ギャンブル依存症の治療法とは?相談窓口や支援場所についても解説。
ギャンブル依存症の治療方法には「薬物療法」「精神療法」などがあります。
ギャンブルと距離を置くために「入院」なども行われますが、本人の要望や病状に応じて複数の治療法を組み合わせることもあります。
今回は、ギャンブル依存症の治療法をお調べの方や、身近にギャンブル依存症でお悩みの方がいる方へ、治療法について詳しくまとめました。
ギャンブル依存症の治療方法
まずは本人や家族が病気について理解する
ギャンブル依存症の治療で重要なのは、本人・家族が病気について理解することです。
ギャンブル依存症の人は、自分自身がギャンブルに対して問題があることを認めることができません。そのため、まずは自身がギャンブル依存症なのだと理解することからはじまります。
また、まわりの家族もギャンブルから生じる問題の対応に追われ、疲弊しているケースが多い傾向です。
病気に対しての理解を深めることで、対応力を育み、症状の悪化・再発防止をしていきます。
精神療法
ギャンブル依存症の治療法には、以下の精神療法があります。
認知行動療法
ギャンブル依存症の治療法の認知行動療法は、ギャンブル依存につながるギャンブルに誘惑されたときのパターンを見つけ、それを修正することで、ギャンブルをコントロールできるようになることを目指します。
ギャンブル依存症の治療に効果的なことが研究で示されています。しかし、認知行動療法は、1回で効果が出るものではありません。継続的に治療を受けることが重要です。
集団精神療法
集団精神療法では、ギャンブル依存症の患者が集まり、自分の経験や悩みを共有し、お互いにサポートし合います。集団精神療法では、ギャンブル依存症の原因を理解し、ギャンブルしたい気持ちをコントロールする方法、再発を防ぐ方法を学ぶことができます。
集団精神療法は、ギャンブル依存症の患者にとって、経済的な負担が少ないこともメリットの一つです。集団精神療法は、通常、保険が適用されます。
薬物療法
一般的にギャンブル依存症の治療には、認知行動療法・精神療法が有効であると考えられていますが、一時的に薬物療法を行う場合もあります。
多くのギャンブル依存症の方は、「お金の返済」のことで頭の中がいっぱいです。
そのため焦燥感や不安感、絶望感から、「死にたい」「この世からいなくなりたい」と考えてしまい、実際に自殺してしまう可能性も高い傾向です。
症状によっては、抗不安薬・睡眠導入剤を処方され、精神療法と組み合わせて治療していきます。
入院治療
遠方の方や症状等から外来通院が困難な方は、入院治療も選択のひとつです。
2〜3ヶ月程度入院することで、安静療法をしながらこれまでの生活を見直すことができます。
入院中は、規則正しい生活習慣を身に付け、また必要に応じて生活指導・服薬指導を受けることが可能です。
さらに「認知行動療法を用いた治療・回復プログラム」に加えて、「グループセラピー」「ギャンブル・債務依存ワークショップ」などに参加することで、治療・再発防止を目指していきます。
治療で利用できる施設や団体
デイ・ケア
- 定期的に通うことで生活リズムを改善できる
- 回復に向けてさまざまな専門プログラムがうけられる
定期的にクリニックのデイ・ケアに通うことも、規則正しい生活リズムを身に付けるにはおすすめ。
ギャンブルにのめり込んでいるときは、生活・睡眠・食事のリズムがバラバラになっており、まずは生活リズムを戻すことが治療の第一歩です。
午前中からクリニックに通院することで、夜型の生活から昼型の生活へと変えていきます。
またクリニックでは専門的な治療プログラムを開催しており、自身の気持ちを振り返りながら、ギャンブルに代わる新たなストレスの対処法を身につけることもできます。
自助グループ
- 同じ病気を抱える方や経験を持つ方と交流
- グループのメンバーと体験談や情報を共有
- 交流を通して回復への希望やヒントを得られる
自助グループは同じ問題を抱える人たちが集まり、相互理解や支援し合うグループのことです。
全国にはさまざまな自助グループが存在しており、ギャンブル・アルコール・薬物などの依存症の方同士が、問題を分かち合い理解し、問題を乗り越えるために支え合う目的のために集まっています。
「誘惑に負けてしまい、再びギャンブルしてしまいそうな方」「ギャンブルと距離をとった生活が目指せない方」など、自身と似た境遇の仲間と出会うことで、気持ちの整理や希望を見つけることができます。
家族の会
- 交流を通して家族だけで抱えていた問題を話すことができる
- ギャンブル依存症について正しく理解することができる
- 依存症を持つ家族への対応方法を学んでいく
またご家族同士が支え合う、NPO法人「全国ギャンブル依存症 家族の会」も設立されています。
毎月全国各地でセミナー・勉強会が開催されており、ご家族にギャンブルの問題がある方ならだれでも参加が可能です。
