PTSDの意味とは?症状・トラウマとの違いを専門家が解説|シンプレ訪問看護
PTSDという言葉を耳にする機会は増えていますが、その意味を正確に理解している方はまだ少ないかもしれません。PTSD(心的外傷後ストレス障害)とは、強いショック体験によって誰にでも起こりうる精神的な反応のひとつです。
この記事では「PTSDの意味」を中心に、トラウマとの違いや、発症時に見られる主な症状、身近な人に症状が見られた場合の対応方法などをわかりやすく解説します。
適切な理解を持つことで、本人だけでなく支える家族や周囲の方も安心して対応できるようになります。
PTSDの意味とは?トラウマとの違いを解説
PTSDとは何か?基本的な意味を理解する
・災害・事故・犯罪被害・虐待・家庭内暴力など
診断の目安
・1カ月以上、つらい記憶や不安が続く
回復までの期間
・多くは3カ月以内に回復するが、慢性化することもある
発症割合
・日本では約1.3%の人が発症するといわれている
PTSD(心的外傷後ストレス障害)は、強い恐怖や衝撃を受けた体験が原因で、長期間にわたり心と身体に不調をきたす精神疾患です。
たとえば、交通事故や災害、暴力、犯罪被害などがきっかけとなり、恐怖の記憶が繰り返しよみがえる、眠れない、心が落ち着かないといった症状が続くことがあります。
多くの人は時間の経過とともに落ち着きますが、1カ月以上苦痛が続く場合はPTSDと診断されることがあります。
放置してしまうと慢性化する恐れがあるため、早めに専門家へ相談することが大切です。
PTSDとトラウマの違いとは?
「トラウマ」とは、心に深い傷を残すようなつらい体験そのもの、またはその影響を指します。
一方で「PTSD」は、そのトラウマ体験がきっかけで、恐怖や不安、フラッシュバックなどの症状が長く続く病的な状態を指します。
つまり、すべてのトラウマがPTSDに発展するわけではありませんが、トラウマが大きく心を支配して日常生活に支障をきたす場合には、PTSDの可能性があります。
両者の違いを理解し、無理せず専門機関や訪問看護などのサポートを活用することが回復への第一歩です。
PTSDの主な症状をチェック
PTSD(心的外傷後ストレス障害)にはいくつかの特徴的な症状があり、代表的なものが「再体験」「回避」「一方的な見方・否定的感情」の3つです。
これらの症状が続くと、仕事や学校、家庭生活などに影響が出ることもあります。
ここでは、それぞれの症状の特徴を確認していきましょう。
また、PTSDの意味をより深く理解するためには、これらの症状がどのように日常生活に影響するのかを知ることが大切です。
再体験(フラッシュバック)
PTSDで最もよく見られる症状のひとつが再体験(フラッシュバック)です。
これは、過去のトラウマ体験をまるで「今」起きているかのように感じてしまう現象で、映像のように鮮明に思い出してしまうことがあります。
たとえば交通事故の音や匂い、災害時の映像を見ただけで、恐怖や息苦しさが蘇る場合があります。
再体験の発作中は現実感が薄れ、強い動悸や発汗、涙が止まらないなど身体的な反応を伴うこともあります。
この症状は非常に苦痛を伴うため、周囲が「ただの思い出」ではなく「心の傷の再現」であることを理解してあげることが重要です。
回避(思い出すことを避ける行動)
PTSDのもうひとつの大きな特徴が「回避行動」です。
これは、トラウマとなった出来事を思い出させるような場所や人、状況を避けようとすることを指します。
たとえば、交通事故を経験した人が車に乗ることを拒んだり、被災地を避けたりするケースがあります。
回避行動は一時的には心を守るための防衛反応ですが、行動範囲を狭め、社会生活や人間関係に支障をきたすことがあります。
PTSDの意味の本質にある「心の安全を守ろうとする反応」であることを理解し、無理に克服を迫らず、安心できる環境づくりを心がけることが大切です。
一方的な認知や否定的な感情
トラウマ体験を経た後、人の考え方や感じ方が変化してしまうことがあります。
「自分には価値がない」「誰も信じられない」「世界は危険だ」といった極端な思考が強まり、無力感や孤立感に陥ることがあります。
このような一方的な認知や否定的感情は、心が自分を守ろうとする防御反応でもありますが、同時に回復を妨げる要因にもなります。
少しずつ現実的な考え方を取り戻せるよう、心理療法や訪問看護などの専門的な支援を受けることが回復の近道です。
心が傷ついた状態を一人で抱え込まず、専門家の力を借りることが大切です。
大切な人にPTSDの症状が見られたら?
