摂食障害の治療法とは?症状・サポート制度・接し方についても紹介
摂食障害の治療方法には「認知行動療法」や「薬物療法」などがあります。
摂食障害の治療には「拒食症」や「過食症」になってしまった原因を知ることが大切です。
今回この記事では、摂食障害の治療法をお調べの方や、摂食障害でお悩みの方がいる方へ向けて、治療法や治療にあたっての注意点などについて詳しくまとめました。
摂食障害の治療法
問診で心と身体の状態を見てもらう
・どんな症状がいつから現れたか
・痩せたい願望や体重や体形へのこだわり
・症状が出るようになったきっかけ
体の状態
・診察
・血液検査(栄養状態など)
摂食障害の治療では、治療開始前の診察で心と体の状態を把握することが大切です。
重症化すると命にかかわる合併症を引き起こすため、問診や血液検査を通して栄養状態や体の病気の可能性がないか確認し、体の治療を優先して行う必要があります。
また、摂食障害の方はうつ病や強迫症などをあわせ持つ場合が多いため、医師の診察や心理士との面談で体形への考え方などを確認し、心の状態を把握します。
命を守りながら個々の悩みに寄り添った治療を行うために、治療開始前の診察が重要です。
認知行動療法
認知行動療法は、物事の受け取り方や行動を少しずつ修正し、問題の解決を目指す心理療法です。
過食症の認知行動療法では、「過食の回数」と「嘔吐や下剤乱用などの排出行動の減少」が主な目的となります。
拒食症の認知行動療法では症状に焦点を当てず、思考の柔軟性や、細部へのこだわりを和らげる力を高めることを目的とします。
認知行動療法を通して考え方のクセを知り、自分自身が楽になる考え方や適応的な行動を探すことで、摂食障害の症状を改善していきます。
精神科デイケア
精神科デイケアの目的は、病気の再発防止や社会復帰です。
デイケア利用を通して生活リズムを整えたり、他者との交流のきっかけづくりをしたりして、再発を予防し社会復帰を促します。
病院と情報共有し治療をスムーズに進めたり、地域の関係機関と連携することで、地域の中に居場所を確保し自立を促していきます。
デイケアでの活動内容は、参加者同士での交流や、料理、スポーツ、SST(ストレスの対処法や問題解決スキルの習得)などです。
デイケアの参加には主治医の紹介状が必要なため、利用したい方は主治医に相談しましょう。
入院が必要になることも
- 低体重・低栄養など命にかかわる場合
- 検査で重篤な異常が見られる場合
- 過食・嘔吐など日常でコントロールが難しい場合
- 自殺・自傷行為の危険があるとき
- ご家族や周囲の方の協力が得られない時
摂食障害は外来治療が中心ですが、体重低下や嘔吐などの排出行動、自傷により命の危険がある場合は、安全の確保のために入院治療が必要です。
また、過食・嘔吐がやめられず、日常生活に支障をきたす場合は、病院の決められた枠組みの中での入院治療を行い、病状の回復を目指します。
家族との衝突がある場合や治療への協力を得られない場合にも、お互いの心を休めるために入院生活で距離をとり、心理的負担を軽減できます。
摂食障害は治療に集中できる環境で根気よく治療することで、症状の改善が期待できます。
薬物療法を補助的に行う事もある
摂食障害の治療は、心理療法や栄養療法に加え、薬物療法を行う場合があります。
摂食障害の特効薬はありませんが、個々の症状に合わせた薬を服用することで、症状が落ち着き、改善が期待できます。
例えば、気分の落ち込みに対して抗うつ薬を使用したり、不安な気持ちに対して抗不安薬を使用したりしながら、摂食障害の症状改善をサポートできるのです。
薬物療法はあくまで治療の補佐役のため、認知行動療法などの心理療法に取り組みながら症状改善を目指していきましょう。
治療にあたっての注意点
摂食障害の原因を探ることが大切
治療にあたり、摂食障害を引き起こす原因の理解が大切です。
症状として表れている行動(過食・嘔吐や拒食)が同じでも、行動を引き起こす原因は人それぞれだからです。
体形に関するトラウマが原因の人は、該当するトラウマの治療に重点をおく必要があり、過食嘔吐がストレス発散になっている人では、適切なストレス発散方法を探していくのが効果的です。
心の問題に気づき、偏った食行動に結びつけず解決することで、再発防止や自分が楽な生き方の発見に繋がっていきます。