ご家族だけで悩みを抱えたままでは、途中であきらめてしまう場合もあり、「家族の会」では家族ならではの悩みについて話すことができます。
ギャンブル依存症に悩む家族同士がつながることで、正しい対応方法を身につけ、自身の環境を改善することができます。
グループホーム
- 不規則になった生活を規則正しい生活に戻す
- 交流を通して病気への考え方や人間関係を学ぶ
ギャンブル依存症のグループホーム(回復施設)も治療にはおすすめです。
グループホームでは、落ち着いた雰囲気の中規則正しい生活のリズムを取り戻すために、ギャンブルで困っている方同士で共同生活をします。
主にグループミーティングを主体とした回復プログラムを実施しており、加えて症状・家族背景に合わせてセラピー・治療なども行います。
さらには司法支援をしてくれるグループホームも存在しており、利用者の借金問題・法律相談・社会復帰などもサポート可能です。
ギャンブル依存症かも?と思ったときの相談先
- 精神保健福祉センター
- 保健所
精神保健福祉センターは、各都道府県に設置されており、ギャンブル依存症について相談することが可能です。
一方、保健所は各市町村に設置されており、「こころの健康」「保健・ひきこもり相談」「アルコール・薬物・ギャンブル依存症」といった、生活に関わる幅広い相談を行っています。
精神保健福祉センターには専門性のあるスタッフがそろっているのが特徴ですが、近くにセンターがない場合、まずは保健所に相談してみても良いでしょう。
精神科訪問看護でサポートしてもらう
精神科訪問看護とは
・精神科・心療内科に通院中の方
・精神疾患の診断を受けた方
・診断がなくとも医師が必要と判断した方
訪問する人
・看護の専門職
・リハビリテーションの専門職
訪問時間
・医療保険
(30分から90分程度)
精神科訪問看護は精神科・心療内科に通院されている方、また診断は受けていなくても睡眠障害など医師が必要と判断された方が対象です。
看護婦などの専門職のスタッフが訪問し、病状観察・服薬管理・家族支援などのサポートを行っています。
医療保険を適用することができ、訪問回数は週3回まで、1回の訪問時間は30〜90分間。病状や主治医の判断によっては、毎日訪問することもできます。
精神科訪問看護ってどんなことをしてくれるの?
・自立した生活を営めるための支援
・生活リズムの調整
症状の悪化防止・服薬支援
・生活状況を観察
・受診や服薬を支援
社会復帰へのサポート
・主治医や関係機関と連携
・社会復帰を支援
家族の方への支援
・家族へのアドバイスや相談
・社会資源の活用などを支援
精神科訪問看護では、「健康状態の観察」「病状悪化の防止・回復」「社会復帰の支援」など、症状改善に向けてさまざまサポートを受けることができます。
状況に応じて、主治医・ケースワーカー・保健師などの医療・行政と連携し、利用者の療養環境を調整させることが可能です。
また、利用者本人と話し合いながら「どのような生活がしたいか」「どのような生き方をしたいか」などの意志を尊重し、自宅で療養できるメリットがあります。
訪問してご本人と面会ができない場合でも、ご家族から相談を受けることが可能であり、包括的な支援もしてくれます。
精神科訪問看護のメリット
- 自宅に居ながら看護が受けられる
- 対人関係や日常生活の相談ができる
訪問看護は、主治医が必要と判断すれば利用ができます。
「外出するのが難しい方」「住み慣れた環境で、ゆっくりと治療したい方」などにとっては適しているサービスです。
「内服管理の援助」「副作用のモニタリング」など日常での気づきを医療従事者に話すことが出来るので、病院では治療しにくい部分について相談もしやすいでしょう。
また、ご家族の方が本人との接し方などで悩みがある場合などのアドバイスも行っています。
精神科訪問看護の料金
負担割合 | 月の初回訪問 | 2回目以降 |
---|---|---|
3割負担 | 3,897円 | 2,565円 |
2割負担 | 2,598円 | 1,710円 |
1割負担 | 1,299円 | 855円 |
上記は週3回までの訪問料金となります。週4回以上訪問となる場合には料金が異なります。
精神科訪問看護では、医療保険を利用することにより自己負担を軽減できるメリットがあります。
30分を一区切りに利用可能。かかった費用については、年齢や所得によって変わり、医療費の1〜3割が自己負担となります。
また早朝や深夜などの時間外に依頼する場合や、長時間の訪問を行う場合は別途料金が発生します。
また自立支援医療制度いう制度を利用すると料金が1割負担になるほか、所得に応じて自己負担が0円になる場合もございます。
自立支援医療(精神通院医療)
区分 | 上限額 |
---|---|
生活保護 |
0円 |
低所得1 |
