器質性精神障害の症状とは?原因・治療法・利用できる制度を解説
 
					器質性精神障害は、脳の損傷や病気が原因となって生じる精神障害で、記憶障害や注意力の低下、感情コントロールの困難さなど、さまざまな症状が現れるのが特徴です。日常生活や社会生活に影響を及ぼすことも多いため、早めに正しい理解を持ち、医師へ相談することが大切です。この記事では、器質性精神障害の代表的な症状や原因、治療方法、利用できる制度について詳しく解説していきます。
器質性精神障害の症状とは?

器質性精神障害では、脳の損傷や疾患の影響によって精神機能が障害され、幅広い症状がみられます。症状は人によって異なりますが、代表的なものには以下のようなものがあります。
記憶障害や注意力の低下
器質性精神障害の初期段階でよくみられるのが、物事を覚えられない、過去の出来事を忘れてしまうといった記憶障害です。また、注意が続かず集中できないため、日常生活や仕事に支障をきたすこともあります。
感情のコントロールが難しくなる
怒りや悲しみといった感情が制御しにくくなり、些細なことで強く反応してしまうケースがあります。感情の起伏が激しくなることで、人間関係にトラブルを抱えることも少なくありません。
思考力・判断力の低下
器質性精神障害では、思考のスピードが遅くなったり、判断を誤ったりすることがあります。複雑な問題を解決するのが難しくなり、日常の意思決定にも影響が及びます。
幻覚や妄想が現れることもある
症状が進行すると、現実には存在しないものが見える・聞こえるといった幻覚や、根拠のない考えに固執する妄想が現れる場合があります。これらは本人にとって強い不安を引き起こし、生活の質を大きく低下させます。
このように、器質性精神障害の症状は多岐にわたります。「うつ病ではないのに気分の変動が激しい」「物忘れが増えた」といった違和感がある場合は、早期に医師へ相談することが重要です。
器質性精神障害の原因

器質性精神障害は、脳の損傷や疾患が直接の原因となって起こる精神障害です。そのため、他の精神疾患とは異なり、身体的な病気や外傷によって精神症状が生じる点に特徴があります。ここでは代表的な原因を2つのケースに分けて紹介します。
脳の損傷や疾患によって引き起こされるケース
- 交通事故による頭部外傷
- 脳腫瘍
- 脳出血や脳梗塞などの脳血管障害
交通事故などで頭を強く打ち、脳が損傷を受けると、その部位に応じて記憶や注意力の低下、感情の変化といった症状が出ることがあります。また、脳腫瘍は脳の一部を圧迫し、認知機能や判断力を障害する要因となります。脳出血や脳梗塞といった脳血管障害でも同様に、脳細胞が壊死することで器質性精神障害の症状が現れるのです。
他の精神疾患から派生して生じるケース
・アルツハイマー型認知症
・甲状腺疾患や副腎疾患による症状性精神障害
・全身性エリテマトーデスなど膠原病に伴う精神症状
アルツハイマー型認知症は、加齢に伴う変化と考えられがちですが、実際には脳細胞が時間をかけて損傷し、記憶障害や判断力低下などの症状を引き起こすため、器質性精神障害の一因となります。また、甲状腺や副腎の病気ではホルモン分泌の異常が起こり、脳の働きに影響を与えることで精神症状が現れることがあります。これを「症状性精神障害」と呼びます。
さらに、自己免疫疾患の一つである全身性エリテマトーデスや関節リウマチなどの膠原病も、脳に二次的な影響を与えることで精神障害を引き起こすことがあります。このように、器質性精神障害の症状は脳そのものの病気だけでなく、身体の他の病気から派生して生じるケースも少なくありません。
器質性精神障害に心当たりがある方が相談できる窓口

「最近記憶があいまいになってきた」「感情の起伏が激しくなった」といった器質性精神障害の症状に心当たりがある場合、早めに相談先を見つけることが大切です。ここでは、医療機関から公的機関、匿名で利用できる窓口まで幅広く紹介します。
精神科・心療内科での専門的な相談
まずは精神科や心療内科を受診してみましょう。器質性精神障害は脳の損傷や疾患に由来するため、精神症状の治療だけでなく、原因となる身体疾患の診断や治療が必要になることがあります。そのため、必要に応じて内科など他の診療科と連携しながら治療を進めるケースもあります。医師に早期に相談することが症状改善への第一歩となります。
保健所など公的機関への相談
- 地域の保健センター
- 精神保健福祉センター
保健センターでは、医療や福祉に関する身近な相談が可能です。精神保健福祉センターでは、こころの健康や精神科医療に関する相談を専門的に受け付けており、電話や面接での相談もできます。どちらも地域ごとに設置されているため、住んでいる自治体で利用できる機関を確認してみましょう。
匿名で相談できる電話窓口
・よりそいホットライン
・こころの健康相談ダイヤル
「誰かに相談したいけれど、病院に行くのは抵抗がある」という方には電話窓口が適しています。よりそいホットラインは24時間対応で、通話料も無料。どんな悩みでも専門の相談員が対応してくれるため、安心して利用できます。こころの健康相談ダイヤルは、全国どこからでも統一番号にかければ、地域の相談機関に繋がります。夜間対応もあり、日中に時間が取れない方でも利用しやすい窓口です。
匿名で相談できるSNS窓口
・生きづらびっと(LINE相談)
・こころのほっとチャット(WEB・SNSチャット)
SNSを活用した相談窓口も増えています。生きづらびっとでは、LINEを通じて匿名で相談が可能で、必要に応じて医療や支援機関につなげてもらえます。こころのほっとチャットは予約不要で、専門のカウンセラーがチャット形式で対応。深夜や早朝でも利用できる時間帯があり、気軽に相談しやすいのが特徴です。
このように、器質性精神障害に関連する症状が気になる方は、医療機関だけでなく、公的機関や匿名相談窓口など複数の選択肢があります。自分に合った相談先を見つけ、早めに支援を受けることが大切です。
器質性精神障害の治療方法について

