アルツハイマー病の診断基準を徹底解説|症状・受診先・診断の流れ・支援まとめ
ご自身やご家族の物忘れが増えてきて、「アルツハイマー病ではないか?」と不安を感じていませんか。アルツハイマー病の診断基準は専門的な内容ですが、早めに知っておくことで受診のタイミングを逃さず、適切な支援につながりやすくなります。アルツハイマー病の診断基準は複数存在し、どれも医師が総合的に判断するための大切な目安です。本記事では、代表的な3つの診断基準を分かりやすく解説し、疑われる場合にどのように行動すべきかを紹介します。
アルツハイマー病の診断基準は3つある

①DSM-5による診断基準
アルツハイマー病を診断する際、広く用いられる基準のひとつがDSM-5です。
「認知機能の低下」「日常生活への支障」「せん妄との鑑別」「他疾患では説明できないこと」の4つが重要視されます。特に記憶力や判断力、社会的な認知機能が以前より明らかに低下しているかどうかが大きな判断材料となり、買い物や家事、交通機関の利用など、生活の中でできないことが増えていく点が注目されます。また、症状がうつ病や統合失調症と混同されないよう、慎重に見極める必要があります。
②NINCDS-ADRDAの診断基準
NINCDS-ADRDAも多くの医療現場で使われている診断基準で、2011年の改定以降は「生活障害(ADL障害)」を重視する方針に変わりました。これは、単に認知機能が低下しているかどうかだけでなく、「日常や仕事に支障が出ているか」という実生活への影響を中心に評価するものです。アルツハイマー病が進行すると、生活の段取りを整える力や判断力が低下するため、こうした日常動作の変化を丁寧に確認しながら診断を行います。
③ICD-10の診断基準
ICD-10では「認知症症状の存在」「認知機能の徐々の低下」といった複数の特徴が必須要素として示されています。さらに、ほかの脳疾患や全身疾患が原因でないことを除外する点も重視され、医師の専門的な判断が欠かせません。どの診断基準においても共通するのは、アルツハイマー病の診断は一般の方が自己判断できるものではなく、医師が総合的に評価する必要があるという点です。気になる症状がある場合は、早めの受診が重要です。
アルツハイマー病の症状をチェックしてみよう

前兆(軽度認知障害)の症状
・物忘れ
・記憶障害
・判断力の低下
アルツハイマー病の前兆として現れやすいのが、軽度認知障害(MCI)と呼ばれる段階です。この段階では日常生活に大きな支障は出ないものの、「最近の出来事を思い出しにくい」「判断に時間がかかる」といった変化が見られやすく、加齢によるものとの区別がつきにくい点が特徴です。とはいえ、アルツハイマー病の診断基準でも重要視される“初期の認知機能低下”が始まっている可能性があるため、早めに変化に気づくことが大切です。放置すると認知症へ移行するリスクが高まるため、気になる兆候がある場合は医療機関へ相談することをおすすめします。
初期に見られる症状
・直前の出来事を忘れる
・勘違いや同じ質問の繰り返し
・日付や曜日が分からなくなる
・判断力の低下
・意欲の減退
・物盗られ妄想
アルツハイマー病の初期になると、記憶障害がより顕著になり、日常生活へ少しずつ支障が出るようになります。特に「時間に関する見当識障害」が代表的で、今日の日付や曜日、今が朝か夕方かといった判断が曖昧になるケースが増えます。また、同じ質問を繰り返してしまったり、財布や物をなくしたと疑ってしまう「物盗られ妄想」が見られることもあります。こうした症状は家族が早く気づくことが多く、アルツハイマー病の診断基準の確認や受診の判断にも大きく影響します。
中期に進行したときの症状
・場所・時間・季節が分からない
・徘徊・妄想が増える
・家事や買い物の手順が分からない
・言葉の意味を理解しにくい
・食事・着替え・入浴に介助が必要
・失禁
・衝動的な行動
中期に入ると認知障害が進み、生活に大きな支援が必要になります。人物や場所の認識が難しくなり、徘徊や妄想が増えることで家族の負担も大きくなります。会話で使う言葉が理解しにくくなるほか、調理や掃除などの手順が分からなくなり、一つひとつの行動にサポートが必要になります。食事・入浴・着替えといった基本的な生活動作にも介助が必要となるため、早めに支援体制を整えることが重要です。
末期に見られる症状
・家族の顔が分からない
・反応が乏しい
・会話が困難になる
・尿・便の失禁が続く
・歩行や座位が困難になり寝たきりに近づく
アルツハイマー病が末期に進行すると、認知機能だけでなく身体機能も大きく低下します。家族の顔が分からなくなる、意思疎通が難しくなるなど、周囲との関わりが極端に制限されるようになります。歩行や姿勢保持が困難になることで寝たきりに近い状態となり、感染症のリスクも高まります。この段階では、患者さん本人の負担を和らげるための支援や、家族を支えるサポートが不可欠です。訪問看護の活用や地域の相談窓口を併用し、安心して過ごせる環境づくりが大切です。
アルツハイマー病の診断を受けるには何科に行けばいい?
