アルコール依存症患者への家族の接し方
家族など身近な人にアルコール依存症の症状が見られたら、どのように接すればよいのか分からない人も多いはずです。
ただ、ちょっとしたことがきっかけでアルコール依存症になることも少なくありません。アルコール依存症はそれくらい身近な精神疾患なのです。
そこで今回は、家族がアルコール依存症になったときの接し方について解説したいと思います。本人に自覚がない場合も多いので、家族でサポートしてあげましょう!
アルコール依存症を抱える家族の接し方
まず初めに、アルコール依存症の方が家族にいる場合の接し方について詳しくご紹介します。
①正しい知識を身につける
アルコール依存症を持つ方への接し方は、正しい知識を身につけることが、本人や家族にとって、とても大切です。
アルコール依存症はだらしがないから、心が弱いからなるものと思われがちですが、実際にはそうではありません。
習慣的に飲酒をする方であれば誰でもなる可能性があります。
正しい知識を身につけることで、アルコール依存症に対する偏見や誤解を解き、本人や家族が適切な対応をとることができるようになります。
②飲酒してることを責めない
アルコール依存症の人は、飲酒をコントロールできず、家族や周囲に迷惑をかけてしまうことがあります。
そのため、アルコール依存症の方が飲酒をしていると、早く治してほしいという気持ちから飲酒していることを責めてしまいがちです。
しかし、飲酒を責めることは、本人のストレスを増やし、さらに飲酒量を増やすことにつながる可能性があります。
家族は、本人の飲酒を責めるのではなく、本人のストレスや不安を理解し、サポートすることが大切です。本人が飲酒を控えたいと思ったときに、サポートできるようにしておきましょう。
③本人の代わりに後始末しない
- 飲酒によって失った借金を肩代わりする
- 飲酒によって壊した物を修理する
- 飲酒によって起こしたトラブルを処理する
「後始末」とは、飲酒によって起こした問題やトラブルを、家族や周囲の人が片付けてしまうことです。
後始末をすることで、本人は「自分が飲酒によって問題を起こしても、誰かが後始末してくれる」という考えになり、自らの飲酒を反省する機会を失うことになります。
もちろん、危険な状況や、本人が後始末ができない場合は、必要な対応をすることは必要です。
しかし、できる限りは、本人が自分の責任を自覚し、問題やトラブルと向き合う機会をつくることが大切です。
相談できる場所はあるの?
アルコール依存症についての相談ができる機関はいくつかあります。そちらについて詳しくご紹介していきます。
保健所
保健所
相談方法
・電話
・面談
相談相手
・保健師
・医師
・精神保健福祉士
保健所・保健センターは、地域住民の健康・医療・保健に関する相談窓口です。アルコール依存症をはじめ、さまざまな問題や悩みについて相談することができます。
相談は、電話や面談で受け付けています。相談に応じるのは、保健師などの専門職です。相談者の状況に応じて、アドバイスや支援を受けることができます。
精神保健福祉センター
精神保健福祉センター
相談方法
・電話
・面談
相談相手
・医師
・看護師
・保健師
・精神保健福祉士
・臨床心理技術者
・作業療法士
精神保健福祉センターは、精神疾患や心の健康に関する相談や支援を行う機関です。
アルコール依存症の相談も受け付けています。精神保健福祉センターは、精神保健福祉に関する相談や、広報普及活動を行う機関です。
アルコール依存症をはじめ、さまざまな心の不調を抱えている人への相談を受け付けています。
精神保健福祉センターは、心の不調を抱えている人の自立や社会復帰を助けるための援助も行っており、具体的には、就労支援や生活支援などが挙げられます。
ただし地域によって活動内容は異なるため、事前にホームページでチェックするか、電話で問い合わせて確認するとよいでしょう。
精神科訪問看護
精神科訪問看護
相談方法
・電話
・面談
相談相手
訪問看護師
精神科訪問看護は、アルコール依存症などの病気や障害を抱えている人が、地域で安心して生活できるように、看護師や精神保健福祉士・作業療法士などの有資格者が自宅や入所している施設に訪問して支援するサービスです。
具体的には、病状の観察や服薬管理、日常生活援助や家族のサポートなどの支援を行います。
医療機関や保健所などの他機関とも密に連携することで、患者さんが快適な日常生活を営めるように支援します。
そもそもアルコール依存症とは?種類は?
