【不安障害の治療法】日常生活で気をつける注意点についても解説。
不安障害の主な治療には「精神療法」という、専門家とともに不安の原因や環境に対して問題を解決していく方法があります。
他にも不安障害の症状の改善や、再発予防を目的に使用される「薬物療法」があります。
今回この記事では、不安障害の治療法や、分類される疾患ごとの症状について解説していきます。
不安障害の治療法
精神療法
- 認知行動療法
- 森田療法
不安障害の精神療法では認知行動療法や森田療法というカウンセリングが用いられます。
認知行動療法では心身をリラックスさせる、苦手なモノや場所に慣れる、考え方のクセを見直すことなどを通じて、行動を修正するように方向づけが行われます。
森田療法では、不安があっても必要なことを行動できたかを重視しており、これまで不安を取り除くことに費やされていたエネルギーを、自分自身へと向かっていくようにします。
これらの治療で精神的な負担を軽くし、苦手なことにもチャレンジして、自信を取り戻すことが回復への第一歩となります。
薬物療法
- SSRI
- 抗うつ薬
- 抗不安薬
- 睡眠薬
不安障害は脳のセロトニンなどの神経伝達物質の分泌の低下や、バランスの崩れなどが原因ではないかと言われています。
そのため治療薬としてはSSRIなどの抗うつ薬を用いて、脳のセロトニンのバランスを整える治療薬が用いられます。
そのほか不安が強いときには抗不安薬、睡眠障害が見られる場合には睡眠薬など、症状を和らげる内服薬を使用することもあります。
薬物治療やカウンセリングはもちろん大切ですが、ストレス状況を整えたり睡眠や休息をしっかり取っていく事も治療にはとても重要です。
マインドフルネス
マインドフルネスとは瞑想の一つです。瞑想中は身体感覚に注意を集中させ、身体の動きを心の中で確認します。
しかし瞑想中に気になっていることが浮かんできたり、体がかゆくなったり、物音で集中が続かなくなってしまうことがあります。
それらの思考や身体感覚に対し「雑念」、「かゆみ」、「音」など言葉で確認し心の中で気づきに対し名前を付けて意識を瞑想の中心対象(身体感覚)に戻します。
常に中心対象に意識を集中させようとすることで、移ろいやすい心を、事実やあるがままに受け入れる心を作ることを目指すトレーニング法です。
不安障害の原因と種類ごとの症状
原因
不安障害の原因ははっきりと解明されていませんが、前述の通りセロトニン不足やバランス異常のほか、遺伝や環境、また性格などさまざまな原因が挙げられています。
離婚や死別など重要な人間関係の変化や生命を脅かす災害の遭遇など、環境的なストレスが引き金になることもあります。
遺伝的に不安が受け継がれる傾向もありますが、家庭内において不安の強い人とともに生活することで学習される部分もあると考えられています。
心臓や内分泌、また呼吸器系の身体的な病気や薬の使用または中止によっても、不安障害の症状が見られることがあります。
種類ごとの症状
不安の症状が強く出る場面や、社会生活・日常生活の支障が出ている場面によって、不安障害にもいくつかの分類にわかれます。
全般性不安障害
全般性不安障害の方は漠然とした不安や心配を持ち続けており、そのために身体症状や精神症状が現れ睡眠など毎日の生活に障害をきたし、日常生活を送ることが困難になります。
抱える不安は持続的で程度も過剰で、何か恐ろしいことが起きるのではないかと心配で落ち着かず、些細なことにも過剰に反応してしまい、集中力が低下します。
パニック障害
パニック障害は、パニック発作といわれる、突然強い不安や恐怖を感じたり、心拍数の増加、呼吸困難、手の震えなどの身体症状を伴う発作を繰り返すとになることで発症します。
パニック障害は、適切な治療を受けることで、改善することができます。
社会不安障害(社会恐怖)
社会不安障害は、人前で話すなど人から注目されるような場面で、急激に恥ずかしい思いをするかもしれないといった考えが現れ、強い不安や恐怖を感じる疾患です。
何度もこのような強い不安や恐怖が出現すると、人から注目されるような場面が苦痛になるため、会社へ行けなくなったり、家に閉じこもった生活を送るようになったりと日常生活に支障が出てきます。
強迫性障害
一見「バカバカしい」「意味がない」と思えるような些細な事(手の汚れはとれたか?鍵をかけたか?など)に常に不安・恐怖を持っています。
