拒食症の症状をチェック。原因や周囲の方ができることについても解説。
拒食症の症状は、食べ物に対する恐れや、食事を隠すことや拒否などがあります。
拒食症は、食事を制限や過度なダイエットを行い、体重を減らすことが特徴で身体的・精神的な健康に深刻な影響を与える可能性があるため、早期に治療を受けることが重要です。
今回この記事では、拒食症の症状について詳しくまとめました。
拒食症の症状
身体的な症状
- 貧血
- 体重減少
- 体重減少に伴う無月経
- 腹部の膨満感
- 便秘
拒食症の身体症状では、血液検査で貧血や脱水がみられるほか、嘔吐や下剤を大量に使うことによる電解質異常などが見られます。
BMI(体格指数)値が17.5以下(平均値は22)の低体重が3か月以上持続し、それに伴い女性は無月経が見られ、不妊の原因になることがあります。
消化管機能が低下しているために胃内の食物が消化されるのに時間がかかり、腹部の膨満感を感じたり、便秘症が見られます。
そのほか低身長や記憶力の低下、脳の萎縮も見られるため、特に中高生など成長期には早期に対応する必要があります。
精神的な症状
- 瘦せたいという願望が非常に強い
- 肥満や体重増加への恐怖
- 抑うつ症状
拒食症の精神症状では、他の人から見れば痩せていたり普通に見えても自分では太っていると思っているため、痩せ願望が非常に強いのが特徴です。
治療においても目標体重を低めの体重を希望し、肥満や太ることに対しての強い不安や恐怖感を持っています。
また低栄養や体重減少によって、抑うつ気分や不安などの精神症状を引き起こすこともあります。
特に食事の時間になると緊張や不安が高まったり、さらに痩せるために徹底的に運動に励むなどの強迫症状が見られます。
拒食症の初期症状
- 好き嫌いが急に増えた
- 体重や食べ物の話をするようになる
- 野菜を好むようになる
- 甘いものは悪だと思っている
- ダイエットに良いという薬を持つ
- 食卓になかなかつこうとしない
- 食事中よくトイレに行くようになる
- 食べ物を隠す・捨てる
初期症状としては、食事量が減る、決まった順番に食べる、カロリーを厳密に計算するなど、食事に対するこだわりが強くなります。
甘いものや揚げ物など特定の食べ物を拒否し、野菜や海藻などカロリーの低い食事が中心となり、食事量にも気をつかいます。
いろいろな理由を付けて人と食事することを拒み、なかなか食卓に付こうとしないといった行動も特徴的です。
食べ物を流しやトイレ、ゴミ箱に捨ててしまうなど、食事という行為に対して極端な行動が見られます。
拒食症の原因は?
- 無理なダイエット
- 対人関係のトラブル
- 職場や学校のストレス
- 家庭環境
拒食症の原因は単純ではなく社会的、心理的な背景などが複雑に絡み合って発症するといわれています。
体重が増えることに対する恐怖感が強いことや、痩せを賛美する風潮から無理なダイエットをすることも原因の一つです。
家庭環境によるストレス、職場や学校環境などの人間関係からくるストレス、日々の生活の中で受ける強いストレスが摂食障害を招くケースは多く見られます。
また、脳の機能異常や遺伝的素因なども発症原因と言われています。
誰でもがかかりうる病気
日本の思春期の女学生の0.5~1%程度が拒食症と言われており、発症のピークは 10 代後半で10〜30 歳代の若い女性に多くみられます。
十分な調査がされていませんが、一般に男性患者は女性の 10 分の 1 程度といわれています。
男性や小児、中年以降の発症も少なくなく、若いときに発症し、回復しないまま中高年に至ることもあります。
性別、年齢、体形、体重、社会的地位などに関わらず誰もがかかりうる病気と言えます。
生命にも関わる深刻な病気
拒食症の方の死亡率は7%と高く、7人に1人が死亡している計算となり、死の危険と深刻に向き合っている病気のひとつです。
体重減少が進むと、電解質異常による不整脈、感染症にかかりやすくなるなど重い合併症を起こしやすくなります。
また低栄養により貧血や肝機能障害などの症状を引き起こし、治療で高カロリーなものを摂取した場合に身体が受け付けず、多臓器不全を起こすこともあります。
アルコールや薬物への依存や、抑うつ、人格障害などの精神疾患を合併しやすく、自殺での死亡率が高いということも特徴です。
拒食症になりやすい人
- こだわりや思い込みの強い方
- 自分に厳しい方
- 自分に自信がない方
- 完璧主義な方
拒食症の原因のひとつにストレスがあり、ストレスの感じ方も対処の仕方もそれぞれ異なります。その対処が苦手な方は拒食症になりやすいといわれています。
また拒食症は自分に厳しく自分を責めやすい人に多いといわれており、甘えからくるものではありません。
