自閉スペクトラム症の治療にはどんな方法がある?接し方や相談場所も紹介
自閉スペクトラム症の治療には、「認知行動療法」「環境調整」などを行います。
根本的に治療する方法は今のところありませんが、自閉スペクトラム症は発達障害のひとつで生まれつきの特性との付き合い方が大切です。
今回この記事では、自閉スペクトラム症の治療方法や、相談先、自閉スペクトラム症の方との接し方について解説します。
自閉スペクトラム症の治療
特性との付き合い方が大切
自閉スペクトラム症は、発達障害のひとつです。今のところ、自閉スペクトラム症は根本的に治癒する方法がないのが現状です。
自閉スペクトラム症だけではなく、注意欠陥・多動性障害(ADHD)や学習障害なども発達障害とされています。
発達障害は、病気ではなく生まれつきの特性として、捉えられています。脳の機能や考え方の偏りなどが原因と考えられています。
そのため、治療の目的は、根本的に治すということではありません。自閉スペクトラム症という特性とどのように付き合い、生活するかということが大切になります。
環境調整
自閉スペクトラム症の特性とどのように付き合い生活するか、環境調整をすることが大切です。環境調整とは、生活の環境を振り返ったり、工夫したりすることです。
具体的には、子供の場合には、スケジュールを視覚化して表示したり、大人の場合には職場に理解を得て配慮をお願いしたりという工夫のことです。
環境調整を行うことで、自閉スペクトラム症をもつご本人や周囲の人もストレスが少ない生活になる場合があります。
活動しやすい環境の調整が一人では難しい場合には、職場や学校の人に協力をお願いすることもあるでしょう。
必要におうじて薬物療法が使われることも
- 不安やうつの症状があるとき
- 不眠の症状があるとき
- 問題行動があらわれるとき
自閉スペクトラム症の治療では、主な治療は環境調整です。しかし、必要な場合には薬物療法が行われます。
主に、日常的に困っている症状がある場合に、薬で症状を軽減することがあります。不安や緊張、不眠といった症状です。
不安やうつ症状があると、仕事や学校などの活動に支障が出ます。そのため、不安を軽減する薬の内服がすすめられる場合があるでしょう。
緊張が強すぎたり、自分や他人を傷つける行動があったりする場合にも、薬の内服がすすめられます。
薬を使わない方法
- 認知行動療法
- 療育
- 音楽療法
環境調整や薬の内服以外の治療には、認知行動療法や療育があります。音楽を通して、他者との関係性の理解が得られることもあり、音楽療法も行われます。
認知行動療法では、自閉スペクトラム症の特徴のなかでもどのような特徴が自分にあるかを知ることから、生活上の工夫を学ぶことなどをします。
療育は、18歳未満で身体や精神の障害を診断された方が対象です。発達障害の人でも、療育を利用することができます。
療育では、自閉スペクトラム症があっても、特徴を受け入れたうえでどのように生活していくかをご家族様も相談ができます。
自閉スペクトラム症の治療
医療機関
・小児科
・児童精神科
大人
・精神科・心療内科
・発達障害外来
発達障害について専門的に検査などを行うことで診断するのは医療機関です。医師の診断で、自閉スペクトラム症ということがわかれば治療が検討されます。
子供の場合、発達障害について詳しい小児科や15歳以下の子供の場合には児童精神科で相談することが選択できます。
大人では、精神科や心療内科を診察しているクリニックで診察を受けることができます。子供の発達障害について専門的に診療しているクリニックもあります。
そのような、発達障害を専門としている外来では、発達障害の方のために人間関係のトレーニングを行うものもあります。
医療機関を紹介してもらう
- 発達障害者支援センター
- 地域の療育センター
- 保健センター
ご自身が自閉スペクトラム症かもしれないと感じたり、仕事や生活に難しさを感じたりしていて、診断を希望する場合には医療機関を受診するとよいでしょう。
発達障害者支援センターでは、子供だけでなく、18歳以上の方でも相談可能です。保健センターもすべての年齢の方が相談可能な、健康に関する相談をうけています。
療育センターは、18歳未満の子供の相談を行っており、医療機関と併設されているセンターもあります。
料金や受け入れている年齢など異なるので、まずは見学や相談を行ってみるとよいでしょう。
自閉スペクトラム症の方が相談できる窓口
電話・SNS相談窓口
・よりそいホットライン
・こころの健康相談統一ダイヤル
SNS専門窓口
・こころのほっとチャット
・生きづらびっと
電話で相談できる窓口も、悩みや相談内容によっていくつか窓口があります。それぞれの窓口に特徴があります。
たとえば、よりそいホットラインでは、生活に関して幅広く相談できます。こころの健康相談統一ダイヤルでも悩み事や辛い気持ちについて相談ができます。