神経内科での診断
アルツハイマー病が疑われた場合、まず受診先として一般的なのが神経内科です。脳や神経の病気を専門とするため、認知症の診断にも幅広く対応しており、アルツハイマー病の診断基準に基づいた評価が受けられます。特に糖尿病や高血圧などの内科疾患が背景にある場合、それらが認知機能の低下に影響している可能性もあるため、神経内科での総合的な診察はとても重要です。また、かかりつけ医から専門医を紹介してもらえる場合も多く、もの忘れ外来や認知症センターといった専門的な窓口につながるケースもあります。日常生活で起きている変化に医師が丁寧に耳を傾け、診断基準に沿った評価を行うことで、治療やサポートの方向性が明確になります。
精神科での診断
精神科でもアルツハイマー病の診察は行われていますが、妄想や幻覚といった精神症状が強く出ている場合に向いています。精神科ではこれらの症状を抑えることを優先することが多いため、初期段階の診断目的ではやや適さないことがあります。ただし、認知症の進行とともに「怒りっぽくなった」「幻覚が増えた」などの精神症状が現れることもあり、症状が強い場合には神経内科から精神科へ診療が引き継がれることもあります。また、アルツハイマー病の診断基準を満たすかどうかを見極める際にも、精神科医が専門的な視点から総合的な判断を行うことがあり、多職種の連携が必要とされる場面も少なくありません。
老年科での診断
高齢者の病気を総合的に診る老年科も、アルツハイマー病の診察を担う重要な診療科です。加齢に伴う身体の変化や持病との関連を踏まえて診察してくれるため、複数の症状を抱える高齢者にとって適切な診療を受けやすい点が特徴です。ただし、老年科医が必ずしも認知症を専門としているとは限らないため、受診前に「認知症の診療に詳しい医師が在籍しているか」を確認しておくと安心です。老年科では体調の変化や生活の状況など、幅広い観点を踏まえて診断が行われるため、症状の背景にある要因まで丁寧に評価してもらえます。こうした総合的な診察は、今後の治療や支援体制を整えるうえでも大きな助けとなります。
アルツハイマー病の診断の流れ

問診で確認されること
アルツハイマー病が疑われると、まず行われるのが問診です。ご本人だけでなく、ご家族からの情報も非常に重要で、症状の出現時期や日常生活での変化など、具体的な様子を丁寧にヒアリングしていきます。特に「いつ頃から物忘れが始まったか」「どのような場面で困ることが増えたか」などは、アルツハイマー病の診断基準にも関わる大切なポイントです。また、服薬状況や既往歴、生活環境の変化なども確認し、認知機能への影響がないかを総合的に整理します。ご本人が自覚していない症状がある場合も多いため、ご家族の観察が診断の精度を高める大きな手がかりとなります。
診察で行われる評価