器質性精神障害は、脳や身体の疾患が原因となるため、治療においては原因疾患の治療と精神症状へのアプローチを並行して行うことが重要です。症状の現れ方は人によって異なるため、医師の診断のもと、個別に適した治療が選択されます。
薬物療法による症状のコントロール
器質性精神障害の症状として、不安・抑うつ・幻覚や妄想などが見られる場合には、薬物療法が有効とされています。抗精神病薬や抗うつ薬、抗不安薬などを用いて、感情の起伏や幻覚症状を緩和し、生活の安定を図ります。ただし、薬には副作用があるため、必ず医師の指導のもとで使用する必要があります。
心理療法やリハビリ的アプローチ
薬物療法に加えて、心理療法やリハビリを取り入れることで、症状の安定を図ることができます。認知行動療法や作業療法は、記憶力や判断力の低下に対して有効であり、日常生活を送るうえでのスキルを回復させる助けとなります。器質性精神障害 症状を軽減するには、精神面と生活面の両方を整えることが大切です。
生活習慣改善や家族支援の重要性
規則正しい生活リズムを整えることは、精神症状の悪化を防ぐために欠かせません。睡眠・食事・運動など基本的な生活習慣の改善は、薬物療法や心理療法と同様に効果を発揮します。また、本人だけでなく家族も一緒に治療に関わることで、再発予防や社会復帰をスムーズに進められるケースも多いです。家族が症状を正しく理解し、支え合うことは治療の一部といえます。
このように、器質性精神障害の治療では原因となる疾患への対応を軸にしつつ、薬物療法や心理療法、生活支援を組み合わせることが必要です。特に、早期に医師へ相談して適切な治療を受けることが症状改善の鍵となります。
器質性精神障害の方が利用できる制度

器質性精神障害による症状が長期化し、日常生活や社会生活に支障をきたす場合、公的な制度を利用することで経済的・医療的な負担を軽減することができます。ここでは代表的な3つの制度について解説します。
精神障害者保健福祉手帳で受けられる支援
精神障害者保健福祉手帳は、長期にわたる精神障害によって生活に制約がある方を対象とした制度です。1級から3級までの等級があり、認定を受けることで公共料金の割引や税制上の優遇、交通機関の割引などを利用できます。器質性精神障害によって社会生活に制約が生じている方にとって、大きな支えとなる制度です。
障害年金による経済的サポート
障害年金は、器質性精神障害を含む精神疾患によって働くことが難しい場合に、生活を支える目的で給付される制度です。診断から1年6か月以上経過しても改善が見られない、または改善の見込みがないとされる場合に対象となります。20歳から65歳までの方が申請可能で、等級に応じて受給額が異なります。働くことが困難な場合、経済的な安心につながる制度といえるでしょう。
自立支援医療(精神通院医療)の活用
| 区分 | 上限額 | 
|---|---|
| 生活保護 | 0円 | 
| 低所得1 | 2,500円 | 
| 低所得2 | 5,000円 | 
| 中間所得1 | 5,000円 | 
| 中間所得2 | 10,000円 | 
| 一定所得以上 | 20,000円 | 
※上記は所得に応じた月額自己負担額の上限です。超えた分は自己負担なしで医療が受けられます。
自立支援医療は、精神科通院を続ける方を対象に医療費の自己負担を軽減する制度です。外来での投薬や精神科デイケアなどが対象となり、原則1割負担で利用できます。特に器質性精神障害の治療は長期に及ぶことが多いため、経済的な負担を抑えながら継続的に治療を受けるために有効な制度です。
このように、器質性精神障害 症状で生活に支障を感じる方は、医療費の助成や経済的サポートを受けることで安心して治療を続けることができます。制度を活用し、医師や支援機関と連携して無理のない療養生活を目指しましょう。
在宅で支えとなる精神科訪問看護

