器質性精神障害にはどんな症状がある?原因・治療法についても解説
器質性精神障害の症状は、認知機能の障害、幻覚、妄想、記憶障害、感情の不安定さ、不適切な行動や判断などがあります。
交通事故での外傷、脳損傷など、身体的な病気が原因で引き起こされる精神障害です。
今回この記事では詳しい症状について解説していきます。
器質性精神障害の症状
- 認知機能の低下
- 幻覚・妄想
- 不安
- 情緒不安定
器質性精神障害は、脳の病気や損傷によって起こる精神障害です。脳の病気やけがの場所や程度によって症状は異なります。
脳の一部が傷つくと、上記のように記憶力や判断力、集中力などが低下したり、幻覚や妄想の症状がみられます。
器質性精神障害は、早期発見・早期治療が大切です。うつ病などの精神疾患ではないにもかかわらず、こういった症状がある場合は、医師に相談してください。
器質性精神障害の原因
直接脳が損傷されることで引きおこる
- 交通事故での外傷
- 脳腫瘍
- 脳出血
器質性精神障害の原因となる脳の病気や損傷には、脳腫瘍など脳の病気や、交通事故による脳の損傷などがあげられます。
直接、脳が損傷されることで脳の機能が二次的に障害され、精神症状が引き起こされます。
たとえば、脳腫瘍があると、脳の一部が圧迫され、記憶力や判断力、集中力などが低下することがあります。
脳卒中になると、脳の一部が壊死することで、記憶力や判断力、集中力などが低下する場合があります。
他の精神疾患によって引きおこることがある
長い時間をかけて
脳細胞が損傷することで引き起こる
症状性精神障害
・甲状腺や副腎の病気など
・ホルモンの過剰分泌・減少でひき起こる
アルツハイマー型認知症は、加齢により発症するイメージがあるかもしれませんが、器質性精神障害の原因に含まれます。
アミロイドβやタウタンパクというたんぱく質が長い時間をかけて脳細胞に溜まることで、脳細胞が損傷し発症するため、器質性精神障害の原因といえます。
症状性精神障害とは、脳以外の身体の病気により、脳の機能が正常に働かなくなることによって起こる精神障害のことです。
特に症状性精神障害を引き起こしやすい病気は、甲状腺や副腎に関する内分泌疾患や、全身性エリテマトーデスや関節性リウマチなどの膠原(こうげん)病です。
心当たりのある方が相談できる窓口
精神科・心療内科
器質性精神障害による精神症状に心当たりがある方は、精神科や心療内科で相談をしてみてください。
器質性精神障害は、脳が損傷されることで精神症状をきたすため、内科の医師と密接に連携し、原因となる病気を治療することも大切です。
精神症状を対症療法で治療しても、器質性精神障害の原因となる病気を治療せずにいると改善しない場合があるため、他科の医師との連携がきわめて重要となります。
公的機関へ相談
- 保健センター
- 精神保健福祉センター
保健センターでは、精神保健に関係するサービスの他、医療や福祉について対応しており、身近な相談ができる施設です。
精神保健福祉センターはこころの健康について、精神科医療についてなど多岐にわたる相談を受け付けており、事前の予約が必要ですが、電話や面接で相談できます。
保健センターは多くの市町村に設置されており、精神保健福祉センターは各都道府県・政令指定都市ごとに1か所ずつ設置されています。
匿名で相談できる電話窓口
・よりそいホットライン
・こころの健康相談ダイヤル
よりそいホットラインは、どのような困りごとや悩みも相談できる、電話相談の専門員が対応している電話窓口です。
よりそいホットラインは24時間対応しており、通話料も無料のため、ご自身の時間に合わせて気軽に電話相談ができます。
こころの健康相談ダイヤルは、全国どこからでも共通の電話番号に電話すれば、電話をかけた所在地の公的な相談機関に接続され、相談ができる電話窓口です。
都道府県によって相談できる曜日・時間帯が異なるのですが、こころの健康相談ダイヤルの夜間対応は、月曜日から金曜日の18時30分から22時まで受け付けています。
匿名で相談できるSNS窓口
・生きづらびっと