問診の後は医師が直接身体の状態を確認する診察に進みます。血圧測定や聴診などの一般的な検査に加え、手足の麻痺の有無、不随意運動、歩行状態、発語の様子などを細かくチェックします。こうした身体的な変化は、脳や神経の疾患が関係していることもあるため、認知症との関連を見極めるためにも欠かせない工程です。また、問診で得た情報と照らし合わせながら、どの程度日常生活に支障が出ているかを確認することで、病状の進行度を把握し、治療の方針を検討する材料にもなります。症状の見落としを防ぐため、診察では総合的な視点から丁寧に評価が行われます。
画像検査や認知機能検査について
診察が終わると、必要に応じて検査に進みます。認知機能の状態を把握するため、簡単な質問に答えてもらうスクリーニング検査が行われます。日時の見当識や記憶力、言語能力などを確認し、どの部分に低下があるかを明確にします。さらに、CTやMRIといった画像検査では、脳の萎縮の程度や脳梗塞・出血の有無を調べ、他の病気との鑑別を進めます。必要に応じて心電図や血液検査を行う場合もあり、これらの結果を総合して最終的な診断が下されます。画像検査や認知機能検査は、アルツハイマー病の特徴を客観的に捉えるために欠かせない工程であり、診断の確度を高める役割を担っています。
アルツハイマー病に関する支援を受けるには?
アルツハイマー病の相談窓口
- 保健所・保健センター
- 地域包括支援センター
- 高齢者総合相談センター
- 認知症の人と家族の会
- 認知症110番
- 若年認知症サポートセンター
アルツハイマー病と診断された、あるいはその疑いがある場合、ご家族だけで抱え込まず、地域の窓口を活用することがとても大切です。保健所や保健センターでは受診先の案内や医療的な相談に対応しており、介護に関する情報提供を行う機関もあります。とくに地域包括支援センターは、介護・医療・福祉の総合的な相談窓口となっており、状況に応じた支援につながりやすい場所です。また、「認知症の人と家族の会」では同じ悩みを抱える家族同士の交流の場があり、情報交換や心のサポートにもつながります。アルツハイマー病の診断基準を満たす症状が見られる場合でも、支援を受けることで生活が安定し、ご本人と家族双方の負担を軽減できます。支援方法はひとつではないため、利用できる制度や相談窓口を早めに知ることが、安心して暮らすための第一歩となります。
訪問看護を利用するという選択肢
訪問看護は、自宅で医療的なサポートを受けながら生活したい方に有効な支援方法です。看護師が自宅に訪問し、健康状態の観察、症状悪化の予防、服薬管理、生活リズムの調整など、日々の生活を支えるさまざまなケアを行います。これは、アルツハイマー病の進行により通院が難しくなってきた場合にも非常に助けとなるサービスです。医療機関との連携がスムーズに行えるため、症状の変化にも柔軟に対応できます。さらに、必要に応じて保健師やケースワーカーとも連携し、ご本人の状態に応じたサポート体制が構築されるため、家族にとっても心強い支えとなります。アルツハイマー病の診断基準に該当している方でも、病期に合わせて適切なサービスが利用でき、在宅生活の質を維持しやすくなります。訪問看護は、ご本人が安心して自宅で過ごすための大きな選択肢として、早めに検討しておくことをおすすめします。
訪問看護ならシンプレ看護ステーションへ!
シンプレ訪問看護ステーションとは?