不安を減らすために、「何回も手を洗って、綺麗なことを確認する」「何度も家に戻り、玄関の鍵がかかっているのを確認する」などを行い、日常生活に支障が出ている障害です。
不安障害の方が日常の生活で気をつけること
- じゅうぶんに休養する
- 生活習慣の改善
- 適度な運動をする
- カフェインを控える
- 規則正しい生活をこころがける
不安障害の原因の一つにストレスがあり、その原因と考えられる職場や学校などからできる限り距離をおいてしっかりと休む環境を整えることが大切です。
また生活習慣を見直し、決まった時間に食事する、早寝早起きを心がける、などの規則正しい生活を送ることで、体内時計のリズムを整え不安を軽減させる効果が期待できます。
散歩やプールでの水中歩行など適度な運動習慣はリフレッシュ効果があり、気分転換をかねた運動習慣を生活に取り入れて継続していくことが大切です。
そのほか、カフェインは交感神経が刺激され脳内を緊張状態に保つ働きがあるため、摂取を控えるなど何気なく過ごしている毎日を一度見直してみましょう。
専門機関や窓口に相談する
・精神科
・心療内科
・精神科訪問看護
電話相談窓口
・よりそいホットライン
・こころの健康相談統一ダイヤル
SNS相談窓口
・こころのほっとチャット
・生きづらびっと
症状の軽いうちに受診することで不安障害を治すことに繋がるため、早期に精神科や心療内科に受診することが大切です。
生活習慣を見直すことで症状の改善は目指せますが、効果が出るのに時間がかかり、その行為がストレスになることがあるため、注意が必要です。
精神科訪問看護は看護師などの資格を持った人が自宅まで来てくれるので、慣れた場所で看護を受けることが事ができます。
24時間対応の無料電話相談にはよりそいホットラインなどがあり、LINEなどのSNSを使って、チャット形式でカウンセラーに相談ができる「こころのほっとチャット」は、必要時には専門の公的機関への橋渡しを行っています。
不安障害の方が利用できる制度
- 休職・傷病手当
- 精神障害者保健福祉手帳
精神疾患は治療が長期間になることも多く、その間の負担を軽くしたり手当を受けることで、治療に集中できるようさまざまな制度が整えられています。
健康保険の傷病手当金は、病気やケガが理由で休職し給与が支払われないとき、条件が合えば一定の手当を受けられる制度で、精神疾患も対象となります。
精神障害者保健福祉手帳とは、一定程度の精神障害の状態にあることを認定するもので、自動車税などの軽減や上下水道など公共料金の割引、様々な手当支給などのサービスが受けられます。
医療費の負担は自立支援医療制度を頼る
区分 | 上限額 |
---|---|
生活保護 |
0円 |
低所得1 |
2,500円 |
低所得2 |
5,000円 |
中間所得1 |
5,000円 |
中間所得2 |
10,000円 |
一定所得以上 |
20,000円 |
表の料金は所得に応じた医療費の月額自己負担額の上限額となっております。
表の料金を超えた場合には、自己負担なしで医療が受けられます。
自立支援制度は、障害のある方の自立を助けるための公費負担医療費制度です。精神に障害のある方の、障害の軽減などのために医療の自己負担費が補助されます。
助成の内容としては精神科にかかわる医療費が1割負担になることと、所得に応じて月の自己負担上限額が設定され上限額を超えた分に関しては自己負担がなしとなります。
通院費やお薬にかかる費用も、自立支援医療の対象になります。そのうえで、精神科訪問看護や精神科デイケアを利用した場合に、その費用が補助されます。
精神科訪問看護でサポートしてもらう
精神科訪問看護とは?
・精神科・心療内科に通院中の方
・精神疾患の診断を受けた方
・診断がなくとも医師が必要と判断した方
訪問する人
・看護の専門職
・リハビリテーションの専門職
訪問時間
・医療保険
(30分から90分程度)
精神科訪問看護の対象は不安障害などで精神科や心療内科に通院中の方、また不安症や睡眠障害など、医師が訪問看護が必要と判断された方です。
看護師やリハビリなど専門スタッフが定期的に自宅へ訪問し、病状観察や生活状況、また家族支援などを行います。
通常、訪問看護は医療保険を利用し1回の訪問は30分から90分で週3回までと決められています。訪問回数や時間は体調や病状に合わせて調整します。
入退院を繰り返したり、外出が難しい方、ご家族がサポートの仕方に困っている方は精神科訪問看護を検討されてはどうでしょうか。
精神科訪問看護ってどんなことをしてくれるの?