・こころのほっとチャット
電話する時間がない方や、電話が得意ではない方は、匿名で相談できるSNS窓口をご利用ください。
生きづらびっとは、LINEを使用して相談ができ、必要時はさまざまな支援へと繋がることができるSNS相談窓口です。
こころのほっとチャットは、誰でも無料・匿名・予約不要で、チャット形式での相談ができ、SNS相談の専門カウンセラーが対応しています。
曜日にもよりますが、こころのほっとチャットは早朝や深夜の相談も受け付けており、LINE、Facebook、WEBチャットといったSNSのチャットで気軽に相談ができます。
器質性精神障害の治療
- 原因となる疾患を治療する
- 必要であれば薬物療法
器質性精神障害は、脳や身体の病気が原因で起こる精神障害です。原因となっている病気を治療し、精神症状を軽減することが大切です。
精神症状に対しては、精神科的な対症療法として薬物療法が必要な場合もあり、原因となる病気の治療と並行して行われます。
器質性精神障害は、精神症状を対症療法で治療しても、原因となる病気の治療がなされないと改善しない場合があるため、他科の医師との連携が重要となります。
器質性精神障害の方が利用できる制度
精神障害者保健福祉手帳
精神障害者保健福祉手帳は、長期にわたり病気や障害などで日常生活や社会生活への制約がある方を対象とした手帳です。
等級は1級から3級まであり、等級が上がるほど、制約が大きいことを意味します。
一定程度の精神障害の状態にあることを認定するものであり、この手帳を持つことで、公共料金の割引、減税などを受けることができます。
障害年金
障害年金は、病気やけがによって生活や仕事などが制限され、生計を立てることが困難な方に対し、一定の年金が支払われる社会保障制度です。
障害年金を受給するには請求の手続きが必要で、病気の診断から1年6カ月以上経っても症状が改善しない、または改善の見込みがないとされる障害を負っており、専門医の診断書によって審査されます。
障害年金は、現役世代の方も含めて受給することができ、原則として20歳から65歳になるまで請求できます。
自立支援医療(精神通院医療)
区分 | 上限額 |
---|---|
生活保護 |
0円 |
低所得1 |
2,500円 |
低所得2 |
5,000円 |
中間所得1 |
5,000円 |
中間所得2 |
10,000円 |
一定所得以上 |
20,000円 |
表の料金は所得に応じた医療費の月額自己負担額の上限額となっております。
表の料金を超えた場合には、自己負担なしで医療が受けられます。
自立支援医療(精神通院医療)は、何らかの精神疾患により、通院による治療を継続して必要とする方が利用できる、公費負担医療制度です。
助成の内容としては精神科にかかわる医療費が1割負担になることと、所得に応じて月の自己負担上限額が設定され上限額を超えた分に関しては自己負担がなしとなります。
上記のように、世帯所得により1月あたりの負担上限額が設けられており、上限を超えた分は自己負担がなしとなります。
自立支援医療(精神通院医療)の対象となる治療例は、外来での投薬、精神科デイケアなどがあげられます。
精神科訪問看護を利用する
精神科訪問看護とは?
・精神科・心療内科に通院中の方
・精神疾患の診断を受けた方
・診断がなくとも医師が必要と判断した方
訪問する人
・看護の専門職
・リハビリテーションの専門職
訪問時間
・医療保険
(30分から90分程度)
精神科訪問看護とは、精神疾患や心のケアを必要とされる方が受けることのできるサービスです。
対象者は、精神疾患と診断された方や通院中の方だけでなく、主治医が訪問看護を必要とみとめた方も対象となります。
ご自宅へ訪問するスタッフは、精神障害の医療に携わる専門職で、看護師・精神保健福祉士・作業療法士などです。
精神科訪問看護は医療保険が適応されることが多く、医療保険の場合の訪問回数は通常週3回までで、1回の訪問時間は30分から90分ほどとなっています。
精神科訪問看護ってどんなことをしてくれるの?