シンプレ訪問看護ステーションは、精神疾患に特化した訪問看護サービスを提供しており、うつ病・統合失調症・発達障害など幅広い疾患の方へサポートを行っています。看護師や作業療法士などの専門スタッフが、医師の指示のもとご自宅へ訪問し、病状観察や服薬支援、生活指導などを実施します。また、週1〜3回(必要に応じて週4回以上の対応も可能)と柔軟に調整でき、1回あたり30〜90分の訪問で丁寧な支援を行える点も特徴です。アルツハイマー病の場合は、進行度によって必要なケアが変わるため、訪問看護を利用することで自宅での生活が安定しやすくなります。特にアルツハイマー病の診断基準に該当する状況の方では、医療と生活の両面からサポートできる訪問看護の存在が心強い支えとなります。
提供している看護内容
・うつ病
・アルコール依存
・薬物依存
・精神疾患全般
主な看護内容
・生活支援、自立支援
・症状の悪化防止、服薬支援
・社会復帰へのサポート
・家族の方への支援
シンプレでは、精神疾患をもつ方への専門的な支援を中心に、日常生活の安定や症状悪化の予防を目的としたケアを提供しています。アルツハイマー病の方に対しても、服薬管理や生活リズムの調整、家族への助言など、症状の進行や生活状況に合わせて柔軟にサポートが可能です。また、医師・保健師・ケースワーカーなど多職種との連携も強く、ご本人の状態を総合的に見ながら適切な支援を行える点が大きな特徴です。自宅での生活が難しくなる前に訪問看護を導入することで、安心して過ごせる時間を増やし、ご家族の負担も軽減できます。
対応しているエリア
-
<東京都>
・東京23区
※足立区、荒川区は1部エリアとなります。
・西東京市
・三鷹市
・調布市
・武蔵野市
・府中市※1部エリア
・東久留米市※1部エリア
<埼玉県>
・和光市
・朝霞市
・戸田市※1部エリア
・川越市※1部エリア
・新座市※1部エリア
・川口市※1部エリア
シンプレ看護ステーションが対応しているエリアは、東京23区を中心に、西東京市・武蔵野市・三鷹市・調布市・府中市・東久留米市、さらに埼玉県の一部地域となっています。近隣の市区町村でも訪問が可能な場合があるため、エリア外にお住まいの方でもまずは相談してみることをおすすめします。訪問看護を利用したいけれど、「自宅が対応圏内か分からない」というご相談にもスタッフが丁寧に対応し、利用に向けた手続きをサポートします。また、サービス内容の説明やスケジュール調整なども随時行っているため、初めて訪問看護を利用する方でも安心して相談できます。
ご相談の問い合わせはこちら▼
まとめ|アルツハイマー病は診断と支援を通じて、訪問看護で支えられる
アルツハイマー病は、早期の気づきと適切な診断・支援がとても重要な疾患です。特にアルツハイマー病の診断基準に該当する症状が見られる場合、医療機関を受診して正しい評価を受けることで、その後の治療や生活サポートの方向性が明確になります。症状は段階的に進行し、初期から中期、そして後期へと変化しますが、どの時期でもご本人とご家族が安心して過ごせるよう、地域や医療のサポートを積極的に活用することが大切です。また、症状が進行すると通院が難しくなるケースも増えますが、そのような状況では訪問看護の活用が非常に心強い支えとなります。
シンプレ訪問看護ステーションでは、看護師・准看護師・作業療法士がチームで支援を行い、生活面・医療面の両方からご本人とご家族をサポートします。訪問時間は30〜90分、訪問回数は週1〜3回(場合により4回以上も対応)と柔軟に調整でき、さらに土曜・祝日も訪問可能です。対象疾患も幅広く、アルツハイマー病を含むさまざまな認知症・精神疾患に対応しています。在宅での暮らしをできる限り長く維持したい方や、ご家族の負担を軽減したい方にとって、訪問看護は大きな支えとなる選択肢です。
まとめとして、アルツハイマー病と向き合う際には、診断・相談・日常生活サポートの三つを軸に、段階に応じた支援を選んでいくことが重要です。特に訪問看護は、症状の進行に合わせて柔軟に対応できるため、患者さんに寄り添いながら生活の質を維持する大切な存在となります。アルツハイマー病に関するお悩みがある方は、まずは身近な相談窓口やシンプレ看護ステーションへお気軽にご相談ください。ご本人とご家族が安心して過ごせるよう、私たちがしっかりとサポートいたします。
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