電話相談の他にも、SNS専門の相談窓口もあります。LINEやフェイスブックのアカウントから、こころの問題についての相談ができます。
対面や電話での相談には抵抗のある方でも、チャット機能などを利用して相談することができます。
就労の相談ができる窓口
- 全国のハローワーク
- 障害者職業センター
- 発達障害者支援センター
自閉スペクトラム症の方が、就労の相談をできる窓口もあります。ご自身の障害の特性に合わせた就職先の支援や就労を継続できるよう、専門的に支援するサービスがあります。
ハローワークでは、発達障害者雇用トータルサポーターというプログラムがあり、求職にあたってカウンセリングを受けることができます。
障害者職業センターでも、自分自身がどのような仕事の環境に合うのかといった、具体的な相談も可能です。
ご自身がどのような就労が可能か探していくために、ハローワークや障害者職業センター、発達障害者支援センターが連携していることが特徴です。
自閉スペクトラム症の主な症状
大人の自閉スペクトラム症の症状
大人の方にみられる自閉スペクトラム症の症状として、相手の立場に立って考えることができないというものがあります。
このような症状があると、仕事などで指示された範囲が広いと、指示の内容をとらえられないで、お互いに困るという状況になります。
また、こだわりの強さが、仕事や生活に影響することも症状です。こだわりの強さから、融通がきかないということがあります。
これらの症状があることによって、家族関係や会社の人間関係で悩みを抱えるという状況になり、二次的なうつ病などをおこす可能性があります。
子供の自閉スペクトラム症の症状
子供の自閉スペクトラム症の症状は、年齢や成長とともに変化します。
年齢の低いときには、あやしたときに反応が少なく、年齢が上がると視線があいにくい、相手の思いをくみとれないなど、言葉の発達やコミュニケーションの取り方に特徴があると言われています。
また、こだわりの強さが行動として出ます。決まった順番を好むといった状況になります。一方、自分のこだわりの通りにならないことがあると、パニックになる状況があります。
これらの特徴があり、周囲とうまく関われないといった生きづらさを抱えることがあります。また、このような子供の様子をみて、関わりに困る養育者の支援も必要になります。
自閉スペクトラム症の方への接し方
子供の自閉スペクトラム症の方への接し方
- お願いや指示をするときは一つづつ
- 「あれ」や「それ」をなるべく使わない
- 伝えるときは「ゆっくり」「はっきり」
- 遊ぶときは先に見本を見せる
- 予定を忘れないように表を作る
- 感覚の刺激に気を付ける
親など周囲にいる人は、子供の自閉スペクトラム症の方へ、接し方を工夫することが必要です。
会話の内容をできるだけわかりやすい言葉で簡潔に伝えると伝わりやすいようです。指示語で、「あれ」などと言わずに、具体的な名称で伝えましょう。
遊び方などが分からない場合には、ゆっくりと手本を見せるようにするとよいです。視覚的に状況を見ることができることで理解できるようにしましょう。
幼稚園や学校などの準備も、視覚的にみれるようにポスターのように掲示すると行動できるようになります。
大人の自閉スペクトラム症の方への接し方
大人の自閉スペクトラム症の方への接し方では、会話については具体的に分かりやすく伝えることです。
その際には、伝えたい内容の背景にある理由なども合わせて説明をしましょう。いつまでにといった、時間的な目安もはっきりと伝えるとよいです。
伝える内容をメモにして視覚的にわかりやすく伝えることで、伝わりやすくなります。仕事などで説明事項がある場合には、口頭説明に合わせて書面を用意するとよいでしょう。
自閉スペクトラム症があっても、周囲の人と同様で、親切に接することで信頼関係を築くことができます。
精神科訪問看護のサポートを得ることも可能
精神科訪問看護とは?
・精神科・心療内科に通院中の方
・精神疾患の診断を受けた方
・診断がなくとも医師が必要と判断した方
訪問する人
・看護の専門職
・リハビリテーションの専門職
訪問時間
・医療保険
(30分から90分程度)
精神科訪問看護は、精神科や心療内科のクリニックへ通院中で、医師が必要と判断した場合に受けることができるサービスです。
精神科訪問看護の専門的な知識のある医療スタッフがご自宅へ訪問します。看護師のほかに、作業療法士や保健師などが訪問する場合もあります。
それぞれの利用者さんの精神的な状態や生活状況に合わせて、住み慣れた環境で治療を両立しながら暮らすことを支援するものです。
医療保険の適応になるサービスです。一回の訪問時間は、訪問内容や状態によって、30分から90分程度になります。
精神科訪問看護ってどんなことをしてくれるの?