アルコール依存症について、症状や患者数などを詳しくご紹介していきます。
アルコール依存症とは
アルコール依存症とは、、お酒を飲まないと不安やイライラなどの不快な症状が現れ、飲酒を止められなくなる病気です。
アルコール依存症になると、飲酒をコントロールできなくなり、飲酒量が増えたり、飲酒の回数が増えたりします。また、飲酒によって仕事や家庭生活、社会的活動に支障をきたすようになります。
アルコール依存症は、本人の意思だけで治すことは困難です。専門的な治療や、家族や友人などの周りの人のサポートが必要です。
アルコール依存症の患者数
860万人
ボックス:疑いのある人
440万人
ボックス:治療が必要な人
80万人
アルコール依存症は、お酒を飲むと止められない病気です。日本では、440万人の疑いのある人がいると言われています。そのうち、治療が必要な人は80万人です。
最近、女性や高齢者のアルコール依存症が増えています。女性は、社会進出やストレス解消のために飲酒するケースが多くなっています。高齢者は、定年退職後に、生きがいや孤独感を紛らわすために飲酒するケースが多くなっています。
アルコール依存症は、本人だけでなく、家族や周囲の人にまで大きな影響を与える病気です。もし、アルコール依存症の可能性があると感じたら、早めに専門機関に相談しましょう。
アルコール依存症の症状
ここからは、アルコール依存症の症状についてを詳しく見ていきましょう。
依存症状
強い飲酒欲求
離脱症状
・手のふるえ
・多量の発汗
・嘔吐や吐き気
・下痢
心理特性
・アルコール依存を認めない
・自己中心的
精神症状・行動異常
・暴言
・暴力
・妄想 など
アルコール依存症の依存症状には様々なものがありますが、中でも離脱症状はアルコール依存症の克服が難しいと言われている理由の1つです。
離脱症状は体内からアルコールがなくなると出る症状で、身体や手足の震え・吐き気・悪夢など様々な不快症状が現れます。
その不快感から逃れるためにまたアルコールを摂取してしまうというのがアルコール依存症の怖い部分です。
また、人によって異なりますが暴言や暴力などが出ることもあり、周りの人を傷つけてしまう可能性もあります。
大量飲酒に伴う問題
・肝臓障害
・身体障害
・うつ病
・不眠症
社会的問題
・自殺
・事故
・家庭内暴力
・虐待
・家庭崩壊
身体的な問題としては、肝臓障害や身体障害、うつ病、不眠症などが挙げられます。
アルコールは、肝臓で代謝されるため、大量に飲酒すると肝臓に負担がかかり、肝臓障害を引き起こします。
また、アルコールは、うつ病や不眠症などの精神疾患を引き起こす可能性があります。
アルコールは、判断力を鈍らせ、衝動性を高めるため、トラブルや事故に巻き込まれる可能性が高くなります。
また、アルコールの影響下で暴力的な行為に及ぶことも多く、家庭内暴力や虐待、家庭崩壊などの原因となる可能性があります。
男女差や年齢の影響
以前は、中年の男性に多い病気として知られていましたが、近年は若い女性の依存症も増加しています。
発症年齢については、男性の方が女性より若いという意見と性差はないという意見があります。
しかし、習慣的に飲酒を始めて依存症になるまでの期間は、女性の方が短く、女性の方が男性よりも早く依存症になる傾向があります。
その原因として、女性は男性よりもアルコールの分解速度が遅いこと、女性は男性よりも肝障害やうつなどの精神科合併症を起こしやすいことが挙げられます。
アルコール依存症の治療法
・合併症の治療
・離脱症状の治療
リハビリ治療
・通院
・抗酒薬の服用
・自助グループへ参加
退院後
・アフターケアの三本柱の継続
アルコールを断つことで引き起こされる、吐き気、嘔吐、下痢、発汗、不安、幻覚などの症状を抑える治療です。入院で行うのが一般的です。
リハビリ治療は、アルコールを完全に断つための治療です。入院または外来で行うこともあります。
退院後は、再発を防ぐために、通院や服薬など医師の指示に従って生活していく必要があります。家族や友人などのサポートを受けながら、アルコールを断ち続けるための努力が必要です。
アルコール依存症の相談ならシンプレ訪問看護ステーションにお任せください!
シンプレ訪問看護ステーションではアルコール依存症の方の訪問看護も行っております。
シンプレ訪問看護ステーションって?
自分らしく自立した
生活を営めるための支援
症状の悪化防止・服薬支援
生活状況を観察しながら
受診や服薬を支援
社会復帰へのサポート
主治医や関係機関と連携を
取りなが社会復帰を支援
家族の方への支援
家族へのアドバイスや相談、
社会資源の活用などを支援
シンプレ訪問看護ステーションでは、精神疾患に特化した訪問看護を行っています。
アルコール依存症の他にも、統合失調症やうつ病など様々な精神疾患に対応しています。
精神科訪問看護は、外に出ることが難しい方やなるべく自宅で過ごしたいという方のためのサービスです。
日常生活の介助や心のケアだけではなく、家族へのサポートや服薬の管理をなども行っています。
シンプレ訪問看護ステーションの対応エリア
-
<東京都>
・東京23区
※足立区、荒川区は1部エリアとなります。
・西東京市
・三鷹市
・調布市
・武蔵野市
・府中市※1部エリア
・東久留米市※1部エリア
<埼玉県>
・和光市
・朝霞市
・戸田市※1部エリア
・川越市※1部エリア
・新座市※1部エリア
・川口市※1部エリア
シンプレ訪問看護ステーションの現在の対応エリアは、上記を中心となっております。
子供から大人まで年齢に関わらず利用することが可能です。
また、対象エリア外にお住まいの方でも、状況などによっては対応できる場合があります。
まずはお気軽に電話や問い合わせフォームでお問い合わせください。
ご相談の問い合わせはこちら▼
まとめ
アルコール依存症を持つ患者さんとの接し方は、ご家族や周囲の方も正しい知識を身に付けることが重要です。
アルコール依存症は、心が弱いから飲酒してしまう病気ではありません。脳がアルコールに依存してしまう病気です。そのため、飲酒を止めようとしても、自分ではコントロールできなくなってしまうのです。
シンプレ訪問看護ステーションでも精神科に特化した訪問看護サービスを提供しておりますので、どうぞお気軽にご相談ください。
ご相談の問い合わせはこちら▼
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