・自立した生活を営めるための支援
・生活リズムの調整
症状の悪化防止・服薬支援
・生活状況を観察
・受診や服薬を支援
社会復帰へのサポート
・主治医や関係機関と連携
・社会復帰を支援
家族の方への支援
・家族へのアドバイスや相談
・社会資源の活用などを支援
精神科訪問看護の役割には「生活支援」、「自立支援」、「再発・再入院の予防」、「服薬管理」、「社会資源活用支援」などがあります。
本人が問題解決できることを目標に、病状観察や生活援助を通じて、利用者やその家族に応じた自立を促します。
主治医との連携を密に図ることで、受診を促し重症化を防いだり、入院を予防できます。
また必要時には本人や家族へ社会資源の活用をサポートし、療養環境を調整することで治療に集中できるよう支援します。
精神科訪問看護のメリット
- 自宅に居ながら専門的なケアが受けられる
- 自宅での様子を主治医に連携できる
- 対人関係や日常生活の支援を受けられる
訪問看護は自宅にこもりがちな方にも、住み慣れた自宅にいながら医療サポートを受けられるため、より生活に根差した支援を受けられます。
医療機関やかかりつけの医師と連携しており、服薬状況の確認や医師への連携を行ったり、本人の悩みを克服できるよう生活リズムを整える方法を一緒に見直します。
また、不安が強い場合や日常の悩みを医療従事者に相談することができ、解決策を一緒に考えたり、不安を解消するアドバイスを受けたりすることも精神訪問看護の特徴です。
精神科訪問看護の料金
負担割合 | 月の初回訪問 | 2回目以降 |
---|---|---|
3割負担 | 3,897円 | 2,565円 |
2割負担 | 2,598円 | 1,710円 |
1割負担 | 1,299円 | 855円 |
上記は週3回までの訪問料金となります。週4回以上訪問となる場合には料金が異なります。
精神科訪問看護では、医療保険を利用することにより自己負担を軽減できるメリットがあります。
30分を一区切りに利用可能。かかった費用については、年齢や所得によって変わり、医療費の1〜3割が自己負担となります。
また早朝や深夜などの時間外に依頼する場合や、長時間の訪問を行う場合は別途料金が発生します。
また自立支援医療制度いう制度を利用すると料金が1割負担になるほか、所得に応じて自己負担が0円になる場合もございます。
不安障害の方への接し方
不安や症状は非常につらいのだということに理解を示す姿勢を表すため、時間をかけて、じっくりと話を聞くことが大切です。
話の内容は理解できないことやつじつまが合わないこと、思い込みが強いこともありますが、本人の話は否定せず最後まで聞いてあげてください。
不安を訴えている時はまずは聞き役に徹することで、本人の気持ちは徐々に落ち着いてくることが多く、「私はあなたの味方」というメッセージも伝えられます。
心配している家族の中には「本人を追いつめてしまった」「育て方が悪かった」と思われることもあるかもしれませんが、まずは落ち着いて本人に寄り添ってください。
精神疾患をお持ちならシンプレへ
シンプレの特徴
シンプレ訪問看護ステーションは精神疾患に特化しており、都内を中心に展開しています。不安障害をはじめ、統合失調症やうつ病など精神疾患をもつ方のご自宅へ訪問します。
訪問する看護師や作業療法士は、疾患だけでなく学校生活など日常生活も含めてサポートします。
安心して自宅療養できるように、本人やその家族の生活背景や価値観を尊重し支援します。
また地域全体でサポートできるよう、訪問している看護師などのスタッフだけでなく、各医療機関や行政とも情報共有し連携を図ります。
シンプレで対象となる精神疾患
- 不安障害
- うつ病
- 統合失調症
- ADHD
- 双極性障害
- その他精神疾患全般
精神科訪問看護の対象は不安障害から、統合失調症やうつ病、学習障害など、年齢や性別に関係なくさまざまな精神疾患に対応しています。
精神的な疾患をお持ちのかたの中には、ご自身だけではなかなか治すことが難しかったり、ほかの合併症をかかえていたりするかたも少なくはないでしょう。
シンプレ訪問看護ステーションではそういった方々の症状と向き合いそれぞれの利用者さまにあった治療を適切な方法でおこなっております。
利用者さんの自主性を大切にして、地域社会で安心してくらせるお手伝いをさせていただきます。
シンプレ訪問看護ステーションの対応エリア
-
<東京都>
・東京23区
※足立区、荒川区は1部エリアとなります。
・西東京市
・三鷹市
・調布市
・武蔵野市
・府中市※1部エリア
・東久留米市※1部エリア
<埼玉県>
・和光市
・朝霞市
・戸田市※1部エリア
・川越市※1部エリア
・新座市※1部エリア
・川口市※1部エリア
シンプレ訪問看護ステーションの対応地域はおもに上記が中心で、訪問活動をおこなっています。該当エリアにお住まいの方はぜひご検討ください。
また上記以外のエリアにお住まいでも、対応できる場合がございますので、一度当社スタッフへご相談ください。
サービス内容を詳しく聞きたい、スケジュールの相談なども承っております。電話やメールなどで相談を受け付けていますので、お気軽にご連絡ください。
ご相談の問い合わせはこちら▼
まとめ
不安障害はセロトニン不足やバランス異常、ストレスや遺伝などさまざまな原因で発症すると言われています。
全般性不安障害、パニック障害などに分類され、精神治療、内服治療、マインドフルネスといった治療法を組み合わせて治療をしていきます。
治療中は長期的になることが多く、様々な社会サービスを受けることができ、精神的にも経済的にも支援する体制が考慮されています。
シンプレ訪問看護ステーションでは、自宅で療養しながらご本人らしい生活ができるようにサポートさせていただきます。不安障害でお悩みで訪問看護のご利用検討されたい、一度話を聞いてみたい等ございましたら、お気軽にお問い合わせください。
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