治療をあせらない
摂食障害は短期間に劇的な回復をする病気ではありません。
摂食障害の回復では、物事の受け止め方や行動のパターンを修正していく必要があり、新しい思考や行動の回路を作り出すには、年単位の時間が必要になるからです。
回復の過程には、一時的に悪くなるなど症状の揺れがつきものですが、焦ったり自暴自棄になったりせず、治療者や支えてくれる人を信じて治療に取り組みましょう。
諦めず治療に取り組むことで症状が改善され、本来の自分を取り戻すことができます。
摂食障害の2種類の症状
・極端に痩せようとする
・食事、体重増加を毛嫌いする
・自分が病気になっていると思わない
過食症の症状
・食事のコントロールができない
・食事のあと自分を責める
拒食症とは、食べる行為を拒否する病気で、体重増加に強い不安を抱き、明らかに痩せていても自分では異常を感じられません。
その反動で過食し、嘔吐や下剤による排出行為を行う場合もありますが、自身は異常を感じていないため、治療に否定的な場合も多いです。
過食症とは、食欲のコントロールが困難になり大量の食べ物を摂取する病気で、隠れて排出行為を行うため、周囲は異常に気付かない場合もあります。
治療が遅れると身体への影響が出たり、抑うつなどの症状が出るため早期の治療が必要ですが、自身も病気と気付きづらく症状に苦しむ方も多いです。
摂食障害の方への接し方
- 本人が安心できる環境を整える
- 周囲と比べず本人の変化や出来た事を褒める
- 治療や回復を気長に見守る
摂食障害の方と関わるときは、食事量や体重に注目せず、本人が安心できる環境づくりを意識しましょう。
そのためには、本人の頑張りや辛さを否定せず、些細な成長に気づき、結果ではなく本人の努力に焦点を当て褒めていきましょう。
「どんな自分でも否定せずそばにいてくれる人がいる」という安心感が、何よりも回復の支えとなります。
また、摂食障害の回復には年単位の時間が必要なため、回復を急かしたり周囲と比べたりせず気長な気持ちで見守りましょう。
摂食障害を相談できる場所はある?
精神科・心療内科
摂食障害の治療は精神科・心療内科で相談できます。
精神科は「気分の落ち込みや不安などの精神の症状」を主に治療し、心療内科は「ストレスなどの精神的要因によって身体に現れる病気」を主に治療します。
摂食障害の治療は身体的な管理を主とするため、身体管理を得意とする心療内科の受診を勧められる場合があります。
しかし最近は、受診のハードルを下げるために「メンタルクリニック」を掲げた病院が増え、両者の違いは曖昧になってきています。
そのため、入院が必要なほどの重症でない場合は、どちらを受診してもよいでしょう。
専門窓口
・保健センター
・精神保健福祉センター
電話専門窓口
・よりそいホットライン
・こころの健康相談統一ダイヤル
SNS相談窓口
・こころのほっとチャット
・生きづらびっと
保健センターや保健所では、受診先の相談をはじめとした幅広い心の相談を受け付けています。
電話や面接で相談可能なため、地域のホームページで確認しましょう。
電話専門窓口では、「生活の悩み」「LGBT」「10代、20代の女の子の相談」など、多岐にわたる悩みを専門の相談員に相談できます。
SNS相談窓口では、LINEやTwitter、チャットなどの方法で専門のカウンセラーに相談ができ、電話や面談で話すのが苦手な方が利用しやすい相談窓口です。
一人で抱え込まず、自分に合った方法に応じて相談してください。
精神科訪問看護に頼るという選択肢も
・精神科・心療内科に通院中の方
・精神疾患の診断を受けた方
・診断がなくとも医師が必要と判断した方
訪問する人
・看護の専門職
・リハビリテーションの専門職
訪問時間
・医療保険
(30分から90分程度)
精神科訪問看護は、精神科や心療内科に通院中の方であれば誰でも利用でき、就労の有無や年齢制限はありません。
利用には医師の指示書は必須のため、希望時は主治医に相談しましょう。
精神科訪問看護では、看護師や作業療法士などの有資格者が、利用者の自宅やグループホームに訪問し、自立のための支援やリハビリを提供します。
精神科訪問看護の利用は医療保険が適用され、1回あたり30分以上と定められていますが、長時間利用が負担になると医師が判断した場合は訪問時間が短縮されます。
精神科訪問看護とは?