もし家族や友人にPTSDの症状が見られたとき、周囲の対応が回復のカギを握ることがあります。
PTSDの意味を理解していれば、相手の行動や感情を「わがまま」や「気の持ちよう」と誤解せず、適切に寄り添うことができます。
ここでは、支える立場の人が意識したいポイントを3つご紹介します。
焦らず、相手のペースに合わせることが大切です。
まずは「共感」を示して安心感を与える
PTSDの症状がある人は、日常の中で強い不安や恐怖を感じやすくなっています。
まずは「大丈夫?」と心配するよりも、共感の姿勢を示すことが重要です。
「つらかったね」「怖かったね」といった言葉は、相手に「理解してもらえた」と感じさせ、安心感につながります。
無理に励ましたり、アドバイスを押し付けたりせず、相手が話したいときに耳を傾ける姿勢を持ちましょう。
また、静かで安心できる環境を整えることも、心の安定に大きな効果をもたらします。
回復を急がせる言葉は避ける
「早く元気になってね」「もう平気でしょ?」といった声かけは、善意であっても相手にプレッシャーを与える場合があります。
PTSDは心の深い傷が関係しており、回復には時間がかかります。
焦りや期待の言葉よりも、相手のペースを尊重することが大切です。
PTSDの意味を理解すれば、回復を急かさずに「今この瞬間を支えること」が何より大切だと分かります。
相手の気持ちに寄り添い、無理のない範囲で安心して過ごせるようサポートしましょう。
時には「何も言わずそばにいる」ことが一番の支えになることもあります。
一人で抱え込まず支援機関を頼る
支える家族や友人自身が疲弊してしまうケースも少なくありません。
心配するあまり、夜中の連絡に対応したり、自分の生活を犠牲にしてしまうこともあるでしょう。
しかし、支える側が健康を損ねてしまっては、十分なサポートはできません。
無理をせず、医師や看護師、訪問看護ステーションなどの専門機関を頼ることが大切です。
シンプレ訪問看護ステーションのようなサービスでは、PTSDを含む精神疾患に特化した支援を行っており、患者さんだけでなく家族へのアドバイスや相談も可能です。
一人で抱え込まず、専門家の力を借りて回復をサポートしていきましょう。
PTSDの発症割合や合併しやすい精神疾患
PTSD(心的外傷後ストレス障害)は、誰にでも起こり得る精神的な疾患です。
しかし、その発症率や合併しやすい他の精神疾患については、意外と知られていません。
ここでは、PTSDの発症割合と併発することの多い疾患について詳しく見ていきましょう。
これらを知ることで、PTSDの意味をより深く理解できるとともに、早期の気づきと支援につなげることができます。
PTSDを発症する割合とは?
男性:5%
女性:10%
日本国内では、PTSDを発症する人の割合はおよそ人口の1〜2%前後といわれています。
男女差があり、女性の方が男性よりも発症率が高い傾向にあります。
これは、性暴力や家庭内暴力など、女性が被害に遭いやすい出来事が関係していると考えられています。
また、男性では怒りや衝動的な行動、焦りが強く現れやすい一方で、女性は感情の麻痺や回避傾向が強く出やすいとされています。
PTSDは特別な人だけがなる病気ではなく、誰でも条件がそろえば発症し得る「こころの防衛反応」です。
早めに気づき、専門家のサポートを受けることで、回復の可能性は大きく高まります。
うつ病・不安障害など合併しやすい精神疾患
・アルコール依存症:約52%
・うつ病:約48%
・薬物依存:約35%
・恐怖症:約31%
PTSDの症状が長く続くと、他の精神疾患を併発するケースも少なくありません。
特にうつ病や不安障害、依存症などは発症リスクが高いとされています。
これは、トラウマによるストレスや孤立感、睡眠障害などが心身のバランスを崩し、他の疾患を誘発するためです。
複数の症状が重なることで、本人の生活の質(QOL)はさらに低下してしまいます。
早期に専門家へ相談し、薬物療法や心理療法を組み合わせることが、安定した回復へつながります。
PTSDの相談ができる窓口
・保健センター/精神保健福祉センター(地域の公的窓口)
・よりそいホットライン/こころの健康相談統一ダイヤル(電話相談)
・こころのほっとチャット/生きづらびっと(SNS相談)
・精神科訪問看護(専門職による在宅支援)
PTSDの症状が疑われる場合や、家族の対応に悩んだときは、専門の相談窓口を活用することをおすすめします。
電話・SNS・訪問など、相談方法は多様です。
なかでも精神科訪問看護は、看護師や作業療法士など専門資格を持つスタッフが自宅を訪問し、生活支援や服薬管理、再発予防などを行うサービスです。
外出が難しい方や、医療機関への通院に不安がある方にも利用しやすいサポートといえます。
自分に合った方法で支援を受け、安心できる環境を整えましょう。
PTSDの治療方法(心理療法・薬物療法など)
・薬物療法(抗うつ薬・抗不安薬)
・認知行動療法(CPT療法)
・眼球運動脱感作療法(EMDR)など
PTSDの治療では、強い不安や恐怖、睡眠障害などを軽減するために薬物療法を行うことがあります。
同時に、心理療法によってトラウマ体験の記憶を整理し、現実的な考え方を取り戻すサポートも行います。
CPT(認知処理療法)は、トラウマに対する一方的な見方を修正する方法であり、EMDR(眼球運動脱感作療法)は、目の動きを利用して記憶の処理を促す治療法です。
どちらも科学的根拠に基づいた効果的な方法とされています。
PTSDの意味を正しく理解し、専門家と連携しながら適切な治療を受けることが、回復への第一歩です。
PTSDの兆候があるならシンプレ訪問看護ステーションへ
PTSD(心的外傷後ストレス障害)の症状が見られる場合、早めに専門家へ相談することが大切です。
「外に出られない」「病院に行くのが不安」などの理由から受診をためらう方も少なくありません。
そんな時に頼れるのが、精神疾患に特化した訪問看護サービスです。
ここでは、PTSDの意味を理解した上で心のケアを行う、シンプレ訪問看護ステーションの特徴と対応内容をご紹介します。
シンプレ訪問看護ステーションとは?
