アルツハイマー病の診断方法

アルツハイマー病の診断について、どんな診察をして診断されるのか気になっていますか?
アルツハイマー病は医師による問診が中心となっていて、問診の基準は明確に定められています。
また、「MRI検査」や「アミロイドPET検査」など、問診だけでなく身体検査を行う場合もあります。
今回はアルツハイマー病の診断についてご紹介します。
アルツハイマー病の診断方法とは

アルツハイマー病の診断は問診が中心ですが、問診の他にどのような診断方法があるのかを見ていきましょう!
一般的な診断方法とは
- 問診
- MRI検査
- アミロイドPET検査
アルツハイマー病の一般的な診断方法として上記の3種類の方法があります。では、それぞれの診断方法について見ていきましょう!
問診
問診内容
・物忘れがあるか
・失語や行動障害があるか
・簡単な行動計画が建てられるか
①問診
アルツハイマー病の問診では、医師が本人と家族から家族構成や生活環境、今までにかかった病気(既往歴)、現在服用しているお薬などについての聞き取りを行います。
アルツハイマー病になると、さっき食べたのにご飯を食べたいと言い出すなど直前の記憶がなくなってくる記憶障害の症状が現れますので、問診では記憶障害の程度を確認します。
また、アルツハイマー病になると、家の外をあてもなくさまよい歩く徘徊の症状が現れますが、これを認知障害といい、問診では認知障害の程度を確認します。
②MRI検査
アルツハイマー病になると、記憶を司る脳の海馬(かいば)と呼ばれる領域が萎縮するため、MRI検査を行って脳の状態を確認します。
MRI検査で脳の状態を確認することはアルツハイマー病の診断では非常に重要であり、症状がそれほど進んでいなければ、生活習慣の改善などで症状の悪化を抑制できます。
近年は医療機器の進歩によって高精度MRIの導入が進んでおり、精度の高い画像検査を行うことで、アルツハイマー病の早期診断と進行の抑制に大きく貢献しています。
・加齢とともに脳神経に蓄積
・脳神経の機能を妨げる
タウタンパク質
・異常を起こして神経細胞に蓄積
・神経細胞の機能が停止する
③アミロイドPET検査
アルツハイマー病の原因とされる物質に「アミロイドβ」と「タウタンパク質」があり、この2つの物質が蓄積すると神経細胞が死滅して脳が萎縮し、認知症の症状が現れます。
アミロイドPET検査をすると、脳内におけるアミロイドβの蓄積の有無や程度がわかり、アルツハイマー病の診断や治療方針の決定などに大いに役立ちます。
アミロイドPET検査はアルツハイマー病の診断に役立ちますが、健康保険の適用対象外であり、アミロイドPET検査を希望する場合は全額自己負担になります。
アルツハイマー病の症状
アルツハイマー病になると記憶力や思考力などの認知機能が低下し、物忘れなどの認知症の症状が現れます。アルツハイマー病による認知症をアルツハイマー型認知症といいます。
アルツハイマー型認知症の初期症状は「物忘れ」であり、一般的な物忘れの症状とは異なり、直前の行動を思い出せなくなったり、体験したことそのものを忘れてしまいます。
時間や場所などの認識ができなくなる「見当識障害」や、物事を順序立てて実行することができなくなる「実行機能障害」などの症状も現れ、認知症の症状は徐々に進行します。
進行性の為早期治療を目指す
アルツハイマー病になると神経細胞が破壊されますが、一度破壊された神経細胞は元通りに修復できないため、アルツハイマー病は完治することなく徐々に進行します。
神経細胞の破壊がそれほど進んでいなければ、運動をしたり生活習慣を改善すると認知症の進行はある程度抑制でき、アルツハイマー病は早めに対処することが極めて重要です。
医療機関で治療を受けてもアルツハイマー病は完治しませんが、アルツハイマー病のお薬を飲むことで認知症の進行を抑えられます。
アルツハイマー病の問診診断の詳細