器質性精神障害の症状は長期化することが多く、通院だけでは対応が難しいケースもあります。そこで役立つのが、自宅で専門的な支援が受けられる精神科訪問看護です。ご本人だけでなくご家族にとっても安心できるサービスとして注目されています。
精神科訪問看護とは?
・精神科・心療内科に通院中の方
・精神疾患や器質性精神障害と診断を受けた方
・診断がなくても医師が必要と判断した方
訪問するスタッフ
・看護師、准看護師
・作業療法士などのリハビリ専門職
訪問時間
・1回30分〜90分程度(週1〜3回が目安)
精神科訪問看護は、精神疾患や器質性精神障害を持つ方のご自宅に看護師などが訪問し、医療的ケアや生活支援を行うサービスです。病院に通うのが難しい方でも、自宅で安心してケアを受けられる点が大きなメリットです。
訪問看護で受けられるサポート内容
・生活リズムの調整
・身の回りのサポート
症状の悪化防止・服薬支援
・服薬の確認や指導
・症状の観察と早期対応
社会復帰への支援
・主治医や関係機関との連携
・就労や社会活動へのサポート
家族への支援
・介護や対応方法のアドバイス
・相談・メンタルサポート
訪問看護では、服薬忘れや症状の変化を早期に発見できるため、再発防止にもつながります。また、ご家族にとっても日常の接し方や介護の方法を相談できる場となり、精神的な負担を軽減する役割を果たします。
精神科訪問看護を利用するメリット
- 外出が難しい方でも自宅で医療支援を受けられる
- 主治医と連携しながら症状の変化に対応できる
- ご本人だけでなく家族へのサポートも受けられる
訪問看護の料金と利用できる制度
精神科訪問看護は医療保険の対象となり、自己負担は1〜3割です。さらに、自立支援医療制度を利用することで自己負担が1割に軽減される場合もあります。介護保険を持っている方でも、精神科訪問看護は医療保険の適用となる点に注意しましょう。
このように、器質性精神障害の症状で日常生活に支障をきたしている方でも、訪問看護を利用することで安定した在宅療養が可能になります。医師と相談のうえ、地域の訪問看護ステーションへ問い合わせてみるとよいでしょう。
精神疾患や器質性精神障害の支援ならシンプレ訪問看護ステーションへ

シンプレ訪問看護ステーションの特徴
シンプレ訪問看護ステーションは、精神疾患や器質性精神障害をお持ちの方に特化した訪問看護サービスを提供しています。ご自宅や地域で安心して生活できるよう、専門スタッフが丁寧にサポート。医療・生活・社会復帰のすべてを支える体制が整っているのが特徴です。
また、病院や行政機関、地域の支援団体とも連携を取りながら支援を行うため、急な症状変化にも柔軟に対応できます。訪問スタッフだけでなく、ステーション全体で利用者様を支える仕組みを持っているのも安心できるポイントです。
対応している精神疾患とサービス内容
- 器質性精神障害
- うつ病・双極性障害
- 統合失調症
- 発達障害(自閉スペクトラム症・ADHDなど)
- 不安障害・パニック障害
- 認知症 ほか
シンプレでは、器質性精神障害の症状だけでなく、うつ病や統合失調症など幅広い精神疾患に対応可能です。訪問看護の内容は、服薬支援や症状観察、生活リズムの調整、再発予防のための支援など多岐にわたります。ご本人だけでなくご家族へのサポートも充実しており、安心して療養生活を続けられるよう寄り添います。
さらに、訪問回数は週1〜3回を基本としながら、必要に応じて週4回以上の対応も可能です。祝日や土曜日も訪問を行っているため、生活スタイルに合わせて柔軟に利用できます。対象エリアは東京23区や西東京市、武蔵野市、埼玉県の一部など幅広く対応しており、近隣市区町村も相談可能です。
このように、シンプレ訪問看護ステーションは、器質性精神障害の症状でお困りの方やそのご家族にとって、心強い存在となれるサービスです。専門的な支援が必要なときには、ぜひシンプレへご相談ください。
ご相談の問い合わせはこちら▼
まとめ|器質性精神障害の症状を理解し、早めに相談と治療を

器質性精神障害は、脳や身体の病気が原因で起こる精神障害であり、記憶障害や判断力の低下、感情のコントロールが難しくなるといった多様な症状が現れます。場合によっては幻覚や妄想が生じることもあり、日常生活や社会生活に大きな影響を与えることがあります。
治療では、原因疾患の治療を軸にしながら、薬物療法・心理療法・生活支援を組み合わせて進めることが大切です。さらに、精神障害者保健福祉手帳や障害年金、自立支援医療制度などの制度を活用することで、経済的負担を軽減しながら治療を継続できます。
また、通院が難しい方や再発防止を目指す方には、精神科訪問看護の利用が効果的です。専門スタッフが自宅に訪問し、症状の安定と生活支援を両立できる点は大きな安心材料となります。ご本人だけでなく、ご家族にとっても心強いサポートが得られるでしょう。
器質性精神障害 症状に不安を感じたら、できるだけ早めに医師や相談窓口へつながることが重要です。外出が難しい方やご家族の対応に悩んでいる方は、シンプレ訪問看護ステーションへご相談ください。専門スタッフが寄り添いながら、安心できる療養生活をサポートいたします。
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