・生活支援・自立支援:自立した生活を営むためのサポート
・症状の悪化防止・服薬支援:服薬や通院を見守り、安定した生活を支援
・社会復帰へのサポート:主治医・関係機関と連携し、社会参加を促す
・家族支援:ご家族へのアドバイスや相談対応、社会資源の活用支援
シンプレ訪問看護ステーションは、うつ病・統合失調症・発達障害・PTSDなど、心の病に特化した看護を行う専門チームです。
看護師や作業療法士が利用者様のご自宅を訪問し、医療的ケアや生活支援を提供します。
PTSDの方にとって、自宅という安心できる環境で支援を受けられることは、心の安定に非常に有効です。
症状や生活の変化をきめ細かく観察しながら、主治医や関係機関と密に連携し、社会復帰を目指します。
また、ご家族にも寄り添い、共に回復を支える体制を整えています。
対応エリアとサポート内容
-
<東京都>
・東京23区
※足立区、荒川区は1部エリアとなります。
・西東京市
・三鷹市
・調布市
・武蔵野市
・府中市※1部エリア
・東久留米市※1部エリア
<埼玉県>
・和光市
・朝霞市
・戸田市※1部エリア
・川越市※1部エリア
・新座市※1部エリア
・川口市※1部エリア
近隣市区町村についても、状況により訪問が可能な場合がありますので、まずはご相談ください。
訪問時間は1回あたり30〜90分、週1〜3回を基本に、ご利用者の症状や生活リズムに合わせて調整します。
また、祝日や土曜日の訪問も対応しているため、柔軟なスケジュールで支援が受けられます。
シンプレでは、PTSDを含む精神疾患を抱える方が「自分らしく生きる」ための支援を大切にしています。
服薬のサポートや再発予防、社会復帰の支援を通して、安心できる日常生活の実現を目指しています。
PTSDの意味を正しく理解したスタッフが、一人ひとりの心に寄り添いながら、穏やかで前向きな時間を取り戻すお手伝いをいたします。
ご相談の問い合わせはこちら▼
まとめ|PTSDの意味を理解して早期に相談・治療を
ここまで、PTSD(心的外傷後ストレス障害)の意味やトラウマとの違い、主な症状、そして支援の方法について解説してきました。
PTSDは誰にでも起こり得る身近な疾患であり、決して「弱い心」や「性格の問題」ではありません。
強いショック体験によって心が傷つき、時間を経ても苦しみが続く状態がPTSDです。
このような状態を放置せず、適切にケアすることが回復への第一歩となります。
大切なのは、本人だけでなく家族や周囲の理解です。
「どう接していいか分からない」「励ましても良いのか迷う」など、不安を抱える方も多いでしょう。
しかし、PTSDの意味を正しく理解すれば、相手の行動や言葉の背景にある“心の防衛反応”を受け止めることができます。
焦らず寄り添い、安心できる環境を整えることが、支える側にできる最も大切なサポートです。
また、本人も家族も一人で抱え込まず、専門家に相談する勇気を持つことが重要です。
PTSDの治療は、心理療法や薬物療法をはじめ、訪問看護など多様なサポートを組み合わせて行われます。
特に、外出が難しい方や孤立しやすい方にとって、シンプレ訪問看護ステーションのような在宅支援は心強い味方です。
看護師や作業療法士が自宅を訪問し、服薬管理・生活支援・再発予防などを行うことで、安心して生活を続けながら回復を目指せます。
また、ご家族への支援も行っており、共に前向きな一歩を踏み出すための支えとなります。
PTSDの意味を理解し、早期に相談・治療を始めることで、症状は改善していくことが多いです。
もし、自分や大切な人にPTSDの兆候があると感じたら、無理をせず、専門機関や訪問看護へ相談してください。
心の傷は見えにくいものですが、適切なサポートを受けることで少しずつ癒えていきます。
わたしたちシンプレ訪問看護ステーションでは、一人ひとりの「こころ」と「生活」に寄り添い、穏やかな日常を取り戻すお手伝いをしています。
どうか一人で抱え込まず、まずはお気軽にご相談ください。
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