自然治癒するといわれており、心理的療法で心をうまくコントロールすることで、ストレスを軽減していく治療をしていきます。
しかしながら、放置し続ければPTSDに発展し、他の精神疾患を併発する可能性があり注意が必要です。
シンプレ訪問看護ステーションでは、自宅で療養しながらご本人らしい生活ができるようにサポートさせていただきます。
急性ストレス障害だけではなく、どんな精神疾患に関するご相談にものらせていただきますので、是非お気軽にご相談ください。
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