2,500円 |
低所得2 |
5,000円 |
中間所得1 |
5,000円 |
中間所得2 |
10,000円 |
一定所得以上 |
20,000円 |
表の料金は所得に応じた医療費の月額自己負担額の上限額となっております。
表の料金を超えた場合には、自己負担なしで医療が受けられます。
自立支援医療制度は、医療費の自己負担額を減らしてくれる医療制度です。
公的医療保険による医療費の自己負担額は通常3割となっていますが、自立支援制度を併用すれば原則1割まで軽減されます。
訪問看護の治療費や、通院、薬代、デイ・ケアの費用などが自立支援医療の対象。
所得に応じて月額の負担上限額が設定されており、上限を超えた分の医療費を支払う必要がなくなります。
ギャンブル依存症からの回復に向けて
本人ができること
- まずは一日やめてみるなど小さなことから始める
- 一人で抱え込まない
まずは、ギャンブルをしない日を作ることからはじめてみましょう。
小さな目標を設定することで、ギャンブルをしない生活をする時間を増やし、依存症からの「回復」、さらに「再発防止」に繋げていきます。
また治療をし続けるには、同じ悩みをもつ自助グループなどに参加することも効果的です。自分の気持ちを正直に言え、1人で悩まず孤立しないでしょう。
家族や周囲の方ができる事
- 本人を責めたり傷つけることを言わない
- 借金の肩代わりをしない
- 家族だけの問題にせず専門機関に相談する
ギャンブル依存症の治療には、家族の協力が必要不可欠です。
依存症は、欲求をコントロールできなくなる病気であり、本人を責めたり、傷つけたりしても、一時的に本人が反省するだけで問題は解決しません。
また多額の借金を発見し、家族が肩代わりしても、本質的な治療をしなけばギャンブルを再開させる可能性も高いままです。
家族だけで抱え込まず、早めに専門の機関に相談してみましょう。
ギャンブル依存症でお悩みならシンプレへ
シンプレの特徴
精神疾患を専門にしたシンプレ訪問看護ステーションでは、ギャンブル依存症をはじめ、認知症・うつ病といった精神疾患をもつ方の自宅へ訪問しています。
精神疾患の専門知識・看護経験が豊富なスタッフが在籍しており、多種多様な精神疾患に対応できるのが当院の特徴です。
利用者やその家族の大切にしていることや生活背景を尊重し、日常生活・社会資源なども含めて支援。必要に応じて、医療関係や公共機関と連携を取り合いながら、途切れのない円滑なサポートを実践しています。
シンプレで対象となる精神疾患
- ギャンブル依存症
- アルコール依存症
- うつ病
- 双極性障害
- その他精神疾患全般
先ほどもご紹介したように、シンプレ訪問看護ステーションでは、治療や日常の中での相談に乗ることなど精神疾患を抱えている方のケアを行います。
当院ではそれぞれの利用者さまにそれぞれの日常生活で必要とされるケアをしながら、通院や入所とは違った「精神科訪問看護ならでは」の支援をしていきます。
ギャンブル依存症の治療している方など、日常の金銭感覚やギャンブルへの考え方を変える必要のある病気でも、定期的に訪問することで生活リズムを整えたり、ご相談があれば利用者のご家族様のサポートもいたします。
シンプレ訪問看護ステーションの対応エリア
-
<東京都>
・東京23区
※足立区、荒川区は1部エリアとなります。
・西東京市
・三鷹市
・調布市
・武蔵野市
・府中市※1部エリア
・東久留米市※1部エリア
<埼玉県>
・和光市
・朝霞市
・戸田市※1部エリア
・川越市※1部エリア
・新座市※1部エリア
・川口市※1部エリア
シンプレ訪問看護ステーションの対応地域はおもに上記が中心で、訪問活動をおこなっています。該当エリアにお住まいの方はぜひご検討ください。
また上記以外のエリアにお住まいでも、対応できる場合がございますので、一度当社スタッフへご相談ください。
サービス内容を詳しく聞きたい、スケジュールの相談なども承っております。電話やメールなどで相談を受け付けていますので、お気軽にご連絡ください。
ご相談の問い合わせはこちら▼
まとめ
ギャンブル依存症は依存性が高く、まわりの人・家族を巻き込む病気です。
治療には「精神療法」「薬物療法」などがあり、状況においては「入院」も選択肢のひとつでしょう。
重要なのは、病気の危険性を十分に理解し、生活リズムを整え、ギャンブルに関わる考え方を変える必要があります。
シンプレ訪問看護ステーションでは、ギャンブル依存症やその他の精神疾患がある方に対して、生活支援・家族の方への支援など包括的にサポートさせていただきます。
ギャンブル依存症のことでお困りごとや・相談がある場合はお気軽にシンプレ訪問看護ステーションにご相談ください。
ご相談の問い合わせはこちら▼
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