いつも「人よりも劣っている」と思っていると、自分のコンプレックスに対して敏感になっていることが多く、普段はいい子に振舞っていても、人目につかないところで拒食していることがあります。
考え方が極端で「〜しなければならない」といった意識が非常に強いと、違うことが起きてしまうと認められず、自分自身を追い込んでしまう方なども注意が必要です。
拒食症のある方に周囲の人ができること
- 安心できる環境を整える
- 本人を責めない
- 周囲の人と比べない
- できたことに注目しほめる
拒食症を発症する方は、繊細で環境や人の行動に敏感な方が多く、ストレスを抱えやすい性格であることが多いため、まず本人が安心できる環境を作ることが重要です。
治療は長期間かかることが多く、またすぐに成果が出ないことがあり、本人や周囲の方は大変な思いをすることもあるかもしれませんが、ありのままを受け入れ認めることが大切です。
周囲と比べて本人を責めたり、早く治すよう焦らせてしまうことなど、強制や無理強いは禁物です。
拒食症かな?と思った時の相談先
電話相談窓口
・よりそいホットライン
・こころの健康相談統一ダイヤル
SNS相談窓口
・こころのほっとチャット
・生きづらびっと
拒食症は治療によって回復を目指せる疾患であるため、できるだけ早期に精神科や心療内科の治療を始めることが大切です。
よりそいホットラインなど無料の電話相談では、フリーダイヤルで24時間対応しており、日によって外国語での相談にも対応しています。
「こころのほっとチャット」では、LINEやTwitterなどのSNSを使ってチャット形式でカウンセラーに相談ができ、必要時には専門の公的機関への橋渡しを行っています。
拒食症の方は自分が病気であるという認識が低いことが多く、治療が遅くなることが少なくないため、まずは相談しやすいところから始めてみてはいかがでしょうか。
拒食症の治療法
環境調整
拒食症の原因のひとつにストレスがあり、そのストレスを軽減したり除去することで、症状の改善が見られることがあります。
例えば、職場の対人関係で悩んでいる場合には部署の異動をするなど、ストレスの原因になっていることから一旦距離を取ることが大切です。
また学校生活のストレスであれば、しばらく休みを取ったり、部活動を休止するなど、可能であれば学校に相談してみるのもいいかもしれません。
前述の通り、摂食障害の治療にはしっかりと休養をとることが必要であり、焦らず安心して過ごせる環境を作ることが回復への第一歩です。
対人関係療法
精神療法の中で、拒食症の治療に比較的有効とされている治療法のひとつに対人関係療法があります。
患者に影響を与えている人との関係に焦点を当て、対人関係における態度やコミュニケーションのあり方を考え、自尊心を育てるカウンセリングです。
まずは人間関係が上手く行かなくなった「きっかけ」を見つけることからスタートします。
重要な人の死別後の受け入れがすすまない場合や、生活上の変化についていけない場合などテーマを選んでカウンセリングを進めていきます。
薬物療法
拒食症の治療においてある程度の症状改善が見られる薬剤はありますが、これを摂取すれば完治するといった薬剤はありません。
抑うつ症状や激しい落ちこみ「抗うつ薬」や、イライラして落ち着かないなど不安な気持ちが引き起こす諸様々な症状に対して「抗不安薬」を使用することがあります。
また、感情の激しい揺れや衝動的な感情・行動に対して「抗精神病薬」、寝つきの悪さに対して「睡眠導入剤や睡眠薬」など、患者の症状や状態に合わせて処方します。
ただし拒食症の治療においては、薬物療法だけで治ることはないため、認知療法などと組み合わせて治療することが一般的です。
精神科訪問看護を利用する選択も
精神科訪問看護とは?
・精神科・心療内科に通院中の方
・精神疾患の診断を受けた方
・診断がなくとも医師が必要と判断した方
訪問する人
・看護の専門職
・リハビリテーションの専門職
訪問時間
・医療保険
(30分から90分程度)
精神科訪問看護は拒食症などで精神科や心療内科に通院されている方、また診断は受けていなくても睡眠障害など医師が必要と判断された方が対象です。
医師の指示のもと看護師や作業療法士など医療スタッフが定期的に訪問し、病状観察や食事摂取状況、また家族支援などのサポートを行います。
通常、訪問看護は医療保険を利用し週3回まで可能で、1回の訪問は30分から90分と決められているため、訪問回数や時間は体調や病状に合わせて調整します。
自宅にこもりがちで外出が難しい方、入退院を繰り返している方、ご家族がどのように支援を行えばいいか困っている方は訪問看護を検討されてはどうでしょうか。
精神科訪問看護ってどんなことをしてくれるの?