・自立した生活を営めるための支援
・生活リズムの調整
症状の悪化防止・服薬支援
・生活状況を観察
・受診や服薬を支援
社会復帰へのサポート
・主治医や関係機関と連携
・社会復帰を支援
家族の方への支援
・家族へのアドバイスや相談
・社会資源の活用などを支援
精神科訪問看護では、自立支援や社会復帰への支援など、安定した生活が送れるよう日常生活のサポートをおこないます。
特に生活リズムが乱れると精神症状が悪化することもあるため、生活リズムを整えられるよう、生活状況の観察を行い、支援していきます。
訪問してご本人様と面会ができない場合でも、ご希望があればご家族様からの相談を受けることも可能です。
外出が難しい方や精神科への入退院を繰り返している方、ご家族がどのように関わっていけばいいか困っている方は訪問看護を検討してみましょう。
精神科訪問看護のメリット
- 自宅に居ながら専門的なケアが受けられる
- 自宅での様子を主治医に連携できる
- 対人関係や日常生活の支援を受けられる
精神科訪問看護のメリットとして、ご自宅での普段の様子を観察できることから、病院での診察では把握できない困りごとを発見し、早期の対応やケアをおこなうことができます。
たとえば、病気の影響により服薬ができていない場合や症状が悪化している場合、早期の発見をすることで、医師と連携を取りすみやかな対応ができることもメリットの1つです。
また、訪問時間は確保されているためコミュニケーションが取りやすく、ご家族も含めてさまざまな相談をしやすくなっています。
精神科訪問看護の料金
負担割合 | 月の初回訪問 | 2回目以降 |
---|---|---|
3割負担 | 3,897円 | 2,565円 |
2割負担 | 2,598円 | 1,710円 |
1割負担 | 1,299円 | 855円 |
上記は週3回までの訪問料金となります。週4回以上訪問となる場合には料金が異なります。
精神科訪問看護では、医療保険を利用することにより自己負担を軽減できるメリットがあります。
30分を一区切りに利用可能。かかった費用については、年齢や所得によって変わり、医療費の1〜3割が自己負担となります。
また早朝や深夜などの時間外に依頼する場合や、長時間の訪問を行う場合は別途料金が発生します。
また自立支援医療制度いう制度を利用すると料金が1割負担になるほか、所得に応じて自己負担が0円になる場合もございます。
精神疾患をお持ちならシンプレへ
シンプレの特徴
シンプレでは、精神疾患の方に特化した訪問看護サービスを提供し、ご家庭や地域社会で安心して日常生活を送ることができるよう支援をおこなっています。
精神科に特化した訪問看護ステーションであるため、専門的な知識のあるスタッフが在籍しており、ご利用者様の状態に合わせた対応や、考え方に寄りそった看護が可能です。
病院や行政、居宅などの各関係機関と連携を取ることで、治療や病状についての対応から、社会復帰へのサポートまでしっかり行える環境となっています。
緊急時もすぐに各関係機関に連絡できる体制がととのっており、訪問している看護師だけでなく、ステーション全体での看護をおこなっています。
シンプレで対象となる精神疾患
- 器質性精神障害
- うつ病
- 自閉スペクトラム症
- 統合失調症
- ADHD
- 双極性障害
- その他精神疾患全般
シンプレでは器質性精神障害以外にも、うつ病や統合失調症など、さまざまな精神疾患に対応しています。
器質性精神障害だけでなく、うつ病などの精神疾患では、身の回りのことができなくなったり、引きこもりがちになったりとお悩みの方も多いです。
精神症状でお悩みの方に、シンプレは寄り添った看護サービスを提供することで、安心して自宅療養できるよう、利用者様やそのご家族様の生活背景や価値観を尊重しサポートいたします。
シンプレ訪問看護ステーションの対応エリア
-
<東京都>
・東京23区
※足立区、荒川区は1部エリアとなります。
・西東京市
・三鷹市
・調布市
・武蔵野市
・府中市※1部エリア
・東久留米市※1部エリア
<埼玉県>
・和光市
・朝霞市
・戸田市※1部エリア
・川越市※1部エリア
・新座市※1部エリア
・川口市※1部エリア
シンプレ訪問看護ステーションの対応地域はおもに上記が中心で、訪問活動をおこなっています。該当エリアにお住まいの方はぜひご検討ください。
また上記以外のエリアにお住まいでも、対応できる場合がございますので、一度当社スタッフへご相談ください。
サービス内容を詳しく聞きたい、スケジュールの相談なども承っております。電話やメールなどで相談を受け付けていますので、お気軽にご連絡ください。
ご相談の問い合わせはこちら▼
まとめ
器質性精神障害は、身体の病気が原因で脳の機能が損傷され、精神症状をきたします。
精神症状への対症療法だけでなく、器質性精神障害を引き起こした原因の病気を治療することが重要です。
器質性精神障害はさまざまな精神症状をきたし、日常生活を送ることができなくなる場合も多くみとめます。
外出が難しい方やご家族様がどのように関わっていけばいいか困っている方は訪問看護を検討してみてはいかがでしょうか。
器質性精神障害による精神症状にお悩みの方や、そういったお悩みを抱えている方が周囲にいる方は、一度シンプレに相談してみてください。
ご相談の問い合わせはこちら▼
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