アルツハイマー病の診断では問診が重要になってきますが、問診には明確な診断基準があります。では次に、アルツハイマー病の問診基準について見ていきましょう!
アルツハイマー病の問診基準について
- 記憶障害・認知障害があるか
- 日常生活において弊害が出ているか
- 症状が進行しているか
- アルツハイマー病特有の原因があるか
アルツハイマー病の問診基準として上記のようなものがあります。ではアルツハイマー病の問診基準を詳しく見ていきましょう!
もの忘れ
認知障害
・失語
・失行
・失認
・機能障害
①記憶障害・認知障害があるかどうか
アルツハイマー病になると、脳の記憶を司る領域の海馬が萎縮するため、物忘れなどの記憶障害の症状が現れます。問診では、記憶障害・認知障害の有無や程度をチェックします。
アルツハイマー病の物忘れの症状は、「最近のことを思い出せない」ことが特徴で、数分前に食事をしたことなども忘れてしまい、体験したことそのものを忘れてしまいます。
記憶障害の他の認知障害には、言語機能に障害が出る「失語」や、着替えができなくなるなどの「失行」、時間や場所などの認識が困難になる「見当識障害」などがあります。
②社会生活において弊害が出ているか
アルツハイマー型認知症になると、徘徊をするなどして日常生活や社会生活に支障が出ますので、問診では日常生活や社会生活に支障が出ていないかをチェックして診断します。
アルツハイマー型認知症が進行すると徘徊をするようになり、自宅への道順がわからなくなり、道に迷ってしまって警察に保護をされるといったことがよく起こります。
症状が進行して自分一人で着替えや排泄などができなくなると介護が必要になり、末期症状になると寝たきりになることが多く、会話による意思疎通ができなくなってしまいます。
③症状が進行しているか
アルツハイマー病は時間の経過に従って症状が進行する脳疾患ですので、問診では認知症の症状の進行具合がチェックされます。
アルツハイマー病は初期・中期・末期の3段階で進行し、初期段階では物忘れがひどくなる症状が現れ、これまで普通にできたことができなくなってきます。
中期になると徘徊をして警察に保護をされたり、着替えができなくなるなどの失行の症状も目立つようになり、末期になると寝たきりになってしまいます。
④アルツハイマー病特有の原因があるか
アルツハイマー病に特有の原因に、脳内で産生される「アミロイドβ」と「タウタンパク質」が分解されずに脳に蓄積するということが挙げられます。
アルツハイマー病であると診断されるには、脳内に「アミロイドβ」と「タウタンパク質」が蓄積されていることを確認することが必要になってきます。
「アミロイドβ」と「タウタンパク質」の蓄積は問診だけではわからないため、MRI検査やアミロイドPET検査などで「アミロイドβ」と「タウタンパク質」の蓄積を確認します。
他の疾患の場合はアルツハイマー病と認められない
・脳腫瘍
・パーキンソン病など
全身系疾患
・甲状腺機能低下症
・ニコチン酸欠乏症など
物質誘発性精神疾患
・タバコ
・酒
・薬物全般など
アルツハイマー病による認知症のことを「アルツハイマー型認知症」といい、日本人の認知症の大半はアルツハイマー型認知症です。
アルツハイマー病以外の疾患によっても記憶障害などの認知症の症状が出ることがありますが、他の疾患による認知症はアルツハイマー病とは診断されません。
パーキンソン病になると脳の神経細胞が徐々に破損して認知機能が低下することが多く、甲状腺機能低下症になると甲状腺ホルモンの分泌が低下して認知症の症状が現れます。
問診基準に自身の症状を当てはめてみる
物忘れがひどくなるなどアルツハイマー病ではないかと疑った場合は、ここまで説明してきた問診基準に自身の症状を当てはめてみると良いでしょう。
徘徊をするようになった場合はアルツハイマー病が進行しており、中期の段階に入っていますので、早めに医療機関を受診して医師の診察を受けることが必要です。
アルツハイマー病は完治しませんが、早めに治療を始めると進行を遅らせることは可能ですので、物忘れなどの初期症状が出ている場合は医師の診察を受けるようにしましょう
もしアルツハイマー病と診断されてしまったら