・自立した生活を営めるための支援
・生活リズムの調整
症状の悪化防止・服薬支援
・生活状況を観察
・受診や服薬を支援
社会復帰へのサポート
・主治医や関係機関と連携
・社会復帰を支援
家族の方への支援
・家族へのアドバイスや相談
・社会資源の活用などを支援
精神科訪問看護の役割には「自立支援」、「生活支援」、「再発・再入院の予防」、「服薬管理」、「社会資源活用支援」などがあります。
病状観察や生活援助を通じて、本人が問題解決できるよう援助し、利用者やその家族の能力に応じた自立を促します。
主治医や関係機関との連携を図り、重症化する前に受診を促し、入院を予防できます。
また必要時には社会資源の活用をサポートしたり、家族への助言を行うことで、療養環境を調整し治療に集中できるよう支援します。
精神科訪問看護のメリット
- 自宅に居ながら専門的なケアが受けられる
- 自宅での様子を主治医に連携できる
- 対人関係や日常生活の支援を受けられる
訪問看護を利用するメリットは自宅に居ながらも、専門的な支援を継続的に受けられることです。
医療機関やかかりつけの医師と連携しているため、病状や服薬管理状況などの情報を共有できます。
精神疾患を持ちながら生活している方が、家庭や地域社会、また学校生活を安心して過ごせるよう社会資源なども提案しサポートします。
デイサービスやショートステイ、介護サービスの導入なども、家庭での療養状況を確認し提案することができます。
精神科訪問看護の料金
負担割合 | 月の初回訪問 | 2回目以降 |
---|---|---|
3割負担 | 3,897円 | 2,565円 |
2割負担 | 2,598円 | 1,710円 |
1割負担 | 1,299円 | 855円 |
上記は週3回までの訪問料金となります。週4回以上訪問となる場合には料金が異なります。
精神科訪問看護では、医療保険を利用することにより自己負担を軽減できるメリットがあります。
30分を一区切りに利用可能。かかった費用については、年齢や所得によって変わり、医療費の1〜3割が自己負担となります。
また早朝や深夜などの時間外に依頼する場合や、長時間の訪問を行う場合は別途料金が発生します。
また自立支援医療制度いう制度を利用すると料金が1割負担になるほか、所得に応じて自己負担が0円になる場合もございます。
自立支援医療(精神通院医療)
区分 | 上限額 |
---|---|
生活保護 |
0円 |
低所得1 |
2,500円 |
低所得2 |
5,000円 |
中間所得1 |
5,000円 |
中間所得2 |
10,000円 |
一定所得以上 |
20,000円 |
表の料金は所得に応じた医療費の月額自己負担額の上限額となっております。
表の料金を超えた場合には、自己負担なしで医療が受けられます。
自立支援医療(精神通院医療)は、継続的に通院治療が必要な人が利用できる制度で、すべての精神疾患が対象です。
入院しないで行われる医療が対象で、外来、外来での投薬、デイ・ケア、訪問看護などの通院が適用となります。
精神疾患は治療が長くなることが多いため、その間の医療費負担を軽くし、精神的にも経済的にも、安心して治療に集中できるようにする制度です。
この制度を利用すると医療保険で3割負担していたのが1割の負担となります。また、所得に応じて負担額の月の上限額が設定されます。上記の表の料金が所得区分別の上限額金額となります。
精神疾患をお持ちならシンプレへ
シンプレの特徴
都内を中心に展開している精神疾患に特化した訪問看護ステーションで、拒食症をはじめ、認知症やうつ病といった精神疾患をもつ方の自宅へ訪問しています。
訪問する看護師や作業療法士などの医療スタッフは疾患だけでなく、日常生活や学校生活、社会資源なども含めて支援いたします。
利用者やその家族の大切にしていることや生活背景を尊重し、安心して自宅療養できるように支援します。
また訪問しているスタッフだけでなく、地域全体でサポートしており、必要時には各医療機関や行政とも情報共有しながら連携を図ります。
シンプレ訪問看護ステーションの対応エリア
-
<東京都>
・東京23区
※足立区、荒川区は1部エリアとなります。
・西東京市
・三鷹市
・調布市
・武蔵野市
・府中市※1部エリア
・東久留米市※1部エリア
<埼玉県>
・和光市
・朝霞市
・戸田市※1部エリア
・川越市※1部エリア
・新座市※1部エリア
・川口市※1部エリア
シンプレ訪問看護ステーションの対応地域はおもに上記が中心で、訪問活動をおこなっています。該当エリアにお住まいの方はぜひご検討ください。
また上記以外のエリアにお住まいでも、対応できる場合がございますので、一度当社スタッフへご相談ください。
サービス内容を詳しく聞きたい、スケジュールの相談なども承っております。電話やメールなどで相談を受け付けていますので、お気軽にご連絡ください。
ご相談の問い合わせはこちら▼
まとめ
拒食症はストレス対処が苦手な方や、こだわりが強い人が発症しやすいと言われていますが、年齢や性別に関わらず誰もがなりうる疾患です。
環境調整や対人関係療法といったカウンセリングと、薬物療法を組み合わせて治療しますが、治療は長期化することが多いといわれています。
本人を焦らせたり、無理強いをすることは逆効果で、できていることを認め、本人が安心して治療に臨めるように環境を整えることが大切です。
精神科に特化したシンプレ訪問看護ステーションは、継続的なサポートを通じて、症状や不安の解決を共に目指していきますので、ぜひ一度ご相談ください。
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