・自立した生活を営めるための支援
・生活リズムの調整
症状の悪化防止・服薬支援
・生活状況を観察
・受診や服薬を支援
社会復帰へのサポート
・主治医や関係機関と連携
・社会復帰を支援
家族の方への支援
・家族へのアドバイスや相談
・社会資源の活用などを支援
利用者さんが自立し、安心して地域で暮らす事ができるように支援することが精神科訪問看護の役割です。
それぞれの利用者さんにあわせて、生活のリズムを整えるといった目標をたて、支援することもできます。
社会参加する機会を広げたい場合にも、看護師などと相談しながら社会復帰を目指すサポートとして活用してみてはいかがでしょうか。
また、同居のご家族が利用者さんとの関係などの相談をすることもできます。専門職として、必要な社会資源を紹介することもあります。
精神科訪問看護のメリット
- 自宅に居ながら専門的なケアが受けられる
- 自宅での様子を主治医に連携できる
- 対人関係の相談や日常生活の支援を受けられる
精神科訪問看護を利用することのメリットは、外出が難しい方や治療を中断してしまう方も、住み慣れた自宅で専門的な支援を自宅で受けられることです。
訪問看護の職員が定期的に自宅に訪問することによって孤立や孤独感が軽減され、心の支えを得られるというメリットもあります。
生活上の人間関係の悩みについての相談することが出来たり、病状観察や日常生活指導、ご家族様の支援をします。
家庭での療養状況や家族の疲労を確認し、デイサービスやショートステイ、介護サービスの導入のご提案も行っています。
精神科訪問看護の料金
負担割合 | 月の初回訪問 | 2回目以降 |
---|---|---|
3割負担 | 3,897円 | 2,565円 |
2割負担 | 2,598円 | 1,710円 |
1割負担 | 1,299円 | 855円 |
上記は週3回までの訪問料金となります。週4回以上訪問となる場合には料金が異なります。
精神科訪問看護では、医療保険を利用することにより自己負担を軽減できるメリットがあります。
30分を一区切りに利用可能。かかった費用については、年齢や所得によって変わり、医療費の1〜3割が自己負担となります。
また早朝や深夜などの時間外に依頼する場合や、長時間の訪問を行う場合は別途料金が発生します。
また自立支援医療制度いう制度を利用すると料金が1割負担になるほか、所得に応じて自己負担が0円になる場合もございます。
自立支援医療(精神通院医療)
区分 | 上限額 |
---|---|
生活保護 |
0円 |
低所得1 |
2,500円 |
低所得2 |
5,000円 |
中間所得1 |
5,000円 |
中間所得2 |
10,000円 |
一定所得以上 |
20,000円 |
表の料金は所得に応じた医療費の月額自己負担額の上限額となっております。
表の料金を超えた場合には、自己負担なしで医療が受けられます。
自立支援医療は、医療費を公的に国が支援する制度です。心身に障害のある方でも、治療などを適切にうけることができるようにする目的の制度になります。
精神科通院医療も、自立支援医療の対象になります。精神科のクリニックに定期的に通院を必要とする場合に申請することができます。
通院費のほかに、訪問看護にかかった費用や薬代、精神科デイケアの費用が補助の対象になります。
上記表にあるように所得に応じて、医療費の負担額が決定され、医療費負担の額が決定されます。
精神疾患をお持ちならシンプレへ
シンプレの特徴
シンプレは、精神疾患に特化した訪問看護ステーションです。精神疾患をおもちの方の支援を専門的に行っています。
シンプレの支援は、利用者様の自主性を尊重したうえで生活と治療の両立を支えることです。
利用者様に合わせて、内服管理のお手伝いやバイタルサイン測定など、それぞれの利用者様にあった看護を行っております。
看護師などが自宅を訪問して症状などの様子をみることで、必要な場合には医師や地域の支援者と連携できるでしょう。
シンプレ訪問看護ステーションの対応エリア
-
<東京都>
・東京23区
※足立区、荒川区は1部エリアとなります。
・西東京市
・三鷹市
・調布市
・武蔵野市
・府中市※1部エリア
・東久留米市※1部エリア
<埼玉県>
・和光市
・朝霞市
・戸田市※1部エリア
・川越市※1部エリア
・新座市※1部エリア
・川口市※1部エリア
シンプレ訪問看護ステーションの対応地域はおもに上記が中心で、訪問活動をおこなっています。該当エリアにお住まいの方はぜひご検討ください。
また上記以外のエリアにお住まいでも、対応できる場合がございますので、一度当社スタッフへご相談ください。
サービス内容を詳しく聞きたい、スケジュールの相談なども承っております。電話やメールなどで相談を受け付けていますので、お気軽にご連絡ください。
ご相談の問い合わせはこちら▼
まとめ
今回の記事では、自閉スペクトラム症の治療方や、自閉スペクトラム症の方への接し方などについてまとめました。
自閉スペクトラム症の治療は、年齢や発達段階、症状の程度によって異なります。一人ひとりの特性に合わせて、最適な治療を行うことが大切です。
シンプレ訪問看護ステーションでは、精神科訪問看護に特化したケアを提供しています。自閉スペクトラム症の治療で訪問看護を利用することもできます。
ご家族やご自身のことで、訪問看護を検討している方は、シンプレ訪問看護ステーションへご連絡ください。
ご相談の問い合わせはこちら▼
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