もしアルツハイマー病と診断されてしまった場合でも、生活習慣の改善や薬物療法で進行を抑制することが可能です。
アルツハイマー病かもしれないポイント
- 記憶障害があるか
- 認知障害があるか
- 症状が進行しているか
- 他の疾患を患っていない
アルツハイマー病になると、物忘れがひどくなるなどの「記憶障害」の症状が現れ、言葉が出なくなる「失語」や、着替えなどができなくなる「失行」の症状が現れます。
アルツハイマー病は徐々に症状が悪くなることが特徴で、記憶障害や認知障害の症状が徐々に悪化してきて、最終的には寝たきりの状態になってしまいます。
日本人の認知症の多くはアルツハイマー型認知症ですが、パーキンソン病や甲状腺機能低下症などの疾患でも認知機能が低下して、認知症の症状が出ることがあります。
違和感を感じたら直ぐに病院へ
アルツハイマー病は初期・中期・末期の3段階で進行しますが、初期の手前の段階のことを「軽度認知障害(MCI)」といいます。
軽度認知障害の症状として、同じ内容のことを何度も話したり、キャッシュカードの暗証番号や知人の名前を忘れるなどの軽い記憶障害や認知障害の症状が現れます。
軽度認知障害の段階から治療を開始すると症状の進行を抑制できますので、これまでと違和感を覚える場合は早めに医療機関で診察を受けましょう。
治療は第三者の手を借りよう
アルツハイマー病と診断された場合、現在の医療では完治はできませんが、脳神経外科などの医療機関で適切な治療を受けることで進行を抑制することが可能です。
認知症の症状が進行すると日常生活や社会生活に支障が生じることがありますが、第三者による介護や看護を受けることで、家庭や地域社会で健全な生活が送れるようになります。
アルツハイマー病で自宅療養をする場合は、訪問看護を利用すると、自宅に居ながら看護師などの医療従事者による手厚いサポートが受けられます。
アルツハイマー病の訪問看護について

次に、アルツハイマー病の訪問看護について説明します。
訪問看護のプラン概要
サービス名 | 訪問看護![]() |
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ケア内容 | ・日常生活の維持 ・生活技能の獲得 対人関係の維持など |
訪問日数 | 原則 週3日以内 |
訪問看護サービスでは看護師や准看護師などの医療従事者がご利用者様の自宅を訪問し、主治医の指示に従って適切なケアを行い在宅医療をサポートします。
訪問看護は医療保険と介護保険を使用でき、医療保険でサービスを利用する場合は原則として週3回までの訪問が可能で、1~3割の自己負担額で利用できます。
介護保険で訪問看護を利用する場合は利用回数に制限はなく、ケアマネジャーが作成したケアプランに基づいて訪問看護サービスの利用が可能です。
訪問看護を利用でしたら当ステーションへご相談ください
シンプレ訪問看護ステーションは精神科に特化した訪問看護を提供してアルツハイマー病の方の訪問看護も行っております。
精神科医療の専門知識や経験があるスタッフが多数在籍していますので、精神科訪問看護サービスを受けるのが初めての方でも安心してご利用いただけます。
患者さんの主治医や通っている医療機関とも密に連携をとりながら、患者さんらしさを失わないよう自立した生活をするためのサポートを心がけています。
どこに相談をしたらいいかわからなくて困っている、訪問看護のサービスについて聞いてみたいなどございましたらお気軽にお問い合わせください。
まとめ

アルツハイマー病の診断は問診が中心であり、MRI検査やアミロイドPET検査で脳の萎縮の状態やアミロイドβの蓄積の状態などを確認したうえで最終的な診断が下されます。
アルツハイマー病による認知症は、適切な治療を受けることで進行を抑制でき、訪問看護を利用することで自宅療養のサポートが受けられます。
シンプレ訪問看護ステーションにおいては、東京都を拠点に訪問看護サービスを展開しております。
アルツハイマー病について訪問看護のご利用検討されたい、一度話を聞いてみたい等ございましたら、お気軽にお問い合わせください。
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