・自立した生活を営めるための支援
・生活リズムの調整
症状の悪化防止・服薬支援
・生活状況を観察
・受診や服薬を支援
社会復帰へのサポート
・主治医や関係機関と連携
・社会復帰を支援
家族の方への支援
・家族へのアドバイスや相談
・社会資源の活用などを支援
精神科訪問看護の役割は、再発を防止し、本人が望む自立した生活を支援することです。
そのため、症状悪化を防ぐために服薬や生活リズムを管理し、基本的な生活を整えるサポートをします。
不安になりがちな社会復帰ですが、主治医や関係機関と連携をしたり、訪問看護師が相談に乗ったりしながら、利用者の社会復帰を後押しします。
利用者の中には家族関係がうまくいかない方もいるため、訪問看護師の介入により利用者と家族のコミュニケーションを円滑にすることも精神科訪問看護の役割です。
精神科訪問看護のメリット
- 自宅に居ながら看護が受けられる
- 治療と向き合い方を一緒に考えてくれる
- 身体面・心理面の様子を医師と連携できる
精神科訪問看護では、住み慣れた自宅にいながら医療サポートを受けられるため、より生活に根差した支援を受けられます。
診察室では緊張をしてしまったなど思うように相談できなかった方も、自宅では自分のペースでリラックスした状態で相談することが出来るでしょう。
また、訪問時の相談内容や心身の状態を医師と共有できるため、治療がスムーズに進むこともメリットです。
利用者様が過ごしていく環境の中で、治療に専念したり、自分らしい生活をおくることが出来るようサポートするサービスです。
精神科訪問看護の料金
負担割合 | 月の初回訪問 | 2回目以降 |
---|---|---|
3割負担 | 3,897円 | 2,565円 |
2割負担 | 2,598円 | 1,710円 |
1割負担 | 1,299円 | 855円 |
上記は週3回までの訪問料金となります。週4回以上訪問となる場合には料金が異なります。
精神科訪問看護では、医療保険を利用することにより自己負担を軽減できるメリットがあります。
30分を一区切りに利用可能。かかった費用については、年齢や所得によって変わり、医療費の1〜3割が自己負担となります。
また早朝や深夜などの時間外に依頼する場合や、長時間の訪問を行う場合は別途料金が発生します。
また自立支援医療制度いう制度を利用すると料金が1割負担になるほか、所得に応じて自己負担が0円になる場合もございます。
自立支援医療(精神通院医療)
区分 | 上限額 |
---|---|
生活保護 |
0円 |
低所得1 |
2,500円 |
低所得2 |
5,000円 |
中間所得1 |
5,000円 |
中間所得2 |
10,000円 |
一定所得以上 |
20,000円 |
表の料金は所得に応じた医療費の月額自己負担額の上限額となっております。
表の料金を超えた場合には、自己負担なしで医療が受けられます。
自立支援医療制度は、精神科通院治療の医療費の自己負担が、原則として1割になる制度です。
精神科の通院治療は長期化しやすく、休職などの理由により経済不安がともないますが、制度の利用により負担を軽減しながら通院治療を受けられます。
自立支援医療は、外来受診やデイケア、精神科訪問看護においても利用可能です。
上記の表のように、所得に応じてその月に支払う医療費の上限が決められており、上限を超える場合は自己負担なしで治療を受けられます。
精神疾患をお持ちならシンプレへ
シンプレの特徴
シンプレは精神疾患に特化した訪問看護ステーションで、うつ病や摂食障害など、幅広い疾患を対象としています。
精神科勤務経験のあるスタッフが在籍し、病気と付き合いながら自分らしい生活ができるように、自主性を尊重した看護サービスを提供しています。
また、病院、行政、在宅との情報共有を行い、それぞれの専門性を活かしながら治療や社会復帰のサポートができるのも特徴です。
シンプレは訪問看護サービスを通して利用者の不安を受け止め、治療への頑張りを一緒に共有し、心から安心できる居場所づくりをお手伝いします。
シンプレ訪問看護ステーションの対応エリア
-
<東京都>
・東京23区
※足立区、荒川区は1部エリアとなります。
・西東京市
・三鷹市
・調布市
・武蔵野市
・府中市※1部エリア
・東久留米市※1部エリア
<埼玉県>
・和光市
・朝霞市
・戸田市※1部エリア
・川越市※1部エリア
・新座市※1部エリア
・川口市※1部エリア
シンプレ訪問看護ステーションの対応地域はおもに上記が中心で、訪問活動をおこなっています。該当エリアにお住まいの方はぜひご検討ください。
また上記以外のエリアにお住まいでも、対応できる場合がございますので、一度当社スタッフへご相談ください。
サービス内容を詳しく聞きたい、スケジュールの相談なども承っております。電話やメールなどで相談を受け付けていますので、お気軽にご連絡ください。
ご相談の問い合わせはこちら▼
まとめ
今回は摂食障害の治療について解説しました。摂食障害では、体の治療を優先し命の安全を確保しながら、症状を引き起こす原因に合わせた心理療法や薬物療法で治療します。
時間をかけてゆっくり回復するのが特徴のため、焦らず治療に取り組むことが大切です。
治療においては、家族のサポートや安心できる環境作りが重要なため、精神科訪問看護では安心して自宅療養できる環境を整え、再発を予防していきます。
シンプレは精神疾患に特化した訪問看護サービスで、家族とともに本人に寄り添い、本人らしく生きていけるようサポートします。
ご利用をご検討の際はお気軽にご連絡ください。
ご相談の問い合わせはこちら▼
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